恋心、想花の如く。   作:氷桜

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すこーしずつでいいからフラグを蒔かなければ……。
ムラムラ将臣君。


<Chapter2-4-2>

 

<Chapter2-4-2>

 

 

 

身を清め、妙に目が冴えてしまったから少しだけ二人と雑談をして。

その翌日。

 

――――ぷるる、ぷるる。

朝食前。

いつも通りのランニングから帰って来て、汗を拭っていれば携帯電話が小さく鳴っていた。

 

「……ん、祖父ちゃん?」

「玄十郎からの電話かの?」

 

出迎えてくれたムラサメちゃんと一緒に顔を見合わせた。

其処に表示されている番号は、祖父ちゃんの持つ携帯番号。

にしてもこんな早くに掛けてくるというのも中々に珍しい事だな、と思いつつ。

通話のボタンを押して耳に当てる。

 

「もしもし?」

『将臣か?今平気か?』

「俺以外の誰かが出たら怖いでしょ。うん、少しなら。」

『巫女姫様辺りなら出そうだがな。』

 

割と冗談にならないことを言わないで欲しい。

流石に人の電話なんだから勝手に出るわけ無いとは思ってるけど、俺が許可出したら芳乃ちゃん……は分からないな。

茉子ちゃんは従って出そうだけど。ただ絶対ニヤニヤというか、あの独特な笑みを浮かべると思う。

 

『冗談は此処までにしてくとしよう。この間お前に頼んだこと、覚えているか?』

「この間…………っていうと、祖父ちゃんのとこに二人で行った時の話でいいの?」

『ああ。』

 

となると……。

 

「転校生が来るから……ってやつか。予定決まったの?」

『大分急……というより先方の要望でな。明日には来るそうだ。』

「また急だね!?」

『実際転校するのは色々準備がいるからな……一週間ほどは遅れてにはなるが。』

「ご主人?」

 

電話越しから祖父ちゃん、反対からはムラサメちゃん。

同時に話しかけられては対応できずに、後で説明するとジェスチャーのように示す。

うむ、と頷いてはいるが内容が気になるようで。

近くから離れることはなかったけど。

 

「一体何があって……?」

『別段トラブルというわけではないんだがな。その子が何かを感じたように要望したらしい。』

「何かをって……。」

『虫の知らせ、と言っては失礼だろうがな。で、明日は大丈夫か?』

「多分。今日だったら厳しかったかも知れないけど……明日は俺だけなら。二人はちょっと聞いてみてかな。」

『出来れば何方かには頼みたいところだがな。異性が二人では気が休まらんだろう。』

 

……ああ、そういえば女の子なんだっけ。

何でかその前提が外れていた。

そうでもなければ祖父ちゃんが心配する必要性もないし、廉太郎も暴走しようがないというのに。

……あれ?廉太郎?

 

「あの、祖父ちゃん?」

『うん?』

「廉太郎のやつは?朝の時点じゃ知らなかったみたいだけど。」

『志那都荘で話そうと思ってな。まだ伝えてはおらん。』

「なんつーか……妙なサプライズに感じちゃうなぁ。」

『その辺りを判断してほしくての明日の頼みだからな。』

 

便利に使われてる感が否めないが。

俺も相当に迷惑を掛けてるんだし、この程度ならまぁ問題はないと判断する。

一人だったら……ちょっと気まずさもあって断ってた気もするが。

 

「基本は案内と……彼奴の見張り、でいいんだよね?」

『ああ。そうだな……ニ時頃には志那都荘の門前に来るそうだ。そのまま穂織を案内して、日が暮れる前に戻ってくれれば良い。』

「はいはい……了解。ついでに生活用品とかも揃えて貰った方が良い?」

『む。……そうだな、代金はお前に預けておこう。必要だと思うものを準備出来るようにしてくれるなら助かる。』

「じゃあ明日……二時ちょっと前に行けば良いね?」

 

ああ、と。祖父ちゃんの声がして。

そこまで話を聞いた上で……何か他に聞いておかなければいけないことがないか頭を回す。

明日の予定は二人に聞いて、何方かの時間を貰えれば最良。

予定と言うか、合流時間に関しては今聞いた通りで――――。

 

「ってそうだ祖父ちゃん、二つ教えて。……いや、一つは確認だから聞きたいことは正確には一つだけど。」

『む?』

「こないだ聞いたけど、剣道の再開。その子が来るなら始められるんだよね?」

『ああ、その事か。そうだな、来週の頭……その子が通い始めるのと同日からでどうだ。』

「俺は大丈夫。祟りの件とかがある時は都度連絡するから。」

『うむ。学校が終わり次第旅館まで来い。其処から公民館まで移動して行うことにする。』

 

俺の希望してたことは問題なく出来る、と。

直接会った時、始まる当日に俺の今の個人練習に関しても意見を貰おう。

体力を付けるのと、実戦を行うのと。

其処では恐らく必要となるものが違ってくるだろうし。

 

「りょーかい……で、もう一つ。()()()()()()()()

 

相手の名前すら聞かずに、教えられずに……なんて馬鹿げた事に巻き込まれるところだった。

当人とも仲良く出来れば理想だけど……そんな事二人の前では冗談でも言えないしな。

地味に溜まってるからこその考えだけど……発散する機会も中々無いし。

下手にやれば匂いで気付かれるし。同級生の女の子に気付かれたら首を吊りたくなる。

『何してたんですかぁ~?』とか言われそうだし。

 

『む?伝えてなかったか?』

「聞いてない……。」

『そうだったか。その子の名前は――――。』

 

その名前を頭に叩き込んで、電話を切る。

ふぅ、と溜め息を吐くのと同時にふよふよとムラサメちゃんが近寄ってきた。

 

「で、なんじゃった?」

「明日の予定に関して。二人は空いてるかな……?」

「あー…………芳乃は多分難しいと思うぞ?」

「そりゃまた何で?」

「何で……と来たか。まあご主人には直接関係ないことでもあるだろうしのう。」

 

一体何だって言うんだ。

或いは今日教えられる予定だったのかも知れないじゃないか。

 

「ま、安晴が教えるじゃろ。さっきから茉子が朝食だと呼んでおったぞ。」

「それを先に言ってくれ!」

 

ずっと待たせてるじゃないか!

先に食べ始めるなんてしないんだから、早く行かないと!

慌てて、部屋を出て。

 

「そんなに慌ててもそこまで変わらんのじゃがなぁ、もう。」

 

そんな声が聞こえてきたが。

意図して、無視した。

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