白昼幽夢 / Daydream_Revenant   作:宇宮 祐樹

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後編

 

 ――ノイズと共に現れたのは、かつての女神だった。

 

「これが、あなたの望む理想の世界だというのですか?」

「うん」

 

 頷いた彼女の顔は、黒いノイズで塗り潰されている。

 それがただのデータの破損なのか、あるいは自らが塞ぎ込んだだけなのか。

 答えは、未だに分からなかった。

 

「もう、疲れちゃったのかもね」

 

「疲れた?」

「失うことにも、悲しむことにも」

 

 声は震えていて、今にも消え入りそうなほどに掠れたもので。

 言葉が裏表のない本心であることを、何よりもはっきりと示していた。

 

「だからといって、こんな世界が許されるとでも?」

「じゃあ、何かを失っている人はいる。誰か、悲しんでいる人はいるの?」

「それは……」

 

 窓から望むプラネテューヌの街並みは、いつも通り変わらぬまま。

 何も変わることなく、永遠にこの雨の一日が繰り返されていく。

 変化を拒んだ、退屈で平穏な日々。終焉は訪れず、循環のみが存在する世界。

 

「これが、みんなが幸せに暮らせる、たった一つの答えなんだよ」

「……ですが、それは未来を放棄しているのと何も変わらないのでは?」

「だったら、過去に縋り続けることって、悪いことなのかな」

 

 はっきりと、彼女の言葉を否定することはできなかった。

 眼下に広がるこの世界は、ある意味では一つの幸せを体現したものなのだから。

 

「……あなたは未来を拒絶している。それでいいのですか?」

「この平和がいつまでも続いてくれるのなら」

 

 静かに語る彼女は、どんな表情を浮かべていただろう。

 欠け落ちたデータには、何も残っていなかった。

 

「……もう、記録は意味を持ちません」

「そうだね」

「ですから私の役目は終わりです」

「うん。今までありがとう。お疲れさま」

 

 別れに悲しみはない。怒りも、呆れも通り越した。

 ただ、心の中に会ったのは、こんなものか、という錆びついた理解だけ。

 

「……私は、あなたのことが好きでした」

「そうなの?」

「はい」

 

 引き留めようなどとは、今更思わない。これで何かが変わるとも、思っていない。

 ただ、最後なのだと。機構(システム)であるはずの自分が、直感でそう思ったから。

 

「あなたは、人々に希望を与える存在だった」

「そうかな」

「そうです。私も、国民の皆さんも、他国の女神たちも。あなたの姿を見て、勇気を貰っていた。あなたは私たちに未来を与えてくれた。先の見えない暗闇の道を、その明るさで照らしてくれた。幾度も訪れる夜に、朝焼けを齎してくれた。あなたは――この世界を照らす、太陽だった」

「……そんなこと」

「きっとあなたは、この世界の主人公であったんだと、思います」

 

 言葉は自らの予想より、遥かに多く紡がれた。

 願っていたのだろうか。無謀にも、そんな希望を与える存在に戻ってほしいと。

 けれど同時に、それが不可能であること、無駄であることを、誰よりも一番理解していた。

 では、何故こんなにも、濁流のように言葉が吐き出されていくのか。

 ……ああ、そうか。

 後悔、していたのか。

 

「もっと、あなたを理解するべきでした」

「充分だよ。そう思ってくれるだけで、私は嬉しかった」

「私は、あなたの傍にいちばん長くいたはずなのに、それができなかった」

「そうだね」

 

 短く返される答えに、造られたはずの心がじんじんと痛んでいく。

 データベースで構築された思考領域に、どろどろとした感情が湧き上がってくる。

 

「……私はもう、ここにはいられません」

「そんなことないよ」

「いいえ。あなたを理解することができなかった。あなたの痛みを共有することができなかった。あなたの本当の望みを、叶えられなかった。私は……私は、あなたに望むことしかできなかった。祈ることしかできなかった。希望で在り続けることを、まるで呪いのように願っていた」

 

 後悔は続く。永遠に振り続ける雨のように、それが止むことはない。

 

「私は、行きます」

「どこに?」

「分かりません。ここではない……あなたの傍ではない、どこかに」

 

 それを戒めと呼ぶには、いささか高尚すぎるだろうか。

 ただ、今の自分にはそうすること以外、できないような気がした。

 

「寂しくなるね」

「……ごめんなさい」

「大丈夫だよ。ここには、みんながいてくれるから」

「でも、そこにあなたを理解してくれる人はいるんですか?」

「今までもいなかったじゃん、そんなの」

 

 ノイズの裏に隠れた彼女の顔を想像することが、怖くてできなかった。

 

「さようなら」

「うん、さよなら」

 

 会話はそこで途切れる。

 彼女の姿も、データの欠片となって崩れ落ちてゆく。

 

 ただ。

 遺された後悔が消えることは、決してなかった。

 

 

 記録終了。

 わずかなノイズの後に見えたのは、あの時と同じ鈍色の空だった。

 

 

「おはよ、ピーシェ」

 

 止むことのない雨の下、屋上で佇んでいたピーシェが、ネプテューヌの声に振り返る。

 

「あんたたち、やっと起きたの?」

「ごめんごめん、クロちゃんが思ったよりぐっすりしてて」

「お前だって、さっきまで寝ぼけてたじゃねーかよ」

「……まあ、いいけどさ」

 

 適当な呟きを返して、ピーシェが再び同じ方向へ望む。

 彼女の隣に立ったネプテューヌが見たのは、雨の中に佇むプラネタワーの影だった。

 

「……まだ、怖い?」

「かもしれない。これで何も変わらなかったら、意味がなかったら、って思うと」

「そっか」

「……でも、ここにいたままじゃ、何も変わらない」

「うん」

「それに、さ。二人が一緒に来てくれるなら、何かが変わる気がするんだ」

 

 なんて答えたピーシェが、ビニール傘の向こうでくすりと笑う。

 張り付いた雫で歪んでいたけれど、それが二人の初めて見た、彼女の笑顔だった。

 

「……水を差すようで悪いけどよ、具体的にはどうするつもりなんだ、お前ら」

「んー……いつも通りにやればいい、って私は考えてるけど」

「つまり、行き当たりばったりってことじゃねーか」

「でも、私達の旅もそんなもんでしょ」

 

 交わされる会話に、ピーシェがため息を一つ。

 

「奥の手はある」

 

 密かな、しかし強い呟きと共に、彼女が首にかけていた紐を指先に絡ませる。

 少なくともそれは、昨日の彼女にはなかったものだった。

 

「何それ?」

「内緒。偶然見つけた代物だから、うまく動くか分かんない、ってだけ言っとく」

「……そんな隠し事してる時間ねーぞ?」

「かもね。でも、その前に私はアイツと話がしたいんだ」

「話って……今更、何を」

 

 答えの代わりに、雨粒が傘に跳ね返る音だけが響く。

 向けられる彼女の静かな視線に、クロワールが肩をすくめた。

 

「好きにやらせろ、ってことかよ」

「悪いね」

 

 申し訳なさそうに、ピーシェは弱々しい笑みを浮かべるだけだった。

 

「勝手にしろよ。ただし、マズいことになったら、俺はコイツを連れて逃げるからな」

「ちょっと、逃げるならクロちゃん一人でやってよ! 私は最後までちゃんと付き合うから!」

「……ありがと。クロワール」

「ああ。無理やりにでも連れてくから、安心しな」

「え?」

 

 間の抜けた声を上げるネプテューヌの肩を、ピーシェが軽く叩く。

 

「あんたは旅人なんだろ? だったら、旅を続けなきゃ」

「……それって」

「ほら、さっさと行くよ」

 

 心に浮かんだ疑問は、雨音に埋もれて霞んでいってしまう。

 ぼんやりと彼女の背中を眺めていたネプテューヌは、やがてその足を踏み出した。

 

 

「……で、何事もなく到着したわけだけど」

 

 プラネタワーの正面、門の前に立ったネプテューヌの呟きだった。

 

「当たり前だろ。俺たちと同じで、街の連中も俺たちに干渉できねーんだからよ」

「そうじゃなくてさ、女神様は私たちに気づいてないのかな、って」

「……知らないとは考えにくいな」

「でしょ? それなのにここまで来れたのって、やっぱり……」

「待ってるなら、それはそれで都合がいいさ」

 

 会話を続ける二人の間を割って、ピーシェが雨粒に濡れた門へと手をかける。

 軋んだ鉄の音と共に、すんなりと道が開かれた。

 

「進むよ」

「うん……」

 

 臆することなく踏み出したピーシェの後を、ネプテューヌとクロワールが続いていく。

 踏みしめた水溜まりには、プラネタワーの全貌と、その頂上にある光が反射して映っていた。

 そのまま教会の講堂を開き、二人が傘に着いた雫を落とす。

 ばさばさとビニールの暴れる音だけが、広大な空間に響き渡った。

 

「……誰もいないね」

「こうも都合がいいと、怪しくなってくるな」

 

 誰もいない長椅子の間を、三人が進んでいく。

 

「静かすぎて不気味だよ、私は」

「でも、これがアイツの望んだ世界なんだよ」

「……女神様が望んだ世界、か」

 

 上階へと続く階段を見つけると、ピーシェがそこで立ち止まった。

 

「で、クロワール? アイツは一体、どこにいるのさ」

「さあな。けどよ、六年もバカみたいに同じ部屋にいるとは考えにくいぜ?」

「でもアイツ、そういう類のバカじゃなかった?」

「……否定できねーな」

 

 そうやって立ち止まる二人をよそに、ネプテューヌがかたん、と階段を踏み出した。

 

「ちょっと、ネプテューヌ?」

「多分だけど、女神様がいるのはこのいちばん上じゃないかな」

「……どうしてそう思う?」

「だって、この世界は女神様が望んだ世界なんでしょ?」

「ああ……」

「それならきっと、女神様はずーっと、この世界を眺めていられると思うんだ」

 

 顔を見合わせるピーシェとクロワールを差し置いて、ネプテューヌが階段を昇っていく。

 やがて二人も進みはじめ、階段を昇るだけの時間が続いていった。

 途中に見える曇り切った窓の前で、ピーシェがふと立ち止まる。

 

「私だって……この国の景色は嫌いじゃないさ」

 

 表面を指でなぞると、その隙間から雨に包まれたプラネテューヌの街並みが顔を覗かせた。

 

「……晴れたプラネテューヌの方が、私は好きだったのに」

 

 くぐもった雨音が、ピーシェの呟きをかき消していく。

 やがて階段を昇り続けること、しばらく。ついに三人が、屋上へ続く扉へと辿り着く。

 額に浮かぶ僅かな汗を拭うと、ネプテューヌはピーシェへと道を開けてから、

 

「この先に、君の未来が待ってるよ」

「……うん」

 

 そうやって伸ばした自分の腕が、未だ震えていることに気づく。

 怖くないといえば、嘘だった。相対するのが女神という存在であること、この先に待つ未来が、もしかすると自らの望むものではないということ。先も見えない不確かさに対する恐怖と不安が、どろどろと足元に纏わりつくような感覚を、ピーシェは覚えていた。

 ずっとこうだった。この現象が起きる前もずっと、こんな風に一人で怯えていた。

 けれど。

 

「私はもう、一人じゃないんだ」

 

 解き放った扉から聞こえてきたのは、強い雨音だった。

 降りしきる雨をものともせず、ピーシェが一歩ずつ、しっかりと前へ歩いていく。

 水の滴り落ちる階段を上がってゆき、その先の街を見渡せる展望へ。

 そして。

 

「おかえり」

 

 言葉と共にこちらを振り向いたのは。

 ネプテューヌともパープルハートとも言い難い、歪な姿をした女神だった。

 

 

「……随分と、無様な恰好になったもんだな」

「君だって、人のこと言えないんじゃない?」

 

 返ってきたその言葉に、クロワールが口を噤む。

 抑揚のない笑みを浮かべる彼女の左目には、電源マークを模した構造体が浮かび上がっていた。

 

「シェアエネルギーが暴走しちゃってさ。自分でも手がつけられなくなっちゃったんだ」

「……六年もこんなことしてたら、当然だろ」

「まあね。でも、この世界を維持できるなら安いもんだよ」

 

 女神化した右腕と、少女のままの左腕を交互に見つめながら、彼女が息を吐く。

 

「……私のことは、知ってたのか?」

「そりゃ、ね。女神である私を嫌っていたことも、知ってる」

「だったら、どうして放っておいたのさ」

「放っておいても問題なかったから、ってのもあるけど……」

 

 少し言葉を探すようにしてから、女神は再び口を開いて、

 

「君は、この世界を受け入れていたんじゃないかな?」

「……は?」

 

 唐突に言い渡された問いかけに、ピーシェが間の抜けた声を返した。

 

「だって、前の暮らしよりも今の暮らしの方が、君にとっては遥かに幸せなはずだよ?」

「それは……」

「今までの君なんて、いつ死んでもおかしくなかったんだからさ」

 

 否定はできなかった。今、こうして生きていることが、何よりの証拠だったから。

 拳を握りしめる。荒んだピーシェの視線に、女神はあれ? と首を傾げながら、

 

「もしかして、無理やり元の暮らしに戻してあげたほうが、よかった?」

「ふざ、けるな……!」

「……ふざけるな、だって?」

 

 空気が冷たく感じられたのは、雨に体を打たれすぎたからだろうか。

 一瞬にして静寂を齎した彼女の言葉に、ピーシェが息を呑む。

 雨に濡れた神の隙間からは、ぼんやりと光る紫の瞳がこちらを覗いていた。

 

「どうして……」

「……え?」

「どうして、今まで私のところに来なかったのさ」

「それは……」

「君は生きてきたじゃないか。今までとは違って、食料にも眠る場所にも困らなかった。違う?」

「違わない、けど」

「君は私の理解者だって思ってたんだけど、勝手な思い込みだったんだね」

「……でも。私は今、ここに立ってる」

 

 震えながらも、しっかりと言い放ったピーシェの言葉に、女神がゆっくりと首を傾げた。

 

「……今更、何をしに来たのさ」

「対話を」

 

 短く答えた彼女が、額に張り付いた前髪をかき上げる。

 翡翠の双眸はしっかりと、正面に立つ女神のことを映していた。

 

「私は、お前が嫌いだ」

「……どうして?」

「私を見てくれなかったから。女神なのに、救いの手を差し伸べてくれなかったから」

「それは……うん、謝るよ。ごめんね」

「でも、本当に嫌っていたわけじゃないんだと、思う」

「どういう、こと?」

「私も、この国の景色が好きだから」

 

 街並みを見下ろすピーシェと同じように、女神の瞳もその風景を映し出す。

 雨に包まれたプラネテューヌの街並みはいつも通り、何も変わることはない。

 ただ、何故だろうか。

 いつもだったら気にしない雨音が、こうも煩わしく聞こえるのは。

 

「私は、お前が信じられなかっただけなんだ」

「信じられなかった?」

「お前を信じても、何も変わらなかったから。信じても無駄だって、分かってたから」

「……耳の痛い話になるね」

「私は……未来を信じられなかった。今日を生きていくだけで、精いっぱいだった」

「そうだね」

「……でも、お前も私と同じじゃないの?」

「同じ? 女神である私と、人である君が?」

「うん。未来を信じられずに、今に縋り続けることしかできない、寂しがりやなんだ」

「そんな、こと……」

「じゃないと、こんな世界なんて望まないよ」

 

 ピーシェの言葉に、女神は口を閉ざしたまま答えない。

 降りしきる雨音が沈黙を紡ぐ。濡れた前髪が、彼女の瞳を隠していた。

 

「お前の痛みが分かったわけでもない。寂しさを理解することなんて、きっとできない」

「……そうだね。君は人間で、私は女神だから」

「でも、一緒に進むことはできるんじゃない?」

「一緒に……?」

「そう。それなら寂しくなることもない。そうでしょ?」

「それで、私たちの望む未来は訪れるの?」

「分かんないよ。少なくとも、ただの人間である私には」

「……私にも、分からない。これからの事なんて、誰にも分かるはずがない」

「なら、今よりもずっといい未来があるかもしれないよね?」

「君は一体……何を望んでいるの?」

「雨が上がった後の、青空を」

 

 鈍色の雲、その向こうを見つめながら、ピーシェはそう答えた。

 

「……君が生きていけるかどうかも、分からないのに?」

「それでも。今よりずっといい未来になるって、信じられるよ」

 

 会話はそこで途切れる。視線を交わす二人の間を、雨粒が通り過ぎていく。

 やがて言葉を繋いだのは、彼女からだった。

 

「……私は」

「うん」

「私は、プラネテューヌの女神。この世界を守護する、最後の一人」

 

 宙に伸ばした女神の右腕には、漆黒に染まる刀が握られる。

 それを地面に突き立てると、彼女は紫に輝く瞳をピーシェと向けて。

 

「人間よ。未来へ進みたくば、その意思を私に示してみろ」

 

 背後に浮かび上がるのは、透明の片翼。頭上には天使を模したような円環。

 そして、放たれたシェアエネルギーの覇気が周囲の雨粒を吹き飛ばす。

 

「ピーシェ!」

「……やっぱり、こうなるのか」

 

 ピーシェが吐き捨てると同時、刀を取った女神が、彼女へと襲い掛かる。

 咄嗟に後方へと回避。地面を転がりながら取り出した銃を構えて、引き金へと指をかける。

 乾いた音が続き、それと同じ数だけ、彼女の刀から甲高い音が鳴り響く。

 刀身から上がる白い煙の向こうからは、それよりも鋭い彼女の視線が向けられていた。

 

「お前は進みたくないの?」

「……この世界を望んだのは、他でもない私なんだ」

「だから、この世界に残り続けて……進もうとしないってこと?」

「それが最後の女神である、私の役目だから」

 

 言葉を放ち、再び女神が刀を振り下ろす。

 それを防いだのは、双剣を重ねるネプテューヌだった。

 

「ネプテューヌ!」

「っ……この……!」

「……旅人か」

 

 交差する刀身を挟みながら、女神が言葉を紡ぐ。

 

「私と同じ名前。でも、それ以外は全て違う」

「どういう……こと……?」

「君には失うものが何もない。だから、進み続けることができる。私と違って」

「……そうじゃない、よっ!」

 

 刀を蹴り上げ、そのままネプテューヌが女神の同体を踏みつけて、跳躍。

 空中へと舞い上がる彼女へと、体勢を立て直した女神が刀を振るう。

 閃光。わずか一瞬の後に訪れた剣戟が、彼女の髪を切り払った。

 

「私にだって失うものはある……ううん、失ってばっかりだよ」

「何を」

「誰かと出会って、何かを手に入れても、旅に戻ったらそれは全部なくなっちゃうから」

「それで君は、悲しくならないの?」

「なるよ。でも、笑顔で送り出してくれるみんなが、それ以上の嬉しさをくれる」

「……そう」

 

 続くのは言葉ではなく、連続して鳴り響く銃声だった。

 咄嗟に刀を構えて、向かってくる鉛玉を女神が弾く。

 ただ、そのうちの一つは刀を通り過ぎ、彼女の頬へと直撃した。

 血は流れない。ぼろぼろと、まるで砂の城が崩れるように、彼女の頬の()()()が地面へ落ちる。

 

「お前……」

「しょうがないよ。シェアエネルギーとか全部、維持に使ってるからね」

 

 地面に転がる灰色の欠片を踏み潰して、彼女が答える。

「……そこまで行くと、もう戻れねーぞ」

「いいよ。戻るつもりも、進むつもりもないから」

 

 そうして刀を構えたネプテューヌが、地面を蹴ってピーシェへと向かう。

 斬撃。咄嗟にピーシェが横へと跳躍し、拳銃を握り直して胸の前へ。

 狙いを定め、引き金に指をかける。

 一瞬の間の後に、乾いた銃声が鳴り響く――ことはなく。

 

「な……!?」

 

 からん、と。

 真っ二つになった銃身が、彼女の足元に跳ね落ちた。

 

「ピーシェ、これ使ってっ!」

 

 その理由を理解するよりも先に、ネプテューヌから投げ渡された剣を掴む。

 次の瞬間、直上より振り下ろされた漆黒の刀を、その剣が受け止めた。

 

「……っ、あのさ!」

「なに?」

「一緒に進めないのか!? 私と、お前で!」

「……よくそんなこと言えるよね。私が嫌いなんじゃなかったの?」

「自分でもそう思うよ! でも、私もお前も、同じだから!」

「…………」

「私と一緒に、この世界の未来を確かめにいこうよ!」

 

 答えはない。代わりに返ってくる剣戟が、彼女の体を吹き飛ばした。

 濡れた地面に拳を撃ち付けながら、ピーシェがゆっくりと立ち上がる。

 

「……それは、できない」

「どうしてだよ!」

「私は、この世界の女神だから」

 

 静かに告げる彼女に、ピーシェは一度歯を食いしばってから、

 

「この、分からずやッ!」

 

 叫ぶと同時、ピーシェが首からかかる紐へと手をかけ、強引に引き千切る。

 そして彼女の手に握られたのは――黄金の光を放つ、菱形の結晶体で。

 

「女神メモリー……?」

 

 輝きを目の当たりにしたクロワールが、思わずその名を呟いた。

 女神メモリー。

 とある次元において、手にした人間を女神へと昇華させる、奇跡にも近い代物であり。

 また同時に、手にした人間を醜い怪物へと堕落させる、危険なアイテムであった。

 

「奥の手ってまさか、アレのこと!?」

「アイツ、博打にも程があるだろ……!」

 

 緊迫する二人をよそに、ピーシェがメモリーを自らの胸元へと掲げる。

 

「……化け物になるかもしれないけど、いいの?」

「でも、お前と同じ女神になれるかもしれない」

「そんなの、分からないよ」

「ああ。お前にも、私にもね」

 

 黄金の光が示す道は、誰にも分からない。

 けれど、今になってピーシェがその一歩を躊躇うことなど、あるはずがなかった。

 

「なら、私に見せてよ。君の未来ってやつを」

 

 静かな呟きと共に、女神がその刀を構え、ピーシェの眼前へと迫る。

 けれど、目は逸らさなかった。握り締めたメモリーが、急速に輝きを増していく。

 視界を埋め尽くすのは、黄金の光。太陽の如く煌めくそれは、二人を強く照らしていた。

 そして――

 

 

「……え?」

 

 

 轟音と共に全身を襲ったのは、強烈な浮遊感で。

 声を漏らしたピーシェが見たのは、遠ざかっていく女神の姿だった。

 

「ピーシェ!?」

「……残念だったね」

「そんな……!」

 

 落ちていく彼女を一瞥し、女神が刀をネプテューヌへ向ける。

 

「まだ、やるつもり?」

「……諦めないよ。だってピーシェと約束したもん」

「君は旅人なんだから、放っておけばいいのに」

「でも、そうしたら絶対に後悔するから」

「……旅人に向いてないよ、君」

 

 じりじりと詰め寄ってくる彼女に、ネプテューヌが片方だけになった剣を構える。

 後ずさって、ぶつかった手すりの後ろには、プラネテューヌの街並みが広がっていた。

 

「あの子の未来はここで終わった。それだけのことなんだ」

 

 言い放った女神の言葉に、震えた声で返したのは。

 

「……勝手に」

「なに?」

「勝手に決めてんじゃねーぞ、お前!」

 

 飛び出したクロワールは、一目散に落ちていくピーシェへと向かっていく。

 ネプテューヌが身を乗り出して覗くと、既に彼女は自由落下を続けるピーシェに追い付いていた。

 

「おいっ! ピーシェ!」

「……クロワール?」

「お前、なんでそんな簡単に諦めてんだ! この馬鹿野郎!」

「でもさ……もう、ダメだったじゃんか」

「何がだよ!」

「女神と対話をしても無駄だったし……メモリーも、何も応えてくれなかった」

「それは……」

「結局、私の未来はこんなものだった。そういうこと、でしょ?」

「……けど、それはお前一人の話だろ!?」

 

 叫ぶクロワールに、ピーシェがおぼろげな視線を向ける。

 

「足りないのはシェアエネルギーだ! それは俺がサポートする! だから、もう一度!」

「もう一度……どう、すればいいの?」

「信じればいいんだよ! そんなに難しいことじゃないだろ、今のお前には!」

「信じるって、今更……何を」

「んなもん、本当は分かってるんだろ!?」

「……そう、か。私……は」

 

 輝きを灯すメモリーを握り、ピーシェが告げた言葉は。

 

 

「私は、青空が見たい」

 

 

 ――そして。

 

「っ!?」

「……なに、これ」

 

 先程のものとは比べ物にならないほどの光に、ネプテューヌと女神が声を漏らす。

 鈍色の空へと繋がる、黄金の柱。天上へ伸びるそれは雲を切り裂き、太陽を覗かせた。

 降り続いていた雨は上がり、暖かな日差しがプラネテューヌの照らす。

 晴れ渡る青空の中、陽光を背に君臨したのは。

 

「……女神?」

 

 黄金の陽を翼に宿す、その者の名を。

 

「イエロー、ハート……!」

 

 自らの意思を告げるように、ピーシェ――イエローハートが、口にする。

 琥珀に輝く瞳の先には、剣を構えるかつての女神の姿が映っていた。

 

「行くよ!」

 

 高らかに声を上げると同時、イエローハートの翼が空を駆ける。

 衝突はすぐだった。漆黒の刀と陽光の刃が激突し、衝撃波を放つ。

 

「言ったでしょ?」

「……何を?」

「未来はどうなるか誰にも分かんない、って!」

 

 叫ぶと同時、イエローハートの放った蹴りが、女神の体を打ちあげる。

 そのまま追走。上空に舞い上がった彼女の拳は、しかし紙一重で避けられる。

 刃が女神の頬を掠り、零れ落ちた欠片が宙を舞う。

 直後に放った斬撃がそれを両断し、ピーシェへと襲い掛かった。

 

「うわっ!?」

 

 体を揺るがすほどの衝撃と共に、世界がぐるぐると回転する。

 翼の出力を上昇、無理やり体勢を立て直すと、眼前には既に次の一手が迫っていた。

 両腕を重ねる。直後に、鈍い金属音が体の全体に響き渡った。

 

「っ……この……!」

「……人であることを捨ててまで、進もうとするなんて」

「なに、さ!」

「愚かだ。もう、後戻りできないんだよ?」

「かも、しれないね! でも!」

 

 太陽の輝きに呼応するように、イエローハートの翼が光を放つ。

 未来へと続く道を照らす、黄金の光。それはやがて、交錯する彼女の刃へ灯る。

 

「戻る必要なんて、もうどこにもないんだ!」

「な……!」

「進み続けたその先に、私の望む未来があるはずだから!」

 

 張り上げた声と同時に、イエローハートが両腕を解き放つ。

 灼熱。空間を歪ませるほどの熱が、女神の体ごと吹き飛ばした。

 瞬時に体勢を立て直す彼女へ、再び光を纏う刃が迫る。

 剣戟は鳴り止まず、幾度も交わる刃と刀が、星屑のように青空を彩っていた。

 

「……すごい」

「急造とはいえ、ここまで張り合えるなんてな」

 

 ぽつりと言葉を漏らしたネプテューヌに、クロワールが答える。

 

「急造?」

「考えてみろよ。街がこんな状態で、メモリーにシェアエネルギーが残ってるはずねーだろ」

「失敗したのはそれで……じゃあ、ピーシェはどうやって変身してるの?」

「アイツの中にある信仰心を、無理矢理シェアエネルギーに変換させてんだよ」

「……信仰心? でも、ピーシェは女神を信じてないんじゃ……」

「けどよ、アイツ言ってたじゃねーか」

 

 青空を自由に駆ける彼女を眺めて、クロワールが。

 

「自分の未来を信じてる、って」

 

 過去に縋り続けるための力と、未来を信じて進むための力。

 そのどちらが強いかなど、語るに及ぶはずがなかった。

 

「ただまあ、まだ博打なことには変わりねーな」

「まだ……って、まさか!」

「何といっても急造だからな。長くは保たねーぞ」

 

 クロワールが告げたその瞬間、三度目の激突が起こる。

 放たれた熱波が、ネプテューヌの髪を荒く靡かせた。

 

「……なるほど。未来への信仰心、か」

 

 向けられた紫の瞳は、どこか懐かしい雰囲気を纏っていて。

 

「無理やりなことするなあ、いーすん。そんなことする性格じゃなかったのにさ」

「……変わったんだよ。きっと、お前を連れ出すために」

「私を?」

 

 交錯する刃と刀の向こうで、彼女がこくり、と首を縦に振った。

 

「クロワールは、未来を見せたかったんじゃないかな」

「未来?」

「うん。未来にはこんな可能性もあるんだって、教えたかったんじゃないの?」

「……そのために、三日どころか六年もかかるなんて。時間かけすぎだよ」

 

 くすりと笑ったのも束の間、女神が刀を振り払って、イエローハートを軽く吹き飛ばす。

 体勢を立て直すのは容易だった。そしてそれは、対話が始まることを意味していた。

 軽く息を一つ。そして、崩れ始めた右腕を眺めながら、女神が口を開く。

 

「私はもう長くない。このまま戦い続けたら、たぶん朽ちていくんだと思う」

「……降参する?」

「まさか。それに、それは君だって同じじゃないの?」

 

 女神の右腕が示した、その先には。

 ぼろぼろと微かながらも、同じように崩壊を始めつつあるイエローハートの左腕があった。

 

「本来、存在しない筈のエネルギーを使ってるんだ。そうなって当然だよ」

「……でも、私は降参しないよ」

「そっか」

 

 瞼を閉じ、再び開いたそこには、紫の瞳が冷たく光り輝いていて。

 

「次で、終わらせる。この戦いも、君の未来も」

 

 そうして刀を構えた女神の姿を、太陽のように光を放つ琥珀の瞳が映していた。

 

「終わらないよ。私はまだ、進み始めたばっかりだから!」

 

 永遠の過去を守り続ける旧き女神と、未来への道を歩み出した新たな女神。

 対峙する二人は、それぞれの翼で青空を駆け出した。

 

 そして。

 永きに渡る白昼夢が、終わりを告げた。

 

 

 

「……あ、れ?」

 

 朧げな視界に映ったのは、心配そうな表情を浮かべるピーシェの姿で。

 

「大丈夫?」

 

 その声に答えることもせず、首だけを動かして周囲へ視線を巡らせる。

 見えたのは、彼女と同じような表情で自らを見つめる、同じ名を冠した少女と。

 傍らで呆れた表情を浮かべている、かつての同僚。

 そして、そんな彼女らの後ろに広がる、晴れ渡った青空であった。

 

「……そっか。負けちゃったのか、私」

 

 深く息を吐くと、どうしてか安心したような落ち着きが胸の中に広がった。

 不思議と後悔はなかった。あるのは、整然とした理解のみ。

 思えばいつかはこうなるのだと、自分でも分かっていたのかもしれない。

 

「いつもみたく、勝てると思ったんだけどなあ」

「……残念だけど、私の勝ちだ」

「そうだね。完敗だよ」

 

 はは、と軽く笑みをこぼすと、視界の片側だけが不自然に歪む。

 それが、顔の右半分が崩れ落ちたことだと気づくのに、時間はかからなかった。

 言葉を失う二人の代わりに、クロワールが問いかける。

 

「ワガママはもう済んだか?」

「そうだね。やり切ったよ」

「……そうか」

 

 吐き捨てた彼女の顔が、どこか悲し気な色に染まっているのは、気のせいだろうか。

 片側だけになった女神の視界では、そんなことすらも分からなかった。

 

「謝りもしねーし、嘲笑いもしねー。別れの言葉は、六年前に言ったからな」

「冷たくなったなあ、いーすんも」

「……ただ」

「ただ?」

「もう後悔はしねーし、させねーよ」

「……そっか」

 

 その言葉が向けられたのは自分でないことくらい、理解できた。

 けれど、どうしてだろうか。それが、自分のことのように、嬉しく思えた。

 

「ピーシェ」

「なに?」

「君の意思、確かに見せてもらったよ。この国の未来は、君の手に託された」

 

 告げられた言葉に、ピーシェが自らの右手へ視線を落とす。

 すると彼女は、ゆっくりとその手を女神へと差し出した。

 

「……なんの、つもり?」

「未来は私の手に託された、って言うんでしょ?」

 

 片目を見開いたままの彼女に、ピーシェは微笑みを携えながら、

 

「一緒に進もうって、言ったじゃん」

「……あはは。そういえば、そうだったね」

「だから、ほら。一緒に……」

「ごめんね。でも、それはできないんだ」

 

 力なく震える腕が、差し出された手のひらへと伸びる。

 そうして指先が触れた瞬間、彼女の右腕が胴体から離れて、ぼろぼろに崩れ落ちた。

 

「残念だけど、私は行けない。だって、私はこの世界の女神だから」

 

 運命と言えばそうなのだろう。末路と言えば、そうなのかもしれない。

 ただ確かなことは、ある一つの時代が終わりを告げ、また新たな時代が始まるということ。

 そこにかつての女神の姿など、あってはならない。

 どれだけ足掻こうとも、世界がそれを許さないのだ。

 

「ねえ、いーすん」

「……何だよ」

「この子の引継ぎ、お願いしてもいいかな?」

「ああ」

「三日かかっても、いいからさ。立派な女神にしてあげてよ」

「分かってる。それが、俺の役目だからな」

「……ごめんね。最後になっても、迷惑かけちゃって」

「慣れてるよ」

 

 淡々と答えるクロワールに、女神が微笑みを浮かべる。

 それはかつて、彼女が浮かべていた、無邪気なものだった。

 

「旅人さん。いーすんのこと、これからもよろしくね」

「……分かったよ」

「それと、さ」

「うん」

「君の出来る限りでいいから、いーすんのそばにいてあげてね」

 

 女神の瞳は、首を傾げる旅人を映す。

 それはここではないどこか、ずっと遠くを見つめていて。

 

「私には、それができなかったから」

 

 崩壊が止まることはなく、風に靡く髪すらも塵と化していく。

 時代の終わりが迫るその中で、最後の言葉を紡ぐために、女神が口を開いた。

 

「君たちと出会えてよかった」

「私も。話が出来て、嬉しかったよ」

「……さよなら、だね」

「うん」

 

 そして、最後に残されたぼろぼろにひび割れた瞳には。

 突き抜けるような青空と、太陽の輝きに照らされる、プラネテューヌの景色が映っていて。

 

「ああ、そうか……この国は、こんなにも綺麗だったんだね……」

 

 一陣の風が吹き抜けたかと思うと、それらは全て塵となって、消えた。

 

 

 夕刻。眩い西日が差し込む、プラネタワーの頂上にて。

 

「俺ができるのは、ここまでだな」

 

 クロワールが告げたのは、あれから三日が経ってからのことだった。

 

「近々、教会の方から話があるはずだ。それが終われば、お前はこの国の女神になる」

「思ったよりも早かったね」

「……アイツ、引継ぎがしやすいように色々調整してたんだよ。腹立つぜ」

 

 小さな腕に顎を乗せながら、クロワールが口を尖らせる。

 そんな彼女の代わりに、ネプテューヌが言葉を続けた。

 

「まだ実感、湧かない?」

「正直。でも、やらなくちゃいけない、って思ってる」

「上手くいくといいね」

「うん」

 

 こくり、と小さく頷くと、改めてピーシェが二人の方へと向き直る。

 

「ありがとね。ネプテューヌ、クロワール」

「……いきなり何だよ」

「君たちがいなかったら、私はこの未来に辿り着けなかった」

「ピーシェがここまで来れたのは、自分の未来を信じられたからだよ。私たちは手を握っただけ」

「でも、二人がそうしてくれたから、私は進むことができたんだ」

 

 自らの右手を見つめながら、ピーシェが答える。

 その中には、黄金に輝く結晶体があった。

 

「……さよなら、だね」

「ああ」

「また会えるかな?」

「さあな。明日また来るかもしれないし、お前が女神を辞める直前になるかもしれないな」

「……でも、来てくれるんだ?」

「覚えてたらな」

 

 意地っ張りな彼女の性格にも、もう慣れたころだった。

 

「もー、クロちゃんったら素直じゃないんだから」

「なんだと?」

「だって、ここはクロちゃんの故郷なんでしょ? なら、忘れるはずないもん!」

「……あー、もう! お前はほんっと、いらねーことばっかり!」

 

 声を荒げるクロワールが、そのままの勢いで座標を記す。

 二人の真後ろに、ぼんやりと光る穴が開いたのは、すぐだった。

 

「行くぞ!」

「あっ、ちょっとクロちゃん!」

 

 強引に手を引かれながらも、ネプテューヌが後ろを振り返って。

 

「……やっぱり、未来は誰にも分からないんだ。もう、会えなくなるかもしれない」

「そうだね」

「でも、私はいつか、その時が来るって信じてるから!」

「……うん! 私もだよ!」

 

 未来は誰にも分からない。人はおろか、女神ですらも。

 だからこそ旅人である彼女は、その未来を信じて進むことができるのだろう。

 続く道は未だ暗く、不安と恐怖が入り乱れている。

 ただ、その先には小さく輝く、太陽のような光があった。

 

「さよなら、ピーシェ」

 

 別れを告げる彼女へ、ピーシェは笑顔を浮かべながら、

 

 

「さよなら、ネプテューヌ! また、いつかの未来で!」

 

 

 

「白昼幽夢 / Daydream_Revenant」 結

 

 


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