恋心、想花の如く。   作:氷桜

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新チャプター。
修行開始と話の少し進行と、後はいい加減少しばかりお色気シーンもしたいですね。


<Chapter2-6>
<Chapter2-6-1>


 

<Chapter2-6-1>

 

走る、走る、走る。

 

息が切れる回数が減ってきて、それでも尚と走り続ける。

速度を上げる。

荷物を増やして走り続ける。

坂を進む。

 

それでも、掛かる時間は確実に減り続けていて。

だからこそ、丁度いいと言えば丁度いい時期だったのかもしれない。

 

「……早いな。」

「普段に比べれば色々と軽いからね……。」

 

当初の予定より一日早い日。

学校が終わり。

周囲の生徒達がいつも通りに教室で雑談を繰り広げ。

少しばかり遠巻きに、それでいて仲良く話す二人に目線を向けつつどうするのかを問い掛けて。

小さく、それでいてはっきりと首を横に振るのを確認した上で一人で静かに()()した。

もう、自然と建実神社を第二の自宅と思っている自分がいることを否定しきれない中。

用意して貰った、叢雨丸に極めて近い(と言われている)重さの模擬刀を一本背負って部屋を出た。

 

「そういうものか?」

「走るのだけは続けてきてたし、山の探索よりは……かな?」

『にしては楽しそうに走っていなかったか? ご主人。』

 

旅館まで到着するのは、自己ベストより数分遅く。

体力を抑えたという側面があるから特に気にはしない。

なのでムラサメちゃんがボソリと呟いた一言は気にしない。 此方をジトっとした目で見詰めているけど。

 

『遊びではないのだが……まあ、楽しんで学べるのなら良いのかのう。』

 

溜め息までされても困る。

俺としては無視する以外の選択肢がないし。

剣と体力、何方もある程度以上に修めてこその担い手――――なんて考えるには、少しばかり歳を取ったからなのか。

少なくとも何年か前だったらニヤニヤしてる自分がどっかにいた気がする。

 

「ふむ。 まあ良い。 公民館まで行くぞ。」

 

俺を待っていた、と言わんばかりの態度を保っていた祖父ちゃん。

背中には竹刀を入れているのか袋を二つ。

多分俺の分も含んでだろう。

……竹刀での技術も勿論大事だけど、刀を振るだけの筋力も足りてないんだよな。

 

「あ、祖父ちゃん。 一応教えて欲しいんだけど。」

 

そうして移動しようとし始める段階で。

念の為に確認しておこうと思っていたことを問い掛けていなかった、という事実を思い出して口に出す。

足を進めようとしていた祖父ちゃんはその場で向き直る。

 

「何をだ?」

「大雑把でいいんだけど、終わりの時間帯だけ知りたい。 連絡しておけばそれだけでも違うだろうし。」

 

ああ、と呟くのが聞こえた。

思い当たっていなかったのか、気にしていなかったのか。

恐らくは前者だろう。

特に初日だからこそ、全ての始まりになる以上は連絡をしておきたくて。

 

「そうだな、あまり遅くまで残りすぎるのも良くない。 夜の七時頃を目安でどうだ?」

「七時ね……分かった、一寸だけ待って。」

 

携帯電話で簡易に連絡。

その場ですぐに見られなくても、或いは周囲に誰かがいて出られなかったとしても。

メールしておく分には問題ないし、見ないということはないだろうから。

 

『二人も大変だのう……。』

「?」

 

後頭部当たりから肩口位へと浮遊するように移動して覗き込み。

その上で溜息ってどういうことだ、と目線を向ければもう一度溜息。

 

『後で気遣ってやれ。 散々言っておるようにな。』

「そりゃ分かってる。」

 

本当かのう、とか言わないで欲しい。

俺の態度の何が間違ってたのか気になり始める。

 

「連絡は出来たか?」

「あ、うん。」

 

俺の意識が明らかに逸れ始めているのを見咎めてなんだろう。

祖父ちゃんの問い掛けに、確かに小さく頷いた。

 

「良し、ならば時間も有限だ。 まずはどの程度腕が錆びているかから確かめさせて貰うとしよう。」

 

分かった、と呟き。

改めて背を向け、公民館……街中の端の辺りに立つ建物へと向けて歩き出す。

その背中を追いかけるように、小走りで走って追いつき。

 

「宜しくお願いします。」

「ああ。 お前が護りたい相手くらいは護れる程度には鍛え上げてやろう。」

 

そんな、小さな誓いを交わした。

 

――――護りたい相手。

それが誰か、はっきりとは口にせずに。

PCを利用したネタとか仕込んでも許される?(レナルートのアレもあることだし)

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