本官、異世界で署長になりました!   作:劉鳳

53 / 58
短めですが、エタらせるとあれなので投稿しました。


第47話 ランボウ王国の図書館

 

 

旅行二日目、宿を出て清蔵達は、ジョンヌ周辺を観光する事にした。ランボウ王国首都ジョンヌは、建国から四百年程の比較的浅い歴史の割に、建国当初の建物や風習が色濃く残る場所である。

 

魔法を扱える魔人は手にステッキやスタッフと言った杖を持っている。アシスに聞いた話によれば、直で魔法を行使するのは消耗が激しい為、魔力を込めやすい石を嵌め込んだ樫の木(清蔵の元世界と同じような種)か銀で出来たそれらを手に持つと言う。杖の所有は日本で言う銃刀法的法律で規制されているらしく、魔人なら7歳以上、それ以外の種族なら15歳以上で身元確認が出来る者でないと許可が降りない。人口的には大体四人に一人の割合で杖を所有しているようだった。

 

(銃社会アメリカ的考えかな?自分の身は自分で守るって所。建国時の状況とか気になるな。あっ、)

 

『そうだ、テイルちゃん、図書館行ってみない?ランボウ王国についての情報、色々調べたいなって、駄目かな?』

 

『うん、大丈夫だよ。確かに気になるよね。』

 

清蔵の気持ちを察したテイルは快諾した。観光をするのにある程度の事は知っておいた方がいいだろうと、思った清蔵は、ジョンヌの王立図書館に向かった。

 

 

この世界の図書館は、どの国、どの都市であろうと開かれている。図書館の他に、公衆便所や浴場、学校や病院と言う場所に関しては身分に関係無く自由に出入り出来る。そう言った場所には、手を繋いだマークが描かれており、清蔵はそれを頼りに図書館を探す。街の中心部に入ると、通行人から図書館の場所を詳しく教えてもらい、目的の場所へとたどり着く。

 

『でかい図書館だな……サカサキのもそうだったけど、大都市の図書館ってのは規模が違うなぁ。』

 

立派な造りの建物が目の前を埋める。ランボウ王国は魔法を扱える人間が多い事もあり、人口で勝るサカサキ以上に出入りする人間が多く感じられた。清蔵達は人並みをかわしながら、歴史書籍が置いてある一角に行き、数冊の本を手に取った。

 

『ランボウ王国歴史大全、か。これにしよ♪』

 

一冊の厚みはタイトルの堅さとは裏腹に割と薄い。文書に疎い人間の為に、文字が大きめで図解入りの読みやすい書籍。文字の読解が漸く様になった今でも、こう言った分かりやすい書籍は清蔵には助かるのだ。

 

 

ランボウ王国の成り立ちは、魔法・鉄器大戦の終結後に遡る。魔法兵団の幹部として活躍した魔神ラン・リョービが、開拓の行われていないレイボゥ亜大陸に、魔法兵団側、特に魔人達を引き連れて一から開拓した国である。ランは魔人及び魔神に国の運営を優先するように厳命した。これは、寿命の長い種族が中枢にいる事で、長い独裁体制を築かれる事を防ぐ意味合いがあった。魔人の変異種、魔神であるランも、普通の魔人より寿命があるとは言え、精々50年程度の寿命であった事から、ランボウ王国の初代国王としての厳命が受け入れられたと言う背景がある。

 

魔人の寿命は全種族で最も短い。魔人及び魔神を平均すると大方30から40年程でその生涯を終えてしまう。故に、政治の新陳代謝は他の国よりも圧倒的に早く、是政者のトップたる国王もいいとこ10から15年で入れ替わる為、四百年程の歴史の中で既に40代以上も国王が代替りしているのだ。最長の朝廷だったランの時代でも20年、その為封印されたカグヤ達三人以外の十英雄でランは真っ先に天寿を全うしたのだ。

 

『やっぱり魔人って短命なんだな……魔力を扱う事に特化した代償、と言うよりも、命を削るような魔法を使って来た結果短命になってたりするのかな。』

 

清蔵の考察は的を射ていた。物心付いた時から魔力の循環や肉体補助等を扱えなければ、魔人はヒューマ等と比べてろくに体を動かせない。しかし、常時魔力を行使している状態は、言うなれば新陳代謝を急激に進める事となり、結果として魔人は通常の人類に比べて早熟で短命になったのだ。短命な分性成熟は5歳と非常に早く、基本家族が五人以上の兄弟とか姉妹とか大家族である事が普通なので、大陸から離れた開拓民が殆どの割に人口が多いのも特徴である。

 

『ん?最初の50年位は他の種族を受け入れなかったって……何だろう?』

 

ランは大戦を戦い抜いてきた英雄であったが、魔法を使えぬ人間に対する不審感は終結後も拭えず、更には当時少数派だった魔人及び魔神を繁栄させたいが為に、魔神を輩出しやすいよう、魔人ばかりを国民とし、50年間は開拓と魔人の繁栄の時代と制定した。その為、50年が過ぎてからも、他種族を受け入れないような保守派が多かった。

 

ランの来孫の時代になってから、漸く他種族を受け入れるようになったのだが、肉体的に強い他の種族による犯罪に悩まされ、戦争以来所持規制をしていた杖や魔道具の所持を許可した。

 

『どの世界に行っても移民者による犯罪は起こるのか……テイルちゃんは勿論、俺も移民みたいなもんだから複雑だな……』

 

悪質な移民に対する対抗措置により、ランボウ王国は漸く治安が良くなり始めた。更に、大戦当時と比べて大半が失伝したとは言え、魔法を扱う機関や、迫害された変異種や少数民族らを保護する政策に魅力を感じたダークエルフ、剛力族が移り住み、現在の王国を築き上げた。

 

『んー、成る程ね……住んでる人らにハーフが少なくて純血が多いのはそれでか。』

 

清蔵はランボウ王国の成り立ちを知り、益々興味が湧いてきた。テイルと相談して、開かれた王室と呼ばれるランボウ王国の城を見学しようと決めた。運が良ければ国王と謁見して話が出来ると言うのも聞いていたので、早速行こうと言う話がまとまった。

 

『エウロのサカサキ以外の都市、それも首都の王様に会えるとは……自分の住んでる国のババァに会う前にこっちが先と言うのも何だか複雑だなぁ。』

 

言葉ではそういいながらも、清蔵はワクワクしていた。清蔵は元世界の自国の陛下については勿論知っているが、皇宮警察でも無い限り、謁見して話をする機会は無い。各国VIPとも謁見無しな平の警察官が他国の王に会えるとなればテンションも上がるのは仕方のない事であった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。