海賊な蛇王龍様   作:エルにー

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今回は魚人島の国王と王妃との邂逅。千年竜との語り。くいなの転落死を阻止の三本立てで行きます。


14ジャオ 魚人島と千年竜そして剣豪を目指す少女

ラダンがタイガーと共にコアラを故郷に送り届けてから10日ほど。

 

プルルルルルル プルルルルルル

 

ラダン「電伝虫か」

 

ラダンは電伝虫を取り出して電話に出た。というかこれは電伝虫と呼べるのだろうか?なぜなら電伝虫に鱗が生えているし、背中の甲羅はなくダラ・アマデュラの扇刃が付いている。目も爬虫類の瞳孔が縦に開いている目をしている。

 

ガチャ

 

?『よう、ラダン』

 

ラダン「その声は……タイガーか!あの後どうだったんだ?副作用はなかったか?」

 

タイガー『あぁ、後遺症も副作用もなかったぞ。今は元気だが国王から大事をとってしばらく療養するつもりだ』

 

ラダン「それはよかった」

 

タイガー『それでだ。国王のネプチューン様と王妃のオトヒメ様からお前に会いたいと言われてな。俺も是非お前を魚人島に招待したい。お前まだ魚人島に来たことないだろ?』

 

ラダン「たしかにねぇな。魚人島は外界と壁を作ってる感じだからな。それに俺は魚人に変化出来ないし」

 

タイガー『確かにな。人間ではないと証明するために龍の状態で来てくれ。魚人島全域にお前の事を知らしめるためにもない』

 

ラダン「わかった。明日の朝に着くようにする」

 

タイガー『わかった。楽しみにしてるぞ』

 

ラダン「俺もだ」

 

ガチャ

 

ラダン「さて、話すことも多いだろうし2日は滞在すると考えた方が良さそうだ」

 

ラダンはそう呟いて魚人島の方面に飛んだ。

 

 

途中、シャボンディ諸島によってシャッキーとレイリーと少し話したラダンはレッドラインの頂上にいる。

 

ラダン「せっかくだ。この高さから飛び込みをしてみよう」

 

ラダンは人化を解き、龍の状態になった。そしてそのまま海に向かって頭から落ちた。

 

ザパアアアァァァァンッ

 

海に飛び込んだ影響で跳んだ水飛沫はレッドラインを超えた。さらに発生した高波はシャボンディ諸島にまで届いた。

 

ラダン『(あまり息苦しくないもんだな)』

 

ラダンはそう思いながら真下に泳ぎ続ける。

 

 

泳ぎ続けて十数分、海底1万メートル。魚人島のある場所に辿り着いた。

 

ラダン『おぉ……海の底にこんな美しい場所があったのか……これは親父達にも見せたいぜ。さて、あそこが入り口か?とりあえずあそこに向かおう』

 

ラダンはそのまま入り口らしきところに向かって泳いだ。近づいていくと人が集まってるのが見える。

円形の入り口を通り水から顔を出すと

 

「すげぇ……本物だ!」 「あんなに巨大なのか!」

 

魚人に人魚と人魚が集まってラダンを見ていた。

 

ラダン『(どうすればいいんだ?)』

 

そう困惑していると

 

?「来たか、ラダン!」

 

ラダン『言った通り来たぞ、タイガー』

 

「おぉ、こんな感じの声なのか……」 

 

タイガー「その姿だと色々不便だろう。龍形態を見せたし人化していいぞ」

 

ラダン『助かる。小さくなれるが、国王に会うのならこの姿がいいだろう」

 

「手配書通りだ……だが、人間の姿なのに人間と感じないな」 「龍の状態を見たからじゃない?」

 

タイガー「国王と王妃がお待ちだ。ついてこい」

 

ラダンは先に行くタイガーについていく。

ラダン達はそのまま国王と王妃のいる竜宮城に着いた。二人は扉の前に止まる。

 

タイガー「この奥に国王と王妃がいる。お前にとってさして問題ではないが、無礼のないように頼む」

 

ラダン「当然だ。王族に無礼を働いて魚人島に睨まれたくない」

 

それ聞いてタイガーは笑みを浮かべ扉を開けた。

中には巨体の下半身魚の髭がモジャモジャの男に、その隣に一見人間に見える羽衣を来た女がいた。二人とも玉座に座っていた。他に男の左隣にナマズの魚人が、女の右隣にはタツノオトシゴの魚人が立っていた。

 

?「初めましてじゃもん。私はネプチューン。この魚人島の王じゃもん。ワシの左にいるのが左大臣、反対側にいるのは右大臣じゃ。そして」

 

?「私は王妃のオトヒメです」

 

ラダン「俺はクラネル・ラダン。知っての通り禁忌のラダンと言われている。以後、お見知り置きを」ペコ

 

ラダンはそう自己紹介をして頭を下げる。

 

ネプ「じゃももも。頭を上げてくれ。ワシはお主に礼を言いたいのだ」

 

ラダン「礼?」

 

ネプ「そうじゃもん。3年前にフィッシャータイガーと共に聖地マリージョアを襲撃し、囚われていた全ての奴隷を解放した。その中に魚人島から攫われた者は少なくない。他に10日前にフィッシャータイガーを救ってくれたことも感謝している」

 

ラダン「マリージョアの件は俺が許せなかっただけだ。タイガーも友人だから助けたまで。礼を言われたくてやった訳ではない」

 

ネプ「それでもじゃ。さらに言うとお主。ここ三年囚われていた人魚を助けてくれたのだろう?行方知らずだった者達は皆同じ特徴を述べている。黒髪で黒目。青い不思議な力を使うとな」

 

タイガー「そんなことが……!」

 

事情を知らなかったタイガーはラダンの方を見る。

 

ラダン「弱ったな……偶然気配を感じて解放しただけだ。遠かったりしたから魚人島の真上まで運んだりしたが」

 

オトヒメ「あなたのおかげで行方不明だった殆どの人が帰ってきました。本当にありがとうございます!」ペコ

 

ネプ「ワシからも感謝する!」ペコ

 

「私からも感謝する!」ペコ 「私からもです!」ペコ

 

魚人島のトップが一人に頭を下げている。普通じゃ考えれないことだ。それほど人魚や魚人が攫われる事は問題だったのだ。

 

ラダン「頭を上げてくれ。さっきも言ったが礼を言われたくてやった訳じゃない。俺がやりたくてやっただけだ」

 

四人は頭を上げる。

 

ネプ「じゃももも。お主は変わった龍じゃの」

 

オトヒメ「龍ということ自体疑いたくなりますね」

 

ラダン「まあ、この世界に知性を持った龍はいないだろうしな。千年竜というのが存在すると聞いたが、未だに会ったことないしな」

 

ネプ「じゃももも。そうかそうか。堅っ苦しいのはやめじゃ!せっかくだお主の事を聞かせてくれまいか?」

 

オトヒメ「それは私も聞きたいわね」

 

「この王は……」 「まぁ、いいじゃありませんか」

 

右大臣と左大臣が気になるが、ラダンはネプチューンとオトヒメに自分の事を伝えた。

 

ネプ「なるほどの。見聞を広めるためにこの世界に放り込まれたと」

 

ラダン「大体そんな感じだ。嫁探しの一環もあるだろうけど」

 

ネプ「ふむ、嫁探しとな?」

 

ラダン「理屈はわからないが、俺達龍は他の世界に行くと百年の間認めた相手を半竜にできる。もちろん相手の同意で。メリットは寿命だ。少なくとも五千年は生きれる。上限は分からん」

 

オトヒメ「確か聞いたことのある竜は寿命は途方もなく長いと聞いたことがあります。そういうことでしょうか?」

 

ラダン「その通りだ。半竜のシステムは番になるべく自分と長くいるためのものだ。まぁ、親父は親父の弟の叔父などにも使ったが」

 

ネプ「なるほどの……因みにお主は?」

 

ラダン「今の所候補が3人だな」

 

オトヒメ「意外にモテるのですね」

 

ラダン「どうだろうな」

 

その後、1時間ぐらい喋った後にネプチューンから「是非子供達にも会ってくれ」と言われて4人の子供に会った。男の子3人に末っ子に長女の女の子。長女が兄よりデカいのが不思議だった。この子どうやって産まれたんだ?

昼をご馳走になって、午後は子供達の遊びに付き合った。強請られて人化を解いたりした。あ、勿論大きさは変えたぞ。一晩止まって翌日の午前も子供達の遊びに付き合った。2日目も昼をご馳走になって帰ろうとした。だが、子供達。特に長女のしらほしが泣くわ泣くわ。四人にダラ素材で作ったブローチをあげてまた来ると約束してなんとか泣き止んでくれた。

最後にネプチューン王にオトヒメ王妃、タイガーに俺の加護を付与した。この加護は危険から守ってくれるものだ。タイガーの一件を反省して狙われる3人に加護を付与した。子供達はブローチに加護を付与している。

 

 

そんなこんなで魚人島から出たラダンはいつもより高い高度で飛んでいる。

 

ラダン「あの加護が有れば滅多なことじゃない限り大丈夫だろう」

 

そう考えながら飛んでいると

 

キュオオオォォォォォ

 

ラダン「!鳴き声!?」

 

鳴き声のする方を見ると

 

キュオオオォォォォォ

 

そこに緑色の竜が何体も飛んでいた。

 

ラダン「やっと……やっと出会えたぞ!千年竜!」

 

ラダンは一体の千年竜に降り立つ。

 

ラダン「お前達が千年竜なのか。やっと出会えたぞ」

 

クォォォ

 

ラダン「はは、流石に気付くか。別にお前達を害しにきたわけじゃねぇ。この世界の竜に会いたかっただけだ」

 

キュオォォ

 

ラダン「うぉっ!急降下しないでくれよ。あぁ、降りるのか。なら、少し付いていかせてもらうぜ」

 

ラダンが乗っていた千年竜は分かったのかうなづいて地下の島に降りた。

 

バサッバサッ ストンッ

 

スタッ

 

ラダン「さ、この島に間だけでいい。話をしようか」

 

クォォ

 

他の千年竜も集まって話をした。

 

ラダン「なるほどな。千年竜というのは千年に一度ロストアイランドという場所に行くからそう名付けられたのか。そのロストアイランドは竜の巣でもあり墓場でもある。そして千年竜は死んでまた卵から産まれると。はは、すごい竜がいたもんだ」

 

キュオォォ

 

ラダン「ん?俺の方がすごいだ?産まれた世界が違うからな。親父の住んでいた世界の竜は長くともそこまで生きれないぞ。何体か古代から生きている個体はいるが」

 

クォォォ

 

ラダン「おいおい、ここで家庭の愚痴を言わないでくれよ。構ってくれないなら逆に構ってやれ。親父はそこをうまく使いこなしていたぞ。お袋達を甘えさせたり、逆に甘えたりして」

 

クォォォ

 

ラダン「『思い立ったが吉日。それ以外は凶日』お袋が親父と知り合った時言われた言葉だ。思い立ったら行動しろ。それ以降はうまくいかないって意味だ」

 

キュオォォ

 

ラダン「礼はいい。次の周期に元気な子供が産まれるのを祈ってるぞ」

 

クォォォ

 

ラダン「リーダーも大変なんだな。しかし、リーダーは最年長が務めるのか。あんたは相当生きてるだろ?」

 

クォォォ

 

ラダン「俺よりも上……もうすぐで四千か?だがおそらくお前はその次の周期では……」

 

キュオォォ

 

ラダン「……そうか。分かってるか。怖くないのか?」

 

キュオォォ

 

ラダン「流石に怖いか。だが不思議と次の翼を持つ事を望んでる。か……その感覚は俺にも、親父にも分からないだろうな」

 

キュオォォ

 

ラダン「『そういうものだ』本当にその通りだな。ありがとう。少し勉強なった」

 

キュオォォ

 

ラダン「ありがとうな。楽しい時間を過ごせた。また会おうぜ」

 

キュオオオォォォォォ

 

ラダンが跳び去る時に千年竜全員で咆哮をあげた。まるで「あなたに幸あらん事を」というように。

 

 

あれから数ヶ月、ラダンは最後に東の海(イーストブルー)を飛んでいた。

 

ラダン「最後にここを飛んであそこに行くか……ん?」

 

ラダンは飛んでいるとある島に目がいった。正確には島の山にある建物だ。

 

ラダン「こんな所にもワノ国風の建物があるんだな。そういえばここにきた覚えないな。降りてみよう」

 

ラダンは山に降り、建物のあった方に向かった。建物を見つけ入ると

 

?「何者!」

 

140cmほどの女の子が竹刀をラダンに向けていた。

 

ラダン「勝手に入って悪い。ここの建物が気になって入ったんだ」

 

?「……嘘じゃないみたいね」

 

女の子はそう言って竹刀を下げる。

 

?「くいな。どうしたんだ?」

 

くいな「お父さん。この人が入ってきた理由を聞いていただけよ」

 

?「これはこれは。私はこの道場を営んでいるコウシロウです。こちらは私の娘のくいなです」

 

ラダン「俺はクラネル・ラダン。名前を聞けばわかるはずだ」

 

くいな「海賊!」

 

ラダン「あぁ……そうなっちまうか……」

 

くいなは改めて竹刀をラダンに向け、コウシロウは武器を握ってないがそのプレッシャーはアシュラに準ずるものだった。

 

ラダン「海賊ではない。ただ世界貴族を滅ぼしかけた危険人物だ」

 

くいな「どっちも変わらないわよ!」

 

ラダン「やれやれ。しかし、ここってすごくワノ国に似てるな」

 

ラダンがそう言うとコウシロウの表情に変化があった。

 

ラダン「日和達はどうしてるんだろうな……おこぼれ町がなくなってるといいが……」

 

コウシロウ「何故……あなたがそれを……」

 

ラダン「ワノ国は少しずつ開国に進んでいる。オロチもいないしカイドウは味方だ」

 

コウシロウ「……そうですか……立ってるのもなんですし、中にお入りください」

 

くいな「お父さん!?ワノ国がどうして出てくるのか分からないけど、この人は犯罪者だよ!」

 

コウシロウ「いいから。お父さんを信じなさい」

 

くいな「っ……わかった……」

 

くいなはそう言ってどこかに行ってしまった。

 

コウシロウ「ごめんなさい。色々複雑な年頃なので」

 

ラダン「いや、大丈夫だ。妹達にもああいう時期あったからよくわかる」

 

コウシロウ「ありがとうございます。ささ、お入りください」

 

ラダンはコウシロウに案内されて中に入った。

 

ラダン「つくづくワノ国と同じだな」

 

コウシロウ「そうでしょうね。では、ワノ国の事。お話願いますか?」

 

ラダン「当然だ」

 

ラダンはコウシロウにワノ国であった事を話した。日和は無事でカイドウはもう敵じゃない。オロチはもういない事。最後に日和とカイドウの娘であるヤマトと婚約関係である事。

 

コウシロウ「なるほど。色々あったのですね」

 

ラダン「あぁ、本当にな。だが、日和が笑えるのなら軽いものだ」

 

コウシロウ「姫のことお願いします」

 

ラダン「あぁ、寿命が尽きるその最後の時まで守り続ける」

 

ラダンはそう決意をコウシロウに伝える。コウシロウはそれを聞いて満面の笑みを浮かべる。

 

コウシロウ「さて、うちの道場の様子を見てきますか?」

 

ラダン「そうだな。せっかくだ見学させてもらう」

 

ラダンはコウシロウに案内されて道場のところに向かう。

 

ヤッ ヤッ ヤッ

 

コウシロウ「基本は素振り。大分経ってから試合をする様になります」

 

ラダン「剣か……俺も刀を使うが、流派のない実戦と親父との鍛錬で気づいた我流だしな……それにどちらかと言えば俺は医者だし」

 

コウシロウ「あの実績で、ですか!?」

 

ラダン「初めて大声をあげたな。俺のお袋は医療機関に勤める医師で薬師だ。その影響で俺もその道を修めてる。戦闘もできるがな」

 

コウシロウ「驚きです。まさかあなたほどの強者が医者とは……」

 

ラダン「ま、見えないよな」

 

コウシロウ「所で、試合に混ざりますか?今日は私もやろうと思っていたので」

 

ラダン「なら言葉に甘えようか」

 

コウシロウ「はい皆さん注目!」

 

コウシロウがそう言うと道場内の全員がコウシロウに注目した。

 

コウシロウ「今日は特別ゲストが来ています。名前はラダン。私より強いですよ?」

 

くいな「っ……」プルプル

 

くいなはラダンを殺気の籠もった目で見ている。

 

コウシロウ「まずは誰から行きますか?」

 

くいな「私から行きます」

 

コウシロウ「くいなか、ではラダンさん。お願いします」

 

ラダン「分かった」

 

ラダンはコウシロウから竹刀を受け取り構える。

 

コウシロウ「はじめ!」

 

くいな「ハァッ!」

 

バシッ

 

ラダン「筋はいいな。よく鍛えられている。だが迷いが感じられるな」

 

くいな「っ、知った口を!」

 

バシンッ

 

バサンッ

 

くいな「あ……」

 

コウシロウ「終わり!勝者ラダン!」

 

ラダン「流石に無理があるだろ。俺と試合なんて」

 

コウシロウ「うーん、確かに無理があったね。さて、次に挑みたい人は?」

 

シーン……

 

コウシロウ「いないか……なら私が相手をしよう」

 

くいな「!?」

 

ラダン「お、楽しみだな」

 

コウシロウ「くいな、合図をお願い」

 

くいな「っ、はい……」

 

ラダンとコウシロウは竹刀を構える。

 

くいな「はじめ!」

 

ヒュンッ バキッ!

 

ラダン「あぁ……こうなるか…」

 

コウシロウ「竹刀じゃ仕方がないね」

 

説明しよう!何があったかと言うと、試合が始まったと同時に両者目で見えないスピードで竹刀を振り、竹刀同士が当たったと同時に壊れたのだ!

 

ラダン「真剣ならもっといけると思うがな」

 

コウシロウ「できるでしょうね。さて、早いけど今日はここまで。自主的にやるなら構わないよ」

 

コウシロウはそう言って道場から出て行く。ラダンもその後を追う。

 

 

時は飛んでその日の夜。夜の散歩に出かけようとしていると

 

きゃあぁぁぁ

 

ラダン「!」

 

悲鳴が聞こえたラダンは急いで悲鳴のする方へ向かった。そこで見たのは階段から落ちているくいなだった。

 

ラダン「危ない!」

 

ドサ ドンッ

 

ラダン「な、なんとか受け止めれた……」

 

ラダンは間一髪くいなを受け止めて仰向けで倒れていた。

 

ラダン「大丈夫か?」

 

くいな「え……あ……あ、ありがとう……」

 

ラダン「ここの階段の構造上危ないから次から気をつけてくれよ」

 

くいな「うん……」

 

ラダン「(昼の時の威勢はどこいったんだ?それとも何か悩んでいるのか?)何か悩んでいるのか?」

 

くいな「っ、あなたには関係ない……」

 

ラダン「聞くぐらいいいだろ。誰かに話して楽になれることもあるし」

 

くいな「っ……なら……少し……」

 

纏めると、くいなは世界一の剣豪になるのが夢のようだ。しかし、女という性別が邪魔をしている。男のように筋肉はつきにくく、胸も大きくなってきてるからそれも邪魔。

 

ラダン「なるほどねぇ。俺の知ってる強い女は多いけどな。例えば三皇……今は四皇か。四皇ビッグマムとか。姉貴に俺は勝てねぇし」

 

くいな「それはあなたが……」

 

ラダン「特殊……だろ。確かにそうだ。手配書の通り、俺は龍だ。だがそれはお前の夢に関係あるか?」

 

くいな「それは……」

 

ラダン「この世界には覇気というものがある。覇気は凄くてな、それを使いこなせるものは例え非力でも軍艦一隻を真っ二つにできる」

 

くいな「覇気……」

 

ラダン「教えようか?」

 

くいな「お願い……私にその覇気を教えて!」

 

ラダン「あぁ、わかった。けどその前に、どいてくれないか?」

 

くいな「え、あ、ご、ごめんなさい!///」

 

ラダン「とりあえず明日の朝、北の海岸で待っているぞ」

 

くいな「うん……///」

 

その後、ラダンは少し散歩をして眠りについた。

翌朝

 

ザアァァァ……

 

ラダン「来たか」

 

くいな「うん」

 

ラダン「コウシロウに門下生がいるのは予想外だがな」

 

コウシロウ「あはは、君がくいなに教えるものが気になってね。この子はゾロ。道場で一番素質がある子だよ」

 

ラダン「なるほどな。まぁいい。まずは覇気についてから教える。覇気は人間誰しもが持っている。だが発現できるのはごく一部だけだ。大いなる航路(グランドライン)の後半、新世界にいるやつは大抵これを使える」

 

くいな「ごく一部……」

 

ラダン「覇気には二つある。一つ目は見聞色。これは気配を感知して避けるものだ。極めると未来が見えたり、遠くの気配がハッキリとわかったりする。二つ目は武装色。薄い鎧を纏う感じに使う。これを使うとロギア系の能力者でも攻撃できる。さらにこれは武器に纏うこともできる。この武装色を纏うだけで……」

 

ラダンは刀に武装色を纏ってゆっくり振り下ろす。刀を振り切ると

 

ザアアァァァンッ

 

目の前の海が遠くまで割れた。

 

ラダン「今回はこれを教える」

 

くいな「お願いします!」ペコ

 

ラダン「まずは……」

 

ラダンはくいなにレイリーに教えてもらった事をくいなようにアレンジして教えた。

 

 

くいなに覇気を教え始めてから一週間。

 

くいな「……」

 

シュウウゥゥン

 

ラダン「すごいな。まさか一週間で武器を黒刀化できるとは……」

 

くいな「ふう……どう?上手くできたと思うけど……」

 

ラダン「あぁ、完璧……と言いたい所だがまだムラがある。だが、筋はいい。そのまま鍛錬を続ければ剣豪になるのも夢じゃないぞ」

 

くいな「うん!」

 

ラダン「さて、コウシロウのところに向かうか」

 

ラダンとくいなはコウシロウのところに向かった。

 

コウシロウ「あら、くいなにラダンさん。どうしたんだい?」

 

ラダン「くいなの修行は終わりだ。残りはくいな自身が極めればいい。俺はそろそろ行こうと思ってる」

 

くいな「えっ……」

 

コウシロウ「そうか……残念だけど君を引き止めるわけにはいかない。くいなのことありがとう」ペコ

 

ラダン「頭を上げてくれ。俺はただ……」

 

くいな「ヤダ……」

 

ラダン「くいな?」

 

くいな「ヤダ!まだ居て!わたしにもっと教えてよ!」ギュッ

 

コウシロウ「くいな、よしなさい。ラダンさんはラダンさんのやる事があるんだ」

 

くいな「ヤダ!もっと一緒にいてよ……」ポロポロ

 

ラダン「はぁ……また来る。それじゃダメか?」

 

くいな「絶対?」ナミダメ

 

ラダン「約束する」

 

くいな「その時は妻にしてくれる?」

 

ラダン「お前もかよ……前にも言ったが……」

 

くいな「それでもいい!」

 

ラダン「……いいんだな?」

 

くいな「うん!」

 

ラダン「……わかった。その時にな」

 

くいな パァァ

 

くいなは満面の笑みを浮かべる。

 

ラダン「なんかすまんな」

 

コウシロウ「ははは、別にいいよ。ただ、くいなを悲しませたら許さないよ?」

 

ラダン「当然だ」

 

コウシロウ「うん、ならよかったでは……」

 

ゾロ「くいな!」

 

コウシロウが喋ろうとするとゾロが入ってきた。

 

コウシロウ「どうしたんだい?ゾロ」

 

ゾロ「えっとだな……くいな!その刀を俺をくれ!俺はその刀で剣豪を目指したい!」

 

くいな「この和同一文字を?」

 

ゾロ「あぁ!」

 

くいな「……いいよ」

 

ラダン「いいのか?」

 

くいな「うん、けど代わりにラダンの刀を頂戴」

 

ラダン「そうくるか。たく、こいつめ」ワシャワシャ

 

くいな「きゃああぁぁ」

 

ラダン「とりあえず、ほら。ワノ国で作った和同一文字と同じ大業物だ」

 

くいな「ありがとう!はいゾロ。大事に使ってね」

 

ゾロ「当たり前だ!」

 

ラダン「この刀に銘はないが、どうする?」

 

くいな「そうね……秧鶏……どうかな?」

 

ラダン「秧鶏(くいな)……あんな甲高い音はしないが、いいな。俺の作った刀に自分の名前をつけてくれるとは嬉しいぞ」

 

くいな「う、うん……///」

 

ラダン「それじゃぁ、くいなもゾロも剣豪になれるのを祈ってるぞ」

 

「「うん(あぁ)!」」

 

ラダン「それじゃぁ、俺はもう行く。また会おうぜ」

 

コウシロウ「えぇ、またいつか」

 

ラダンは3人に別れを告げて飛び去った。

 

ラダン「一人でこの世界は見て回ったな。ラフテルには行ってないが、あそこには仲間と行きてぇな。さて、あそこには向かうか」

 

ラダンは大いなる航路(グランドライン)にあるとある島に降りた。そして人化を解き

 

ラダン『(何年後か知らないが、また会おうぜ、みんな)』

 

ラダンはそう心の中でつぶやいて山を掘り始め、中に入りきると出口を塞いだ。

 

ラダン『(また会った時皆はどれくらい成長してるだろうな……)』

 

ラダンはゆっくりを瞼を閉じ、長い眠りについた。

 

 

 

ラダンが目覚めるまで、

 

 

 

 

 

 

後九年

 

 

 




やっと序章が終わりました。
三本立てだったので九千字近く行きました。序章が終わったと同時にヒロインも締め切りにします。
確定したヒロインはくいな、ナミ、ニコ・ロビン、ヤマト、光月日和、ボア・ハンコック、モネ、カリーナ、レイジュになります。
しらほしをヒロインにという意見もありましたが、体の大きさ的に無理です。強いて言うなら兄的存在ですね。
次回はアマゾン・リリーで眠っているとルフィの無意識に放った覇王色の覇気で目覚めます。
ついでにハンコックもヒロインに……
次回、蛇王龍の目覚め。
お楽しみに〜

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