史上最強のレベルカンスト~無能スキル『経験値アップ』が『自動レベルアップ』に進化したので、仲間と共に成り上がる!!~   作:蛮異未成年

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06 魔物のボス

 「はぁはぁ…」

 

 レベル700を超える数百の魔物から逃げようと目印の指示に従って逃げていたが、その目印が更なる悲劇を生んでしまった。

 

 「はぁはぁ…これでやっと半分くらいまで戻ってきたな。後ろから魔物は追ってきてないし、さっさと元の道に戻ってロードアイアスで行こう。」

 

 レベルが上がったおかげで移動速度が格段に上がり魔物の視界から難なく外れることができたが、咲苑が魔物ヒューマフィンガーのステータスを見たとき、明らかに速度の数値が咲苑の速度の倍近くあり、それに気づいていない咲苑はこれから起こる悲劇を想像すらしていなかった。

 

 「キュルウゥゥゥゥ」

 

 どこからか魔物らしき声がする。

 

 「な、なんだ…?確かにあの魔物達からは逃げ切ったし他の魔物が近くにいるのか…?」

 

 先程の事があったので一応魔物が近くにいる可能性があると判断し、腰にしまっていた剣を右手で取り出す。

 

 「ギュルルウウゥゥゥゥゥ」

 

 次の声は先程の声より少し低い。

 

 「なんで声が変わる?同じ魔物なら鳴き声は変わらないはず…他種族が人間一人に同時行動するとも思えない。」

 

 頭をフル回転させ、自分の周りで何が起こっているのか考えるがそう簡単には思いつかない。

 そんな中、一つだけ、いや一つしか答えがない事に気付いた。

 

 「…まさか魔物のボスがいるってのか。」

 

 だが魔物のボスとは上級魔物であり、咲苑の街とロードアイアスに挟まれている無法地帯には今までそんな上級魔物は発見されたことがない。

 

 「高レベルの魔物といい、魔物ボスといい、どんだけおかしなことが起きてんだよ…」

 

 森林の草木が長すぎて魔物がどこにいるか分からず、いつどこから魔物が襲ってくるかも分からない状態で必死に魔力認知で魔力の気配がないか探る。

 だが魔物の魔力は一切感じず、結局魔物自ら出てくるまで戦闘と逃走はできなくなった。

 

 「なんで魔力が認知できないんだよ…これじゃ戦う事も逃げる事もできない」

 

 せっかくここまでレベルが上がり、最強と言わざる負えない『自動レベルアップ』を取得したのにこんなところでこんな敵に負けるのは悔しい咲苑は、決死の覚悟で剣を前方に突き刺し前進する。

 

 「そっちがこねぇーならこっちから行ってやるよぉぉぉぉ!!!!!」

 

 大声で恐怖の感情を押し殺し、全力で草木に向かって走り出すが、その声を聞いて魔物ヒューマフィンガーが咲苑の真正面の草木から出てきた。

 

 「ギュルルウウゥゥゥゥゥ…」

 

 まさか魔物が出てくるとは思っていなかった咲苑は、目の前にいたヒューマフィンガーに斬りかかる。

 

 「今出てきても遅いぞ!!!!」

 

 全力で突きつける咲苑の剣は今まで一番強く速いが魔物ヒューマフィンガーはそれを見てなお、草木から出てきて一歩も動かない。

 そして咲苑の渾身の一撃は魔物ヒューマフィンガーの体に突き刺さる。

 

 「ギュルルウウゥゥゥゥゥ…」

 「な、んだと…?」

 「ギュルルウウゥゥゥゥゥ…」

 

 攻撃の威力、移動の速度、心臓への突き刺しで確実に即死レベルだが、ヒューマフィンガーはびくともしていない。

 まだヒューマフィンガーのステータスを見ていないが、今の攻撃を喰らって平然としているヒューマフィンガーの強さは異常だという事が分かった。

 

 「こんなん勝てるわけ…」

 

 そしてヒューマフィンガーが強いと分かったと同時にこの魔物はこの無法地帯の魔物のボスという事が分かった。

 この2つの状況化で魔物ヒューマフィンガーに勝てるはずなく、咲苑は諦めかけていた。

 

 

 魔物のボスがこの無法地帯に現れ、他の魔物のレベルが異常に高いのかは未だ分からないが、俺が死ぬという事だけは分かった。

 

 

 未だヒューマフィンガーの体に剣を突き刺した咲苑は次の瞬間、魔物のボス・ヒューマフィンガーに蹴り飛ばされる。

 

 「ギャァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

 ヒューマフィンガーは痛みが数秒後に遅れて感じるのが何となく想像で分かったが、それだけでは攻略法が思いつかない。

 そして俺が蹴り飛ばされると、周りに待機していた無数の同種魔物ヒューマフィンガーが現れる。

 草木がかなり発達していたので草に挟まれ何とか強い物質の衝突は免れるが、生きることはできているがかなり絶望的である。

 

 「ここまでかよ…」

 

 魔物のボス・ヒューマフィンガーは俺と一緒くらいの体型のため、俺を蹴り飛ばした際に腹しか当たらなかったがそれでも起き上がる事ができないほど蹴りの威力が強い。

 立てない咲苑は魔物のボス・ヒューマフィンガーの弱点がないか最後の希望を持って魔力認知を行う。

 だがそれはあっけなく拒否された。

 

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 『相手は魔力認知の妨害スキルを所有しているため、ステータスの確認ができません。』

 

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 「そんなのありかよ…」

 

 絶望に絶望を重ねた咲苑はもはや立とうとも思わず、その場に頭を下げ生きる事を諦めかけそうになった。

 そして諦めようとした瞬間、お決まりであるお知らせの報告が視界の半分を使い、表示された。

 

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

『レベルアップしました。貴方のレベルは448です。』

 

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 あぁ、分かってる。

 今諦めたらダメだって。

 せっかく神様が俺に与えてくれたんだ。

 だから、だから諦めるわけには…

 

 

 諦めるわけにはいかないと思い、顔を上げ、強く剣を握ると目の前にはすでに魔物のボス・ヒューマフィンガーがいた。

 

 「音がしなかったのに、なんで…」

 

 咲苑が諦め、もう一度戦うと決めるまでの間、全ての音は無だった。

 強いて言うなら風さえも吹いておらず、自然の中ではないと思えるほど無であったのになぜか目の前に最大の敵がいた。

 そしてその最大の敵は咲苑の頭上に右手で持っている斧を振り上げ、即座にその斧を振り下ろそうとした。

 

   

 こんなところで終わるなんて…  

 

 

 完全に死ぬと思ったその時、1つの光は咲苑の前に現れた。

 

 「冒険者よ、大儀であった。後は私に任せろ。」

 

 目の前に現れたのは全身が鎧と〝雷〟で覆われている女性だった。

 

 

 

 




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