ファイアーエムブレム覚醒~Susanoh's lust sin~   作:昆布さん

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前回まででかなり空いてしまっていたので中途半端な時期ですが投稿させていただきます。



十章 エメリナとクロム 後

クロムの頬を嫌な汗が伝う。

焦れるようにギャンレルが吼えた。

「ギャーハハハハ!どうする?なあ、どうすんだ?王子様!大好きなお姉ちゃんを見捨てんのかァ?他の奴らはどうだ!あァ?聖王様を見殺しにできんのか?できねーよなあ?なあ、金髪の兄ちゃん?そこの赤毛野郎はどうだ?やっぱ無理だよなあ!?だから甘いんだよてめーらは!」

たまらずクロムが吼え、ギャンレルはますます唇を吊り上げる。

「武器を捨てて投降しろ。んでもって炎の台座をよこせ。そうすりゃエメリナもテメエらも助けてやる」

ぐ。と歯噛みするクロム。

「ギャンレルの言葉は信用できないが、逆らえば間違いなくエメリナ様は殺される・・・」

「ジンの言う通りだ。俺は姉さんを犠牲にしてまで炎の台座を守らなければならないのか!?」

くそっ。と吐き捨て、ヨシュアは必死で頭を回転させる。

「あるはずなんだ、きっと、この状況を何とかする手が・・・!」

「俺もそう思いたいが、いったいどうすれば打開できるというんだ!」

いらだたしげに振り下ろしたクロムの足が小石を踏み砕いた。

「さっさとしろや!今すぐ武器を捨てろ!でなきゃ聖王はあの世行き「待て!今武器を――!」

と、クロムがファルシオンを地面につきたてようとした時。

「クロム!いけません!」

動きを止めるクロム。このような状況下においてなおも、エメリナは毅然とした態度を崩してはいなかった。

「ギャンレル殿」

「あぁん?」

不機嫌そうにそちらを見るギャンレルに対し、エメリナは悲しげに顔を伏せる。

「もう話し合うことはできないのですね?」

「まーた得意の説教か?」

ギャンレルはそこでいったん言葉を切って舌打ちを一つ。

「当たり前だろうが!いつもお高いところからきれいごとをまき散らしやがって・・・てめーの理想のなれの果てがそのザマだ!弟や民の足を引っぱるだけのクズ王なんだよ、てめーは!」

「黙れギャンレル!姉さんは間違ってなんかいない!」

「クロムの言う通りです、エメリナ様。希望を語る者がいなければ、世界には絶望しか残らない!」

ヨシュアに続けてジンもジンらしからぬ強さで声を張る。

「二人の言う通りだ。だからこそ僕らやイーリスの国民は理想を、理想を語る存在たる聖王を望んでいる!」

3人の声が一瞬の静寂を生む。その沈黙を破るように、エメリナの震える声が聞こえる。

「クロム・・・ヨシュアさん・・・ジンさん・・・ありがとう」

そして、うつむけた顔を上げ、エメリナは大きく声を張る。

「――ペレジアのみなさん、どうか私の声を聞いて下さい。戦争は、何も生みません。多くの罪なき人々が悲しむ事になるだけです。悲しみに心を支配されてはなりません。悲しみに縛られてはなりません。たった一欠片の思いやりが・・・世界の人々を平和へと導くのです。心の片隅にでもいい、どうかそれを忘れないで下さい」

誰も、何も言わなかった。ただ、砂の上を吹き抜ける風の音だけがある。

その静寂の中をエメリナの言葉は凛とした響きを以て心を打った。

それに不吉なものを感じ、クロムが半身を乗り出す。リズが駆けだし、ジンが何かを思い出して硬直する。ヨシュアがたじろぎ、フレデリクが目を見開く。

「クロム・・・リズ・・・皆・・・私は・・・貴方方を・・・愛しています」

 

 

 

 

 

その言葉を最後に。

 

 

 

 

 

エメリナは自らその身を。

 

 

 

 

 

投げ出した。




うん、ギャンレルは悪い奴だ。救いようもないくらい悪い奴だ。とまあそう見えるように書きました。あと、ペレジア戦争終戦までのストックが出来上がりましたので、しばらくは毎土曜更新に戻れると思います。
しかしおもりれえな、ブラッドエッジエクスペリエンス。blazblueのスピンアウト小説最新刊、面白いのでぜひお手に取ってみてください。
では次回、十一章 狂気の氷刃でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。
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