逃げウマに憧れて   作:ガチタン愛好者

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第十二話~大逃げとは~

「なあターボ。大逃げって何だ?」

 

トレーニングを始める前のある日、翔はツインターボにそう訪ねた。

 

「大逃げ?最初から最後まで一番を走ること!」

 

「だよなぁ」

 

「どうしたの?急に」

 

翔の脳裏には最速の機能美、異次元の逃亡者の姿がはっきりと浮かんでいた。しかしどうやっても彼女の前をターボが走る姿が想像できない。

 

「俺はな、ゴール前で後ろをぶっちぎっていれば大逃げだと思ってる。もし大逃げが二人いたらどうなると思う?ウマ娘の最高速度には限界があるんだし最初から最後までぶっちぎりの先頭って言うのは難しいと思うんだ」

 

「ふ~ん。次のレース、有記念はそうなりそうなの?」

 

「!?」

 

「普段ぶっちぎれしか言わないトレーナーがいきなりそんなこと言うなんて。ターボの他にも大逃げの娘が出るの?しかもターボより強い」

 

「驚いたな。ターボが気が付くなんて」

 

「ターボだって少しは賢くなってるんだぞ!」

 

当然だ。走り以外にもトレセン学園は通常の生徒と同レベルの学力は身に付けるようなカリキュラムを行っている。いくらアホのツインターボと言えど最低限の賢さは身に付いている。

 

「だったらもう少し複雑な作戦を………」

 

「無理!」

 

「だよなぁ」

 

恐らくもっと賢くなっても未来永劫大逃げ以外できそうにない。このとき翔はそう確信した。

 

★★★

 

その日いつもより早めにトレーニングを切り上げた翔とツインターボはトレーナー室にてテレビの前に座っていた。

 

「ターボが先頭にこだわり続ける理由は一つだけ。先頭が気持ちいいから、だよな?」

 

「うん!」

 

「だったらさ、気持ち良ければ二番手でもいいかな?勿論大逃げで三番手とは大差で」

 

「うーん、二番じゃ気持ち良くないよ?」

 

「じゃあこいつを見て欲しい。こいつを見てからもう一度同じことを聞くから」

 

そして再生を始めると画面に映ったのは………

 

ヴァンヴァンヴァン!…………ンンンンヴァァァァァ!ヴァアアアアア!ヴァアアアアア!

 

「これって何?車?」

 

「ああ、何も速さを追い求めるのはウマ娘の特権じゃあない。俺達人間だって速さを追い求めて、0コンマ何秒を競い合うことがあるんだよ」

 

コーナー前で左手の指が動く、それに合わせて唸りを上げる2L直4ターボエンジン。コーナーを抜ければ右手の指に合わせてグングン加速する。

 

「このコーナーの曲がり方。ターボの?」

 

「ああ、参考にしたのさ。で、ターボに見て欲しいのはここからだ」

 

最終コーナーを抜けると直線。ウマ娘が走るレース場と似た光景。目の前には一台のライバル車両

 

「良く見とけ。これが二番手から見える俺的に気持ちいい光景だ」

 

前を走るライバルの真後ろに付く。するとみるみるうちに差が縮む。

 

「何これ?何で追い付いてるの?魔法?」

 

「のように見えるだろ?理屈は抜きにするが立派なタネも仕掛けもある技術さ」

 

追突寸前で右にステアリングを切る。そのまま真横に並ぶ。そして

 

「抜いた!凄い!」

 

「だろ?オーバーテイクは心が踊るだろ?なあ、ターボ。気持ち良くないか?段々近づくライバル。くいっと横に行けば広がる何もない先頭の景色。横目に沈み行くライバル」

 

「でも…………」

 

「ターボが先頭が好きなのは知ってる。ただ正直に言うと先頭を走れるに越したことは無いんだが、多分有記念だと今のターボじゃ頑張っても先頭を走れないんだ、最初から。だったら先頭を走れないなりに最後に先頭で笑えるような走りをしようよ」

 

「うん………分かったよ。今までのターボじゃもし最初に先頭を走れなかったら………今想像したら分かるもん。多分嫌になって走れなくなるかも。でも今のを見た後なら分かるんだ。いつもみたいに全力で走って、もしも先頭を走れなかったら先頭のすぐ後ろをついていけばいいんだね!」

 

「分かってくれたか!ターボ!多分メイクデビューの時のターボじゃあこれを見せてもダメだったかもしれない。賢くなったなぁ!」

 

「でしょ!ターボ凄いんだから!」

 

「じゃあ……」

 

「無理!」

 

「まだ何も言ってないじゃん…………」

 

チラッと積み上げた作戦書類に目を向けただけで拒絶反応を起こすターボ。まあ今のでサイレンススズカに先頭を取られてもやる気を無くしてドベに落ちる何てことは無い…………と思いたい。先頭をサイレンススズカに取られようが取られまいがターボの作戦は変わらない。変えようがない。最初から全力で、スタミナが切れれば根性でゴールまで駆け抜ける。それだけだ。

 

★★★

 

記念数日前

 

「まじかー………」

 

レースにおいて実力の次に結果を左右する要素、枠番。当然逃げるツインターボは内枠、小さい数字ほど有利なのだが…………

 

「嘘だといってくれよ。ただでさえサイレンススズカのせいで勝機が薄いってのに」

 

翔が見る画面にあったのは

 

7枠12番 ツインターボ

 

一番外ではないが外枠と言える枠番だった。レースにおいては運も結果を左右する重要な要素だ。

 

「でもやることは変わらない。頑張ってくれよ、ターボ…………」

 

そして恐らく誰もが恐れる大逃げウマ娘、サイレンススズカの枠番は

 

1枠2番 サイレンススズカ

 

圧倒的有利の内枠だった。

 

「ま、やれることはやった。理想を言うなら一着だが最低でも五着以内はもぎ取らせてもらいましょうか」

 

理想のレベルではないが仕上がりつつあるツインターボ。サイレンススズカは逃げ方や適正距離などがツインターボと似ており、理想としているウマ娘である。実際にツインターボのスタミナは始めの頃と比べると比較にならないほどに成長しており、もしもサイレンススズカが出走していなければ常識外れの大逃げを披露できただろう。だがこの時翔は失念していた。レースに絶対は存在しないということを。




現状でも賢さは200程度です。理想を言うと倍は欲しいですよね。でもなあ。どこまでターボ師匠を賢くして良いものか…………

アンケート締め切りました。空白より★三つが良いっぽいので今後はこれでいきます。今後も提案等あれば遠慮なく言ってください(全て採用するとは言っていない)

最終的なツインターボの賢さは?

  • 必要最低限(300前後)
  • 普通(400前後)
  • ちょい賢い(500前後)
  • 容赦なし、天才(600オーバー)
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