お気に入り増えすぎじゃね?ウマ娘人気やべえなオイ
放課後、チーム名も決まったというわけで、さらなるメンバーを探すために、トレセン学園の校庭を偵察、ついでにタキオンの薬のデータを取るために走っている楠トレーナー。それを見守るゴールドシップとアグネスタキオン。
――ちなみにタキオンの話はどうなったというと、「君は私を最高のウマ娘にすると言ったねぇ。では私の研究のために実験動物、モルモットになる気はあるかい?」と言われたので、
「ああ、問題はない。この体、君のために使ってくれ」と、クソ不味い液体を3本ほど飲んだ。
一気に。おかげで、チームメンバーが一人増え、髪の毛が半分銀色になったのだが……
「いや待ってくれ、こんな副作用が出るとはおもわなかったのだが」「「え?」」
本来なら少々皮膚が緑色にほんのり発光するものだったらしい。
更に補足すると、主作用としては筋肉の収縮量、瞬間的なパワーを増やすために、ウマムスコンドリア、今回の場合ミトコンドリアの数を一時的に増やし、エネルギーの合成を高めるものだった。
だが、データの尽くが一般的な20代後半男性の平均値を遥かに凌駕した。いや、正確には、楠トレーナーの能力は、一般的な男性おろか、異世界でいうところの陸上のアスリートの能力すら超えるものだったのだ!
アグネスタキオンは頭を抱えた。投薬前に最初に彼のデータを取っておくべきだったと。
後で本人曰く、「感覚的なものだが、いつもより少々疲れにくくなった」とこの薬を評した――
「なあ」「なんだ、ゴールドシップ」
「アタシたち、なんか注目されてね?」
「フムン、確かに視線を感じるな」
「いやそれはそうだろうトレーナー君、君ぃ、最後の1ハロンで何秒叩き出したと思ってるんだい」
「え、そんなにやべーの、確かに人間にしてはめっちゃ速かったし体力続くし息切れもあんましてないし……ってあれ?人間だよなトレーナー?」
「いかにも普通の人間だが」
耳も生えてないし、しっぽもない。それに男だ。
何を疑う必要があるというのだ?
「いや普通の人間はな?1000m走1分59秒90でな、走れねーんだよ。あとラスト1ハロン23秒56ってなんだよ」
先程も言ったが、楠トレーナーの身体能力はアスリートすらも凌駕する驚異的なものであった。1000m走の世界記録は
「そうか、少々遅くなったか。中距離程度のペースで走っていたのだが、落ちたな」
「まだ本気じゃないのかよ!あとこれで全盛期じゃないの?!」
「ふむ、ではスプリント、1200mを全力で走ってくれたまえトレーナー君」
「ってまだやらせんのかよ!」
「委細承知した!では行くとしよう!」ドドド「いけんのかよ!?」
楠トレーナーは走っていった。
「……はあ、何故か疲れたぜ。なあタキオン」
「突然なんだね、ゴールドシップ君」
「なんでチームに入ったんだ?いっちゃなんだけど、あいつ相当変人だぜ。」
「フゥン、そうだねぇ。それに関しては同意するよ、それは置いておいて、まあ入った理由についてだが」「なんだ?」
「
あまりに突拍子のない答えに、ゴールドシップは思わずガチで低いトーンの声が出た。
「冗談さ、あの狂った瞳に免じてだよ。それにモルモット志願の成人男性、しかも能力は人間の中でもトップクラスだ、こんなサンプルをみすみす逃がすなんて研究者の風上にもおけないからねぇ!ハッハッハ!」
おっと、計測もしっかりしないとな、とタキオンは続ける。タキオンとあのトレーナーが?似てる?なんのことだ?
ますます疑問は深まってしまった。だが数秒後には、その疑問は目先の問題で消えることとなる。
「ん?なんだい、あれは」「え?なにってトレーナーじゃ……」
「うひぁあああい!?」
「フハハハ!今の私は!!阿修羅すら凌駕する存在だ!!!」
「こ、こないでくださいぃー!」
流石に目を疑った。楠トレーナーがランナーズハイで変なテンションになっているのはさておき、半泣きのライスシャワーを狂乱した成人男性が追いかけ回すという、犯罪じみた地獄絵図が繰り広げられている。まあ取り敢えず……
「なにしてんだこのロリ○ン変態ボケトレーナー!」
ドゴォオオ!
「グワァァア!」ドゴシャザリザリザリ
ゴールドシップのドロップキックが炸裂した。余談だが、この1200mの記録は
――「弁解させてくれ、二人とも」
気づけば、タキオンとゴールドシップに問い詰められる形となっていた。何故かライスも芝に正座している。
「まあ聞こう」「まー聞くだけ聞いてやるよ」
「あれは私がスパートをかけるときのことだ。アグネスタキオンの薬のおかげか早めにかけられたんだが、その際ライスシャワーがタイミング悪くバ場に降りてきてな……」
「ご、ごめんなさい。ライスが咄嗟に、避けられなくて……そのまま……走り出しちゃって」
ライスは頭を下げる。
「いいや、悪いのはこちらだ、ライスシャワー。そもそも中断すべきところを、私がそのまま続行し、何より君という前を走る者に追い付きたい、いや追い抜きたいと必要以上に迫ってしまった私が悪いのだ。」
楠トレーナーも負けじと頭を下げた。
「まあ、両者の言い分は分かったよ」
「これは……まあ、運が悪かったってことで!それによ、トレーナーにはドロップキックもしちまったし、これ以上攻める気になれねーからな!」
「よ、よかった、誤解が解けて……」
「かたじけない、未熟な自分を恥じている!」
ライスはほっと胸を撫で下ろし、楠トレーナーはもう一度頭を下げた。
「……でだ、ライスシャワー。いきなりですまないが私たちのチームに入ってくれないかね」
「ちょおまトレーナー!?」
マジで言ってんのかこの変態。これにはタキオンもトレーナーの変わり身に面食らった。
「え、ライスを?チームに?」
身を引く素振りを見せるライス。
「ほれみろ、怖がってんじゃねーか」
「トレーナーくぅん?流石に私もどうかと思うよ」
詰めるチームフラッグのメンバー。しかし。
「い、いえ、そうじゃなくて!ほ、本当にライスなんかでいいのかなって……」
二人を遮り、ライスはぽつり、ぽつりと話し始める。
「ライスの周りではね、不幸なことがたくさん起こるの。信号によく引っかかるし、皆とトレーニングしようとしたらゲリラ豪雨が起きてできなくなったり、ライスが居るときに周りの子が怪我したり、靴紐がよく切れたり、木とか鉄パイプが倒れてきたりするんだ」
「フン、くだらん与太話だ、周り全ての不幸が自分のせいなどありえん。それと靴紐が切れるということは、トレーニングをそれだけ頑張っているということではないか?」
「ううん、違うの、私のじゃなくて、他の人の新品の靴の紐がね。……こんなライスといたら不幸がうつっちゃうよ」
「もし仮にうつったとしてもだ、その程度些末なこと。降りかかる不条理など全て切り払って見せよう」
「で、でもライス、もしかしたらダメな子かもしれないんだよ!本当のレースに出たら、負けちゃうかもしれない、ずっと負け続けて、一生勝てないかもしれないんだよ!」
「そんなことはどうでもいい!君は走りたいのか、走りたくないのか!」
あまりの気迫に、ライスはビクッと体を震わせる。
「お、おいトレーナー、その辺にしとけよ……」
ゴールドシップは制止をするが、トレーナーは止まらない。
「それは逃げているだけだ!ライスシャワー!自分は周りを不幸にして、そうして積み上げたものがまやかしではないかと思い込んで、レースの結果でそれが出てしまうことを恐れているのだろう!だが私は知っている!君がやり続けていたトレーニングを!その洗練されたフォームを!その鍛え上げられたトモを!闘志を!そしてその優しさを!私は知っている!」
「……ふぇ?」
「ライスシャワー、君は優しいウマ娘なのだな、他人の不幸に同情してしまうほどにな。それで自分を責め、自分を追い詰めてしまうほどに」
「ち、違うよ、ライスは、本当に皆を不幸にしちゃう子なの……」
今にも泣き出しそうになるライス。
「そんな訳があるか!ならば教えてやろう!この私は!君の姿に心惹かれ!君を輝かせたいと思っている!君が私たちのチームに入ってくれれば!そこで輝けば!君は私に幸福を与えてくれるのだ!まさにこれを幸運と言わずしてなんと言う!」
「……!ほ、本当に?ライス、輝けるの?ライス、誰かを幸せにできる?幸せの、青いバラになれる?」
「ああ、勿論だとも。君を幸運の青いバラにして見せるさ。あの絵本のお兄様のように」
ライスはその言葉に驚く。
「知ってるの?あの絵本……」
「そうだ。子供の頃、読んだことがある、こう見えて私はロマンチストでね」
いや意外でもないだろ……とゴールドシップは思う。タキオンもそう思った。
「不吉な象徴とされたものが、他者との努力で、いつしか皆を幸せにするものになる……いい話ではないか」
「そして私は!君をそんな存在にしたい!君はどうなんだ?ライスシャワー!」
「ライス、ライスは……」
ライスは少し言い淀むが、間もなくして。
「ライスも、そんな存在になりたい!ライスは、皆を幸せにしたい!」
「その意気だライスシャワー!」
「ライス、トレーナーさんたちのチームに、入ります!」
「歓迎しよう、ライスシャワー、私たちのチーム、フラッグに!」
こうして、新たにライスシャワーをメンバーに加え、チームの人数は3人となった。
ゴールドシップは頭を掻きながら言う。
「ま、チームメンバーが増えるのは良いことだな。アタシは宇宙で一番の美少女ゴルシちゃんだぜ!これからよろしくな!お米!」
「研究の前にチームがなくなっては困るからねぇ、方法は褒められたものじゃない気もするが……アグネスタキオンだ、これからよろしく、ライス君」
「はい!よろしくお願いします!ゴルシさん!タキオンさん!」
「あ、あのトレーナーさん、お願いがあるんです」
「なんだライスシャワー?」
「え、えっと……お兄様って、呼んでも良いですか」
「構わないが」
「あ、ありがとう、よろしくねお兄様!」
この後にこれが原因で、たづなさんに何事かと問い詰められることになるのだが、詳細は省かせてもらう。
書き溜めがあるうちに続けられるか不安なので失踪します
これ本当にグラハムさんなんすかね(疑問)気持ち悪さが足りない気がするんだよなぁ