ファイアーエムブレム覚醒~Susanoh's lust sin~ 作:昆布さん
では、本編をどうぞ。
「ねえジンさん」
なんだ。とジンは話しかけてきたリズに顔を向けた。
「最近お兄ちゃんとスミアさんが一緒にいるのをよく見るんだけど・・・」
「ああ、そうだな。ふさぎ込んでる時の顔面パンが効いたんじゃないか?」
それに対してリズは何とも釈然としない顔。
「ああいう強い男は自分を引っ張ってくれるタイプに惹かれるものだと思う・・・まあ、これは僕の推測だがな」
今度は納得したようにふうん。とリズは頷く。と、そこで何か悪戯を思いついたような顔になり、にま~っと笑ってジンに質問。
「じゃあジンさんはどういう女の人がタイプなの?」
「ん?そうだな・・・無邪気な妹みたいなタイプ・・・かな」
何気なくそう言うジン。
「ジン兄様・・・だっけ?」
「・・・闘技場の時大声で叫んでたからな・・・まあ、僕を庇って死んでしまった彼女が、今にして思えば初恋の相手だったんだろうね」
「ふうん・・・そういえばさ、ジンさんの体ってまだ治ってないんでしょ?」
唐突な話題の変化にジンが少しだけいぶかしげな顔をする。そんなジンにリズは華のような笑顔で
「じゃあさ、その人の代わり・・・ってわけにはいかないかもしれないけど、私がジンさんを守ってあげる!」
「――――ッ!」
絆されすぎだ。内心で自分に毒づきながらも赤面しているのを自覚するジンなのだった。
・・・・・
「クロム様、獅子神忍軍から知らせが入りました。ペレジア軍主力は現在、混乱状態にあるようです」
フレデリクからの報告にクロムは訝るような表情を浮かべた。
「一部の兵たちが戦いを望まず、反乱や逃亡が相次いでいるとか。ギャンレルは彼らの反抗を力で押さえつけようとしていますが、彼に従う好戦的な兵以外は次々に軍を離れているようです」
「どういうことだ?いったい何が――!もしや、姉さんが」
はい。とフレデリクはクロムに頷きを返す。
「エメリナ様の最後の言葉、それが彼らの心にも届いたのでしょう」
そんなフレデリクの言葉にクロムは顔を伏せる。
「姉さん・・・俺はずっと信じてやれなかった。姉さんの理想を。俺たちの憎む敵に理想など通じない。そう思い込んできた・・・だが、そうじゃなかった。姉さんがそれを教えてくれた。姉さんがこの場にいてくれたら・・・」
そんなクロムにかける言葉が見つからず、また、かける言葉などないと思い、口をつぐむヨシュア。
やがて、クロムは顔を上げた。
「行こう。ギャンレルを倒してこの戦争を終わらせる!」
すでに敵主力部隊とフェリア軍の先端は開いているらしく、天を揺るがすようなバングの怒号が聞こえてくる。
そしてこの戦争の最後の戦いが、その幕を上げた。
・・・・・
つたない動きのオリヴィエをガイアがフォローし、ソールとソワレが巧みな連係を見せる。
それを受けて潰走する敵を狙い撃つのはミリエルとリヒトの魔法攻撃。不用意に近づこうものならヴェイク、ロンクー、ベルベットの3人に迎撃されるというおまけつきだ。一方では飛来する矢をカラムが受け止め、その後ろからヴィオールが狙撃する。たじろぐペレジア軍を奇襲するのはグレゴの剣とサーリャの魔法。頭上をペガサスに取られた弓兵が思わずそちらに意識をやれば、ドニの飛び降り様の一突きを受けて倒れ伏す。
ノノのブレスが空気を震わせ、フレデリクの突きが鋭く空気を引き裂く。
「っふっ!」
「せりゃあっ!」
そしてギャンレルの近くを固めていた近衛兵達はジンとヨシュアが一撃で薙ぎ払った。
「行け、二人とも」
「終わらせてこい!」
ああ、とクロムが頷き、緊張に上ずった声でスミアが返答する。
そして二人がギャンレルの下へと向かった後で、二人は後ろを振り向いた。
「まあ、来るだろうな」
「僕らの務めは闘技場のゴミ拾いか・・・だがまあ、仕方がないな」
二人に殺到する増援部隊。
次の瞬間、雷撃とつららが爆発するかのように吹き上がった。
・・・・・
「ごきげんよう、クロム君。いい夢は見られたか?もっとも、これから先は悪夢しか見られねぇけどなぁ」
開口一番。ギャンレルは煽るようにそう言った。それに対してクロムは強い口調で返す。
「その悪夢を振り払うために、俺たちはここに来た!」
「ハッ!てめぇが振り払わなきゃ ならねぇのは迷いだろうがよ!俺が憎くてしょうがねぇ!俺を斬りたくてしょうがねぇ!人間なんてのは争い合うしかねぇんだ、なあ?クううううううううロムくんよォ!」
一度狂的なまでに声を上げると、ギャンレルはそのまま声を落とす。
「俺とお前は同類だぜ?俺たちはおんなじだ。戦いでしか答えを見つけ出せねぇんだよ」
「そうだな、同じだ。俺は姉さんのようにはなれなかった。敵を憎み、その力だけで戦ってきた」
にじるような、いら立つような言葉に、クロムは同意し、だが。とそれを否定する。
「俺の中には今、姉さんの言葉が息づいている。今はまだわずかな光だ。俺は迷いながら歩むことしかできないが、俺には仲間がいてくれる。 迷うも悩みも共にできる仲間が」
「ギャハハハハ!仲間だぁ?くせぇよ。くさくてヘドが出るぜ・・・仲間なんざゴミだろうが!人間はしょせん獣と同じだ!獣みてえに!戦って!殺して!食うだけなんだよ!」
どこか必死さを感じる形相でクロムの言葉を否定するギャンレル。だがクロムはそれを逆に否定して返した。
「その末路が今のお前だ。力で縛ってきた兵に見放されたお前の姿だ。お前はここで打ち止めだ。俺が――!姉さんの代わりに俺が止めてやる!」
そう叫び、腰のファルシオンを抜き放つ。
「そうか・・・そうかよ。なら、とっととやってみやがれええぇっ!」
ギャンレルも雷の魔力を封じた剣、サンダーソードを構えた。
勝負は一瞬。どちらがより強い一撃をより速く叩き込むかが生死を分ける。
先に仕掛けたのはギャンレルだった。
牽制に魔力を開放して雷撃を放つ。
「クロム様っ!」
「何ィッ!?」
牽制の雷撃は魔法防御に優れる天馬騎士たるスミアによって防がれ、それと同時にクロムがギャンレルの懐に踏み込む。
「っクソがっ!」
「これで…」
舌打ちを鳴らすギャンレルの胴をファルシオンが捉えた。肉に刀身がめり込む感覚。そんな嫌な感覚を気にせず、クロムは一気に力を込める。
「終わりだぁっ!」
そして、ギャンレルの後退する動きもろともに斬り捨てて見せた。
「ぐ・・・ガバッ!」
盛大に血の塊を吐き出すギャンレル。腹部の右半分を完全に切り裂かれ、そこからも夥しい量の血が流れ出ている。完全なる致命傷だ。だが、それでも取り落とした剣に手を伸ばし、震える口でクロムを否定しようとする。
「なっ、仲間なんざ・・・ま・・・やかし・・・だ。人げガハッ!っ局・・・一人・・・ごぱっ。俺・・・は・・・ひ・・・と・・・」
そんな、血に塗れながらの、寂しがりの子供のような言葉を残して、暗愚王ギャンレルはその生命を終わらせた。
・・・・・
「っは・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・ヨシュア、見えたか?」
「ああ、見えた・・・あれは・・・白旗か?」
押し寄せる増援を二人で押しとどめていたジンとヨシュアは戦闘の終わりに安堵した。
はいというわけで、第1部の戦闘マップはこれにて終了となります。
ここから事後処理と2年間のエピソードを入れて第2部へ。という流れを考えておりますので、なにとぞお付き合いいただきたく思います。
今 秋 か ら 使 用 可 能
になるんですから!原作が両方すごいことになってるんで、私としては騒がずにはいられないというか、小説から入ったのでセリカの方がノエルよりもお気に入りというか・・・Λ可愛いよΛというか。まあとにかく、このアプデがいつvitaに来るのか気になって仕方がない昆布さんなのでした。
では次回、十四章 未来へ でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。