=民家にて……=
「あー寒い。寒い」
手をこすり合わせながら竹原 香(女子10番)は民家にあった毛布に包まっていた。
運の良い事に、この家には誰もいる様子がなかった。
香は南の方からの転校生であり寒さにめっぽう弱い。彼女にとって、今の外の空気は冷たくてとっても辛いものであった。
それがどうしても絶えられず、ゲーム開始早々、自分の体を温めることが出来る場所を探していた。そこで見つけたのがこの民家である。
運の良い事に、玄関の鍵は開いていた。おかげで簡単に家の中にも入る事が出来た。
家の中はもちろん電気・ガス・水道はついていない。でも、ここなら禁止エリアにならない限りは拠点にできるだろう。(食料もあるし)
そう香は考えていた。香の甘い考えはまだまだエスカレートしていく。
おまけに、もしかしたらココに隠れていれば運良く最後まで残っていられるのかもしれない。
――もし、そうだったら私、ラッキー!
ちなみにデイバッグの中には武器のボウガンが入っていた。
――コレで来た敵だって楽勝♪♪ 玄関さえ見張っていればいいのよね。玄関から入って来た人にとってはアンラッキーだけど、本当に私はラッキー。
「さぁて食料でも食べますかっ♪」
香はさっそく、パンをちぎった。
口の中いっぱいにパンほおばる自分。どこか楽しい所にいるような気分だった。
「これ意外と美味しいか……ぐっ……」
呑気にパンを品評し始めた時だった。香は体に激痛を感じた。
パンが喉に詰まったのかも知れない。
そう思った香は水を飲み込もうと床に置いたペットボトルに手を伸ばそうした。しかし、体はぴくりとも動かなかった。
この時なんと、香の頭上には大きな斧が刺さっていたのである。
頭はぱっくりと二つに割れている。香には自分に何が起こったかは分からなかった。いや、理解出来なかったと言った方がいい。
何が起きたかも分からないまま、香の意識ははるか彼方へと飛んだ。
どさっ
倒れる香の姿を見て、背後からは三つの人影が現れる。
それは木蛇 鉄瑠(男子6番)芝見沢 朝陽(男子8番)奏草 浅之(男子9番)の三人であった。
「さっすがお前スゲーな」
木蛇が言った。彼はおしゃれな猫みたいに髪の毛を撫でつけながら、けらけらと笑っていた。
次第にその誇らしげな笑みは光に照らされあらわになっていく。
「お前の作戦成功だな」
その声は奏草だ。少年はゆるやかに拍手送っている。
「まぁ、二人の道具のおかげだよ」
朝陽が返した。
今回のこの男こそ、この残酷な物語を思いついた張本人。
玄関の鍵が開いていた民家。そこにはもう先客がいたのだ。
木蛇の斧、奏草のピッキングセット……(芝見沢は漫才のつっこみ用スリッパだった)
三人は誰かが安心して入って来れるように鍵を開け待ち構えていた。そこに現れたのが香だったのである。
全てはお遊びの作戦。
頭に刺さった斧を抜き、にやりと不気味な笑みを浮かべる三人。返り血を多少浴びていたが誰も気にはしなかった。
――そう、彼らはゲームに乗っている。
危険。
【ラッキーガール・竹原 香(女子10番)死亡】
【残り41人】