本官、異世界で署長になりました!   作:劉鳳

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前の話から少し時間が流れております。故に第2章な訳ですね。


鳴動編
第39話 清蔵、署長やめるってよ


 

 

タイーラ連合国の一国、カン=ム帝国の12自治区の一つ、ナハト・トゥ。人口二千人規模の小さな町、治安はお世辞にも良いとは言えず、ギャングが幅を利かせていた……のは昔の話。現在のナハト・トゥは人口一万人、町並みを走る道は綺麗に舗装され、子供達が賑やかに道を駆けれる程の治安を誇る町へと化してした。スバリュ集落までの道も整備が終わり、隣国の都市サカサキとの街道は、拡張、平坦化され、隣の自治区ツェッペリタウンとの街道も美しく整備し直され、物流の動脈はほぼ完成していた。

 

発展したナハト・トゥの町を上空から見ると、2つの町がくっついているように見える。本町と新町が同時進行で発達した為だ。2つの区画の中心に、一際目立つ建物が存在している。本町のそれは町役場兼奉行所、新町のそれは勿論、異世界からの贈り物、警察署だった。

 

 

はい、37歳になりました、児玉清蔵、故あって未婚です!えっ?テイルちゃんと別れたのって?誰がじゃ!しっかり愛を育んでますよ、結婚の前に色々と準備と段階を踏みたいのよ俺は。だから結婚はもうちょっと先ですはい。おっと誰もいない所で喋ってたら流石にひそひそ陰口言われるから止めとこ。そうそう、開拓課の活躍で凄い勢いで人口増えたよ、やったね〇えちゃん!(おいやめろ)。異世界に来てあれよと二年もの歳月が流れましたぜこのやろう。警視正を仮冒してからどうすっかと言ってたのが嘘みたいに警察署、賑やかになりました。勿論俺の力だけじゃねぇけどね、ハハッ!……すんません、黒ネズミさん、次元の壁破って制裁に来ないで下さい!笑い方似せただけで制裁かまさないで!

 

 

清蔵は三年目に突入したと同時に、署員のサプライズ祝福により、階級を警視長に無理矢理上げられる事になった。元世界の警察組織の話は伝えていたが、今や本町の駐在所もレベル的には下手な日本の町の所轄署より規模が大きくなった為に、清蔵は署長では無く、本部長に就任する事となったのだ。サプライズ故に清蔵は初耳のようであったが。勿論清蔵は断ろうとした。

 

『えー?!俺そんな柄じゃねぇし!嫌だ、小生嫌だ!』

 

『つべこべ言うな、おめさんは今日限りで昇任ば!おら、これに早く着替えるんじゃ!』

 

言い方がクビだ的な感じではあったが、清蔵の功績を素直に讃えた場合、こうなるのだ。しぶしぶ新しく仕立てられた制服に袖を通す。上質な生地で作られた制服と、肩の階級章の重厚感により、清蔵の着せられてる感がよりアップした。

 

『ププッ!あんたよう似合っとるば、本部長。』

 

『プークスクス、ほんと似合ってる似合ってる(棒』

 

『茶化すなよ畜生……まあこれからもよ・ろ・し・く!ワフラ警視正、キスケ警視。』

 

『ブッ!何どさくさに紛れて俺らまで昇進させとんのじゃ!』

 

『嫌がらせだよ(功績を考えてさ)』

 

『本音と建前が逆ば!』

 

こうして清蔵(+2)の昇任を兼ねた二年目のサプライズ祝福は終わった。

 

 

ナハト・トゥ警察署改め、カン=ム帝国自治区警察本部の本部長になりました、児玉清蔵であります(長ぇよとは言ってはいけない)。異世界に来て警察をするのは良いけど、規模と階級まで異世界だよ!元世界で巡査長だった身としては。まあ今更警視正を二年も仮冒してたんだし些細な事か……問題なのは自治区警察本部ってえらく大事になったなオイ。

 

 

開拓課が街道工事に乗り出して三ヶ月が経過した頃、ツェッペリタウンにも警察署をとブラドック伯直々に懇願された。同時にスバリュ集落の派出所を拡張、本町の駐在所を元のナハト・トゥ警察署の規模にする事に加え、サカサキと共同で街道の国境沿いに共同の警察署を建造する事になった。

 

関所の代わりに置く形(連合国の協定でガッチガチの関所を作れない為)で国境の警備の強化を促す目的で建設が進められた。ナハト・トゥの警察署級の建造物が続々と進む関係で、新規採用者も増やして行く方向を取った結果、サカサキと共同のチームを含めた自治区全体の警察職員及び関係者数は四千人を突破した。日本の某地方の県規模にまで人員が膨らんだ結果、ナハト・トゥ警察署はそれらの新造された警察署を統括する本部へと昇格する事になったのだ。清蔵も警視長へと昇任した(させられた)。因みに人口比率で言えば、警察官の数はかなり多い。

 

『しかし俺が本部長か……元がノンキャリアの巡査長だったのに、異世界で実質的なエリアのトップとかうっそだろオイ……12自治区全部が警察に賛同とかマジで意味が分からん。つーか四千て……M県の警察職員の倍って……』

 

警察署の拡大は、自治区の発展に寄与した。治安の良い場所と言うのは、一般的商売人にとっては願ってもない機会であり、噂を聞き付けて移住者が増える。雇用を創出する人間が増えれば、自然と住居も増え、町は拡大する。周囲の自治区も刺激され、ナハト・トゥの流れを学び、辺境と揶揄された自治区は、独自の進歩を果たしていく。

 

『俺一人の力じゃここまでは来れなかった。今考えると警察署と共に来た事、これ程のアドバンテージはチートと言って良いのかもね。まっ、俺は体力以外はすっからかんな馬鹿野郎だけど。』

 

清蔵は知らない。自分自身の力で人々と分かりあった努力こそが発展の切欠になった事を。だが、この驕りなき姿勢こそが清蔵の人柄である。

 

 

『ナハト・トゥ、ツェッペリタウン、フォンヴィレッジ、ウェイ・ターロン、ベークァー……自治区五大町村に警察署が建設されるようになって半年、漸く署長も落ち着けるんじゃないかな?』

 

そう呟くのは、若手の筆頭株であるフラノ。仕事の覚えも良く、気配りが出来る男である。ナハト・トゥの警察の仕事ぶりをアピールしてきたのは彼である。フラノは他自治区の治安の悪い地域に巡査を派遣するように提案し、各自治区の守衛や保安所との関係を独自に築いていた。伯父のワフラ同様人望のある彼のサポートもあり、現在警察署の数は本町を含めて五つ、更にサカサキと共同の警察署、元になった本部を含め七つ。派出所と駐在所に至っては、各自治区に二から三も配備される体制を整えつつあった。

 

『でも署長、いや、今は本部長か。あの人は前線に出たがるから、まだ暫くは落ち着かないかな?全く、テイルさんを心配させちゃってさ……』

 

そう言いつつも、清蔵は自分自身が現場で働く人々の為に身を削ってくれている事をフラノも理解している為、強くは言わないのだ。最高指揮官が前線に出たがるのは、部下を信頼していないからだと言う者もいるが、清蔵は逆に信頼しているからこそ自身の身を削ってくれているのだとフラノは悟っている。

 

『この二年で分かったけど、あの人はこの仕事がほんとに好きなんだな……忙しい忙しいと口にしながら、少年のような目で仕事してんだから。』

 

 

『えっきしっ!誰か俺の噂言ってるんかな?まあいいや。よーし、一先ず今日は本部長としての初仕事である会議に行ってきますか!』

 

清蔵は自治区警察の署長による会議へと出席する。署長と言っても、元副町長と言った町の重役達故に、どこの馬の骨か分からぬ自分に果たしてまとめられるのか不安で仕方ないのだが、その顔を見るものは言うだろう、何ワクワクしてんだお前と。そんな清蔵を見るテイルの目は嬉しそうだった。

 

『テイルちゃん、本部秘書官としての初仕事だけど、大丈夫?』

 

『うん、平気だよ。だって、せぞさんの顔見てたら楽しみで仕方ないもん、頑張ろうね!』

 

『(癒されるわぁ…)いいですとも!』

 

周りの巡査から、ああ、あのバカップル何かまたイチャイチャしてるよと言うような目線を向けられているのも露知らず、会議室へと向かう清蔵、その視線はテイルのタイトなスカートから伸びた足にいき、鼻の下を伸ばしまくっている。勿論会議室の前に来ると仕事の顔に切り替え、きちっと敬礼をして署長達に声をかける。

 

『カン=ム自治区警察本部本部長、児玉清蔵警視長であります!』

 

役職が変わろうとも、清蔵の心は初心のまま、やる気に満ちていたのだった。異世界の地に根を張って早二年、清蔵は新たな気持ちを胸に股間……心を膨らませるのだ。

 

『ナレーションさん、最近前に出過ぎ……後恥ずかしいからJr.の話はやめてマジで!』

 

 




はい、清蔵、本部長になりました。署長じゃなくなったので題名詐欺になりそうですが、日本ではなく異世界なのでやることはそんなに変わりません。

山田のその後とか色々書いてたりしますが、R18タグ付けざるを得ない出来だったので暫く出て来ません。勿論投稿する時はR15に収まる表現に変えていきますが。

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