ファイアーエムブレム覚醒~Susanoh's lust sin~ 作:昆布さん
では、本編をどうぞ。
ペレジアにマリアベルがさらわれたという知らせを受け、クロムたちは会談場所として指定された山道にたどり着いた。
「曲がりなりにも公的な会談をこのような峠で行うのか・・・ヨシュア」
「ああ、あちらこちらに伏兵がわんさか、だろ」
エメリナとクロム、二人と会話をする粗暴な顔つきの男、ペレジアの暗愚王ギャンレルと白髪とも銀髪ともとれる髪色の女性インバース。
ギャンレル曰く、マリアベルがペレジア領に不法侵入し、兵に怪我をさせたのだからイーリスの国宝であり願いを叶えるとされる炎の台座をよこせ。
マリアベル曰く、ギャンレルが兵士を率いてマリアベルの家が統治している領土に不法侵入。虐殺や略奪を繰り広げ、講義に現れたマリアベルは捕えられた。
その様子を観察しながらジンはバングに視線を向ける。
「リヒトの方は?」
「ああ、やはりこっそりついてきておったよ。一応拙者の部下を何人か護衛につけておるゆえ、心配召されるな」
と、言っている間にペレジア兵がエメリナに掴みかかり、クロムがそれを切り払った。
「姉さんに手出しはさせん!」
「おーおー、やってくれたなあ」
怒号を発するクロムを見て狂的に唇を釣り上げるギャンレル。
「ち。あちらの計算づくか…!」
「こんなこったろうと思ったよ!」
その様子にジンはユキアネサを腰だめに構え、続いてヨシュアが抜刀する。
「こいつぁ、戦争の意思ありとみなすぜ。血が枯れ果てるまで終わらない、どろどろの戦いの始まりだぁ!」
叫ぶギャンレル。
「シシガミ!リヒトたちを急がせろ!」
「心得た!」
土煙を上げてバングが馳せた。
・・・・・
「どうする?」
「仕掛ける!」
少年魔導士のリヒトがインバースを風の魔法で牽制し、マリアベルとともに逃げ出す。そんな様子を見ていた覆面の男たちは互いに目配せをして、すぐさま行動に出た。
「お頭直伝!」
「獅子神忍法!」
二人の獅子神忍軍が躍り出る。
空に上がった竜騎士には黄色の装束の忍が。
地上で走る兵士には赤色の装束の忍が。
「天剛戟!」
「金剛戟!」
両手突きの一撃で昏倒させ、次の敵へと移っていく。
しかしすぐさま次の敵が現れ、迫りくる。
「――あちゃあ・・・これは拙いか?」
「流石に・・・多いな」
とはいえ。と、二人は迫る槍を前に、覆面の下でにやりと笑う。
次の瞬間。
「獅子神忍法・絶奥義!蛮愚嵐渦陣!」
二人を守るように竜騎士に、兵士に、雨霰と釘が降り注ぐ。
気づけば二人の前には
「二人とも、ご苦労であった!」
「「お頭あ!」」
赤い布を風にたなびかせ、シシガミ=バングが仁王立ちしていた。
「お主たちは引き続きリヒト殿とマリアベル殿の護衛をするのだ・・・任せて構わんな?」
振り向いてそういうバングに力強く頷き、二人の忍びは疾風のように駆けていく。
それを見送ったバングは勢いを取り戻して迫るペレジア軍にただ不敵な笑みを浮かべて相対す。
「そういうわけで、貴殿らの相手はこの、嘘と諸悪とピーマンが大嫌いな正義の男、シシガミ=バングがお相手いたす。存分にかかってくるがいい!」
腰を落とし、力を溜めて。
駆ける速さは
「風よりも速く!」
接近する動きは
「林よりも静かにいいいいいいいいいい!」
その心は
「炎よりも熱く!」
舞い上がる意気は
「山よりも高くにいいいいいいいいいい!」
全身からほとばしる気迫。それはまさにきらめく黄金の風。その名も
「獅子神忍法究極奥義!風!林!火ざああああああああああああん!」
次の瞬間、バングの咆哮による硬直から解放された先頭の竜騎士は戦慄した。
音もなく懐にバングが現れたからだ。
「ごっ…!」
「かっ…!」
矢継ぎ早にペレジア兵を屠っていくバング。
その手はいまだに背負った五十五寸釘には伸びておらず、彼がいまだ余力を残しているのがうかがえる。
ペレジア兵が何人も吹っ飛ぶが、対してバングの鍛え抜かれた肉体にはかすり傷一つない。
「どうしたどうしたあ!拙者はまだまだやれるでござるよお!」
・・・・・
程なくして戦闘は終結。
最初からいた敵をクロムたちが討ち取り、リヒトとマリアベルを追撃しようとするものはバングと二人の忍によって倒され、増援に現れた兵は全てジンが斬り捨てた。
だが――
「これで戦争になることはほぼ確実でござるな」
バングが渋面で言う通り、これでイーリスとペレジアの間に戦端が開かれてしまったのである。
「エメリナ様」
ヨシュアが進言する。
「一度王都に戻りましょう。このままじゃ王都ががら空きだ」
レポートとかの関係で次回更新は遅れると思います。
ついでに短くなるかも・・・
では次回、五章 エメリナ暗殺計画でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。