海賊な蛇王龍様   作:エルにー

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11ジャオ 神の御使・蛇王龍

オロチ城を降りると討ち入りメンバーのサムライ達が集まっていた。どうやらオロチの部下はそこまで多くなかったようだ。

 

河松「あまり消耗していませんね」

 

アシュラ「オロチ自身の部下は弱いってことだろ。そういえば御庭番衆はどうしたんだ?」

 

河松「それなら傳ジロー殿がもう斬っていました」

 

アシュラ「いつの間に……」

 

日和「それは後にしましょう。まずはオロチを討ったことを伝えましょう」

 

日和はラダンの頭の先端に立ち、高らかに宣言する。

 

日和「将軍を語る逆賊オロチはたった今討たれました!」

 

オオオオォォォォォ!!

 

「遂に!遂にオロチを倒したぞおぉぉ!!」 「後はカイドウだけだ!!」

 

サムライ達はオロチが討たれたことに沸き上がり、次はカイドウと声をあげていた。

 

日和「この勢いのままカイドウも討ちます!海を渡る方法はまた神の御使様に乗り渡ります!」

 

「急いで乗るぞ!」 

 

サムライ達は急いでラダンに乗り始めた。全員が乗ると

 

河松「目的地は鬼ヶ島!カイドウの根城でございます!」

 

河松の声を聞いてラダンは進み始めた。

 

 

場所は移って鬼ヶ島。

 

「カイドウ様!」

 

カイドウ「どうした」

 

「ワノ国の将軍オロチが謀反で討たれました!謀反を起こした者たちは勢いのままこちらに向かって来ています!」

 

カイドウ「来たか。迎撃の準備をしろ。ただし最低限だ」

 

「さ、最低限ですか?」

 

カイドウ「あぁ、最低限だ」

 

「わ、わかりました!」

 

カイドウの部下はそう言って下がっていった。

 

「遂に来ましたね」

 

カイドウ「こちらの被害が小さくなるようにするには俺と大看板の三人だけで対応することだ」

 

「だから最低限なんですね」

 

カイドウと部下が話していると

 

ヤマト「バカ親父!」

 

カイドウ「何事だ」

 

ヤマト「聞いたぞ!オロチを討った奴らが来ているってな!」

 

カイドウ「それがどうした」

 

ヤマト「ワノ国はおでんの故郷、戦うな!」

 

カイドウ「お前の一存で決められん。それにこれはラダンの作戦だ」

 

ヤマト「ラダンの……?」

 

カイドウ「そうだ」

 

カイドウはヤマトに作戦の全容を伝えた。そして実際に戦うのはラダンとカイドウ、大看板の三人だけという事も。

 

ヤマト「なるほど!ワノ国のためにか!さすがラダン!」

 

カイドウ「他言するな」

 

ヤマト「当たり前だ!ラダンの作戦だもん」

 

「随分ラダン殿に懐いていますね」

 

ヤマト「ラダンは僕のおでんと同じ憧れだ!」

 

「そうですか。ちょうどいいですし、今伝えましょう」

 

カイドウ「確かにな」

 

ヤマト「なんのことだ?」

 

カイドウ「率直にいうとお前とラダンの婚姻だ」

 

ヤマト「ぼ、ぼぼボクとラダンの!?///」

 

「いくら男として過ごしていても中は女の子。ラダン殿を見る目は乙女のそれでしたよ?」フフフ

 

ヤマト「だ、だけど……///」

 

「いいじゃないですか。好きなのでしょう?」

 

ヤマト「///」コクン

 

「なら、決まりですね」

 

カイドウ「この作戦に協力するかわりこちらの要求を聞いてもらうことになっている。それがさっきの婚姻だ。だが、ヤツは世界を回る事が目的だ。誰かを連れて行く事もないだろう」

 

「だからいわゆる現地妻っていうやつね。それで、どうですか?」

 

ヤマト「…なかなか会えないのは嫌だけど……ラダンが会いに来てくれるのなら…///」

 

カイドウ「なら決まりだ。作戦の後に詳しいことを決める。それまで出てくるな」

 

ヤマト「親父に指示されるのは嫌だが、わかった」

 

ヤマトは嫌な顔をして部屋から出ていった。

 

 

一方、ラダン達は鬼ヶ島に上陸した。上陸とともにサムライ達と日和達はラダンから降りた。

前方には百獣海賊団が隊列を組んでいた。そしてカイドウに大看板の三人、火災のキング、疫災のクイーンそして旱害のジャック。

幹部クラスの真打ちは居ない。因みに、作戦を知っているのはカイドウに大看板、カイドウの秘書的立場の部下(オリジナル)とヤマトだけ。

 

日和「遂に、ですね……」

 

河松「ラダン殿が上手くやってくれます。我々は見守りましょう」

 

アシュラ「そうです。姫さまが信じなくて誰が信じるんですか」

 

康イエ「ラダンからはおでんに似た何かを感じる。ここは堂々といよう」

 

日和「そう…ですね。ありがとうございます」

 

康イエ「何、当たり前の事をしただけだ」

 

日和「(ラダンさん。お願いします……)」

 

日和は静かに祈る。

 

嵐の前の静けさを纏っていた戦場は

 

カイドウ「ウオオオォォォ!!」

 

ピシャァンッ

 

雷が落ちるとともに、カイドウは龍に変身し、動き出した。キング、クイーン、ジャックがそれぞれプテラノドン、ブラキオサウルス、マンモスに変身し突撃した。

 

日和「お願いします!大蛇様!」

 

ラダン シャララアァァァァァァァ!!

 

日和の声でラダンも突撃した。

先に攻撃を仕掛けたのは空を飛ぶというアドバンテージを持っているキングだった。

 

キング「堕ちろ!」 ドゴオォンッ

 

キングはその強靭な脚力でラダンの頭に踵落としをするが

 

ラダン シャララァァ

 

ラダンはびくともしなかった。キングが驚きで固まった隙を突いてラダンはキングを咥え、高速で投げた。

 

ガアアァァァンッ

 

「キング様!!」

 

数十メートル投げ飛ばされたキングは変身が解かれ気絶していた。

次に仕掛けたのはクイーンとジャックの同時攻撃だった。

 

クイーン「キングがやられた!同時に仕掛けるぞ!」

 

ジャック「了解!」

 

だが、ラダンはクルッと周りその遠心力で尻尾で横に払った。反応できなかったジャックは飛ばされキング同様変身が解かれ気絶していた。

クイーンは間一髪跳んで避けるが

 

ラダン『(蛇王龍の咆哮!)』

 

空中で逃げ場のないクイーンをラダンの青いブレスが襲った。他の二人同様クイーンも吹き飛び、変身が解かれ気絶していた。

 

「い、一瞬で大看板がやられた……」 「なんなんだ、あの大蛇……」

 

百獣海賊団は大看板が一瞬でやられた事に唖然としていた。逆にワノ国の方は

 

「最高幹部三人が一瞬でやられたぞ!」 「これなら行ける!」

 

一瞬で最高幹部三人を倒した事に歓声をあげていた。

残ったのは青い龍のカイドウのみ。

 

カイドウ『(あの時はブレスを選んだから一発でやられたが、今度はそうはいかん)』

 

カイドウはラダンに向けて突撃した。

 

ラダン『(そうくるか)』

 

ラダンもそれに応えて突撃し、頭突きした。その影響で爆風が発生した。さらにお互いの覇王色の覇気もぶつかり、百獣海賊団の下っ端とサムライの大半は気絶した。

 

バチバチバチッ

 

河松「グッ……流石に風がきついですね……」

 

アシュラ「あの巨体同士がぶつかりゃ、そうなる」

 

頭突きに押し合いでラダンが押し勝ち、カイドウは後ろに吹き飛ぶ。吹き飛んだカイドウはラダンに向けて炎の弾複数はき、ぶつける。

 

ドオオォォンドオオォォン

 

しかし、ラダンには全く効かなく、高速でカイドウに近寄る。そして腕でカイドウにアッパーを見舞う。

 

カイドウ『グッ……』

 

さらに尻尾を踵落としの要領で振り落とし、カイドウを地面に落とす。

 

ドガアアァァァンッ

 

さらにダメ押しに

 

ラダン シャララアァァァァァァァ!!

 

ラダンが呼び出した隕石が複数カイドウにぶつかり爆発した。

 

ドッガアアァァァァァァンッ

 

爆発でまった砂埃が晴れると、変身が解かれたカイドウが倒れていた。つまり

 

「やった……のか……」 「あぁ……!カイドウが倒れた……!俺たちの勝利だ…!」

 

「そんな……頭領様が……」

 

ラダン シャララアァァァァァァァ!!

 

ラダンは勝利の雄叫びをあげる。それに続いてサムライ達も勝利の雄叫びをあげる。

 

オオオオォォォォォ!!

 

日和「(ですが、ここからです。ラダンさん。お願いします……)」

 

カイドウ「ぐっ……」

 

倒れていたカイドウが起き上がった。

 

「カイドウが起き上がったぞ!」 「疲弊している今が好機だ!畳かかるぞ!」

 

一人がそう言うとサムライ達はカイドウを討とうと走り出す。しかしラダンが脚でそれを阻む。

 

「な!?何故邪魔をする!」 「そうだ!今がカイドウを討つ絶好の好機だぞ!」

 

ラダン『それはダメです(敬語で喋るのは変な感じだが、今はこのままいこう)』

 

「は……しゃ、喋った……」

 

ラダン『まずは自己紹介をします。私はワノ国を見守る神、アマテラス様の使い、蛇王龍ダラ・アマデュラでございます(勝手に名前を使わせて貰うぞ)』

 

「アマテラス……ワノ国を見守る神……」

 

ラダン『こうして貴方達と共にここまで来ましたが、カイドウを討つのはワノ国にとってよくありません』

 

「何故だ!カイドウによってワノ国はめちゃくちゃにされたんだぞ!」

 

ラダン『たしかにそうでしょう。ですが、カイドウは外への抑止力になります』

 

「抑止……力……?」

 

ラダン『ワノ国の外には海賊がありふれています。百獣海賊団に及ばないにしろ十分脅威な海賊もあります。その海賊への抑止力になります』

 

「だが……」

 

ラダン『アマテラス様も私もカイドウを嫌っていません。確かにワノ国を支配し、自然を汚染しました。ですが、やはりカイドウの抑止力は必要です』

 

「………」

 

サムライ達は黙り込む。そこに

 

日和「蛇王龍様」

 

日和が喋り始める。

 

日和「カイドウの必要性はわかりました。ですが、カイドウを許すことはできないと思います」

 

ラダン『それはそうでしょう。アマテラス様も私もあまり干渉はできませんが、契約をすることはできます』

 

日和「契約……ですか?」

 

ラダン『えぇ、この契約はアマテラス様の絶対の契約、太陽の契約です』

 

日和「太陽の契約……それはどのようなものでしょうか?」

 

ラダン『太陽の契約は絶対の契約。太陽の化身であるアマテラス様に誓うものです。破れば命はないでしょう』

 

日和「では、その契約が有れば……」

 

ラダン『契約に「ワノ国に危害を加える事を禁ずる」と有ればカイドウがワノ国に危害を加えることはありません』

 

日和「……私はその契約をカイドウと結びたいと思います」

 

「姫さま!?」

 

日和「作戦の前から思っていた事です。カイドウを討った後、この痩せ細ったワノ国に外から来た者への対応ができるのかと。ワノ国は断崖絶壁に覆われて越えるのはほぼ不可能です。ですが、絶対ではありません。もし、略奪など、危害を加える目的できた者が来た場合、私たちに対処が出来るとは思えません」

 

「………」

 

日和の考えにサムライ達は黙り込む。正論である。作戦に参加したラダンはたまたまワノ国にいただけ。本当に神がいて、使いをよこしたとしても、その使いはその時のみである。痩せ細ったワノ国はある程度までは対処できるにしろ。やはり力がない。

 

日和「納得はいかないでしょう。ですが、これはワノ国の未来のために必要な事です。オロチの時と同じ実質カイドウの支配人ならないように契約を決めます。ですから、どうか契約を結ぶ事を許しください」

 

「……カイドウは許せませんが、ワノ国の将来のため、姫さまに従います」

 

サムライ達は納得はしてないが、ワノ国の将来のために渋々同意した。

 

ラダン『契約の調印は行った方がいいでしょう。百獣海賊団の本拠で行いましょう。ワノ国側は私が命をかけてお守りいたします。いいですね?カイドウも』

 

カイドウ「……敗者は勝者に従う。海賊の決まりみたいなものだ」

 

ラダン『よろしい。では、参りましょう』

 

ラダンは頭に日和、河松、アシュラに康イエを乗せカイドウの本拠に向かう。入る時は小さくなりいわゆる総督室に入った。外に聞こえないように結界も張った。

 

ラダン『ふぅ、とりあえずは問題ないはず』

 

日和「お疲れ様です、ラダンさん」

 

ラダン『ありがとう。慣れないかもしれんが、また人化を解くにはめんどいからこのまま話を進めるぞ』

 

河松「まぁ、一番大変なのはラダン殿ですから」

 

康イエ「所で、ラダン。契約は本当か?」

 

ラダン『神が関わってるのは嘘だが、契約違反の罰はできない事はない』

 

康イエ「……規格外だな」

 

ラダン『よく言われる』

 

カイドウ「その小娘がおでんの娘か」

 

ラダン『そういえば、カイドウは見た事なかったな。光月日和。俺がワノ国に干渉するきっかけの子だ。ほかにおでんの家臣の河童の河松にアシュラ童子。元白舞の大名、霜月康イエだ』

 

カイドウ「大名か。オロチが全員殺したと思っていたが、生き残りがいたか」

 

ラダン『んで、俺としては契約は必要ないと思うが、どうする?』

 

日和「ラダンさんがカイドウを信用してるみたいなので、私も必要ないかと」

 

河松「ううむ……某もラダン殿を信じて必要でござる」

 

アシュラ「ラダンを信じたいが、俺は契約は必要と思ってる」

 

康イエ「俺もだ。保険は必要だからな」

 

ラダン『OK、ならカイドウが破ったら鬼ヶ島、鬼ヶ島にいない場合はカイドウと大看板、幹部クラスの真打ちに隕石が直接落ちるようにする。これは例えカイドウでも生き残れないぞ』

 

カイドウ「元は色々やらかした俺のせいだ。甘んじて受ける」

 

ラダン『協力関係はワノ国からは

 

1、ワノ国に危害を加えない。

2、ワノ国の外からの抑止力になる。

3、工場を鬼ヶ島周辺におさめる。

 

カイドウからは

 

1、資源の提供。作ったものはワノ国にも渡す。

2、鬼ヶ島周辺に島をいくつか生成。

3、ラダンに一つ要求を呑んでもらう。

 

俺からは

 

1、カイドウにワノ国を守って欲しい。

2、何年、何十年かかってもいいからワノ国からカイドウへの恨みを無くす。

3、もし、カイドウへの恨みで攻めたものがいた場合、処遇はカイドウに任せる。

4、百獣海賊団への差別を禁ずる。

 

こんな所か』

 

康イエ「最後の二つはどういう事だ?」

 

ラダン『恨みを捨てきれないものは居るはずだ。カイドウを討つつもりなら自己責任という事だ。カイドウにも自衛権はあるからな。当然、カイドウだけじゃなく百獣海賊団全員が対象だ。最後のは百獣海賊団がワノ国に危害を加えないからと言って、差別したり、横暴をしてはいけないという事だ。カイドウ側への負担が多いにしろ、対等な協力関係を結ぶつもりだからな』

 

日和「ワノ国の負担は恨みを無くす事、資源の提供だけですね。差別はもし起きても恨みを無くす事と同時進行で消せますね」

 

カイドウ「こちらは実質負担はゼロだな。破ったら死ぬから五分ではある」

 

ラダン『俺もだな。要求が何かは知らんが、島ぐらいならどんだけでも作れる。まぁ、バスターコールには対応できんから俺の加護も付与するが』

 

日和「ラダンさんの加護……ですか?」

 

ラダン『そうだ。どんなものかと言うと………』

 

ラダンはマリージョアで救出した者たちが住んでいるアマンデュ島に付与した加護を話した。

 

アシュラ「……これ、カイドウ必要か?」

 

「「「(同じくそう思った(いました))」」」

 

ラダン『だから言っただろ、カイドウは嫌いじゃない。それにヤマトもいるって』

 

カイドウ「ウォロロロロ、ヤマトを気に入ってもらって何よりだ」

 

ラダン『ちょうどいい、要求はなんだ?』

 

カイドウ「こっちの要求はラダン。お前とヤマトの婚約だ」

 

「「「!?」」」

 

ラダン『婚約……?』

 

ラダンが唖然としていると

 

バタンッ

 

ヤマト「バカ親父!遅いから来たぞ!」

 

タイミング良いのか悪いかヤマトが扉を開けて入ってきた。

 

ヤマト「あれ?邪魔しちゃった?」

 

ラダン『いや、俺としてはナイスタイミングだ』

 

ヤマト「まさか…ラダン……?」

 

ラダン『あぁ、そうだ』

 

ヤマト「おぉ!カッコいい!」

 

ラダン『そういえば、この姿を見せるのは初めてだったな』

 

河松「ラダン殿。その少女は?」

 

ラダン『カイドウの娘、ヤマトだ。本人はおでんに憧れて男を名乗ってるがな』

 

アシュラ「なるほど。これがラダンの言っていた一応息子か」

 

ラダン『そういう事だ。んで、カイドウの要求は俺とヤマトの婚約と』

 

カイドウ「そうだ。いいタイミングで来た事だし、丁度いい」

 

ヤマトは顔を赤らめていた。

 

ラダン『ヤマトの意思は?』

 

ヤマト「その……ボクはラダンが嫌じゃないなら……」チョンチョン

 

ヤマトは恥ずかしそうに指をチョンチョンしながら言う。

 

ラダン『俺の目的は世界を見る事で一旦一人で回るつもりだ。なかなか会えないぞ』

 

ヤマト「それでもいい!ボクはラダンが好きになった!会ったときには思いっきり甘える!」

 

ヤマトはそう強く言う。

 

ラダン『………わかった。俺の負けだ。詳しいことは後だ。まずは外の連中に契約成立を言おう』

 

婚約の話は後にしてヤマト以外はカイドウの本拠から出た。日和はラダンの婚約の話が出てからずっと俯いていた。

本拠から出てラダンは元の大きさに戻った。

 

ラダン『契約は成立しました。双方の対等な協力関係が長く続く事を祈ります。カイドウ側は勿論。ワノ国側も契約を破れば罰はあります。それをくれぐれも忘れないでください』

 

そう言うとラダンは光に包まれ、光は空に向かって登った。鬼ヶ島の上にあった雲を突き抜けて光は太陽に向かった。光が鬼ヶ島の上の雲を突き抜けた影響で一ヶ月ほど晴れが続いたとか。ラダンは人化して先にヤマトの所に向かった。

日和達はカイドウと詳しい同盟を決めるためとサムライ達に言いヤマトとラダンのいる部屋に戻った。

 

ラダン「さて、改めて言うと俺は人の部分もあるが龍だ。そのため寿命は果てしなく長い。親父もそうだったが、番ができた場合、その者には強制ではないが半竜になってもらう。俺としては番が先にいってしまってその後何千年も生きるのは辛い」

 

カイドウ「その半竜は何年生きる?」

 

ラダン「さぁ。親父曰く少なくとも五千年以上は生きるようだ。多少は元の種族に引っ張られるかもしれんが、一万年は普通に生きると思う」

 

カイドウ「なるほど…ほかには?」

 

ラダン「体が超丈夫になる。再生能力もあるから普通のことでは死なない。ひどい怪我も3日有れば治るんじゃないか?」

 

康イエ「所でラダン」

 

ラダン「どうした?」

 

康イエ「お主は番は一生ひとりのつもりか?」

 

ラダン「そうしても無意味だと思ってる。弟の一人が1人だけにするつもりだったが丸め込まれて複数いる。多分、うちの家系の男は女に弱いと思う」

 

康イエ「なるほどの。なら日和姫とも婚約してくれぬか?」

 

日和「康イエ様!?///」

 

康イエ「日和姫のラダンを見る目は乙女のそれだぞ」

 

日和「でもラダンさんの前で言わなくても……///」

 

康イエ「今言わなくていつ言うというんだ」

 

日和「あうぅ……///」

 

康イエ「それで、やってくれるか?」

 

ラダン「俺も弱いのかな……日和がいいのならな。ただ、なかなか会えにいけないぞ」

 

日和「その……私はラダンさんが好き……です……父様と母様が亡くなって、いつも悲しくて……河松も私ばかりでドンドン痩せていって……そんなときにラダンさんのおかげで久しぶりに楽しい時間を過ごしました。今はまだ子供ですが、大人になったら迎えに来てくれますか……?」

 

ラダン「あぁ、勿論だ」ナデナデ

 

日和「わわっ、うにゅぅ〜……」

 

ヤマト「あ!ズルい!ボクにも!」

 

ラダン「はいはい」ナデナデ×2

 

ヤマト「わふぅ〜……」

 

カイドウ「これが子供が幸せで嬉しい親の気持ちか……」

 

河松「カイドウ殿にも人の心があったのだな」

 

カイドウ「これでも人間だがな」

 

康イエ「しかし、ラダンを慕う者は多くいそうだな」

 

アシュラ「まりーじょあなる場所から助けた元奴隷の事か」

 

康イエ「それ以外にもいそうだがな」

 

こうしてラダンはワノ国の問題を解決した。まだカイドウへの恨みが残っているが、それは時間の経過とともに無くなるだろう。

花の都は傳ジローのおかげもあって混乱はすぐに止み、いつもの日常に戻った。ラダンの回復魔法で数カ所の土地を豊かな地にしてそこで作物を作っている。オロチが独占していた安全な食料はおこぼれ町にも分けられている。

ほかに鍛治士を訪ねて自身の素材で作った刀を数本、小太刀も数本と太刀を一本作った。刀はどれも大業物に分類されるもので、一本は最上大業物。小太刀は全て大業物。太刀も最上大業物である。大業物の刀一本と小太刀一本をワノ国に献上した。刀はヤマトに小太刀は日和に護身のために。ほかに剣から斧に姿を変えるチャージアックスにスラッシュアックスも作った。二つとも最上大業物に分類される。

その後に鍛治士に設計図を渡したが、鍛治士達は頭を悩ませながら五年後にやっと試作品を作ったとか。

ラダンはその後二週間滞在してワノ国から出発した。ラダンが出発するまで日和とヤマトはずっとラダンにくっついていた。

 

後のワノ国にはこんな伝説が残ったと言う。

 

『かの大蛇はワノ国を見守る神、アマテラスの使いで、逆賊オロチと明王を降し、明王にワノ国と対等な同盟を結ばせた。その者の名は蛇王龍ダラ・アマデュラ』

 

ワノ国の外の御伽噺に似たようなものだった。




今日はここまで。
まさかここまで長くなるとは思わなかった。
日和とヤマトが主人公と結ばれました。カイドウに少し心境の変化があったようですね。ヤマトと仲の良い親子になればいいですね。
次回は妹のシュガーと逸れたモネとの出会いです。アマンデュ島で保護するつもりです。
次回、妹と逸れた姉
お楽しみに〜

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