逃げウマに憧れて   作:ガチタン愛好者

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第八話~日本ダービー~

「すべてのウマ娘が目指す頂点。日本ダービー!歴史に蹄後を残すのは誰だ?三番人気はゴールドシップ、二番人気はこの娘、ミホノブルボン、そして堂々の一番人気はライスシャワー、一体どのようなレース展開になるのか目が離せません。フルゲート18枠立てのこのレース。各ウマ娘ゲートイン、態勢完了」

 

ガッチャン!

 

「スタートしました。各ウマ娘出遅れなく綺麗なスタートです。最初に飛び出したのはやはりツインターボ。ターボエンジン全開で逃げまくります。大きく離されて二番手にはミホノブルボン、三番手にライスシャワーと続きます。四番手以降はグラスワンダー、少し離れてパワードバイホンダ、エンジンヤマハ、マチカネフクキタル、ジャラジャラとなっております。九番手にはハッピーミーク、ウラカンランボ、ハネウマモデナ、アメリカンバイパーが中盤集団を形成します。ここから再び少し開いてコルベットステイツ、マスタングフォー

、ヴェノムヘネシー、グリーンチャレンジャー、スーパーヘルキャットが後方集団を形成しています。そこから更に離れてここが定位置三番人気のゴールドシップがいます。そろそろ隊列も落ち着いてきました」

 

[この辺かな?]

 

ここでツインターボが翔の秘策を行使する。レース直前に翔から伝えられた作戦は

 

「何がなんでもハナ(先頭)を取れ、ただし隊列が落ち着いたら手を握ってグーにするんだ。そして最終コーナーで手を開け。いいな?できるな?」

 

ターボに何mでどのくらいのタイムで………といった細かい指示が通らなかった翔が編み出したペース配分法。手を握りしめれば上手く走れずに自然とペースが落ちる。つまり自然とスタミナが温存されるのだ。つまり何が起こるかというと

 

「さぁ、そろそろ先頭を逃げるツインターボが1000mを通過しますがこれはどういうことだぁ!?59秒、59秒です!今までと比べるとかなりスローペースのツインターボ!しかし全体的に見るとかなり飛ばしております!さぁこの場内のどよめきは、ツインターボが兎に角逃げ、ツインターボが兎に角逃げ、何バ身開いているかとても今の実況では分からないくらい、大きく大きく差を着けて逃げていっています。さあツインターボが逃げる!このペースならば今日のターボエンジンはガス欠知らず!どこまでも駆け抜けるツインターボ!間もなく最終コーナーに差し掛かりますが!さぁ、早くもツインターボだけが、ツインターボだけが最終コーナーを駆け抜けていく!ここで気がついたか?漸く後続もスパートをかけるがこれは間に合うのか!?さあ最後の直線に入ってこれはツインターボセカンダリタービンが動き始めたか!?ペースが少しですが上がっています!ツインターボがスパートをかける!後続のミホノブルボンとライスシャワー、追い上げてきたゴールドシップが必死に差を詰めるがこれは明らかにセーフティリードだ!残り200m!ツインターボの脚色は衰えない!さあもうゴールは目の前だ!後ろからはもう何にも来ないぞ!後ろとは大差だぞぉ!吠えろツインターボ!全開だターボエンジン逃げきった!ツインターボが勝ちました!一生に一度の栄光を手にしました逃亡者ツインターボ!確定しました。大差で一着はツインターボ、ハナ差でミホノブルボン、ライスシャワー、ゴールドシップと入りました。一体誰が予想したでしょうか!?ここ最近勝ちが無かったツインターボが!まさかまさかの下克上を果たしました!」

 

 

「いよっしゃー!見てたか!?ターボの走りを!」

 

メイクデビュー以来久しく乗っていなかった表彰台。ミホノブルボンやライスシャワーといった強豪を出し抜いてツインターボがてっぺんに仁王立ちする。受けとることが出来ないウマ娘が大半な日本ダービー優勝トロフィーを高々と掲げたツインターボは名実共に語り継がれる歴史の一部となった。レースを最初から支配し、狂わせた大逃げウマ娘として。

 

 

 

その後インタビュー、ウイニングライブと済ませたツインターボはトレーナー室で盛大にダービー勝利を祝った。正直どのG1レースに勝つよりも難しいダービーにツインターボが勝ったのだ。その感動を思い返しては涙する翔とツインターボ。その日だけは珍しく門限を破ったツインターボだったがお咎め無しだったという。

 

 

 

その翌日

「さて、ターボ興奮冷めやらぬうちに次のやるべきことを伝えよう」

 

「何々!?またレース!?」

 

「残念ながら違う。そろそろ夏だろう?トレセン学園の夏と言えば!」

 

「夏と言えば!……………なんだっけ?」

 

「夏合宿だ!足元の悪い砂浜でのトレーニング、加えて夏の海というシチュエーションによるモチベーションの向上、これらのお陰で学園でのトレーニングよりも効率的なトレーニングが行える!そこでターボにはやってもらうことが一つだけあるんだ」

 

「何々!?」

 

「万全の状態で合宿に行くために今日から合宿まで夜更かしとか怪我をしそうなことは絶対にダメだ。もし大怪我でもしたら合宿に行けなくなってしまう。夏合宿は他のライバルも大きく伸びる時期なんだ。しっかりと有効活用したい。まあそれと夏合宿については宿泊費やらが学園持ちだから好きなようにできるというのもあるんだがな。できるか?」

 

「うん!夏合宿目指して無理のないトレーニングだぁ!」

 

トレーニングを始めようと駆け出すターボ。それに対して

 

「待て!このメニュー通りにやってくれ!ターボの自主トレーニングは色々不安要素が多いんだぁ!」

 

ターボはいつでも全速力、それ故きちんとメニュー通りにさせないと疲れはてて早々にリタイアしてしまうのだ。そのせいで足を痛めたりといったこともザラ、幸い大怪我はしていないが。翔は飛び出したターボを必死で追いかけた。




試合後のインタビューでは出走したウマ娘の全員が口を揃えてこう言った。

「あのままついていったら潰されると思った」

歴戦の漆黒のステイヤー、ライスシャワーは

「ツインターボさんにはついてかなくていいって思ってたの。最終コーナー前辺りでおかしいって思って、ツインターボさんの走りにしてはライスのスタミナが残りすぎてるって、そこからスパートを掛けたけど届かなかった。後1000mあれば届いたのに…………」

ステイヤー故に潤沢なスタミナはあれどスパートに時間がかかるライスシャワーはツインターボの影すら踏めなかった。メトロノームの如く正確なラップタイムを刻むサイボーグ、ミホノブルボンでさえ

「あのツインターボに最初から差が縮むはずがないと、私のラップタイムに誤差が生じていると、バグが生じていると判断し、何度もラップタイムに修正を加えました。その結果があのレースです。言い訳はしません。完敗です」

ツインターボの逃げに翻弄されていた。

七夕賞とオールカマーは?

  • 出来レースでも良い!やってくれ!
  • やらなくていいよ
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