ここはエリアE-3【消防屯所】。
あまり大きくない古びた建屋の中には、岩敷 李阿(女子2番)、天根 俊谷(男子1番)そして津家 貴史(男子11番)の3人が滞在していた。
俊谷は今はぐっすりお休み中。津家は自分の首に付いている首輪をいじっている。
そんな中、李阿は一人、玄関口に腰かけその扉を見張っていた。
「はぁ……」
彼女の脳裏に浮かぶのは、友人の安瀬 紗奈(女子一番)の首輪が爆発した光景。
彼女は死に、私は生き残った。
人はそれを運命と呼ぶのかもしれない。
そんな四文字で片付けてしまえるほど、あの出来事は軽いものでは無く、今でもあの時の衝撃はついさっきの事のように蘇ってくる。
――これからどうする?
李阿は改めて思考を巡らせた。
ついちょっと前までは、紗奈をこんな目に合わせた奴らに復讐してやろうとしか考えていなかった李阿だが、ここに来て頭を冷やす時間が出来たおかげか、その考えも少し変わった。
たぶんこのまま立ち向かっても復讐は出来ない。
それは自分と紗奈の会話が筒抜けで、いとも簡単に首輪を爆破させたことからもよく分かる。
「はぁ」
再び李阿はため息をついた。
復讐は難しくても、何か相手が嫌がることをしてやりたい。
その一手が未だ彼女の中に浮かんでは来なかった。
「ちょっと二人とも来てくれ」
ふと彼女の思考を遮って津家が二人に呼びかけた。
李阿が、紗奈との一件から盗聴されている可能性を教えて以降、彼は興味深そうに首輪をずっといじっていた。そんな彼が何の用だろう。
「何、津家君?」
李阿は念のため玄関の外に誰もいないことを確認してから、津家の元へと向かった。
途中、寝ぼけ眼の俊谷が視界に入る。
彼はまだ夢の世界の途中なのか、のろのろとした動きで津家の近くへと寄った。
「なんだ、津家。何か用か?」
しかし、訊ねたところで言葉は返っては来なかった。
代わりに彼に支給された地図の裏に、ペンで小さく文字が書かれる。
【これから大事な相談をする。ただこの首輪には盗聴器が入っていると想定されるため、内容は全て紙に書く。怪しまれない程度に適当に会話をしてくれ】
その紙を見るなり俊谷はにんまり笑った。
声には出さなかったが、「待ってました!」と言いだしそうな表情である。
二人の同意を確認し、津家は適当に話題をきりだした。
「この建物、変な音がしないか」
「あーそういえば」
「見た目も古いし、歪んでいるのかもしれないね」
本当に、本当にくだらない会話だった。
しかしそのくだらなさに反比例して津家は一生懸命文字を綴っていた。
「俺はもしかしてこの家に幽霊でもいるんじゃないかって思ったんだけど」
【もしかしたら脱出できるかもしれない】
「なあ二人とも、幽霊って信じるか?」
【上手いくかは分からないけど俺を信じて着いて来てくれるか?】
その文字を見た俊谷と李阿は目を大きく開いた。
二人は声を揃えてはっきり言った。
「もちろん!」
【残り30人】