当然出すけど、重みを若干動かしてるので内容も変わります……。
数回目の祟り祓いから。
<Chapter2-4-1>
<Chapter2-4-1>
それから一週間程が経過した。
学校に行くのも慣れ始め、同時に外と中での態度の違いにも慣れてきたように感じる。
『巫女姫様』と『芳乃ちゃん』、『仕える忍者』と『茉子ちゃん』。
それぞれには表向きの顔があって、その何方の面とも接してしまうのが俺の立ち位置。
だから、ある程度の線を置きつつも親しそうにする、という難しい動き方ではあったけど。
以前に話し合っていた「表向きの事情」もあって、受け入れられ始めたと思う。
「…………よし。」
する理由もない血払い、一度大きく刀を振って、鞘に収め。
ちん、と心地良い程の音を立てながらも納刀を終える。
「お疲れさまでした、お二人とも。」
「お疲れ様。」
「今日は順調に進めたから良かったよ。」
「前回よりは無難に進めたな、ご主人。」
そして、その間にあったことと言えば。
不定期にやってくる、と分かっている穢れ祓いが一度。
今回の凶暴さは……初回、というか初めての時と然程変わらない感じだった。
やはり強さ、危険さの差異は何らかの理由があって変わっている。
そして、その中の理由の一つとして恐らく有力視出来るのは――――。
(
この間の芳乃ちゃんへのお見合い申し込み。
無下に――――と言うよりも初めから跳ね除けられて、全く悪い感情が浮かばないとは思えない。
そうした感情がこの中で浮かび上がれば、それを種火として拡大する。
拡大された悪感情を更に種火とするために、他者の意識を塗り潰そうとする。
以前にもあった記録があって、恐らくはこの間の俺のおかしな思考はそこを起因としている部分があると。
『柏手、意味は知ってますよね?』
芳乃ちゃんがあの日の翌日、俺に告げたのはそんな事。
巫女の、朝武の姫であるから干渉出来たと思うなんて。
そんな言葉を聞かされて、少しの思考停止と身体に走った震え。
甘く見ていた――――何て言葉は言わないけれど。
一人なら対処する手段がないなんて言われたのも同じだったから。
『本来なら将臣さんと……茉子は大丈夫だと思うんですけど。多分発端が発端だったからなんでしょうね。』
そんな縁を辿ってだろうという言葉と。
出来れば週に一度は神力を身体に宿し、祓ったほうがいいかも知れないという言葉と。
日が傾いて以降は私か茉子と共に動くようにしてほしい、なんて言葉。
それらの言葉を護るようにしながら、二人を守るようにしながら。
気付けば一週間が経っていた――――そんな気持ち。
「……ご主人?」
「あ、ごめん。」
「全く。残心を忘れてはいつぞやのようにまた怪我をするぞ?」
刀から聞こえていた声。
姿を表し聞こえる声。
それらの何方もが俺を心配する内容。
意識を明後日の方向に向けていたのもあって、素直に謝る以外の手段が思い当たらず。
「ムラサメ様、とは言いましても動き自体は良かったですよね?」
「以前に比べれば、程度にすぎんじゃろう?」
「それでもまだ一ヶ月くらいなんですよ?」
そんな言葉に、ついつい。
「……そう言えば、まだ一ヶ月くらいか。穂織に来てから。」
「何です? もう少し長い印象でもありました?」
「いや、時間間隔が鈍ってたのはあるかも知れないけど。」
「まだ若いんだから。しっかりしなきゃ駄目だからね。将臣君。」
いや、同年代というか同年齢だろうに、何て言葉は発せられない。
気付けば二人共が近付いてきていて、思い思いに言葉を並べる。
その圧力と言うか、妙な感じに押し負けていたから。
「……ご主人も弱いのう。」
「何か言った……?」
「いいや、何でも。」
誂うような言葉に、思い切り反応してしまうが。
その反応を見て笑われる始末だ。
……異性が三人(?)、口で勝とうとしたのが間違いだったか。
大きく溜息を吐いて、一言。
「……ああ、もういいから帰ろう。」
「あは~、逃げるんですか~?」
「茉子、そこまでにしておきましょう。」
「はぁい。ま、いい気分転換にはなりましたもんね。」
気分転換に使われたのか俺。
まあ、そんな風に言われても悪い気分というわけでも無いから……良いのだろうか?
良く分からない。
「……そういえば。」
一歩、木々の根が周囲に広がる山道を下り。
「?」
「明日だっけ、携帯電話変えに行くとかって話してたの。」
「そうですね~、一応明日の……何時頃にします?」
「そうね……午後で大丈夫?茉子。」
「はい、ワタシから言い出したことですし。」
ふと思い出した、明日の予定を問いかけた。
携帯を変えたいとか、そうでないとか。
忘れてなければ、と思った内容ではあったけど。
「将臣さんも一緒に来てくれるんでしたよね。大丈夫ですか?」
「今のところは多分、かな?」
「随分と曖昧じゃありません?」
浮かべた妙な顔……此方を優先してくれないのか、とでも言いたそうな顔に思わず笑ってしまった。
「大丈夫、付いてくよ。付いてきてほしいんでしょ?」
自分で行くといったのを棚に上げ。
そんな風に、二人に聞けば。
「はい。」
「一緒に行きましょう。」
当然のように、そうするのが当たり前だと。
彼女達は返す。
「……だよね。」
「嫌なんですか?」
「嫌ならこの間についていくなんて言わないって。」
「将臣さんが自分で行くって言ったんですもんね。ワタシ忘れてませんから~。」
そんな言葉を投げ掛け合いながら、山道を下る。
「……お主等、少しは警戒をだな。」
ムラサメちゃんのそんな言葉を、置き去りにしながら。