本官、異世界で署長になりました!   作:劉鳳

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第7話 海外旅行って貨幣価値とかチップの習慣とか面倒よね……

 

 

んーと、えーと、ごめん。つーか何があってこの美少女と寝たの?俺はおぼろげな頭をフル回転して昨日の事を思い出す。

 

 

バイクを順調に走らせ、三時間位でサカサキに到着した。テイルちゃんはバイクの乗り心地が気に入ったらしく、

 

『また旅行する事があったら、乗せてね!』

 

おう、そんな可愛い顔と声で言われたら断れねぇよ、まあでも警察官たるもの自重って事で俺は断りの言葉をかける。

 

『いいですとも!』

 

おいこら、台詞違うぞ唇。まさかこんな現実世界でもそうそういない美少女と夜のWメ〇オしたいとか下心出してねぇよな?テイルちゃんは20歳だけどヒューマの年齢だと15歳のお・と・め☆中3か高1の子と〇行とか警察どころか社会そのものから抹殺されっぞ!

 

気を取り直して俺はエウロ民国と言う国がどういう所か、白バイを押しながら辺りを見る。つーか人が多いな、数年前に慰安旅行で行った広島市位は確実にいるな。コロシアム的建物の配置と店の並び、うん、線路を取っ払ったらまさにあの辺にクリソツ。人種は獣人にリザードにあっちのデカイのはトロールか?それにゴブリンもいる。彼等普通に店出してるし。あのお好み焼的な奴うまそうだな……おっといけない、テイルちゃんをほっといたらだめだね。

 

『凄い栄えてるね、テイルちゃん。色んな人種が普通に笑いあってる。ぶしつけな事を承知で聞くけど、なんでテイルちゃんはここでは無くて、ナハト・トゥに逃れたの?』

 

『そうね、確かにここは本当に天国みたい……でもあの時は余裕も無かった。アンブロス帝国から逃れたは良いけど、奴隷を所有してる中流階級の民兵が迫ってて、エウロ民国沿いの街道にはその民兵が捜索していたの……どうにかナハト・トゥに流れついて……ごめんなさい、せぞさんの前でこんな暗い話して……』

 

なんだよその糞ったれな連中は!下にいる人間も努力次第で這い上がれるアメリカンドリーム的な夢を求めて他の国に渡る、または亡命するってのの何がいけねぇんだよ!俺はテイルちゃんの顔を曇らせるそんな連中、どうにか退治してやりたいと思った。奴隷って言葉、日本で生まれ育った俺にはその概念が理解出来ないし、理解したくない。

 

いかんいかん、少々暗いムードになっちまったな……さて、気を取り直して!腹も減るし娯楽にも目移りするけどまずは宿だ。白バイ押しながら街歩くのは目立ち過ぎるし疲れる(270kgもあるからね)。街を貫く道の並びに、馬小屋や荷車を置いている宿を見つけた。

 

『そう言えばテイルちゃん、貨幣価値とかどうなってるの?ナハト・トゥは物々交換だから分かんないもんで。』

 

『えーとね、白銀貨1枚が金貨5枚、金貨1枚がタイタニウム貨50枚、タイタニウム貨1枚が銀貨5枚、銀貨1枚が銅貨50枚、銅貨1枚、銅貨1枚が鉄貨5枚よ。』

 

そう言われ、袋を取り出す。ジャリ銭ばっかってのははっきり言って使いづらい……西洋っぽいって事はチップの風習もあるだろうし、難しい。俺は給与を一文も使ってないのよ、故に凄いぎっしり入ってんの。取り敢えず取り出して見ると4種類の硬貨を確認出来た。金貨と銅貨は分かりやすい、タイタニウム貨……俺らの世界で言うチタンだね。チタンってこっちじゃ銀より高いのか、現実世界でもどっちが高いとか良くわかんないけど……にしても銀色の銭ばっかだな……ええと、銀貨は鈍色してて重い。タイタニウム貨はやや角ばっていて軽い、かつ硬ってぇ……鉄貨は、錆で判る。かつこれだけ棒っぽい形。因みに鉄貨に関しては誰でも作っていいらしい。つまりある程度のクオリティで造られれば偽金が存在しないって事だね。俺の所持金は金貨5枚、タイタニウム貨70枚、銀貨200枚、銅貨千枚、鉄貨は25枚。鉄貨は1円玉と考え、銅貨は10円、銀貨は500円、タイタニウム貨は2000円、金貨は東京フ〇〇ドパークの景品と同じで10万円、白銀貨は50万円てとこかな?金貨白銀貨は価値の関係で使いづらそうだ。俺は金貨とタイタニウム貨だけを別の袋に入れ直し、銀貨銅貨鉄貨で大体行けそうと判断した。

 

『よし、予約取るか。』

 

俺は宿でチェックインの手続きをする。白バイを見てあれは何だと聞いてきたので、鉄で出来た馬みないなもんだと言ったら、馬の繋ぎ代と同額の追加料金が付くと言われたので構わないと答えた。まあ現実世界で言う駐車料金だな。

 

『うん、それでいいよ。』

 

『分かりました。何泊になさいますか?1泊が繋ぎ代込みで銀貨4枚になります。』

 

『テイルちゃん、どうする?』

 

『5泊で良いよ、残りは街を色々回って、その時決めるけんね!』

 

『と言う事で。ところでおやっさん、給仕の兄ちゃん姉ちゃんにチップって大体相場どのくらい渡せばいいの?』

 

『そうですね、大体銅貨3枚から銀貨1枚ですね、お客様のように聞いてくれる方は初めてですよ。』

 

『ああ、中々外の街に行く事が少なくてね。チップの概念も良くわからないから。』

 

俺は職業柄聞きたくなる性分なのと、そのまんまチップ文化を知らないからってので。宿屋のおやっさんも雰囲気が良かったので部屋に行く。鍵を渡され、部屋に入ると……ちょっと、おやっさん?ベッドが1つ、でかいのがあるだけなんすけど……

 

『いやぁ、お兄さん方の距離感が近いもので良い関係かと思いまして。お嬢さんの方はいかがですかな?』

 

『せぞさん、私は、その……良いよ!』

 

いいんかい!まっ、まぁ疲れたらそのまま爆睡するからいいか、ムスコが暴発しない事を祈る。おやっさん……あんたも下世話だね……

 

何はともあれまず荷物を置く。銭袋と護身用のオートガン(私服警官用の拳銃、総弾数5発、S&W社製)、特殊警棒(伸縮型の奴)のみを所持し、テイルちゃんにも渡す。うおおん、似合う、格好いい!

 

部屋に鍵を掛け、早速街に出る事にした。おやっさんに飯の時間を聞き、俺達はウキウキする気持ちを抑えつつ、街へと繰り出す。しっかし本当に賑やかだな……向日葵市は人口5万人の小都市と言う事もあり、こんな賑わいに遭遇する事は殆ど無い。故にここはまさに大都市の賑わいそのものだった。語彙力が無いからそうとしか感想出て来ない……

 

俺はまず、一番目に付くコロシアム(俺には某広島のマ〇〇スタジアムにしか見えない)の方に行こうと思い、テイルちゃんに聞く。テイルちゃんは快く受け入れたので二人で手を繋ぎ(を通り越してテイルちゃん腕組んで来た!けしからん乳が当たってるよおいっ!)ながら歩いて行った。中に入ると、コロシアムと言うか色んな催物を行うスタジアムと言った方が良いかな?良かった……ガチコロシアムだったら殺し合いだからあんまり見ないようにしようとしてたんだけど、そうじゃなかった。

 

催物に登場したのは巨人。と言ってもまだ小さい部類で準巨人て奴だけど、街中で見たデップリお腹のトロールと、牙の生えた痩せ型の筋肉質な巨人、二人共3mはあるかな?四角いマットを下に敷いて、レスリングをするのか?俺とテイルちゃんは固唾をのんで彼等の動きを見ていた。

 

 

30分後、腹筋が痛くて仕方がない俺がいた。レスリングと言うかプロレスだった、しかも相撲の初っ切りのようなコントタッチな。テイルちゃんと共に笑うだけ笑った

なぁ……コントの生ライブを見ているようでとても良かった。プロレス好きな俺としては最高のエンターテイメントを楽しめたよ。その後俺達はあのお好み焼き的屋台に行った。ゴブリンのおっちゃんが陽気にヘラで見事な返しを見せ、周りのお客さんは焼く様を楽しみつつ、出来たそれをうまそうに頬張る。俺達も並んでそれを頼む。

 

『へいいらっしゃい、おう中々の美男美女カップルじゃのう!わしの店特製のガラン焼き、食べて損はねぇけぇ!』

 

ほんとに陽気な人だな……ガラン焼きと言うそれ、ガランは好みのものを混ぜると言う、エウロ民国のフラスム市の特産品らしい。うん、見た目も名前もお好み焼きの親戚、これは口に合うよ。目の前で焼かれて行くそれは、ミーゴと言う焼きそば麺を焼き、ガーガ鳥と言う鶏に似た鳥の卵を少し割って広げ、様々な香味野菜を混ぜた生地を別に焼きつつ、キャベツ擬きの上に乗せ、暫くしたら全部を重ねてひっくり返す、見事!関西焼きと広島焼きのあいの子的なそれは、絶品だった。これは病み付きになる。値段も銅貨10枚とお手頃。ありがとう、おやっさん!

 

『おうよっ!でも俺ぁこう見えてまだ28歳じゃ!ヒューマと寿命同じ位じゃけぇ若ぇもんじゃき、おやっさんはまだ早ぇど!そんじゃまたの!』

 

すっ、すまん。つーか俺より若かったのか……失礼した。しかしこっちに来て色んな種族と会って来たけど、見た目で年齢がわかるのがいないな……取り敢えず分かっている寿命順に並べると、巨人(少なくとも500年)>>エルフ(250から300年)>>ドワーフ(150から180年)>オーガ・準巨人・トロール(85から130年)≧ヒューマ・ゴブリン・ピクシー(60から100年)≧獣人・リザード(40から70年)>魔人(25から40年)……まだ巨人と魔人、ピクシーに会った事は無いんだけど、どんどん会って交友したいな。巨人と魔人は怖そうだけど。特に魔人、エルフより高い魔力、獣人よりも早い成長故に一番魔法に長けてるらしい。

 

腹を満たした俺達は他の場所へと繰り出す。勿論俺の腕を組むテイルちゃんと共に。ああ、凄い癒し効果だ……異種族間で結婚してハーフの人間も沢山いるらしいけど、ハーフと純粋がくっつくとまた血の濃い方に戻るらしい。だから色んな種族が満遍なくいるんだな。ああ、テイルちゃんとくっつきたいけど、俺奥手だからいざそれを言うのが怖い。弱虫、ヘタレ!そう下らない事を考えていると、この街の兵士、いや、俺達警察に近い連中が見回りをしているのが見えた。姿は巡査の普段装備と機動隊の装備の中間って感じ……非常に既視感があるそれを見て、俺はまさかなと要らぬ推測を思い浮かべる。俺と同じ転移した人間がいるのではと。連中の動きはごく自然だった、嫌、それはこの世界基準ではなく、俺のいた世界基準で。署の連中に言っていた、一般市民に威圧感を与えず、不審者に威圧感を与えると言う動きをしているのだ。幸い装備は打突系のもののみで銃を持ってる者はいなかったが、俺としては盾の形が気になった。機動隊が使う薄く広い盾……形もアクリルのものが採用される前の卑鉄系の金属盾そっくり。俺はそいつらの前を普通に通りながら、更に様子を見た。じっと見ると不審がられ、あからさまに目を反らすのも不審がられる。腕に組み付くテイルちゃんに優しい視線を送りながら反らす形で誤魔化そうと決めた。さあ、どんな奴が……

 

『……!』

 

向こうは全く気付かなかったが、俺は気付いてしまった。あの顔、年齢を重ねていたが、間違いようのない顔、山田だ。正確に言えば、山田にそっくりだった。ここに存在する筈がないそれ……あいつは死に、俺はあいつの骨を拾ったのだ。生きてる訳が無い。こっちに来ているのならしっかりと五体満足な筈なんだ、俺のように……ああ、俺はワフラの言う通り、疲れてんのかな?そんな俺の気持ちを察したのか、テイルちゃんが声を掛ける。

 

『ねぇ、せぞさん、どうしたと?疲れたと?何か顔が悲しい顔しとうよ……』

 

ちょっとウルウルした眼で心配している……ああ、ごめん。この娘を泣かせるのは俺の心が許せ無かった。心配させまいと本心を言った。

 

『うん、ちょっと疲れてるかな?仕事、頑張り過ぎてるのもあるけど……さっき、昔殉職した友人に似た奴がいてさ、暗い過去を思い出したのもあってね……』

 

『そっか……じゃあ、せぞさん、今日はもう宿に戻ろう?ゆっくり休んで明日も色んな所に行こうね!』

 

『うん、そうしよう。ありがとう、テイルちゃん。』

 

今日はお開き、宿に戻る事にした。沢山笑って、沢山歩いたから、また腹が減って来た。宿ではそろそろディナーが出来てる筈だ。

 

 

 

 

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