<Chapter2-5-4>
ああでもない、こうでもない。
そんな風に悩める程服装があるわけでもなく、選べるセンスがあるわけでもない。
だからこそ、手伝える範囲で家事をちょこちょこ手伝った後、自室。
「それで、今日はどうすることになったんじゃご主人。」
自主的に正座しながら(させられながら)。
ムラサメちゃんと二人で対面し話をしながら、茉子ちゃんの手が空くのを待っている。
「案内が終わった後で、帰ってきて二人で食べることになりました……。」
「そうか。 にしては奇妙な雰囲気だった気がするんじゃが。」
何故か、相手が上の立場のように感じつつ。
いや実際色んな意味で頭が上がらないんだが、
思考がそちらに向きそうになる度に、問い掛けが投げられてそれに返答する流れが続いている。
「まあ良い。 しかし、茉子も積極的というかなんというか……。」
「?」
ただ、その会話が一方的に打ち切られ。
呟くように放った言葉に、俺は首を傾げた。
積極的?
いや、単純に身体を心配してくれたからだろ?
そんな言葉から、何かを察しそうになって。
「ご主人?」
「はい。」
そんな俺の態度を見て。
更に圧力が増した気がする。
「まあ、吾輩が何か言えるような側でもないのだが。」
「で、俺はいつまでこうしてればいいんだ……?」
「もう好きにしろ。 だがな、ご主人。 一つだけ心しておくことがある。」
「心しておくこと?」
呆れた顔を浮かべながら、
いや、芳乃ちゃんも茉子ちゃんも大事……というよりは何方にも大変世話になってるというのは感じてるが。
美人というよりは可愛らしい、美少女なのは間違いない。
それに今の俺の立ち位置は『婚約者』という扱い。
『婚約者』の相手を大事にするのは当然だし、世話になっている相手を尊重するのも当然だ。
その動きというか、一挙一動にドキドキしてしまうのはノーカウントとさせてもらいたいけれど。
「
「…………助言?」
「でも有り、年の功からの忠告じゃ。」
見たくなくとも幾つも見てきた、と呟く声。
特に朝武の家系を繋げる為に行われてきた婚姻。
政略結婚の時も有り、恋愛結婚の時もあり。
けれど、その心を忘れた人間たちが幸福になれたかと言えば間違いなく否だと。
「今日の案内、茉子と合わせ四人……とは言え相手方は何も知らぬ人間なのであろう?」
「だろう、ね。 いや興味があったとかはちょこっと聞いたけど。」
「気を配れよ。 特にお主はその来訪者と似た立場なのだから。」
ある程度は気持ちも分かるだろうから、と。
恐らくムラサメちゃんが伝えたかったのはこの言葉なのだろう。
それを受け入れ、受け止め。
しっかりと頷いた。
「うむ。 顔付きも良さそうになったな。」
「え。 なにそれ酷くない?」
「呆けたような表情を浮かべている方が悪い。」
そんな言い合い。
先程までとは空気の色が違う話し合い。
歓談を行って、数分が経過した頃だろうか。
「将臣さん、準備できましたよ?」
部屋の外から、そんな声が聞こえたのは。