誘拐事件に巻き込まれ精霊の力を開放した少年。精霊を封印する力と天使<無帰ノ之>を使うことができる。封印した力は天使を通じて顕現させることが出来、やろうと思えばたくさん出せるとのこと。
本人としては恋人ではなく友達で居たいとのことで、恋人になる人は後々考えたいそうです。
皆にとっては昔に感じることだが俺にとってはつい最近の事のように感じる。
ある誘拐事件。それに巻き込まれた俺と”彼女達”は拘束され俺以外が死んでしまった。
目の前で惨殺され、俺は精神が崩壊。その時は人と会うことすら恐怖の対象だった。
でも、それを乗り越えたことにより俺は力を手に入れた……圧倒的な”力”を。
俺は誓った、彼女らの墓標で。
「お前らを殺した奴らに落とし前を付けさせる。それが終わったら……此処にずっといるよ……」
復讐を誓う、そして彼女らのような人たちを出さないように……俺は、歩み続ける。
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~士道side~
4月は色々と立て込む。それが嫌なので早めに用事を済ませるといつもの様にある場所に向かった。
「おにーちゃん?今日行くなら私も行くぞ?」
妹の琴里がそう言ってくれる。俺のことをよく分かってくれている人物の一人でもある。
「ん。問題ないさ、お供えしてくるだけだし……凜緒も一緒に行くって言ってるし」
彼女らの中には姉妹が居たのだがその中の一人である妹の凜緒は姉である人を失ってしまった為俺によくくっ付いている。
「………分かったのだ。ちゃんと帰ってきてくれだぞ」
「分かってるよ。ちゃんと帰ってくる……行ってきます」
家を出て隣の家に行く。そこは彼女たちが住んでいた場所でもある。
「パパ!!凜緒は準備できたよ!!」
「そっか。じゃ、行こうか」
二人で手を繋ぎながら天宮市の郊外まで歩く。本当はもっといい所に立ててやりたかったけど……
「パパ?お花、置こ?」
「ああ……そうだな」
花を添え手を合わせる。この行為を何度やったことか……俺の友人なども一緒に来たこともあるし、俺一人だけで来たこともある。あれから10数年経ってしまった。
「………帰ってご飯の用意しようか。凜緒も一緒に食べようか?」
「食べる!パパのご飯は世界一美味しいよ!」
パパとママ。その呼び方に何も感じないのは俺達が親代わりであるからで本当の家族は何処へ行ったのやら……俺も人のこと言えないけど。
「この世界には、<凶禍楽園>は存在しない。神も悪魔も……なら自分で創造した方が早い。お前らを守れなかった俺の罪だ。頑張って償って見せるさ」
その言葉を残して墓標を去る。その後に信じられないことが怒り始める。俺の運命の時計は狂い始めた。
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~???side~
「君たちには苦労を掛けたな……もうそろそろ”彼”と出会えることだろう。しかし彼は、変わってしまっているが君たちはいいのかい?」
「大丈夫ですよウッドマン卿。彼は変わっても根本は変わりませんから……」
「そうですね。変わっても変わらない部分もありますから」
「まあ、確かに変わらない所は絶対あるわよ」
「変わるって言ってもそんな変わってないと思う」
「それは無いとも言えないな……彼の運命は、狂い始めているからね」
それぞれが感想を言うが……自分にとっては相当変わったと思っている。
「あちらにも君たちのことは知らせているが、”本当の事”は彼しか知らない。あまり話さないように」
彼女たちは頷く。そして後ろに居る彼女にも指示を出す。
「カレン。アイクの事は任せる……私は部下たちを纏めることにする」
「これで、私の目的が始まるか……彼と同じような償いができるといいが……」
彼を利用するのは気が引けるが、償いを一緒にさせてもらおう。
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~士道side~
4月10日。学校では始業式が行われる。それを思い出すと着替えてキッチンに降りる。家には両親は居ないので自分が料理を作るしかないのだが。
「おにーちゃんおはよ~!」
朝から元気な妹が挨拶をし、椅子に座る。
「はい、ご飯。琴里も今日は始業式なんだろ?お昼何食べたい?」
「デラックスキッズプレート!!」
ファミレスなんだが……それだったら凜緒も食べれるしそれでいいか。
「分かった……凜緒も連れて行くとなったら一回家に帰ってきた方がいいか。琴里はファミレスで待てるか?」
「りょーかいなのだ!火事とかテロリストとか空間震が起きても絶対だぞ!」
この妹は何を言ってるのやら……それでも連れ戻しに行くけど。
「そろそろ時間だし、行かないとまずいんじゃないか?」
「そうだね~。では出陣だ~!!」
何処の戦国武将だというツッコミを心の中で入れながら登校する。自分のクラスは2年4組だった。
「二年生になっても組は変わらず。誰が居るのやら……」
そう考えていると後ろから声が掛かった。
「五河士道……」
誰だっけ?優等生だった気がする……
「………俺?」
「覚えてないの?」
「会ったことはある気がするけど……覚えては無いかな」
彼女は少し嬉しそうにした?顔をして机に向かい本を読み始めた。
「よっ、五河。何で鳶一と親しそうに話してるんだ?」
後ろから俺の理解者である殿町が話しかけてきた。
「覚えてないんだが、どっかであったことがある気がすんだよな」
「何だよそのホラーみたいな奴。でも、あれから10年以上たったんだよな……」
「あれもホラーみたいのものなのか?」
「そりゃそうだろ。お前あれからすげー変わったし、触れようとすると気絶したりとか……マジで変わったと思うぞ」
殿町とは小学校からの付き合いだ。此処まで一緒とは何かの運命なのかと考えてしまう。
「そういえば、転校生が来るみたいだな……五人。うちの所に一人、3組に二人、1組に二人来るんだと」
「転校生か……男か?女か?」
「全員、女。だからお前に話してんだよ……あんま無理すんなよ?」
女性を見ると恐怖を少し感じる。精神疾患だと診断されたがそういう類のものではないと思うが。
「まあ、座ろうぜ……どうせ席近いしな……」
席に座りポケットから音楽プレーヤーとイヤホンを出して音楽を聴き始める。
「今日の曲は?」
「宵待月乃。スキャンダルとか多いけど普通に曲はいいと思うんだよな……」
「お前よく争奪戦に勝てるな……あの戦いは死人が出るレベルだしな」
そんな戦いでも普通に入手出来る俺はすごいのだろうか?
「は~い。ホームルームを始めますよ~~」
「担任はタマちゃんか。良かったな……殿町」
「何?心配されてんの?俺!?」
そうしてホームルームは進み転校生の紹介に移った。
「それじゃあ、転校生を紹介しますね~。入ってきてください~」
ガラガラと扉を開ける人に俺は時が止まったように見つめていた。
「園神凜祢です。両親の都合で海外に行ってましたがちゃんとした日本人です。宜しくお願いします」
「それじゃあ席は……五河君の隣ですね」
向かってくる彼女は前よりも大人びていて、女性らしい顔立ちになっていた。そして彼女は俺に向かって……
「ただいま……士道」
「お帰り……凜祢」
俺はその時涙を流していた。”彼女”はもう居ないはずだから。
「積もる話は、後で……ね?」
「………分かった。終わったら……宜しく」
俺達の会話を聞いていたクラス全員がどういう関係なのかを問い詰めてきたが教えるわけにはいかない。聞かれた時、困るのは俺達だ。
「色々聞きたいことはあるが……お前のためだ。時間稼ぎはしてやる」
「すまんな殿町。報酬は俺の最高クラスの弁当を作ってやる」
「マジか!俄然やる気が出てきたわ……」
そうして授業が終わり凜祢と話す。
「とりあえず、確認。本物?俺の幻覚とかじゃなくて?」
「本物だよ?士道がよく知ってる園神凜祢だよ?」
「ああ、俺の見間違いじゃないんだな……」
「後ね、皆も転校してきたんだ……全員居るよ」
その言葉に俺は耳を疑った。全員生きている?あの時”死んでしまった”はずじゃないのか。
「今日は皆で家に帰ろうっていう話をしてたんだ……だから帰ろ?」
その手に導かれるまま教室を出ると、目を疑う光景が待っていた。
「お久しぶりですね。士道」
「久しぶりね。士道」
「また会えたわね。士道」
「これは幻覚ではないよ。士道」
そこには、俺が守ることができなかった人たちが揃っていた。
「ああ、お帰り皆。俺は……嬉しいよ」
俺の周りに居た彼女ら。園神凜祢、或守鞠亜、或守鞠奈、万由里、蓮が俺の目の前に居た。
「此処じゃあ色々聞かれちゃうから家に行こ?」
「あ、家に帰ったら凜緒と琴里と一緒にファミレスに行かなきゃいけないんだが……大丈夫か?琴里は知らないはずだし」
「恐らく問題無いかと。なら家に向かいましょうか」
家に帰ってくると凜緒が驚いた表情でこっちに向かってきた。
「パパ!!なんで皆居るの?」
凜緒には死んだという事実を言っておらず、遠くに行ったと言っていたので帰ってきてくれて嬉しいのだろう。
「凜緒、ごめんね。でもこれからはずっと一緒に居れるからね」
そうして七人という大所帯でファミレスに向かう……お金大丈夫かな?
「見ないうちに結構変わってるのね」
「そんなもんでしょ……10年以上経ってたら町も変わるし新しい所も増えるでしょ」
「実に興味深い所が多いな……士道、後で案内をしてくれ」
「分かったよ……お前らは変わらないな」
そう話しながら歩いていると……
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーー
「空間震警報……シェルターに行かなきゃか……せっかくの昼飯が」
「パパ?琴里ちゃんは、何処に居るのかな?」
そういえばなんか不吉なこと言ってたよな。そう思いGPSで位置を確認すると……
「ファミレス前じゃねぇか!皆少し付き合ってくれ。馬鹿な妹を連れ戻す」
全員了承してくれた。やばくなったら”アレ”を使ってでも守る。
「はぁ……はぁ……。あれ?居ない?」
ファミレス前に居るのは確かなのだが肝心の妹は居なかった。
「士道?GPSは確かに此処を指しているのですよね?なら空に居るということは?」
「空?空飛ぶ戦艦にでも乗っているのか?」
何処のアニメだとツッコミを入れたいところだが……居ないことが分かったのでシェルターに行こうと思ったその時。
「目の前で空間震とか……ヤバい!!」
また、守れないのか? いや、俺には力がある。 精神を集中し、その名を呼ぶ。
「来い!<無帰ノ之>《ダアト》!」
その名を呼べば全て俺の前では”無と帰す”。
「士道……それって……」
黒いコートに身を包み、両手からは鎖。その手に持っているのは二本の刀。
「大丈夫だ……お前らを守る為に手に入れた力だ。悪い事には使いはしないさ」
全てを無に帰したその空間には一人、女の子が玉座とともに出現していた。
「士道。気を付けて……あの子こっちを警戒してる。後、空からなんかこっちに来てるみたい」
女の子は助けるとして……空飛ぶ奴らは落ちてもらうとしよう。
「女の子を見捨てるわけにはいかないからな、助けに行ってくる」
「士道……ちゃんと帰ってきてね。また会えたのに……帰ってこなかったら」
女の子を泣かせないためにも、皆を守る為にも俺は自分の信じた道を進む。
「帰ってくるさ。お前らに誓いを立てたからな」
そうして女の子の方へ向かう、その目は絶望に染まっている目だった。
「貴様も、私を殺しに来たのか」
「そんなことない。君を助けに来たんだ」
「助ける?何故だ。見ず知らずの者に貴様は手を差し伸べるのか」
「それでもだ、あいつ等みたいな人たちを増やしたくないからな」
そう話しているとよく分からないが恐ろしい寒気と共に鈍い機械の音が遠くで聞こえた。これはまずいと思い彼女を護りながら避ける……
「がはっ……ぁ……」
「っ……何を……大丈夫か!何故私を庇った!」
「そんな……顔……するなよ……君を……護れて……良かった」
「何故だ……何故そんなことを!!」
「一つ……頼みがある……あそこに居る……あいつ等を……代わりに……護って……くれ……」
意識が遠のいていく……約束……守れなかったな。
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~琴里side~
私はフラクシナスの艦長として命令を出すという責務がある。だけど今の光景を見て私は何も考えられなかった。
「あ……え……」
何故だ?何故、私の炎が身を包まない?彼には灼爛殲鬼があるはずなのに。
「琴里。今は落ち着いて……」
親友の声を聴いて我に返る。でも何故?生き返らない?
「ええ、心配かけたわね。これだと今後に支障が出るわ……士道を回収して調べましょう」
回収しようと声を掛けると警報が鳴り始める。
「司令!霊力値がマイナスを示し始めました!反転状態に入ります!」
精霊の反転。感情が絶望に染まることによって変わってしまう現象。士道の死がトリガーとなってしまったようだ。
「反転って……心も開いていないのに、反転なんてあり得るの?」
「精霊は未確認な事象が多い。それも可能性としてはあってもおかしくは無い」
私はそれをモニター越しで見ていた。
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~???side~
私を庇ってくれたこの男は優しすぎる。そう思った。見ず知らずの私を助けてくれたのだ。この気持ちは?殺した奴らの憎しみか?いいや違う。もっと違うものだ。この男に対して私は……
「お前は、優しいのだな……もう一人の私を庇ってくれたこと。感謝する」
亡骸となった男を私が出した黒い玉座に座らせる。本当は私が座るべきだが今はこいつに座らせる。
「なら、お前が頼んだことを……私が……代わりに。もう一人の私と、私で」
蹂躙を始めよう。あいつを殺した奴らを。全てを絶望に染め、人間を消す、滅す。
「<暴虐公>……《終焉の剣》」
私が最大限出せる技を繰り出す。そうすればあいつらは死に絶える。
「終わったか……む?」
私が出した玉座に数人の人間?が集まっていた。あいつが言っていた守ってほしい奴らの事だろうか?
「士道……帰ってきてって……言ったのに」
皆悲しみに満ちている。彼が私を庇ったのが原因で死んでしまったのだ。
「そいつの仲間か?」
私が話すとそうだ、という返事が返ってきた。
「こいつはお前らを守ってほしいと話していた。私はこいつの意志を引き継ごう……私ともう一人の私と救ってくれたからな」
私は罪という責任が付きまとっていたと思う。私にはあまり分からないがこいつのためにしなければならないとそう、思ってしまう。
「眠れ……此処にはお前を忘れない者たちが居る」
男の顔にそっと触れる。冷たい感触が手に広がる……死んでしまったという感触はこういうものだろうと実感する。
「………?燃えている」
急に体が燃え始め、その男は急に立ち始めた。
「ん……戻ってこれたかな?……色々壊れてるし。何が起きたんだ?」
そうして男が蘇った後周りに居た者たちが抱きつき始め泣いていた。
「ごめん。約束、破っちゃった」
そうして落ち着いた後、話を切り出す。
「まあ、なんだ。もう一人の私を助けてくれたこと感謝する」
「自分がしたいことをしたまでだ。それじゃあ、友達になろう」
「友達とはなんだ?」
そうして説明を受ける。一緒に遊んだりする者たちの事を友達というらしい。
「いいだろう……そして、お前の名は何だ?」
「俺は……五河士道。復讐に囚われた人間だったものさ……で、名前は」
「名か……そういえばなかったな……もう一人の私にもなかった」
その男、士道は私ともう一人の私に名前を付けた。
「最初に会った方を『十香』、君は『天香』だ」
その名前は自分にも分からないほどしっくり来た。その名前が本当の名のように思えた。
「それはどう書くのだ?」
そうすると士道は地面に書いた。
「天香……いい名だ。気に入った」
「お気に召して何よりだ。此処じゃ見つかるかもだし、家に帰ろうか」
士道の家が気になるので付いていくことにする。
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~士道side~
天香を迎え入れて、家に帰る途中に何処かに飛ばされた。SFチックな場所だと思うが急に飛ばされたので悪い奴らにでも誘拐されたか?という考えが頭を過ぎる。
「士道。こちらを見る。そちらを見張ってくれ」
天香と連携して周囲を警戒する。そうして安全が確認されたので剣を下す。
「大丈夫そうかな?皆怪我とかは無いか?」
「大丈夫……それよりも士道の方が大丈夫?」
全身傷まみれの俺がこうやって立っていることすら奇跡であろう。
「士道。無理をしないで天香に任せておいた方がいい……その体ではいつ倒れてもおかしくない」
蓮がそう言うので俺は任せることにする。思ったよりも疲労がピークに来ているようだった。
「任せておけ、士道も無理をしてああなってはこちらも困る」
話していると奥の扉からよく知っている顔が向かってきた。
「士道?大丈夫?」
「琴里か……とりあえず休みたい。その後に此処の説明を聞きたい」
そう話し医務室に連れていかれた。
「っ……痛い。後、めっちゃだるい」
「当たり前でしょ。<天使>使ったんだから、疲れるのは目に見えてるわ」
天使や琴里が何故此処に居たのかという説明を受けた。
「特殊指定災害生命体<精霊>……ASTとラタトスク。その考えには俺は賛成だな……」
精霊という少女を殲滅するなど頭のネジが無いのではと思う。で、天香は精霊が絶望するともう一つの人格として発現する”反転”状態であるという説明を受けた。
「士道と天香以外の方々はどちら様かしら?」
「聞いてなかったかな?ウッドマン卿からこっちに増員として来たんだけど」
そういえば来てたわね……と琴里が言う。そのウッドマンという人には感謝しかない。
「で、士道とどういう関係なの?まさか……彼女とか言わないわよね?」
「パパは皆とお友達だもんね!そうでしょ?ママ」
そのママという発言に琴里は呆然とする。
「親代わりとして俺がパパだったらママは何処に居るんだって考えなかったのか?」
「頭から綺麗に抜けていたわ。ウッドマン卿からならあいつ等とは違うし、士道と知り合いなら問題なさそうね……士道は今日はフラクシナスで検査ね」
「私はここで待っているぞ。士道と一緒に居たい」
「じゃあ、士道の傍に居て。私達はお仕事があるから……凜緒もパパと一緒に居てね?」
天香と凜緒が残り、それ以外は奥の部屋に行って仕事をしに行った……高校生で秘密組織で仕事とは。時代は変わっていくことを身をもって実感した。
「そういえば、士道に封印の方法教えてなかったわね。精霊の好感度を一定以上上げてキスすれば封印完了よ」
何処のギャルゲーだ。まあ、それが封印ならやるしかないけど……
「天香?ちょっとこっちに来てくれ。凜緒は琴里と一緒に居てくれな」
そして医務室のベットに来てもらいカーテンを閉める。
「天香……俺のこと好きか?」
「好きという感情がよく分からないが、一緒に居たいという感情がそれなのか?」
「そう、だな。だからさ……お前の力を封印するな。お前が弱くなっても俺が命を懸けて守ってやる」
「士道のそういう所に惹かれたのかもな……自分の事も考えたらどうなんだ……」
苦笑しながら顔を近づけ、キスをした。
「………封印すると服が消えるのか。当たり前か、霊力でできた鎧を身に付けている私が士道に霊力を封印されたら無くなることを考えていなかった」
「とりあえずこれでも着たらどうだ?琴里に服もらってくるから」
天香にはどういう服が似合うんだろう。ミニスカ?駄目だな。ロングスカートかズボンがいいだろうか。
「琴里?封印した……ってどうした?」
「封印したのはこちらでも確認したけど、霊力は出そうと思えば完全体で出せるみたいなのよ……こっちとしては困るのよね。機械を使っても感知できなくなったのはいいけど、霊力を開放したらいろんなところから目を付けられるのよ」
「俺の役目は精霊の封印と精神状態の管理をしろって言いたいんだろ?それぐらい分かってるさ。で、天香用の服を取りに来たんだが良いの無いか?」
「察しがいいわね。誰かさんの影響かしら?」
俺だって10何年生きてるので、そういうことに対しては分かるようになってきた。
「それでさ。精霊は天香だけじゃない……飯は俺が作るとして、住むところはどうするんだ?」
「それは、うちの隣に凜緒が住んでいた家を改築してマンションにするつもりよ……許可は取ってあるし設備も充実させるわ……キッチンとか」
キッチンも充実?それはそれで助かるので調理時間の短縮につながる。
「はいこれ、天香が着替えたら……艦橋に着て頂戴。クルーの人たちを紹介して、家に転送するわ。私今日は帰れないかもだから」
「りょーかい。根を詰めすぎない程度に頑張ってくれ」
そうして医務室に戻り天香に服を渡すと……ベットに押し倒された。
「天香サン?ナニヲシテイルンデスカ?」
急に押し倒されたので片言になってしまった。そうしている天香は。
「士道は他の精霊も助けるのだろう?ならば条件がある。」
「条件とは。何ですか?」
「他の人たちも大切にする事。全員に気を配れ。それだけだ、それが分かったら私に証明して見せろ」
証明って。まあ、俺はそうするつもりだったから……俺は証明した。
「………っは。満足ですか天香さん。俺はそうするつもりだったけど」
「満足した。お前の信念がどこまで貫き通せるかを見てみたかっただけだ」
「ならいいんだ。着替えたら琴里に会いに行く予定だからな」
そうして彼女を封印することができた。でも、俺の力はますます強くなっていくのだろうか。それを気に留めながら生活をしようと思った。
次回、黒い氷。