逃げウマに憧れて   作:ガチタン愛好者

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第六話~初のG1 ホープフルステークス~

「やっちまったな。細かい作戦はダービー以降で必要なんだから無理するんじゃなかった」

 

「大丈夫?トレーナー」

 

ホープフルステークス当日。目の下に濃い隈を拵えた翔は勝負服姿のターボと一緒に地下のターフへ繋がる通路にいた。

 

「問題ないよ。ターボは思うがままに走ってきてくれ。ペース配分とか考えなくていい」

 

「本当にいいの?」

 

「構わん。これもダービーで勝つための作戦だ」

 

「分かった。ちゃんと見ててよね!」

 

「おうよ、思う存分やってこい!」

 

 

 

「誰をも魅了し、心を奪う希望の星が誕生する!ホープフルステークス!出走するウマ娘を紹介しましょう。三番人気はナリタタイシン。この順位は不満そうだ。二番人気にはゴールドシップ。そしてこれは想像通りでしょう。堂々の一番人気は圧倒的な大逃げをかます異端児、ツインターボ!各ウマ娘ゲートに収まりました。態勢完了」

 

ガッチャン!

 

「スタートしました。出遅れはゴールドシップのみです。さてやはり最初に飛び出したのは大逃げ宣言のツインターボ。ここは最終直線じゃないぞ?どんどん加速していく。今日もターボエンジンは全開だ。隊列はポツンと一人ツインターボを残して団子状態。そろそろ最初のコーナーに差し掛かろうかというところで隊列が整ってきました。順位を振り返っていきます。先頭は見るまでもありません。圧倒的な大差でツインターボ。大きく離されてエレクトリックテスラ、エイシンフラッシュ、その他団子状態で順位がよく分かりません。最後尾にはここが定位置ゴールドシップとナリタタイシン。さあお楽しみの1000m通過タイムは、これは驚き57秒です。8秒を切るとんでもない規格外のハイペース。快調に飛ばしていますが流石に飛ばしすぎではないでしょうか?おおっと!?最後尾のゴールドシップ明らかに脚色が変わっています。徐々に徐々にですが順位が上がっていきます。既にロングスパート体制だ!他のウマ娘達もツインターボとの差を徐々に詰めています。さあ最後のコーナーが見えてきたが既に射程圏内にツインターボは捉えられているか?最終コーナーに入ったが遂にここでツインターボが捕まるか?捕まりそうだが懸命に粘っている!だが明らかに苦しそうだ流石に飛ばしすぎたか!?何とかツインターボ先頭のまま団子状態で最後の直線に入ったがここでツインターボ抜かされた。ツインターボの逃げは、残り500mの地点で壊滅している!脚色は滅茶苦茶で口も大きく開いている。さあどんどんツインターボは沈んでいく。まるで逆噴射しているかのようだ!そしてあっ!ついさっきまで最後尾にいたはずのゴールドシップが凄まじい追い上げを見せる。しれっとナリタタイシンも一緒に追い上げる。残り200mを切ってここで完全に抜け出したゴールドシップ!脚色は全く衰えない!芦毛の髪をたなびかせて今先頭でゴールイン!二着にはゴールドシップのこじ開けた道を駆け抜けてナリタタイシン。三着にはエイシンフラッシュが入りました。一番人気のツインターボは他のウマ娘から大きく離されて今最後尾でゴールイン。たまらず倒れ込みました。やはりG1の大舞台で大逃げは勝つことができないのか?しかしそのファンを魅了する走りで頑張ってほしいです」

 

 

 

「だぁ!負けたぁ!」

 

「だな」

 

見事な逆噴射をかましてビリになったツインターボ。当然脇役としてすらライブには出られずとぼとぼと帰路につく

 

「ねぇ、言われた通りにやったけど負けたよ?本当にこれでいいの?これで皐月賞もやるの?」

 

普段の明るさは鳴りを潜めて落ち込むツインターボ。それに対して翔は

 

「俺を信じてくれとしか言えん。作戦をターボに洗いざらい伝えたらそれこそターボは作戦を気にしてターボらしさが無くなってしまう。今のまま俺を信じて突っ走ってほしいんだ。日本ダービーまでなんだ。こらえてくれ。もし日本ダービーで勝てなかったら何だってやってやる。可能な範囲でな」

 

「むー、まあトレーナーはターボより偉いんだから信じるよ!」

 

少しばかり元気を取り戻したツインターボ。負け、しかも大負けで作戦だと言われて、普通は「はいそうですか」とはならないだろう。ターボも指示には従うが完全には信じてないらしい。こればっかりは結果がでないとどうにもならない。

 

「そういえばトレーナー、トレーナーが言ったターボらしさって?」

 

「誰よりも先頭に立って周りを置いてけぼりにする大逃げだよ。ただ堅実に控えてスパートかけて勝つなんて誰でもできる。大逃げができる時点でターボは特別なんだ。あの大逃げこそがターボらしさだ」

 

「ふうん。分かった!やっぱり大逃げこそターボの走りだよね!次も次もその次もターボはどこまでも逃げるよ!」

 

「ああ!その意気だ!」

 

もしもっとターボが賢ければ何故?何故?と追求しただろう。いい意味でのターボのアホさに感謝する翔であった。

 

 




すいませんがそろそろスタートダッシュが尽きてきたので週一更新にします。
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