逃げウマに憧れて   作:ガチタン愛好者

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遅くなってすみません。なかなか納得のいく出来映えにならなかったもので。それプラスリアルがまじで忙しかったんです。アオハル杯とかチャンミとか、、、


第二十三話~ウィンタードリームトロフィー~

そして大勢の者が待ちに待ったウィンタードリームトロフィーがやって来た。夏を挟み、他のレースがないドリームトロフィーリーグはウマ娘達の成長が著しい。最も走る能力は全員がほぼ頭打ちなので精神力だったりコース取りといった知識面での成長だ。因みに夏合宿には行けるもののトゥインクルシリーズの頃ほどトレーニングはやらないのでトレーニングというよりはリフレッシュ的な側面が強い。

 

「ターボ。サイレンススズカは怪我したときより圧倒的に強くなって戻ってきてる。スタートダッシュ。息を入れるタイミング。全部完璧な仕上がりだ。厳しいレースになるが頑張ってこいよ」

 

「うん!待ちに待ったスズカとのレース!全力で行ってくるよ!」

 

「よし!行ってこい!」

 

地下バ道からツインターボを送り出す。過去最高と言われることとなるウィンタードリームトロフィーが今、幕を開ける。

 

★★★

 

「これほど待ち遠しいウィンタードリームトロフィーがあったでしょうか?少なくとも私はこれが始めてです。東京芝2400mレース、それでは出走ウマ娘の紹介です」

 

「一枠一番。悲運の伝説となったウマ番にサイレンススズカが再び入ります。隣にツインターボ。ウオッカはダービーと同じウマ番です。トウカイテイオー、スペシャルウィーク、テイエムオペラオーがいます。アグネスタキオン、芦毛の怪物オグリキャップ。エルコンドルパサー、世代を越えた名ウマ娘達が続々とゲートに向かいます。無敗の三冠シンボリルドルフ。馴染みのシャドーロールでナリタブライアン。メジロマックイーン、鬼の末脚ミスターシービー。スーパーカーマルゼンスキー。歴代の女王達。エアグルーヴ、ヒシアマゾン、ダイワスカーレット。大外18番、世紀の暴れん坊ゴールドシップです」

 

「さあ世代を越えて集った歴代の名バ達。ゲートに収まって………」

 

ガッチャン!

 

「スタートしました!先頭サイレンススズカ、その後ろをピッタリとマークするのはツインターボ、後続と5バ身。3番手ダイワスカーレット、マルゼンスキー。それをマークするようにメジロマックイーン。シンボリルドルフは中団で動きません。スペシャルウィーク、その後ろにオグリキャップが着けました。ゴールドシップ早めにじわりと上がっていく、ミスターシービー、ヒシアマゾンは未だ後方。ウィンタードリームトロフィー数々の伝説が駆け抜けていく!勝負の行方はまだ分かりません!さあ第4コーナーから最後の直線。いくつもの伝説が横一線に並んで、これは分からない!これは分からない!逃げる逃げるツインターボ!サイレンススズカ!外からトウカイテイオーも来た!差し、追い込み勢も続々と追い上げてくる!徐々に先頭二人との差は縮まっていきます!」

 

まるでお手本のように最後の直線は全てのウマ娘がごちゃ混ぜ。脚質は関係ない。意地と意地のぶつかり合い。

 

「そしてついに並んだ並んだ!そしてそのままゴールイン!誰が一着なのか肉眼ではとても分からない!」

 

確かに実力が拮抗するドリームトロフィーリーグにおいて横一線になることはよくある。だが後にも先にも全てのウマ娘がちょうど横一線でゴールしたのはこのレースだけであった。当然のように掲示板の着順表示全てに写真の二文字が輝いた。

 

★★★

ツインターボ視点

 

[スタートっ!ってスズカはっや!]

 

だいぶ成長したはずのツインターボ。しかしそれを嘲笑うように先頭をかっさらっていったのは異次元の逃亡者サイレンススズカ。骨折など無かったかのように突っ走る姿は全盛期以上だ。

 

[でもそれなら………これで!]

 

ハナを奪われたと気付いた瞬間にツインターボはサイレンススズカの後ろをピッタリとマークした。蹴りあげる脚に当たらないギリギリの距離をキープして。

 

[スズカの姿勢は安定してる、すごいな。本当に帰ってくるなんて………]

 

片方だけ骨折すれば当然バランスが崩れる。それを完璧に矯正してきたサイレンススズカはこの一戦にどれだけ強い思いを持っているかが分かる。

 

[!、やっぱりか。このまま……だ!]

 

サイレンススズカとツインターボの最高速度はほぼ同じ。であればスリップを使うことで楽できているとはいえ追い越すには至らない。

 

[垂れる………なんて期待しちゃダメだ。スズカは絶対にこのままゴールする!だったら!]

 

2400mは長いようでわりと短い。レースという極限状態においてはゴールなどすぐだ。故に

 

[スズカならこの辺で………やっぱりな!]

 

ひたすらにサイレンススズカを目標に頑張ってきたツインターボはそれを見逃さなかった。最初から全力全開で垂れるがまま走法のツインターボとは同じ大逃げでも決定的に異なる部分。それは

 

「こっからはターボの番だ!」

 

最終直線手前でサイレンススズカは一息入れる。単騎の大逃げであれば所謂「逃げて差す」と呼ばれるその行為。一息入れないツインターボにとって唯一ハナを奪い取れる瞬間だ。

 

「!」

 

サイレンススズカの顔が歪む。はじめて誰かに完璧にハナを奪われた瞬間だった。そしてサイレンススズカは

 

「させない!」

 

一息入れ切る直前に加速した。先頭の景色は誰にも譲らないとばかりに。当然そんなことをすれば「逃げて差す」などできない。そして起こったのは

 

「うふふ………」

 

「あっはっは!」

 

ニコニコ笑顔でハナを奪い合うデッドヒートだ。先頭民族と揶揄されるほどに先頭へのこだわりが強いサイレンススズカ。しかしその顔は苦痛ではなく笑顔だった。ツインターボも同様だ。お互い苦しい筈なのに。その理由はただ一つ。

 

「「これがやりたかった!」」

 

ウマ娘の本能の根底にある「走りたい」という感情。誰かと競い合う、それこそ何にも変えがたい快感。更に相手が待ちわびたライバルとなれば笑顔は必然。

 

「成長したわね!ターボちゃん!」

 

「スズカこそ!完璧に治ったんだな!」

 

後ろから怒濤の追い上げる足音が聞こえる。何せこの二人以外の全員が逃がすものかと加速している。

 

「「先頭は、譲らない!」」

 

デッドヒート、しかし端から見れば当然少しずつ垂れて減速している。後ろとの差はみるみる縮まって

 

ザザザッ!

 

一気に追い越された。あわてて横を見るとそこには何もないラチだけがあった。少し振り替えればゴール板。

 

「ゼェ……ゼェ……どっち………?」

 

掲示板には全ての着順に写真の二文字。つまり

 

「本当にギリギリ………だったんだな…………ぶぇ!」

 

ゴールしたと実感し気が抜けて倒れるツインターボ。見ればすぐとなりでサイレンススズカも同様に倒れている。

 

「いい………勝負だったな………」

 

「ええ………楽しかったわ………こんなに楽しかったレースは初めてよ」

 

笑い合う大逃げコンビ。大歓声の中苦しい呼吸と落ち着いた芝の香りが心地よかった。

 

★★★

サイレンススズカ視点

 

「ッ!」

 

慣れ親しんだスタートダッシュ。左足の違和感は無い。

 

[やっぱり私が先頭………いや、でも!]

 

嫌でも感じる真後ろからの自分じゃない足音。振り返らずとも分かる。ツインターボだ。

 

[やっぱりついてくるわよね。流石]

 

基本的に何も考えずにぶっちぎりの先頭しか走らないサイレンススズカにとって唯一レース中に存在を認識するウマ娘、それがツインターボ。ドリームトロフィーリーグにおいてもサイレンススズカは最強格といって良い存在だ。

 

[離せない……でもターボちゃんも追い越すには至らないようね]

 

いつもならたびたび振り返るが今回はそんなことはしない。する必要がない。だってツインターボは絶対にそこにいるから。

 

[どこまでもついてくる………どこで仕掛ける?私はずっとこのままよ!]

 

そして最終直線手前。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「させない!」

 

なかった。何故なら

 

[なんで?なんでターボちゃんにハナを…………!]

 

自分が無意識に一息入れかけたことに気がつくサイレンススズカ。しかし

 

「うふふ………」

 

思わず溢れる笑みを隠せない。それほどに高揚した良い気分。

 

もうどうにもならない?いや、奪われたなら奪い返せば良いだけのこと。

 

「これがやりたかった!」

 

一息入れきってはいない。つまり無理矢理加速すれば追い付ける。そこから始まったのはデッドヒートという名の、先に垂れた方が敗けのチキンレース。

 

「成長したわね!ターボちゃん!」

 

全くもってその通り。最初は全く歯が立たなかった自分とここまでやり合う。恐怖はない。あるのは自分と並んでくれた喜びと闘争心。

 

「「先頭は、譲らない!」」

 

奇しくも同時に同じことを叫んだ。そして

 

ザザザッ!

 

いつの間にか追い付かれていたらしい後続に一気に追い越される。振り返ればゴール板。つまり

 

「掲示板は………写真ね。ッ………」

 

フラァと。座り込んでそのまま横に倒れる。見ればツインターボも同様だ。

 

「いい………勝負だったな………」

 

「ええ………楽しかったわ………こんなに楽しかったレースは初めてよ」

 

ツインターボの声にそう答える。心地よい疲労。骨折からの厳しいリハビリとトレーニングが報われた瞬間だった。




何をパロディしたかは分かりますよね。最もツインターボを出したり、出せないウマ娘がいる都合上色々変わってはいますけども。正直何回見ても涙が溢れそうになるCMですよあれ。一枠一番の時点で涙腺が………

筆者は同着というものが嫌いです。だって勝負事である以上勝ち負けがつかなきゃおかしいです。同じ理由で他のスポーツでも引き分けと言うのはモヤモヤします。いや全力で戦ったゆえの結果なのは分かるんですがやっぱり納得できない。特に小説なんかで同着はご都合主義感がして大嫌いなんです。それゆえ今回のウィンタードリームトロフィーは勝ちウマ娘をはっきりと明記しておりません。10人読者がいれば10通りの勝ちがあります。それが同着なのか、はたまたハナ差なのかは分かりませんが各々好きなように解釈してください。元ネタも勝ちははっきりしておらず、全ての勝ちパターンを作ってましたからね。ただ一つ言えるのは圧勝ではなくギリギリの勝利ということです。

アンケートですが結果で何か書いたりするわけではありません。皆さんの思う勝ちウマが知りたいだけです。

勝ったのは?

  • ツインターボ
  • サイレンススズカ
  • それ以外のウマ娘
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