コウとリツがネヴァン、ユウゴ達がバルバルスを相手している間、彼らに中型の相手を頼み込んだ人間達は、彼らの駆る壊域踏破船【クリサンセマム】を、開け放たれたペニーウォートのメインゲートから、ペニーウォートに入港させていた。
「駄目です。ペニーウォートとの通信、依然つながりません。」
桃色の髪をした少女は、無線機に手を当てたまま、そう言う。
「感応レーダーがまだ動いてた時、ペニーウォートから出ていく船団の反応が感知できてた。おそらく、お偉いさん方はすでにトンズラこいてますねこりゃぁ。」
少女の隣のサブコントロールボードを動かしながらそう言うのは、着流し風の服を着た優男。右腕につけた腕輪から、おそらく、一般のゴットイーターなのだろう。
「灰嵐が迫ってきています。周辺の壊域濃度、依然上昇中。どうしますか?オーナー。」
桃色の髪の少女が問いかけたのは、壊域踏破船のブリッジ、その艦長席に足を組んで座る、左目に
「私たちの為にアラガミの足止めをしてるAGE達に、子供たちの事を頼まれてるでしょう?ペニーウォートの職員は、AGEを消耗品としか考えてないわ。力のない子供たちを連れて行ったとは思えない。約束通り、子供たちを救出するわよ。」
「しかし、入り口の扉も開け放たれてるし、中の壊域濃度の濃さも分かりません。それに、感応レーダーに座ってたAGEの彼も、さっきの衝撃で負傷して…………。」
「やむを得ないわね。リカルド、行ける?」
そう言い、オーナーと呼ばれた彼女は、優男の方を見る。
「ええ。オーナーの頼みとあらば。それに、あのガキ共を、放っておくわけには、行かないんでね。」
肩をすくめて、優男は彼女の頼みに応じた。すると、
「私も行きます!!」
と、エレベーターのある方向から声がした。
そこに駆け込んで来たのは、金髪の、まだ顔に幼さの残る少女。
「貴方、確かフェンリル本部から輸送任務で護衛として派遣された、」
「クレア・ヴィクトリアスです!!事情は聴きました!!子供たちを放っておくわけにはいきません。それに、私もゴットイーターです!!」
そう言い、己の右腕の腕輪を見せる。
「…………そうね。ではヴィクトリアス女史、リカルド、お願いできる?」
クリサンセマムのオーナーの頼みに、
「はい!!」
「応さ。」
と、二人は各々の返事を返した。
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「さてと、お邪魔しますよっと。」
「答える人は居ないでしょう…………。」
チャージスピアを装備したクレアと、ヴァリアントサイズを装備したリカルドが、ペニーウォートのがらんとしたロビーになだれ込んだ。
室内は、よほど職員たちが慌てたのか、物が散乱しまるでホラーゲームの廃墟の様だ。
『周辺の壊域濃度、依然上昇中ですが規定範囲内です。しかし、この上昇幅だと、通常のゴットイーターであるお二人には、この調子だと残された時間は、あと30分が限界かもしれません。安全を見積もって、20分後には撤退を推奨します。』
と、桃色の髪の少女、エイミー・クリサンセマムがオペレートする。
「たったの20分!?待ってください!!そんな短時間でこのミナトの中を散策しきる事なんてとても…………。」
「落ち着けよ嬢ちゃん。俺は以前、このミナトに来ててね、ガキ共の牢屋…………居住スペースも見てる。」
「そういう事なら大丈夫そうですね…………時間がありません。案内してください。」
「応ともさ。こっちに…………ん?」
『関係者以外立ち入り禁止』と書かれたゲートを乗り越えると、ジリリリリ!!とサイレンが鳴り響いて、警備用の小型ガードロボットが襲来する。
完全自動で命令に従って警備をするロボットで、小型の機銃を備えている。
『警告。アナタ達ハペニーウォート港ノ規定ニ違反シテイマス。即刻立チ退キナサイ。』
「やれやれ、警備システムは生きてんのかよ。仕方ねぇ、嬢ちゃん、強行突破して…………。」
と言って振りむこうとした瞬間、ズダダダダダ!!と連続的な発砲音が響いて、ロボット達が次々と吹っ飛んでいく。
「時間が無いので強行突破しますよ!!」
そのままチャージグライドで突っ込み、さらにロボットを吹き飛ばす。
「やれやれ、肝っ玉の座った嬢ちゃんだこと!!」
エネルギーレーザーを継続して照射する銃器、レイガンに形状を変形させ、ロボット軍団をなぎ倒していく。そして、警備システムの妨害を突破してエレベーターの元までたどり着いた。
「コイツで降りるぞ!!」
「何階ですか!?」
「一番下だ!!」
「了解!!」
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《ペニーウォート港地下3F AGE居住施設。》
チン。と音がしてエレベーターが開く。その中から素早く飛び出し銃形態の神機を構えた二人だったが、警備ロボットは居なかった。
「大丈夫なようだな。」
「警備ロボットに時間を割きすぎました。限界活動濃度到達まで残り15分しかありません。急ぎましょう。」
『気を………く…さい…!!ち………お……たア…………は…………!!』
「エイミー!!おい、エイミー!?クリサンセマム、応答しろ!?」
しかし、無線はザー、ザーと音を響かせるだけだ。
「チッ、通信がイカれたか。地下だからか、それとも壊域濃度が急激に上昇したのか…………。」
「どちらにせよ、急ぎましょう。」
「おうさ!!」
そして、リツ達の後輩である三人の子供たち、マール、ショウ、リルの三人を見つけた。
「あ、この間のオジサン!!」
バク太郎を抱えたリルが、声を上げる。
「応チビッ子共、今回は前回の視察と違ってな、オジサンちょっと手荒に行くぜ。下がって…………な!!」
ヴァリアントサイズを振るい、扉の鍵を破壊する。
「さぁ!!急げ!!灰嵐が来るぞ!!」
「お、おう!!」
「はい!!」
「い、急がなきゃ…………う……。」
しかし、ここで問題が発生した。ここ最近具合の悪かったショウが、倒れたのだ。
「「ショウ!!」」
マールとリルの二人が声を上げる。
「撤退推奨時間の20分です!!急ぎましょう!!リカルドさん、あなたがおぶって!!」
「ああ仕方ねぇ!!坊主、もう少しの辛抱だからな!!」
「うぅ…………。」
苦しそうにするショウをその腕に抱え、二人を戦闘がクレア、後方がリカルドになるようにマールとリルを挟む。その瞬間、ズズン!!と音がして建物全体が揺れた。
「急ぎますよ!!このエレベーターをt」
使いましょう!!と言おうとしたところで、プチン。と音がした。どうやら、エレベーターのワイヤーが切れたらしい。ドスン!!と音を立ててエレベーターが落ちる。
「ああもう使えない!!階段を使いますよ!!」
「全く、ガキ共の前でダサいところは見せられないからな!!お前たちも、行けるな!!」
「「うん!!」」
リカルドの声に、マールもリルもうなずく。
「よし、走るぞ!!」
何とか地上1Fまで上り詰め、正門から飛び出す。
「急げ!!クリサンセマムに!!」
『リカルドさん!!クレアさん!!急いでください!!感応種の接近を確認しました、これは…………スパルタカスです!!このエリアに到達するまで、残り100秒!!』
「ああクソ!!次から次へと厄介ごとが降りかかりやがる!!」
感応種。それは、アラガミを従え、自分を王とした群れを成す、危険なアラガミ。その恐ろしさは、アラガミの一種ともいえる神機にも、その権能を作用させてくること。AGEは別だが、従来のゴットイーターにとっては、自分の神機を封殺させてくる強敵だ。
「聞こえたなイルダ!!急いでガキ共を乗せる!!クリサンセマムを
『もうスタンバイに入ってるわ!!リカルド、貴方達も急いで。』
そして、リカルドとクレア、マール達はクリサンセマムに滑り込んだ。
搬入口のゲートを開け、エアロックのようになってる部分に入り後方の扉を閉める。
「入ったぞイルダ!!」
『分かったわ。クリサンセマム、全速回頭!!直ちにこの区画を離脱!!』
『りょ、了解!!』
こうして、クリサンセマムはリツたちの待つエリアへと急いだ。
ビデオを見る限り、こんな切羽詰まった描写ではないのですが、こうだったら面白いな~という筆者の妄想を詰め込んだ短めエピソードとなってしまいました。すみません。
次回 壊域踏破船、【クリサンセマム】の面々と合流したユウゴ達。しかし、そこに新たな課題が舞い込んでくる!!【一難去ってまた一難】お楽しみに!!