「次は男子一番、天根 俊谷君……」
「……はい」
次々とみんなの名前が呼ばれていく。一人5分なんていう時間はあっという間だった。
海名 小卯(男子2番)の名前もすぐに呼ばれる。
「次、海名 小卯君」
「はい」
自分は出発がみんなよりも早い。
それを生かせばこの殺し合いなんてすぐに終わらせられる。
僕は、ごついオジサンから投げられたデイバックを受け取って外に出た。
自分の次以降(江口 みほのより後ろ)を待って全員で何かしらの方法を探せばいい。
――こんな最悪な『プログラム』なんて終わらせてやる。
僕はそう思い、外でみんなを待ち伏せしようとした。
もしかしたら、自分の前にも出発した人が自分を待っていてくれているかもしれないとも思った。
でも、現実は違かったらしい。
外には誰も居なかった。
もしかして、前に出た3人は既にこのゲームに『乗って』いるのだろうか?
そうだとしても僕は――
最初の人が出発して、もう15分が経っていた。
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「おかしい」
もう、自分が外に出てからさらに15分が経っている。
それなのに、江口 みほの(女子3番)、襟裳 良(男子3番)、沖ノ島 恵子(女子4番)のうち誰も学校の玄関から出てきた気配がしない。
――これはもしかして夢だったのか? それともドッキリ?
あるいは、中で何らかの理由で3人とも殺されてしまったのか? 現に担任の芝尼 針生先生が何らかの理由で殺されていた。
どちらにしてもこんな物騒な冗談はやめて欲しかった。
でももし、次に現れなかったらその時は……
そこまで考えて、僕は首を左右に振り、さっきまで考えていたことをかき消した。
――どうなってるんだ。
再び、玄関の方を見る。
「あっ」
ちょうどそこに誰か黒い人影がよぎった。
「あいつは……」
目線の先にいた人影は烏丸 智野(男子4番)だった。彼が今さっき、玄関から出てきたのだ。
「おーい、智野~」
僕はとりあえず呼びとめた。
智野とは別に親しくも無いが、仲が悪いわけでもない。だから、別に智野だって僕を怪しむ事は無いだろう。
一人目の仲間をゲットするチャンス。
アイツがやる気だったら話は別だけど、もちろん智野がやる気の人間なワケがない。僕はそれを信じる。
そうこう考えている間に、智野は徐々に近づいてきていた。
――ん? 右手に何かを持っている? え、ちょっと、それってまさか。
彼が近づくにつれ、右手に持っているものの正体が分かり始めた。
そう、それは『銃』だった。
なんの躊躇もなさそうに、黙って智野はこちらへと銃を向けた。
――おい、冗談だろ?
ばぁん
大きな銃声が聞こえる。弾は右頬の横をすり抜けていった。間一髪。それはそのまま木に当たる。
銃弾の風圧で頬が少しちりちりと傷んだ気がした。
「智野……お前、なんでそんな事するんだよ」
――まさか、最初にやっと現れたと思ったとたんにこれか。
信じられなかった。やる気の人間じゃないと……智野は仲間だ、と信じていたのに。大きく裏切られる結果になるなんて。
――やめろよ、それをこっちに向けるなよ。
どう考えても、智野は銃を向けていた。それは、どう見ても『やる気』の合図だった。
「……すっ……すごいなぁ……これ。やっぱり本物は違う……」
やたらと興奮している智野はそう言うと、再び銃の先をこっちに向けた。
「おい、智野!! 聞いてるのか!? おい!」
必死で呼びかける。でも、そんな声は智野の耳にちっとも届いちゃいないようだった。
こいつはクラスではそんなに目立つやつでもない、いつも大人しくしている感じのヤツだったのに。
――そんな智野がなんで?
「……ちっ」
仕方なくその銃から次の弾が飛び出る前にこの場を立ち去る事に決めた。
幸い、智野は追ってくる様子はなかった。
――嘘だ。こんなの絶対に嘘に決まってる。そっか、夢だ。今朝見た夢の続きなんだ。
そう自分にそう言い聞かせた。
しかし、頬はまだ、智野に撃たれた衝撃でひりひりしていた。
その事が確実にここが現実なんだと、自分にそれを証明していた。
【残り42人】