趣味に勉強に部活に今まで何でも一生懸命取り組んできた。
友達とみんなでカラオケに行ったり、教室で思いっきりふざけたり、いっぱいいーっぱい思い出があった。
これからもそれは続くと思っていたい。
干村 友木(女子17番)は願っていた。友達と絶対に逃げ出そうって。
1回目の放送を聞いた時、友木はとてもショックを受けた。
もう、自分の知っている友達がこの世にはいなくなっている。ほんの昨日までは一緒に日常を共にしていたはずの友達が。いっそ全てを投げだしてこの世から消えてしまいたいと思った。
けれどそうしなかったのは、彼女にまだ希望があったからだ。
放送終了後間際に聞こえた『岩敷 李阿(女子2番)が学校の裏に居る』という言葉。
友木は確かに聞いたのだ。
その言葉を信じながら、友木は陸上部で鍛えた自慢の足で学校に向った。
――そこにいけば友達と会える! 絶対会える!
足はみるみる加速する。彼女の速度にはきっと誰も追いつけない。
こうして彼女が辿り着いた先。
そこに李阿の姿は無かった。
彼女は後悔した。
あと少しだけでいいから足が速かったなら会えたのかもしれないと。
けれどその直後だった。
「雪絵じゃん!」
我村 雪絵(女子21番)と出会えたのは。
草むらの向こうから小動物のように姿を見せる少女。
友木は歓喜のあまり飛び跳ねるようにして彼女の元へと向かった。
けれど何故だろう。友木の目には雪絵の笑顔がいつもとは違うように見えた。色々な絵具をぐちゃっと混ぜたみたいな変な笑顔。
あれはいつの事だったか、授業参観で雪絵が数学の計算の答えを間違えた時があった。
その帰り道、みんなが親と下校する中、偶然私は聞いてしまった。
『あなたは我が家の恥』
そう雪絵の母が言ってたのを……
その時もだったな、雪絵の笑顔、すごく変だった。全ての嫌な感情がごちゃごちゃしてた。
今の笑顔もそれと同じだ。
あれ、なんで私、今そんな事思いだしたんだろう……
「変、だよ……おかし、いよ……」
友木の目から一筋の涙が零れる。
地面に横たわる彼女の体にはたくさんの穴が開いていた。そこからは見たこともないほど大量の赤い血が音も出さずに零れている。
雪絵に遭遇してすぐ、友木は彼女の餌食になった。
銃弾が彼女の体を食い破るのにそう時間はかからなかった。
「♪」
友木が終わりを迎えようとする隣で、少女は気もとめずデイバックから食料と水を抜いていた。
「これでよし♪」
そう言って何事もなかったかのようにその場を去っていく。
いつもの彼女らしくない変な笑顔を浮かべて。
【干村 友木(女子17番)・死亡】
【残り33人】