さっきの銃声が聞こえてから、もう1時間が経った。
「っなんだよ、クソ。本当にこのゲームに乗ってる奴がいるってゆうのかよ」
海名 小卯(男子2番)は悔しそうに木を叩いた。
風も無いのに木はゆれ、そこからは少しの花粉が落ちた。『へくしゅっ』と明流はくしゃみをする。
「さぁーな? 智野みたいに銃が好きだった奴なんじゃぁないのか?」
鼻をむずむずさせた壁智 明流(男子16番)は気休めにそう言った。あくまで、気休めに。
銃声が聞こえた時、小卯と明流はすぐさまそちらへ向おうとしたが、今は夜、見つける事は不可能に等しかった。結局、こうして元いた場所に戻ってきたのである。
「……」
「……」
今までの出来事があまりにも非現実的過ぎて会話も当然のことながら楽しめない。
明流は大木に腰かけて支給されたパンを一つかじった。
「もしさ……」
口を開いたのは小卯だった。
小卯は頭をくしゃくしゃにかきながら何かを切り出そうとしていた。とても深刻な顔だった。
そんな顔は幼稚園からずっと一緒の明流でさえ見たことがない。
「何?」
明流は彼の言葉を阻害しないよう、軽く首をかしげるだけにとどめた。
「もし、僕たちクラスにやる気のあるやつが居たとしても、俺は……俺は殺さないからな」
ああなんだ、そんなことか。
「当然」
小卯の発言に対し、明流は口元に笑みを浮かべ即言葉を返した。
そして今度は明流が言う。
「俺も。まぁ、なんとしてでも、全員でここから脱出する……かな?」
「同感」
小卯も即答だった。
「じゃあとりあえず今はパンでも食べようぜ」
「そうだな」
そう言うと小卯はディパッグから、自分用のパンを探し始めた。
夜はますます更けていった。
【残り39人】
アハハッ、アハハッ!! やった、やった一人殺した。
ゲームだよ! これはゲーム! 駄目だよ、牡丹。甘い事言っちゃ。私みたいなのに殺されちゃうよ?
我村 雪絵(女子21番)はだたひたすら笑っていた。
普段から別に人が死ぬとかそういう事に興味はなかった。
みんなは泣くけど何が悲しいのかわからなかった。
今回の『プログラム』もそうだ。生き残った人が帰れるとかには全く興味はない。ただ、楽しいから。
雪絵にとって『プログラム』はめったに味わえない本格的なゲームだった。
「よし、これで大丈夫」
雪絵はそう言うと木に、さっき撃たれた所から出た血で『くまさんの絵』を描いた。
それから『くまさん』の下に『一』と付け加える。
さぁ、そろそろ血もおさまったしゲーム再開しようかな。
牡丹、また、どこかで出会えるといいね♪
それまでに、私、いっぱい、いっぱい、人、殺しちゃうから。
【残り39人】