海賊な蛇王龍様   作:エルにー

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10ジャオ オロチの最期

河松達と別れ、ラダンはまたカイドウの所に向かった。幸運なことにカイドウは海岸沿いにいた。

 

カイドウ「早い帰りだったな」

 

ラダン「俺もまさかオロチを討つ前にここに来るとは思わんかったわ」

 

カイドウ「まぁいい。今度はなんのようだ」

 

ラダン「それはな……」

 

ラダンはカイドウに作戦の事を伝えた。

 

カイドウ「なるほど……そんなの力付くで抑えればいいと思うがな」

 

ラダン「力付くでやるわけにはいかんからな」

 

カイドウ「まぁいい。わかった。協力してやる」

 

ラダン「おぉ、そうか。ありがとう」

 

カイドウ「だが、そのかわり、こちらの要求を一つ聞いて貰うぞ」

 

ラダン「世界を全部回るつもりだから、一生ワノ国に居ろじゃない限りはいいぞ」

 

カイドウ「なら問題ない。二、三年はいる事になるかもしれんが」

 

ラダン「それぐらいならいい」

 

ラダンはカイドウから協力を取り付けて足早に去った。

 

「彼とヤマト様の婚約を締結できましたね」

 

カイドウ「騙し打ちみたいなものだがな」

 

「まぁ、問題ないでしょう。彼の性格からヤマト様が了承していれば大丈夫でしょう。それに、ヤマト様も満更でもないでしょう」

 

カイドウ「かもな」

 

知らず知らずの内にヤマトとの婚約が結ばれたラダンであった。

 

 

河松達の元に戻ったラダンは

 

ラダン「戻ったぞ」

 

日和「おかえりなさい、ラダンさん」

 

河松「ラダン殿。早い帰りでしたな」

 

ラダン「俺があちらの要求を一つ聞く代わりに協力を得た」

 

アシュラ「要求……損の方がデカい気がするが……」

 

ラダン「俺としては一生縛られない限りはいい。縛られたとしても最長10年まで許容範囲だ」

 

河松「そういえば、ラダン殿は世界を見て回るのが目的でしたな」

 

康イエ「カイドウの要求はラダンに向けてだからこちらが心配する必要は無かろう」

 

ラダン「その通りだ。さて」

 

ラダンは一拍置いて

 

ラダン「カイドウから協力を取り付けた。あとは討ち入りのメンバーだけだ」

 

アシュラ「それなら問題ねぇ。隠れ家に大人数いる。人数不足にはならねぇ」

 

ラダン「なら、あとは時間になるのを待つだけか。後、俺は巨大な蛇として現れる事にする。くれぐれも名前で呼ばんでくれ」

 

河松「わかりました。呼び方はこちらで決めておきます」

 

ラダン「そうしてくれ。それまで、待機しておこう」

 

そう言ってラダンはお鶴の営む店の前のベンチに座る。そこにお鶴がお盆を持って現れる。

 

お鶴「こちらをどうぞ」コト

 

ラダン「これは……おしるこか。懐かしいな……」

 

お鶴「あら、知っていらしたのですね」

 

ラダン「元の世界にもここと似た国があったからな」ズズズッ

 

日和「では、時間になるまで元の世界の事を話してくれませんか?」

 

ラダン「あぁ、もちろんいいぞ」ニコッ

 

日和「ありがとうございます!」パアァァッ

 

日和はラダンの隣に座り、ラダンの話に耳を傾ける。

 

河松「姫さまはもうすっかり元気ですね」

 

アシュラ「ラダンと一緒にここに来るまで姫様の生死自体知れなかったが、やっぱり落ち込んでたのか?」

 

河松「毎日涙を流しておられました。ラダン殿が現れなければ姫さまは自分から姿を眩ませる可能性がありました」

 

アシュラ「そこまでか……てか、お前も随分痩せてるぞ。まともに食ってねぇだろ」

 

河松「いやはや……姫さまの身の安全ばかりで某の事を疎かしにしていました…」

 

アシュラ「それも姫さまが姿を眩ませる可能性の一つだろ」

 

河松「その通りでございます。これから気をつけます」

 

アシュラ「とは言え、姫さまは随分ラダンに懐いたな」

 

河松「ラダン殿が子供の扱い方が上手いからでしょう」

 

康イエ「奴を日和姫と婚約させてもいいかもな」

 

河松「康イエ様!?」

 

康イエ「ただの冗談だ」

 

アシュラ「あの霜月康イエ様が冗談を言うとは……」

 

河松「姫さまは満更でもないかも知れませんが、ラダン殿を縛り付けるのはよくありません」

 

康イエ「受け入れそうな気がするがな」

 

河松「………あり得ますね。姫さまが前向きなら……」

 

康イエ「とは言え、それは全てが終わった後にしよう」

 

河松「そうしましょう」

 

こちらでもラダンと日和の婚約の話が進んでいた。

 

 

しばらく経って作戦決行の数分前

 

ラダン「さて」

 

日和に元の世界の事を言うのを中断してラダンは立ち上がった。

 

ラダン「そろそろ先に行っとく。味方の巨大な蛇として現れないといかんからな」

 

康イエ「どのように登場するか知らんが、作戦はお主に委ねられておる。オロチの討ち入りを頼んだ」<(_ _)>〈 ゴン!〕

 

河松 「康イエ様!?」

 

康イエ「どうか……」

 

ラダン「康イエ。そこまでしなくても元からそのつもりだ。だから頭を上げてくれ」

 

ラダンに言われるがまま康イエは頭を上げる。

 

ラダン「先に行ってる。そっちも作戦通り頼む」

 

康イエ「勿論!」

 

ラダンは頷いて持ち場に向かった。

そして数分後、オロチ討ち入りの決行時刻になった。おこぼれ町の前に300人余りの人が集まっていた。

 

アシュラ「静粛に!!」

 

アシュラが大声でそう言って注目を集める。そして置いてあった台に日和が登り、喋り始める。

 

「あの方はまさか…!」

 

日和「皆さま、こうして姿を見せるのは初めてです。私は元九里の大名光月おでんの娘、光月日和です」

 

「生きておられたのか……」

 

日和「まずは、集まってくれた事に感謝します。ありがとうございます」

 

日和は一礼する。

 

日和「今日はカイドウを後ろ盾に将軍を語るオロチの討ち入りを決行いたします!」

 

日和がそういうとざわつき始める。

 

日和「とある情報筋からカイドウはオロチを見限った事がわかりました!その証拠に九里、花の都に百獣海賊団は一人もいません!」

 

カイドウがオロチを見限った事、九里、そして花の都に百獣海賊団が誰もいない事からざわつきが大きくなる。

 

日和「お母様、光月トキの予言は20年後にワノ国は解放されるという事でしたが、中にはあの時より20年も待てないという方が多いでしょう。オロチの後ろにカイドウはいない。この絶好の機会を逃すわけにはいきません!」

 

「そうだ……いつまたカイドウがオロチの後ろ盾になるかわからない。なら、今のうちに……」

 

日和「どうか……逆賊オロチを討つ事に力を貸してください!」

 

「勿論です!」  「共にオロチを討ちましょう!」

 

オオオオォォォォォ!!

 

日和は下がり、かわり河松が前に出る。

 

河松「某は光月おでん様の家臣、赤鞘九人男が一人、河童の河松でございます!花n……」

 

その時

 

グラァッ

 

「地揺れ!?」 「こんな時に……!」

 

ガガガガガガガガガッ  ガアァァァンッ  パラパラッ

 

一際大きい地揺れの後に大穴がすぐそばにできた。そこから

 

ズルズル ズルズル

 

何かが引きずる音がした。そして

 

「へ、蛇だぁ!!巨大な蛇が現れたぞ!」  「またか!!」

 

河松「(ラダン殿……現れるならもう少し大人しく現れてほしかった……)」

 

現れた巨大な蛇、基ラダンは体全部を穴から出してジッとオロチ討ち入りメンバーを見ていた。

 

「何故こちらをジッと見ているんだ……?」 「あり得ないかもしれんが、俺たちの味方……とか……?」

 

一人がそう言うと

 

ラダン コクン

 

ラダンは頷いた。それによってざわつきが始まった。

 

「まさか本当に味方か?」 「だが、蛇だぞ?蛇にしては姿がおかしいが……」

 

ざわつきに中、日和はラダンに近づいた。

 

「姫さま!危険です!」

 

日和「大丈夫です」

 

日和はそう言ってラダンを見上げる。

 

日和「あなたは、私たちに味方ですか?」

 

ラダン コクン

 

日和「オロチを、カイドウを倒す事を手伝ってくださいますか?」

 

ラダン コクン

 

「ほ、本当に味方だぞ」 「まさか、神の御使……」 「我らに神が味方したと言うことか!?」

 

シャララアァァァァァァァ!!

 

ラダンは咆哮をあげ、己の体を指す。

 

日和「もしかして、乗れ。ということとですか?」

 

ラダン コクン

 

「おぉ!これなら移動が速くなるぞ!」 「それに乗っていればあちらも戦意がなくなるはず!」

 

「乗るぞ!!」

 

数人が梯子を持って来てラダンに乗り始める。勿論、日和、河松、アシュラそして康イエが乗り

 

河松「いざ!逆賊オロチの討ち入り開始!」

 

河松の声を聞いてラダンは進み始める。

 

場所は移ってオロチ城

 

?「なんじゃと!?もう一度言え!」

 

「で、ですから……明王様からの書状で短く『お前とはきる』と……」

 

?「どういうことじゃ……ワシとはもうきるということか……?」

 

頭を抱えているのは黒炭オロチ。カイドウと通じ、ワノ国を牛耳っている本人である。

そんなオロチは部下からカイドウからの書状の内容を聞いて頭を抱えている。

 

オロチ「奴を呼び出せ!書状を送って呼び出せ!」

 

「し、しかし応じるかどうか……」

 

オロチ「いいからさっさとやれ!」

 

「は、はっ!」

 

オロチの部下は下がっていった。

 

オロチ「一体何が起こっている……」

 

?「大丈夫でございますか?」

 

オロチ「おぉ、狂死郎。すまないな、取り乱して」

 

狂死郎「いえいえ」

 

狂死郎と呼ばれた男は表向きは将軍御用達の両替屋。だが、裏では花の都を牛耳っているヤクザの頭領である。異名は居眠り狂死郎。酒を飲むと眠ってしまうことから来ている。

だが、狂死郎自身にも秘密がある。それは……

 

狂死郎「(まさかカイドウがオロチ見捨てるとは……これは、もしかしたらトキ様の予言よりも速く事が終わるかもしれん)」

 

狂死郎、本名は傳ジロー。元光月おでんに使える赤鞘九人男の一人である。傳ジローはおでんが亡くなり、おでん城が襲撃されトキが亡くなった後、悔しさと不甲斐なさ、怒りから来るストレスによって髪色は変化し、顔も変わった。それによって傳ジローとバレなかった。

傳ジローは腕っ節で仲間を集め、オロチ気に入られるようにした。今ではオロチの次に権力が強いほどである。

 

狂死郎「(何があったかわからんが、これはチャンスだ)」

 

傳ジローがそう思っていると

 

「お、オロチ様ー!」

 

オロチ「なんじゃ!次から次へと!」

 

「く、九里の方面から巨大な蛇が近づいております!」

 

オロチ「巨大な蛇じゃと?」

 

「は、はい!それと、うっすらですがその蛇の上に人影も複数あります!」

 

狂死郎「(人影…?まさか……いや、だが……)」

 

オロチ「ええい!そんな蛇など討ってしまえ!兵は幾らでも連れていけ!」

 

「は、はっ!」

 

そう言われた部下は急いで下り、準備を始めた。

 

オロチ「ったく、こんな忙しい時に…!」

 

狂死郎「まぁまぁ、オロチ様どんな蛇かわかりませんが、オロチ様の兵を持ってすれば問題ありません」

 

オロチ「ムハハハハ!お主もそう思うか!」

 

狂死郎「えぇ、勿論」ニコッ

 

だが、オロチが安心してるのを裏切るように事態は進んでいた。

 

 

河松「あちらにある城が目的地でございます!」

 

ラダン シュルルゥゥ

 

龍状態のラダンは河松の指示を聞いて花の都内を進んでいる。途中オロチの兵らしきサムライが攻めて来たが、討ち入りのメンバーがその度に降りて交戦している。それが度々起こり、ラダンに乗っているのは日和、河松、アシュラに康イエの中枢メンバーだけになった。

やがてラダンはオロチ城のすぐ手前に着くと、右回りにオロチ城を回りながら登り始める。

 

河松「皆さん!いよいよオロチの元に着きます!オロチ自身も何かの能力を持っている可能性があります!くれぐれもお気をつけください!」

 

アシュラ「わかっている!せめて姫さまに危害が行かないようにする!」

 

康イエ「さぁ、いよいよだ。待っていろ、オロチ…!」

 

そしてラダンは頂上まで登るとオロチのいる部屋の壁を壊した。

 

グシャァァッ パラパラッ

 

オロチ「な、何事だ!?」

 

日和はラダンの頭の先端に立ち、喋り始める。

 

日和「逆賊オロチ!」

 

狂死郎「まさか、あの方は……!」

 

日和「5年前に百獣海賊団船長のカイドウを後ろ盾にワノ国の大名達を亡き者にし、将軍を偽り暴虐の限りを尽くした!それにより自然豊かだったワノ国は工場によって汚染され、安全な食料も取れなくなった!そんなあなたはワノ国を統べる将軍に相応しくない!よって、あなたを今日、討ちます!」

 

オロチ「ワシが逆賊じゃと……?この小娘が!今すぐ貴様を打首にしてくれるわ!」

 

康イエ「させねぇよ」

 

オロチ「誰じゃ!貴様!」

 

康イエ「オイオイ。覚えてねぇのか?黒炭オロチよ」

 

オロチ「っ!まさか!貴様は死んだはずじゃ!」

 

康イエ「だがこうして生きている。つめが甘いなオロチ」

 

オロチ「霜月康イエ!よもや生きていたとは!」

 

康イエ「はっはっはっはっ!驚く貴様を見れただけでも僥倖だ!」

 

オロチ「おのれ……おのれぇーーー!!」

 

オロチの怒りは天元突破した。オロチの姿をみるみるかわり、八つの首がある龍になった。オロチはヘビヘビの実幻獣種モデルヤマタノオロチの能力者である。だが、大きさはラダンに遠く及ばない。

 

オロチ「貴様ら全員噛み砕いてやらぁぁ!」

 

康イエ「そんな小さい頭でか?」

 

オロチ「だまれぇぇ!!まずは小娘……を……」

 

オロチが飛びかかろうとした瞬間

 

スパンッ

 

傳ジローが刀を抜き、オロチの八つの首を切った。

 

オロチ「きょ……狂……死ろ……う……き……さま……も……」

 

ドサドサドサッ

 

オロチの全ての首は落ち、オロチは絶命した。

 

河松「い、一体何が起こっているのでありますか……?」

 

アシュラ「あいつぁオロチの部下じゃなかったか?」

 

傳ジローは刀を納刀しラダンたちに近づいた。河松たちは警戒し刀に手を置いた。

 

狂死郎「お久しぶりでございます」

 

河松「久しぶり……?」

 

狂死郎「やはりわかりませんか……私です。赤鞘九人男が一人、傳ジローでございます」

 

河松「傳ジロー殿!?だが…確かに面影はある……」

 

アシュラ「お前に何があったんだ……」

 

傳ジロー「私は……」

 

傳ジローはおでん城襲撃の後からあった事を話した。

 

日和「それでオロチ城に……」

 

傳ジロー「えぇ、姫様が無事で何よりです。しかし、どうしてカイドウがオロチを見捨てたタイミングで討ち入りを?」

 

日和「それは……」

 

日和は今日あった事、ラダンの事も含めて話した。途中ラダンが代わったりして真相を話した。

 

傳ジロー「まさかそんな事が……」

 

ラダン『信じられんかもしれんが、本当のことだ』

 

傳ジロー「まだ信じられませんが、それは一旦置いておきましょう。先程話した作戦の通り、このままカイドウと?」

 

日和「はい。表向きはカイドウの討ち入り。本当はラダンさんの発言でカイドウと協力関係になるために」

 

傳ジロー「他にも方法はありそうですが……」

 

ラダン『第一の理由は俺がカイドウは嫌いじゃないからだ。それに、カイドウの子供、ヤマトもいるから』

 

河松「カイドウに子供がいたのですか!?」

 

ラダン『あぁ、息子と言ってるがな』

 

河松「?どういうことですか?」

 

ラダン『まぁ、それは後でいいだろう。とにかく、そういう理由だ』

 

傳ジロー「はぁ、姫さまを救ってもらった手前、文句はありませんが……」

 

ラダン『無責任なことだが、その後はお前たちの頑張り次第だ。全部俺が干渉するわけにはいかん』

 

康イエ「正論だな」

 

ラダン『たとえカイドウがワノ国を去る事になっても、この国に危険が来ないようにはする』

 

正直、カイドウがいても居なくてもワノ国はラダンの加護で守られている。アマンデュ島と同じ状態である。カイドウがワノ国にいるように動いているには上にある通り、ラダンはカイドウが嫌いじゃない。悪党ではあるが、今のところワノ国以外で悪いことはやっていない。

ラダンにとってカイドウは友でもある。それにヤマトの事もある。

 

傳ジロー「そうですか……私もその作戦に参加したいですが、私はここに残って後処理を行います」

 

日和「お願いしていいですか?」

 

傳ジロー「勿論です」

 

日和「では、傳ジロー。後処理をお願いします。私たちは作戦を続行します」

 

傳ジロー「どうかお気をつけを」

 

それを聞いてラダンはオロチ城を降り始める。

作戦は遂に難関の第二段階に入った。

 




やっとオロチ討伐がおまりました。
このままカイドウの所も行くと思いましたが、長くなりすぎると思ったのでここまでにします。
ちょくちょく主人公の口調が迷走しがちな気がしますが、どうでしょうか?いかんせん、自分に文才がないので。
後、康イエもこんな口調でいいでしょうか。オロチの所で口調が変わった気がしますし……。
次回は作戦も遂に困難の第二段階。上手く皆が納得できるカイドウとの協力関係になれるのか。そして二人の少女の気持ちは…
次回神の御使・蛇王龍
次回もお楽しみに〜

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