逃げウマに憧れて   作:ガチタン愛好者

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第十話~天皇賞(秋)に向けて~

夏合宿を終えたツインターボの次の目標レースは

 

「天皇賞(秋)ねえ。春と違って中距離だから出走はできるものの………」

 

ズラリと並ぶ目標レース。最初にツインターボが選んだ中から勝てそうな中距離を選んだもの。因みにこのあとはそのまま有記念へ出走する。いわば最後の調整レースだ。にしてはグレードが高いが。

 

「さてと、頼んでおいたあれも完成したはずだ。やるぞ!」

 

★★★

 

「さてターボ。今日から始める新たなトレーニングは…………これだ!」

 

バーン!

 

「何これ!?ゲート!?でも1枠だけ?」

 

「逃げに何よりも大事なのはスタートダッシュなんだが…………分かるな?」

 

「ターボそれ苦手~」

 

「だからやるんだよ。ターボは理屈より感覚でやる方がいいだろ?こいつでスタートダッシュの練習をやるんだ。勿論坂路トレーニングも欠かさないけどな」

 

「分かった!」

 

ゲートが開くと同時に駆け出す。それをしたらまたゲートに戻って同じことの繰り返し。端から見ればシュールな光景だが逃げウマであるツインターボには何よりも大事なトレーニングだった。因みに何故わざわざこれを発注したのかというと、レースで使うゲートは9枠で1セット。動かすにはトラクターが必要でたかがトレーニングのために使うことは出来ない。そこでどうにかできないかこれまた理事長に相談したところ特別に1枠だけの練習用ゲートを作ってもらえたのだ。因みに

 

「疑問!今までそのような物が必要になったウマ娘はいない!教本でどうにかならないか!?今までゲート難のウマ娘は大勢いたがそれでなんとかなったぞ?もしくはゲート難でもデメリットになりにくい差しや追い込みにするとか」

 

「なりません!本人に面と向かっては言えませんがツインターボに教本とか無理な相談です!賢さが!圧倒的に足りません!加えてツインターボに逃げ以外は性格上不可能です!やらせてみましたがダメでした!」

 

「理解!ならばしょうがない!複数発注して単価を下げて、他のチームにも使わせよう!それでいいだろうか?」

 

「感謝!圧倒的感謝です!」

 

という交渉と言っていいのか定かではない理事長との交渉があった。因みに理事長相手だと下手に敬語でへりくだるよりも熱く語る方が効果的だったりする。

 

ガッチャン!

 

「ぶえ!」

 

「タイミングを見計らうんだ!ゲートの隙間から光が見えたら駆け出すんだ!」

 

盛大に開く前のゲートに顔をぶつけるツインターボ。前途多難である。

 

★★★

 

因みにスタートダッシュの他にも増やしたトレーニングは存在する。それは

 

「もうちょい!後ちょっと詰められるぞ!」

 

「怖いよー!」

 

「頑張れ!」

 

コース取り、もっと言うとインを攻める練習だ。逃げのメリットの中には走るコースが自由だというものがある。そしてよっぽどのことがない限り圧倒的に有利なのはインコース。特にコーナーはインをベタベタに攻めることでかなりのスタミナを温存できる。しかし最高速度が速めの自動車並みのウマ娘がコーナーのフェンスギリギリ攻めるのは度胸がいる。何せちょいとでもカスったら火傷もしくは服が破れる。下手したら接触からの転倒もあり得る。

 

「ちょいと攻めすぎ!もうちょい離れて…………そこそこそこ!」

 

フェンスから何cm離れてといったアドバイスは逆効果。ツインターボにはひたすら反復練習で体に叩き込むしか無いのだ。

 

「ちょっとずつペース上げてみよう!体を少しずつ倒して!滑らないように気をつけて!」

 

「こう?っておわっ!」

 

ズリッと滑るツインターボ。幸いトップスピードに乗る前であり、転けなかったが危ないところだった。ツインターボは最高速が魅力だが、そのままの速度で曲がろうとすると外に膨らむ。それを防ぐために体を傾けると蹄鉄が芝を捉えきれずに滑ってしまうのだ。

 

「うーん。もうちょい分厚い蹄鉄にするか?でも重くなるし………」

 

分厚い蹄鉄であれば芝を捉えやすいがその分重くなる。足先の重さはレースではかなり響いてくる。その時

 

「はっ!これならいけるのでは!?」

 

翔に電流走る!蹄鉄の厚みをそのままにスピードを落とさずにコーナーを曲がる方法が!

 

「ターボ!コーナーなんだが…………………で走ってみてくれ!」

 

「…………………?分かった!やってみる!こんな感じ!?っておお!曲がれたぞ!」

 

「やった!ターボ!レースまでにこの走りをもっと練習するぞ!」

 

「分かった!」

 

★★★

 

「賢さが!圧倒的に賢さが足りない!」

 

トレーニングを終えていつものようにトレーナー室で頭を抱える翔。今回の悩みはそう。

 

賢さ不足

 

これに尽きる。中には賢さなどどうでもいい。スピード、モアスピード!powerrrrrrrrr!という人もいるだろう。だが!賢さが足りないとこうなるのだ。

 

「作戦の幅が狭い、掛かりやすい、スタミナ配分が出来ない、周りを見ることが出来ない、……………今更ながらなんでダービー勝てたんだこれ」

 

初見殺しでダービーはなんとかなったものの対策されているであろう今後のレースを今のままで勝つのは難しい。反復練習で走り方はどんどん良くなり、タイムも伸びてはいるがレースではそれに加えて作戦が不可欠だ。

 

「ターボでも理解できるやり方、作戦で……………」

 

こうして夜は過ぎていく…………

 

 

 

天皇賞(秋)前夜

「さて、ターボ。ダービーと違って今回の作戦は出走直前に伝えればいいほど単純じゃないんだ。しっかり覚えてくれ。これができれば今回も勝てるぞ」

 

「うん!作戦ってどんな!?」

 

ダービー前は作戦に疑いがあったツインターボも、ダービー勝利を経験してからは全幅の信頼を寄せていた。

 

「今回の作戦はズバリ!これだ!」

 

カンッ!

 

ホワイトボードを叩く翔。そこには…………

 

破滅的大逃げ!

 

「えっと………つまり?」

 

「大袈裟に言ったがな!作戦無し!最初っから突っ走れ!一応大逃げをかましてもゴールまで完走できるスタミナはついてる。ペースは落ちるがな。大逃げすれば周りもバテるはず。それ故に破滅的大逃げってわけだ。でも真の目標は有記念だ。今回のレースは失敗してもいいから気楽に行ってこい!新しい走り方がどこまで通用するのかも気になるからな。何せ練習と実際のレースは違う」

 

「分かった!」

 

ツインターボに変幻自在のペース変化による幻惑は到底無理。更に柔軟にペースを変えて息を入れる何て芸当も無理。となると作戦は自然と大逃げ一択となる。

 

「存分にターボらしいレースを見せてくれ!」

 

「おう!見てろよ!ターボの大逃げ!」

 

ダービーでツインターボは脚をためることが出来ることを知られている。それ故に二度とあの作戦は通用しない。かといって複雑なペース変更は現時点の賢さではかなわない。出走バ全員を惑わす変幻自在なレース展開は夢のまた夢だ。




 現時点のターボの賢さはゲームで言うところの精々80程度です。夏合宿明けでこれはヤバイ。でも賢いターボはターボじゃない。
 場面変化の件はもうちょいアンケート集めます。取り敢えず現時点では空白より★が良いらしいのでこれでいきます。

場面変化は

  • ★を三つ
  • 空行を三行入れる(従来)
  • その他(感想で教えてください)
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