史上最強のレベルカンスト~無能スキル『経験値アップ』が『自動レベルアップ』に進化したので、仲間と共に成り上がる!!~   作:蛮異未成年

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12 駆け抜ける少年

 「はぁはぁ…いったいどこまで逃げればいいんだ?しかもここ、さっきの無法地帯じゃないし…」

 

 栞亜のおかげで何とか逃げれている咲苑だが、刹雷魅阿の強さを知っているのでどこまで逃げれば安心できるのか分からない。

 現在ロードアイアスの街を出て、自分の街に到達する無法地帯にいると思っていたが、先程逃げてきた道が自分の街に向かう無法地帯ではないと気付いた。

 

 「もう一回ロードアイアスに戻ろうか…」

 

 逃げている途中何となくこの道は違うと思っていたが、逃げる方向を変えれば死ぬ可能性もあったので間違いであると思いながらもその道を信じて突き進んだ。

 

 「でも今もあの女の人は俺のために戦ってくれてるんだし、ロードアイアスに戻ったら逆に迷惑か…」

 

 もう戻ることはできないと思った咲苑は、前を見て未知の無法地帯を進むしかなかった。

 

 「ってかあの女の人なんで俺を助けてくれたんだ?」

 

 ここに来るまで助けてくれた理由を考える暇がなく、いざ考えてみるとそれもそれで不確かなことが多い。

 

 「あんな顔の人見たことないし、そもそも俺の近くであの魅阿さんと渡り合えるほど強い人なんていないはず」

 

 更に刹雷魅阿は勇者であり、レベルは4700万を超えている。

 そんな人とまともに戦える人なんて同じ勇者か魔王くらいしかいないはず。

 だが普通、勇者なら俺を助ける義理なんてないし、俺は勇者を倒すと決め、それを声に出して発言したくらいだ。

 魔王に関しては俺を助ける理由がまず見当たらない。

 

 「いったいあの人は何者だったんだろう…」

 

 考えても考えても結局分からない事だと思い、咲苑は再び無法地帯を抜け出すために走り出す。

 そして無法地帯を駆け抜ける中で色々な思考が頭をよぎる。

 

 

 ってか魅阿さんと俺を助けてくれた女の人がいたら、この無法地帯の魔物のレベルって大幅アップするんじゃ…

 しかも俺は魅阿さんに対して魔物を無差別に殺すことは間違ってるなんて大それたことを言ってしまった。

 今この状況で魔物に襲われたら攻撃するして殺すしかないのに…

 

 

 自分の言動がいかに浅はかだったのかを無法地帯の中を走るたびに思う。

 

 

 俺はこれからこの世界でどうやって生きていけばいいんだ…?

 

 

 必要な犠牲は問わないと決めた咲苑だが、無差別に魔物を殺すのは間違っていると発言した自分。

 大きな矛盾が生じることで心が少しずつ何も考えたくないと訴えているようで、とても居心地が悪い。

 ひたすら前を見て走っている咲苑だが、そんな事を考えているうちに前を見て走っているようで前を見ず自分の心と会話をしている状態になり、周囲に魔物がいることに気付かなくなった。

 走ってるうちに体が少しずつ動かなくなって、気が付いた時には息が切れており、座り込むほど疲れていた。

 

 「はぁはぁ…なんでこんなに疲れてるんだ…」

 

 そして地面に座り、空を見上げる咲苑。

 

 「なんで俺がこんな目に合うんだ?俺はただ久しぶりに家から出た凡人なのに…」

 

 この悲惨な出来事が全て進化した限定スキルである『自動レベルアップ』だとはすぐに理解できるが、まさかこんなにも悲惨な出来事が連続するとは思わなかった。

 

 「魔王といい、勇者といい、俺を助けてくれた女の人といい、ロードアイアスの住民といい、魔物といい、本当に何かしないと落ち着かないじゃないか…」

 

 何も全てを否定するわけじゃないが、それでも今の咲苑は面倒くさいと感じてしまう。 

 数分、地面に座っていると少し遠い場所から声が聞こえる。

 

 「た、助けて…」

 

 小さな少女が発した声というのがすぐに分かる。

 

 「まさか…」

 

 この声に反応してすぐに立ち上がった俺はその声をたどりその声のするところまで向かう。

 

 「魔物に襲われているとかやめろよ…」

 

 先程まで魔物について殺すべき敵かそれとも共存を目指す味方かを考えていた咲苑は、今魔物に接触するのはまずいと考えた。

 なぜならこの感情のまま魔物に遭遇してしまうと、人を食らうことしか考えていない魔物は必ず自分を殺しにかかり、それに対して俺は魔物を殺すことを躊躇(ちゅうちょ)してしまうからである。

 

 「頼むからただの迷子であってくれ…」

 

 全力で走りながら、魔物に襲われている事を否定する咲苑。

 だが声のする場所にたどり着いた咲苑は驚きが隠せない。

 

 「え…」

 

 草木を必死にかき分けやっと少女を見つける事ができたが、すでに少女の周りには数十匹の魔物が蹂躙(じゅうりん)していた。

 もちろんそれに関しては少しまずいと思ったが、それより助けを求める少女の姿を見て驚いた。

 

 「角が生えてる…?」

 

 普通人間には頭に角など生えていないため、助けを求める少女は人間以外の何者かであり、それについて助けを求めて動いた体よりも先に体を停止させる思考の驚きが上回った。

 

 

 角が生えてる…

 まさか、まさかな

 でも角が生えてるし…

 これってまじなのか?人族(ひとぞく)と魔族にできた子供なんて…

 

 

 こうして咲苑は新たな道を進む。

 

 

 

   

 

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