本官、異世界で署長になりました!   作:劉鳳

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第12話 人間とは意外と変わるもの也

 

 

俺は木尾田の現在を聞きながら色々とイラついていた。山田もそんな俺のイラつきに感ずいたのか問いかける。

 

『康江ちゃん、この状況をもし知ったらどう思うかな…』

 

『康江ちゃん失望すると言うか失意のドン底に突き落とされるかもな……氷のロリータとあだ名される程に仕事に打ち込んだ理由、木尾田と真剣に愛しあってたからなんだよ、故に本官イラっと来ております!』

 

『しっ、仕方無いだろう!まさか異世界に行って第二の人生を歩んでるなんて誰が想像するよ?』

 

まあそうだけどよ……俺は木尾田の現在を山田から聞いているうち、仕方無いと言う気持ち以上に、やっぱりムカついていた。異世界に来て結婚してジュニアがいてパパになってる?確かにこっちの世界に来た以上次の恋ってのは分からんでもないが、それはそれとして

 

『未練とか無かったのかあいつは?』

 

『それがスッパリ……男は女より未練たらしな生き物の筈なんだが、あいつは康江のやの字も口にはしなかったよ……』

 

木尾田、今度もし会う時はその辺話ししたい、いや、尋問だ!吐くまで帰さん!

 

『清蔵……そう言うお前も意中の人がいたんじゃ無いのか?』

 

『亜由美さんは俺の片思いで終わったよ。ここにいるテイルちゃんにしっかりとそう行ったし、俺のヘタレな恋のエピソードも話したさ。あいつはちゃんと奥さんに話したのか?』

 

『いや……あいつは奥さんの前でその事を言う事はなかったな。と言うか清蔵達はオープンなんだなその辺り。』

 

当たり前よ!片思いで特にくっつく事がなかった元の世界と違い、テイルちゃんは手作り弁当を作って貰ったり、昨日初めてだったけど、その……ナニにまで及んだりしたからな。木尾田は当時小学生だった康江ちゃんと付き合い肉体関係まで行っておいてそれだから余計に頭くんだよ!

 

『しっ、しかし随分と前に出るようになったな清蔵、俺達と違って良い感じに変わったと言うか……』

 

『警察官として、一人の雄として漸く生きる道を見つけた、それだけなんだけどね。でもそれを言うなら山田も一緒だな。こっちで可愛い奥さんと出会ってまた警察官やってんだろ?』

 

『名称は保安官になったけどな……それにしてもお前が署長か。上手く行くだろうな。』

 

え?いやいやいや、俺が署長だから不安なのよ!何でそう思うんだろ?

 

『お前の指導法、向日葵署の署長の受け売りだと言ってるけど、きちんとお前の特色が出てるじゃないか。人を妄りに怒らず、叱責は声を荒げず冷たくせずに諭すように言う……お前と初めて話した時と同じだ。』

 

……そうかな?俺自身としては余り自覚は無いな。ただ、俺は人に怒られるのも怒るのも嫌なだけよ。何と言うか嫌われる勇気ってのが無いだけさ。だから指導者としては若葉マークも良いとこよ。上に立つ者は時に嫌われる勇気、いや、覚悟がいる。それは何かあった時は先頭に立って責任を取るって事。俺はまだ嫌われる覚悟ってものが出来て無いし、やっぱり好かれたいよ。頭お花畑なんじゃね?と笑われるだろうけどね。でも俺は、そうやって生きて行く事を選んだ。周りが優秀なのばっかってのは向こうでもこっちでも相変わらずだけどさ、今は俺が粗末ながら指導する立場になってる。

 

『何にしても山田、俺は俺達のいた世界の警察組織としての立ち振る舞いや流儀をナハト・トゥに広めたい。だから先にこの世界で生きているお前さんの教えを乞うたい。』

 

 

一方その頃、ナハト・トゥ警察署の会議室では、射殺すような眼光でワフラ・キスケの両名がシシの報告を聞いていた。ナハト・トゥに巣食うギャング〔コーリン〕のアジトとされる場所において指名手配犯の元町長秘書ボッラクと首領であるカマリタ、残る構成員三名の動きと会話の内容をシシは紙にまとめていたそれを読み上げた。

 

『1週間後、やつらはそげん言ったか?』

 

『はい、間違いありません。』

 

ワフラは強面の顔を更に険しくしながら、シシの返答に頭を抱えそうになるのを堪えた。それはキスケの方も同様で、二人は警察創設以来最大の危機を痛感していたのだ。清蔵の改革により、悪党の命を出来る限り殺さずに捕まえ、更正させる事を主眼において来た。現に構成員だった者達の多くは感謝すらしていたのだ。しかし、今度の相手はそれが出来るかどうかと言う名の知れた悪党である。もし仮に殉職者を出そうものなら、甘ちゃん署長にその責を受け入れられるだろうか……二人はそう考えていた。

 

『あん人は甘か。この町、ひいてはこの世界の現状を知らな過ぎじゃきぃ、あん人がおらん今、カマリタは総員で殺しにかからにゃだ。』

 

『清蔵さんには悪いが、あの悪党はそん位の覚悟が無ぇなら絶対に殉職者が出る!』

 

二人はそう決めてシシに命令を出そうとする。だが、シシは手で制しながら二人に反論する。

 

『ワフラ警視、キスケ警部……俺は生け捕りに拘ります。確かに相手は凶悪極まりない悪党であります。しかし、俺は署長の教えをあくまでも守ってこそだと思います。巡査の身分でこのように言うのはおこがましいとは自覚していますが、何卒、何卒お願いします!』

 

シシは必死な言葉と表情で二人に訴えた。自分に新しい道を示してくれた清蔵の好意に報いたいと。目の前にいる二人は自分なんかよりもカマリタの恐ろしさを知っているだろう、しかしそこは清蔵の恩義に応えたいと言う思いの方が強かった。青臭い小僧の願い、聞いてはくれないかも知れない。それでもとシシは訴え続けた。

 

『シシ巡査、顔を上げぇ。』

 

ワフラとキスケは険しい顔を解き、シシの肩を叩く。叱責する時の鬼の顔ではない、キリッとした二人の表情にやや萎縮しながらも、二人から視線を離さず見つめた。

 

『出来る限り生け捕りの方向、それで行く。そん代わし、お前ぇら若ぇもんに死者が出るようならばカマリタをその場で処分する。シシ巡査、巡査部長級以上を全員呼んでこぉ!会議じゃ!』

 

『……っ!了解しました!』

 

 

 

あれからどの位の時間が経過したのだろう、俺と山田は話し続けていた。人口二百万の大都市サカサキで保安官、しかもその長にまでなった男の話は、何よりも実りあるものだった。サカサキの保安部は、言うなれば大都市の警察本部を模していると言う。俺は大都市の署がどんなものかは実感が無いものの、警察学校の授業の時に警視庁の本部についての機構内約を見た事があった。人が密集する大都市となると、警察の部や課はかなり多岐に渡る。例えば警視庁の刑事部(ドラマで良く見る刑事ね)は総務課と捜査一課から四課と機動捜査隊、鑑識課がある。地方の小都市の所轄署だと課がそんなに無い上、うちのように掛け持ちに近い事してる所もあるけど、山田の所は少なくとも大阪府警察本部並との事だった……規模がデカイな。

 

サカサキは特に殺人と組対課が活発らしい。治安はそれでも他の都市に比べて良いと聞いたけど、その手の課が活発って事は、やっぱりとんでもない脅威との戦いが待っているんだと感じた。警察学校で幾らかは運用や形態を学んだつもりだった俺は驚きの連続だった。山田はこっちの世界においても、公安に当たる組織を独自に作っていた。他の国なら秘密警察に当たるのだろう公安は、国の転覆をはかるテロ組織やカルト集団を取り締まる為にある、国そのものの治安を守る組織なのだけど、同じ警察官である俺らと連携は取りつつも、秘密秘密秘密(だんまり)のオンパレードで、地方の所轄署である俺達ですら余り快くは思っていない(尤も、ドラマであるような極端なギスギスした感じでは無い)。だから山田が公安に行くと聞いた時は偉いなと思ったのと同時に少し嫌な気分になったよ。

 

『……どういう経緯かは知らないけど、山田が保安官の長にまで上がり、日本流の警察のノウハウを教え、あまつさえ公安まで立ち上げたって事か。木尾田の死から変わったと感じていたけど……木尾田が生きている事が分かってからも、引き摺ってたのか?』

 

『引き摺って無いとは言い切れんな。木尾田の死の後、公安に行ってから様々なテロリストやカルト集団の実態を見る事になったよ。そこで俺は、組織を操る者達の醜さや狡猾さを嫌と言う程見せつけられた。それは公安を入れた警察そのものも含めてな。俺は組織の改革をしたかった。この世界でその指標を作れればと……』

 

山田の目は、その時だけ薄ら寒さを覚える程冷たかった。公安は時にテロリストの情報を得る為に相手方の末端の連中と仲良くなって手足に使うと言うのは割りと聞いていたが、逮捕の為とは言え犯罪者の力を借りる事は奴の正義感からすれば唾棄すべきものだったんだろうな。あいつがあんな目をするなんて。

 

『公安を作った経緯は簡単さ。異世界に行っても、公安の取り扱うような案件がわんさかだっただけだ。尤も、俺は元の世界の公安と言うものに所属したから大嫌いになった。だからこっちではオープンな情報共有と他の保安官と衝突しないよう釘を刺しているがな。少しでもクリーンな警察を……俺は元の世界のような腐りに腐った組織にだけはしない、と考えている。』

 

 

クリーンな警察か……県内の所轄署の中でも向日葵署はそれに近い事をしていたな。しかし山田は大都市でそれを為そうとしている。俺も、負けてられないな。

 

『山田、こっちの世界に盆正月のような習慣が存在するかは知らないけど、そのうちナハト・トゥにも遊びに来てくれ。良い所だぜ?まあお前さんが来るまでに追っているギャングの頭領を検挙せにゃだけど。』

 

『ああ、約束する。次に会う時は、そうだな……あいつも……連れて来るよ。』

 

 

 

『せぞさん、ちょっと元気が戻って来たね♪』

 

山田と対面している間、珍しく黙っていたテイルちゃんが宿に戻る帰り際にそう言って笑った。よっぽど昼までの俺が思い詰めてるように見えたんだろうな。でももう大丈夫。山田、そして今日はまだ会わなかったけど木尾田の二人共にこの世界で生きている事が分かっただけでも十分さ。

 

『ふふっ、何か何時も以上に元気になったよ。まあ俺はテイルちゃんが側にいてくれるだけで幸せだけどね。』

 

『ありがと♪せぞさん!』

 

テイルちゃんがそう言うと俺の頬に口付けをしてくれた。嘗ての俺から(〇ね!リア充)と言う声が聞こえてきそう。

 

『ねぇ、せぞさん。』

 

『ん?どうしたの?』

 

『今夜もその……する?』

 

答えを聞くまでもなく俺のムスコはいきり立っていた。でも流石に二日連続はちょっと……

 

『いいですとも!』

 

だから台詞違うぞ唇!セッ〇ス覚えたての小僧じゃねぇんだからそこは理性が勝てよ!仮にも35歳の大人だよ?そして曲りなりにも署長だよ?!しかし俺のムスコと体は性欲を持て余すと言わんばかりにテイルちゃんと体を密着させた。三密上等ってか?いや、上等じゃねぇから!

 

 

 

『夕べもお楽しみでしたね、ティヒヒヒ!』

 

……また覗きやがったのかよサリーちゃんよぉ。朝は余り機嫌良くないんだからそっとしといてくれよもう。昨日はテイルちゃんが騎〇位だったから、あの見事なお山と熱を帯びた顔、そして毛の無い綺麗なアソコを凄いアングルで楽しみましたよそりゃあ!と言うか山田ぁ!主の嫁は他人のセッ〇ス覗く変態だよオイ!あの子欲求不満なの?ちゃんと夜の営みしてるの?もうちょっと相手してやんなよ!

 

何かいちいち疲れちゃったので5泊泊まったらナハト・トゥに帰ろうと思う。ワフラ、流石に10日以上は長過ぎるよ。その事をテイルちゃんに伝えると、

 

『そうだね。みーんな働いてる中私達だけ長く休んでたら申し訳無いもん。でもせぞさん、後3日、ちゃんとデートしよ♪』

 

うっ、うん、よよよ喜んで。俺は今、ひっじょーに幸せです!

 

 

 

『あれがナハト・トゥの自警団のボスか。サリーさんの言う通り中々強そうだ。』

 

影から二人を監視する者が二人。サカサキの公安部隊の人間だった。二人があの宿屋に泊まった日、サリーは鉄の馬を操る謎の者として保安所に密告していたのだ。しかも自分の夫である山田の知人だった事を知り、何かの企みがあるのではと夜の間も監視を続けていた。

 

『サリー、貴様は彼奴をどう見る?』

 

サリーは何時もの特徴的な笑い声をあげながら軽く答えた。

 

『ティヒヒヒ、あの人達はただの観光客だよ。朝から夜のお楽しみまで覗いてたから間違いないよ?』

 

『趣味悪ぃ……』

 

流石に盛っている最中も覗いていたと答えられたら呆れる他無かった。少々引き気味だった公安部隊の男は、少し気を取り直してからこれからの旨を伝えた。

 

『これは隊長には話すなよ?』

 

 

 

俺は残り3日をテイルちゃんとデートする時間に充てる事にした。正直な所、2日で25回も男汁を出したせいで腰はフラッフラ……昨日もテクノブレイク起こしかけたよ。でもこっち来てから色々と溜まっていた鬱憤やらなんやらが取れて頭がクリアーになっていた。だからだろう、サカサキに来てから感じる妙な視線に気付いたのは。バイクで来た時点で覚悟はしていたが、街の公安にマークされているようだった。山田の差し金じゃないな、あいつもそれは言ってたし。

 

(公安を作ってから、俺に秘密で動いている連中がいる。どこの世界に行っても公安や秘密警察の闇を作る馬鹿は存在するらしい。清蔵、なるだけ妙な動きをする連中に気をつけていた方がいい。俺の方からも出来る限り抑えるように手を回すよ。)

 

せっかくテイルちゃんとデートしてウキウキの気分を害する奴らに怒りを覚えたが、なるだけ顔には出さないように街中を歩いた。奴ら、気付かれてないように思ってるが、甘い……結構な歴史がある元の世界の公安や秘密警察の動きと違って洗練されてない。尾行の仕方が下手だ。公安の尾行方法はこちらに視線を交わさず、曲がり角等で別の人間に交代する等、感ずかれない動きを徹底している。しかしこの世界では山田が来てからの設立だ、歴史が浅いし、何より過去の忍びやら特殊部隊やらのデータを洗練した元の世界の連中に比べるとお遊戯レベルと形容したくなるよ。多種多様な種族で身体的特徴がはっきりしすぎなせいか顔も覚えやすいし。

 

どうやら俺を付けているやつは三人。一人はオーガ、平均的な体格だが、余りいない青い肌が特徴……忍べてねぇ。もう一人はライオンの獣人……ちったあ忍んでくれよ……そして最後は……その、余り言いたく無かったけど……覗き魔じゃなかった山田の嫁。彼女はあいつの話からして公安じゃないな、何か持ちかけられたのかも知れない。公安の中には協力者を殺す不届き者も存在すると聞いた。それは同じ公安出身の人間の身内すら例外でないと。ひでぇ話だ。あの娘は悪い子じゃない(超絶覗き魔だけど……)、そして何より山田の嫁だ。自分の親しい人間に何かあったら、あいつはきっと怒りに任せて暴れるかも知れない。そしてそれは俺も同じ。テイルちゃんに何かあったなら……そう思った俺の行動は早かった。

 

『テイルちゃん、あそこのカフェで待ってて。俺はちょっと言葉に出来ない事してくるから。』

 

『ふぇ?……っあー、トイレね、分かった、待ってるね!』

 

テイルちゃんが察して(賢いなぁ)カフェの方に向かっている間に、後ろに付けている人間にすっと近付く。向こうは俺が予想より早く動けた事に驚き、身構える事も出来なかったようだ。

 

『公安にマークされるのは、海外から来た人間ならばある程度は覚悟しないとだけど、まさか俺がそうなるとはね……』

 

『!?きっ、貴様いつから気付いてた?!』

 

『宿屋に入った次の日かな?行っとくけど公安がエリート集団っつっても、肉体に関しては日々武道や逮捕術で汗を流しているノンキャリ相手に勝てると考えるのは甘いぜ?』

 

署長の受け売りだけどね……機動捜査隊やSATの連中ならまだしも、キャリアや公安にノンキャリ巡査を雑魚扱いされるのは癪なんだよ。街のお巡りさんをしている人間が馬鹿にされる風潮、どうにかしてほしいものだ。そういや昔向日葵署に来た生意気な若キャリアを濱田さんが武道でコテンパンにしたっけなぁ……話が逸れたな。さて、目の前にいるオーガが驚きの顔をしている中、ノコノコとライオンさんもこっちにやって来た……こいつら本当に公安かよ?山田、どうやらこっちの連中はもう少しお前さん流の教育がいるらしいぜ?

 

『鉄の馬等と言う奇怪な乗り物に乗って来た人間を普通の人間とは思わぬ、我々公安部は其々が裁量権を持っているのだ。』

 

『へぇ、そうなんだ。俺の世界でも公安は秘密主義徹底(わがみちをゆく)だったけど、公安を取り仕切るお上にまで秘密にする事は無いんじゃね?』

 

『何を根拠に……貴様、隊長の命ひとつで貴様のの命など簡単に『その山田保安官に言わせれば、本当の意味で消されるのは君らだと思うよ?彼の奥さんを使って俺らを監視してたんだろ?情事もバッチリ覗かれたよ。ただ、君らに言われてやったとなれば、どうだろうねぇ。本音を言いな?性格上、含みを持たせた言葉や皮肉が嫌いでね。』

 

全て筒抜け、つーかこいつら間抜けだ。まず脅し文句言ってる時点で器が知れてる。うちの署長にそんな権力を振りかざしたら、上官部下問わず鉄拳制裁だよオイ。鬼の化身と言われる程、汚い事に対しては犯罪者警察に関わらず厳しかったもの。

 

『……くっ、貴様のような外人を徹底的に警戒する、それをしたまでだ!』

 

『お上の……あいつの意向か?』

 

二人は首を横に振る。裁量権を持たされた以上、その重みは分かっているはず。つまりは独断だった訳だ。尤も、上官の嫁さんを使ったのは誉められた事では無いけども。俺はため息を出しながら本音をそのまま伝えた。

 

『俺はカン=ムのナハト・トゥからやって来た、児玉清蔵だ。やって来た理由は単純に旅行だよ。あの鉄の馬はあくまで乗り物、休暇10日以上って言っても、歩いて2日は掛かるんだから、時間を短縮する為にと思ってね。』

 

嘘偽り無く答えた。仕事詰めで休みを取るよう言われ、旅行に来た。保安所に行ったのは、他の同業者の組織に興味があり、良い所があれば参考にしたいと思ったからだと。そして山田とは同郷の友だと。山田と旧知の仲と聞いた二人はガタガタと震えていた。二人は今までの非礼を詫びた。何と言うかこの世界の人間は意外と物分かりがいいのよね、お陰でピリピリした空気も無くなったんだけど。

 

『山田に伝えてくれ、俺はサカサキでテイルちゃんとデートして帰る、嫁さんを泣かすなよってね……それと、上官の嫁さんを使った事、しっかり詫びなよ?あいつを本当の意味で怒らせたら、本当に洒落抜きで死ぬぞ?昔から汚い事が嫌いだったから。』

 

『うう、すんませんでした!』

 

ったく、これでしまいだ。さて、俺はテイルちゃんの待つカフェへと急いだ。可愛い女の子を一人で待たせてたら、ナンパ野郎が引っ付いてるかもわからんしね。

 

『テイルちゃん、お待たせ!』

 

『ううん、そんなに待たなかったよ。それよりここの料理美味しそうだよ、一緒に食べよ!』

 

それから俺はテイルちゃんとデートを楽しんだ。セッ〇スも死にかける位した。それで分かったのは、サリーちゃんは公安とか関係無く覗き魔だった……山田、頼むからもっと彼女を抱いてやりなさい!絶対欲求不満から来てるよ!

まあなんやかんやあったけど、楽しい休暇を過ごせた。社会人になって初めてかもね。サカサキでの出来事は、一生の思い出になった。帰ったらテイルちゃんのお父さんに忘れずに挨拶しに行こう、大事な娘さんとお付き合いする訳だしね。因みに帰る前夜は18回も男汁を出して彼の世が見えたのは内緒だ……まあでも本当に楽しかった。さて、バイクをとっとと走らせて、日常に戻ろう、仕事は一杯残ってるし。

 

 

 

 

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