逃げウマに憧れて   作:ガチタン愛好者

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第二話~始動~

「さて、まずは選抜レースだな」

 

荷物の運び込みやらは一通り済んでおり今からすべきなのは誰のトレーナーになるかというスカウトだ。担当ウマ娘が出来たならば専用の部屋を手に入れることが出来、新人は余りやらないが複数人受け持てばチームを結成することも出来る。というのもウマ娘の数がトレーナーの数を優に越えるため一人のトレーナーに複数のウマ娘が付くというのは至極当たり前のことである。

 

「まず必要なのは飛び出す瞬発力、他の追随を許さないトップスピード、そしてなにより誰よりも先頭に立ちたいという意思だ」

 

ガッチャン!

 

生徒の数が多いために選抜レースはテンポ良く何度も繰り返される。中には選抜落ちしてしまい。二度、三度と挑戦するウマ娘もいる。そんな中彼の目に留まったのは

 

「彼女は?名前は………ツインターボね。いいじゃん」

 

一際異彩を放つド派手な髪色をした小柄なウマ娘。彼女はスタートこそ上手では無いがスタートするやラストスパートかの如く加速、中盤では何バ身かも分からない数十メートル大差の大逃げをかました。当然未熟な体でそんなことをすれば

 

「ぜぇ!ぜぇ…………うげっ!」

 

ゴール前ではバテバテ。歩くようになり後続にあっという間に抜かされ最下位。ゴール直後に倒れ込んだ。当然強くもない、無謀な大逃げをかました彼女には誰も見向きもしなかった。彼を除いて。

 

「ちょっといいかな?」

 

「へ?」

 

レースを終え、誰からも声を掛けられずただ一人で体を休めて他の選抜レースを眺めていたツインターボに翔は声を掛けた。

 

「君がさっき大逃げをかましたツインターボでいいかな?」

 

「うん!ターボに何か用!?」

 

元気良く答えるツインターボ。

 

「いくつか聞きたいことがあるんだ。答えによっては君をスカウトしようと思っててね」

 

「スカウト?ターボを!?本当に!?」

 

「ああ、まずはな。勝ちの定石ではない大逃げをどうしてかましたんだ?」

 

「ターボね!いつも全力なの!最初から一番が気持ちいいもん!」

 

「ふむふむ。じゃあ次だ。何であそこまで差がついたのにペースを緩めなかった?多少ペースを落としても一番だしスタミナを温存すれば最後まで走れただろうに」

 

「へ?温存?」

 

この回答で翔は察した。こいつはアホだと。スタミナを温存するという考えすらなく何も考えず突っ走っていたのだ。しかし

 

「なあツインターボ。後先考えない大逃げ、アホか?」

 

「アホだと!?ターボが!?」

 

「ああ、アホだ。だがな、俺はお前の大逃げに惚れたぞ。実際トレーナーになろうと思ったのも名前も覚えちゃい無いが大逃げのレースを見たからだ。なあ、大逃げ大好きなアホ同士強くなっていかないか?」

 

「ふへ?それって………もしかしてターボをスカウトしてくれるの!?」

 

「ああ!文句なしだ!」

 

「やったー!これからよろしくね!トレーナー!」

 

「よろしく。ツインターボ」

 

「あ、じゃあターボからも一つ質問いい?」

 

「なんだ?」

 

「トレーナーがトレーナーを目指す切っ掛けになったレースって?」

 

「何分ガキの頃だ。覚えちゃいない。ただ…………実況が後ろからは何にも来ない!後ろからは何にも来ない!後ろからは何にも来ない!って三回叫んだのは覚えてるよ」

 

「………もしかしてそれって昔の桜花賞!?」

 

「かな。どした?」

 

「実はね!ターボ家で何度も見せてもらったレースの映像があったんだ。昔の桜花賞!そこでね。すんごい逃げで勝っちゃったの」

 

「ふむ」

 

「そこでね、実況?が叫んでた!何度も見たから覚えてる!後ろからは何にも来ない!って何度も叫んでた!」

 

「ふむ………ふむ?」

 

「それ見てね!ターボも思ったの!最初から一番が気持ちいいって!」

 

「多分それかな。こんな偶然ってあるんだな」

 

「だね!じゃああんな風に逃げよう!そうと決まれば早速トレーニングだぁ!」

 

練習用のターフへ駆け出すツインターボ。それに向かって

 

「待って!まだトレーニングメニュー決めてなーい!」

 

虚しく翔の声が響いた。

 

 

 

「さて」

 

駆け出すもレース直後でありあっという間にスタミナ切れを起こしたツインターボを捕まえて、取り敢えず宛がわれているトレーナー室に招いた。

 

「ここからは目標を決めよう。目標が無くちゃ始まらない。実際に走るのはツインターボだ。目標となるレースはツインターボが決めてくれ」

 

「分かった!それとねトレーナー」

 

「ん?」

 

「ターボのことはターボって呼んで!何かツインターボって他人行儀じゃん!」

 

「実際にツインターボとは他人なんだが…………これでメンタルが向上するなら…………ターボ。これでいいか?」

 

「うん!じゃあね、まずは………」

 

出されたレース一覧表でターボが選んだのは

 

ホープフルステークス

皐月賞

日本ダービー

記念

 

「本気か!?」

 

思わず叫んだ。百歩譲って中距離の、しかもG1まみれなのは許そう。G1は夢だからだ。問題はターボが最後に選んだレース

 

「有記念だと!?距離分かってるのか!?長距離だぞ」

 

「うん!でもね。2500mじゃん。これはもう中距離でしょ!」

 

「アホか!?中距離でも長いじゃない…………っ!」

 

オッドアイのぐるぐるお目目を滲ませて見つめるターボ。根負けしたのは

 

「分かったよ。でもまずはダービーを目指そう。一生に一度だ。勝てなくても皆の記憶に残っていつまでも語られるようなレースにしよう」

 

「分かった!」

 

日本ダービー。それはウマ娘が生涯で一度しか出られないレース。当然出るためには実績が必要で、勝てずともダービーに出られるだけでも素晴らしいことだ。何せ他のレースにはある来年が無い。一着など取った暁には英雄だ。トレセン学園の一部に名前が飾られいつまでも語られる。

 

「まずターボに必要なのはゴールまで走りきるスタミナだ。後はペース配分、これが出来れば勝つのも夢じゃないぞ。実際トップスピードと前を走りたい意志は素晴らしいんだから」

 

「分かった!」

 

ダービー、の前にG1中距離をこなして慣れさせると同時にファンの支持を集める。まずはホープフルステークスに向けてツインターボのトレーニングが始まった。




冷静に考えるとまだターボは未実装なんですよね。十中八九実装がされるストーリーとは違うだろうし…………どないしましょ?

文字の表記について。馬場等の「馬」の表記について

  • カタカナ表記「ウマ」
  • 諦めてそのまま漢字表記「馬」
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