原作だと共通ルートはChapter3で終わりなんですよねえ……。
ムラサメちゃんもメイン格相当の扱いするか悩ましい。
<Chapter2-7-1>
<Chapter2-7-1>
ごろり。
布団に横になりながら、天井を見上げる。
手に翳して見据えるのは、少しだけ透明な……小さな石。
小指の先よりも更に小さく細い、水晶のような物体。
「…………。」
方向を変え、反射を変え。
蛍光灯と障子越しの太陽の明かりに照らしてみても、何の変異も見えない物体。
深夜から早朝に掛けて降っていた小雨は既に止み。
ランニングに費やしていた時間の分だけ浮いてしまったこの時間。
休日、朝。
「気の所為、だったのか?」
或いは勘違いか。
つい昨日起こった祟り神祓い。
その体を打ち払い、胴体の落ちていた辺りで何かを蹴飛ばしたような錯覚があって。
芳乃ちゃんの武器を拾いながらも、その辺りを手で探そうとした所。
指先に触れたのがこの小石。
(違和感があるわけでもない、しなぁ……。)
拾い上げる前。
実戦を行った直ぐ後だったからか、心臓が煩いくらいに跳ねたような気がして。
けれどそれらは深呼吸を、息をすることですぐに遠ざかった。
普段の運動をするときと同じく――――だからこそ、何なのかは分かっていない。
(直接地面に落ちるのを確認するなり、二度同じようなことが起こるなりしたら……ってところか?)
真っ先に浮かんだのは二人に相談すること。
そして貴重な知識を持つみづはさんに渡し、調べて貰うこと。
ただ、それらは唯でさえ忙しい三人から更に時間を奪うことに繋がる。
一見何の変哲もない、どこにでも落ちていそうな物体にしか見えないのだから。
故に、色々と妥協を重ねて……伝えるタイミングを変えることにする。
そして、もう一つ。
「……ムラサメちゃん。」
『ん、呼んだかご主人。』
中空に声を出して少し。
布団から起き上がって炬燵机まで移動した頃。
ふわふわと障子を抜けてやってきた緑髪の相棒……ムラサメちゃんにだけは話しておこうとそう決める。
もしかすれば、”そう”だと自分で思いこんでいる危険性すらあるのだと感じていたから。
「ちょっと相談があるんだけど……。」
『吾輩にか? 二人にではなく?』
「そう。 勿論場合によっては二人にも相談するけど。」
ふむ、と口を開いて腰を下ろす。
綺麗な正座……胡座で楽をしている俺に対比して見える彼女。
外からはぱたぱたと小さく歩く足音が聞こえ、廊下を通り過ぎ神社の方に向かっていくのを聞いてから。
「これに関して相談しておきたいんだけど。」
『これ……?』
机の上に小石を置く。
なんじゃこれは、とばかりに視点を変えつつも眺めているのを眺めている。
傍目からだけでは何も分からないのは彼女も同じ、と見ていいか。
『……どこにでもある石、か?』
「やっぱり、そう見える?」
『誂っておるのか?』
「そんなわけないだろ。 実はだな……。」
これが何なのか、という説明は出来ないにしろ。
どういう経緯、どういう流れで手に入れた物体なのか。
何となくの推測、そして相談に至るまでを彼女に説明する。
『……成程のう。』
それが終わって出た言葉は納得とそうでないのが交じるような声色。
まあ分かる、唯の石にしか見えないって言えば見えないし。
「実際どう思う?」
『……何とも言えぬな。 仮にこれがご主人の想定通り、祟り神関係の物体だったとして、じゃ。』
指先をぴんと立てながら。
考えを整理しあっていくように、要点を幾つかに纏めて行く。
『小石……或いは
「確実にそれ、って言い切れないんだよな。 俺が蹴飛ばしちゃったのが悪いんだけど。」
『それは仕方あるまい。 山道、それも夜である以上な。』
ただ次は注意しろよ、と言われて頷く。
まあムラサメちゃん自身も気付いてなかったよな、というのは黙っておく。
「呪物であるのに大きさは関係ないとは思うけど……。」
『集合体全般、と考える方が妥当……かの?』
「もしそれがそうなら、って前提に基づくから言い切れないけど。」
『其処なんじゃよなぁ。』
それに、と続けるように。
『少なくとも吾輩が見る限り、今のこの物体は霊力を宿しているということもない。』
「それは……。」
『神社の結界で浄化されたのか、或いは呪いが全て放出されたのか。 何とも言えぬ、というのがやはり答えになるの。』
「結界で浄化されるほど弱いってのはちょっと考えにくい気がしないでもないんだが。」
可能性としては否定できない、か。
或いは叢雨丸での一撃で文字通りに
『吾輩としては……結局、次を見るしか無いといったところか。』
「だよなぁ……。」
念の為、これは床の間の引き出しにでも仕舞っておこう。
……布か何かで包んでおいたほうが良いかな。
「……布貰うとしたら誰に言えばいいかな。」
『芳乃……かの? 神社の祭儀でも時折使用するはずだし、先程本殿の方に向かっていったはずじゃ。』
ああ、さっきの足音は芳乃ちゃんか。
なら後で声を掛けておこう。
それともう一つ。
「安晴さんにも、少し相談しないとな……。」
『安晴に?』
「そう。 ……多分、二人に比べれば時間があるのは俺だろうし。」
そして、この家には置いていない……けれど、慣れ親しんだ現代の利器。
ちょっとした調べ物――――から一歩踏み込むなら、電話よりは扱いやすい道具。
「ちょっと実家からパソコンでも持ってこようと思って。」
『ぱそこん?』
首を傾げる彼女が、少しだけ可愛らしく見えて。
俺が小さく笑ったのを、不思議がっていた。