「頼むぞ………」
ターボに作戦を伝えた後、翔は観客席にて一般客に混ざって出走を待っていた。自信満々に言ったはいいもののレースに絶対はない。加えて正確なラップタイムに定評のあるミホノブルボンが出走しているのだ。必ず引っ掛かってくれる保証はない。
ガッチャン!
ゲートが開いて駆け出すウマ娘達。全員の予想通り先頭を突っ走るツインターボ。
「よし!ついてきてる娘はいないな!」
隊列が落ち着いてペースが段々落ちているツインターボ。にもかかわらず後続との差は詰まらない。
「そのまま、そのまま気が付かないでくれ…………」
翔は必死に祈った。トレーナーはレース中に介入することは出来ないので、今の翔に出来ることは祈ることだけ。声援はやった気にはなるものの、走っている最中のウマ娘には集中していることと凄まじい足音で聞こえないことがほとんど。聞こえるとしたらトップかビリを独走していて集中が切れているときだけだ。
「第三コーナーを回って後ろとは大差…………行けるか?行ってくれ…………」
周りの歓声は聞こえない。それほどに集中し、祈り、一際目立つ色彩のツインターボを追う。
「もうすぐ最終コーナー………流石に気が付いたみたいだがもう遅い!」
最終コーナーをただ一人駆け抜けるツインターボ。それを見て翔は作戦が見事にハマったことを確信した。最後の直線を後ろから追い上げられながらも必死に逃げるツインターボ。今まで静かに祈っていた翔も思わず
「行け!そのまま!そのまま駆け抜けろ!ターボォォ!」
叫んだ。そしてツインターボはそのままゴールを駆け抜けた。
「やった…………か?勝った?ターボが……………夢じゃない………よな?いよっしゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
大歓声の中それを感じさせないほどの大声で翔は吠えた。
「見てた!?勝ったy」
「よぐやっだぞダーボぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
レース後に笑顔で結果を報告するツインターボに周りを気にせず涙を流しながら抱きつく翔。そんな姿に一周回って冷静になるツインターボ。抱きついてきた翔を撫でながら苦笑いを浮かべる。しかし場所が不味かった。レース直後でこれからインタビューというときであり、トレーナーである翔は合法的にこの場にいる。当然周りにマスコミが大勢いるにもかかわらずそんなことをやらかせばどうなるか
[G1初勝利は日本ダービー!勝利したウマ娘よりも喜ぶトレーナー!]
[喜びを隠せないトレーナー、勝利したウマ娘は困惑!]
本来ならば勝ったウマ娘の写真だけが載るはずの一面を戸惑うツインターボとツインターボの腕の中で号泣する翔が飾ることとなった。その後しばらくの間学園で生暖かい目に晒されることとなったのは言うまでもない。
レース中の話なのでかなり短めです。ただ一話に納めるとすると長すぎたので分けました。
七夕賞とオールカマーは?
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出来レースでも良い!やってくれ!
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やらなくていいよ