デート・ア・ライブ 全てが反転した世界   作:零之悪夢

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時崎狂三
士道の昔話を聞いて秘密を知った少女。自分の悲願を叶えるために行動していたが、士道が紗和を呼び出したことにより達成された。自分の悲願を叶えてくれた士道に恩を感じており、彼が目的としている復讐に協力する。プライベートでは士道に猫として扱ってもらうことに喜びを感じている。


黒炎

自分が死んだ時、誰が悲しむのだろう。

 

本当に悲しんでいるのだろうか。

 

自分は何回死んでも蘇る。

 

自分が本当に死んだ時、悲しんでくれる人はいるのだろうか……。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~士道side~

 

「琴里……明日、出かけないか?」

 

何となく誘う。一応、本人からも聞いているが彼女は精霊であり封印されているが……自分でも覚えていないのでもう一回封印しようと思った。

 

「デートのお誘い?別にいいけど……皆も付いてくるなら、という条件でね」

 

「……行く所が限られたな。それだったら……オーシャンパークでいいか?」

 

色々と考えたのだ、二人っきりでデートをするので調べていたのだが……皆でという条件を突き付けられたので、遊園地やプールがあるオーシャンパークを選ぶほかなかった。

 

「ええ。無難な選択ね。明日、10時くらいに行きましょうか」

 

この時に自分が選択した場所を変えておけば良かったと後から後悔した。

 

「水着、あったかな?」

 

今更だが、水着を持っているのだろうかという疑問がふと頭を掠める。自分は持っているが封印した精霊たちやいつもの五人、持っていないはずでは?

 

「今日、買いに行くか……」

 

とりあえず、予定を確認する……天香たち精霊は……俺が言えば絶対付いてくる。五人は……要確認として。

 

「返信早いなぁ……」

 

五人の中でも返信が早い鞠亜にメールで五人の予定を聞くと、特にないとのことだったので買い物に付き合ってくれという趣旨のメールを送った。

 

「全員誘えた……折紙は……別の日にでも俺が誘っておけばいいか」

 

あまり折紙に関わらせるのも良くない。彼女の仇、イフリートは俺の妹なのだ。それを阻止するためにも、封印するためにも、俺が動いて全ていい方へ持っていく。

 

「明日が大変かもなぁ……」

 

朝から疲れを感じながら学校へ向かい、授業を受け、放課後になる。

 

「俺含めて、十人。今思ったけど多すぎじゃ……」

 

そう思ったがこれから精霊が増えていくと考えると、今に始まった問題ではないと思った。

 

「士道?水着を買うのか?」

 

天香が聞いてきたので一応の説明をする。明日、皆でオーシャンパークで遊ぶということを。

 

「という感じで皆には休暇というか、休息を取ってもらおうかなーと。なので好き勝手に遊んでもらって良い。けど、何かあったら俺か、凜祢に連絡すること。以上」

 

「士道は何をするのだ?」

 

「ん?琴里と遊ぶけど……」

 

皆がえっ?という顔をする。

 

「兄妹だし問題ないだろ?決してそっちの趣味に目覚めたわけではないからな。お前らが証明してるだろ」

 

皆がそうだった、と理解し始める。

 

「そうだな……俺が好きな水着を選んだ奴が俺と遊べる、ってのはどうだ?」

 

これで不満を解消させることが出来ると思った……。

 

「……………」

 

よく耐えられたな、と思う。精霊組は派手過ぎず、しかし魅力的な水着を選んでいた。いつもの五人は、可愛らしい物やセクシーな物を選んでいたが……。

 

「ん。俺の好みは……凜祢だな」

 

その言葉に、その他の人々は負けてしまったと悔しそうな顔をする。

 

「何ていうのかな……露出が多くなくて、少しフリルがついてる……色もいいし。やっぱり、俺の事をよく分かってるな……凜祢」

 

そして、第一回水着選びは終了した。その後は俺の夕飯を何にするかという話になり、色々買ってしまった。

 

「今日の夕飯作るの絶対時間かかるなぁ……何故、から揚げという選択になった」

 

漬け込む時間がないので、ソースや味を変えることしかできないのは少し残念ではあるが、彼女らが食べたいと言うのであればそれに応えるだけだ。

 

「私達も手伝うよ?士道一人じゃ、あの量は作れないでしょ?」

 

「やっぱり家事ができる二人は有能だなぁ……結婚してぇ」

 

よく分からないが、本音が出てしまった。

 

「え……?し、士道?ちょっと私達には早いんじゃないかなぁ~?ははは……」

 

「あ、ゴメン。つい本音が出てしまった」

 

友達で居たいのだが、主夫の目線で考えると一人であの家事を回すのはきつい。なので、一人、二人くらいできる人が欲しかったので結婚という本音が出てしまったようだ。

 

「はぁ……。ん?もしかして、”アレ”が使える?」

 

今、頭に浮かんだ考え。これを使えば家事を簡単に回せるし彼女らにも構うことが出来る。

 

「ふふふ、帰るのが楽しみだなぁ!」

 

不敵な笑いに皆引いていた。

 

「う~~っ。よし、始めるか」

 

家に帰り皆がリビングで休憩し始めている中俺は行動に移す。

 

「<刻々帝>……」

 

最近封印した天使。<刻々帝>を使うことで、家事を楽できると思ったのだ。

 

「<八の弾>……後、五回くらいやっとけばいいか」

 

自分の分身を出す、これで俺を含めて六人。家事は格段に楽になる。

 

「よう”俺”。気づいちまったか、仕方ないよな……この家事の量を一人でするなんて狂気の沙汰だしな」

 

「そうだよな、だから手伝ってくれ」

 

分身体もあれを一人でやるのはやばいと思っていたようで進んでやってくれた。

 

「あらあら、士道さんが六人もいらっしゃいますわ」

 

ようやく気付いたその他の人は俺が増えたことで格段に速くなった家事を見ていた。

 

「洗濯終わったぞー」

 

「部屋の掃除も終わりー」

 

「終わったら、こっちに来て料理の手伝いしてくれ……ああ、ありがとう」

 

六人になった俺達はせっせと肉を切り、タレを作って肉を漬け込み、油の温度を上げ、副菜のサラダを作ったり……。

 

「ただいま……士道が六人も?私疲れてるのかしら……」

 

妹がこれは幻覚だと思い始めリビングを出てもう一度入ってくる。

 

「これは、令音に相談した方が良いかしら……」

 

「琴里さん?これはわたくしの<刻々帝>の<八の弾>で増えた士道さんの分身体ですわよ」

 

「ああ、そういう事ね……でも、士道にも負担が大きいんじゃないかしら?」

 

「問題ないさ、存在の維持だけだから……って!!やべぇ!俺達、ちょっとやっててくれ!」

 

不味い、俺の黒歴史が再臨した。

 

「ん?士道……じゃない?女の子?」

 

「士織、ちょっと話そう」

 

そうして俺は士織を連れてリビングを出た。

 

「で、なんで出てきたんだ……お前分身体だけど俺の力を少し持ってるよな?」

 

「そうですよ”お兄様”」

 

お兄様……お兄様……。

 

「お兄様!気をしっかり持ってください!」

 

「はっ!俺ってやっぱり妹に弱いのかなぁ……」

 

「それはないと思いますよ。お兄様は女性に弱いだけでそういう趣味はないでしょう?」

 

確かにそうだが……。

 

「暫くは、正体を明かさないで過ごしますよ。お兄様の黒歴史を暴露するのも面白いですけど……」

 

「暴露するな……でも、お兄様って、俺が願っていた時があったからこの呼び方になったんだな?」

 

推論も交じりつつ、話す。

 

「そうですね……後、私は本当に”女の子”なのでお兄様の好感度は振り切ってます」

 

ああ、やっぱり。これを生み出した”師匠”には次に会った時にこちょこちょの刑に処す。

 

「士織なら、結婚しても大丈夫だっけか?一応、従妹は法律上問題なかったよな?」

 

「ええ、恐らく。何ですか?私と……け、結婚したいんですか……」

 

恥ずかしがるところも可愛いなぁ……こういう所も”彼女”に似てるよな……。

 

「えっ?彼女って誰だ?」

 

今、思った彼女は誰だ。俺が初めて……考えていても仕方がない。今は前を向いて生きていこう。

 

「まあいっか、士織……話を付けよう」

 

「はい、お兄様」

 

それは王子と王女の様。この関係を一言で表すならだが。

 

「俺達?出来たか」

 

リビングに戻ると複数の俺が鍋から上げられたから揚げを取り出していた。

 

「ああ、終わったよ。二人が来るのを待ってたんだ……じゃあ、俺達はここまで……士織も頑張ってな」

 

「はい、分かってますよ」

 

そうして五人の俺は影に沈んだ。

 

「で、その子の話を聞かせてもらいたいんだけど……」

 

「あー、この子は五河士織。俺の従妹になるのかな?あまり出自は聞かないでくれ」

 

「士道に従妹が居るなんて聞いてないけど」

 

「そりゃそうだ。最近生まれたんだからな」

 

「そうですねお兄様」

 

その発言が部屋を凍らせた。

 

「お兄様?士道……いくら結婚できるからって、手を出したら駄目よ?」

 

「いや違うよ?天使を使って生み出したから、結婚してないしやってないよ!!」

 

そうして士織を紹介した……説明したせいでどっと疲れた。

 

「つ、疲れた……こんなにも精神的に疲れるとは……」

 

皿洗いをしながらそう思う。から揚げは好評で健啖家の天香と蓮が残さず食べたので俺的には良かったと思っていたがその後の皿洗いが大変なのだ。

 

「説明だけでも、ツッコミどころがいっぱいでしたからね。これが終わったらお風呂にゴーです」

 

「よし!終わり~。風呂に行くか」

 

知らぬ間に士織と風呂に入っていた。

 

「自分の女姿を見ることになるとは……違和感だな」

 

「でも、ちゃんとないことは分かったでしょう?だから、今直ぐにでもお兄様と一つになれるんですよ」

 

「おいおい、どこのアイドルだよ。俺は彼女を作る気は無いし、そういう目で見れないんだよ」

 

「でも、私は違いますよ?」

 

「血が繋がってるだろ?だから、手を出さないし自分の女姿だから問題なし」

 

二人で湯船に浸かりながらそんなたわいもない話をする。

 

「背中流しますよ」

 

そうして自分に洗われる。しかし何故胸で洗う……そこそこ大きいものが背中に当たっている。

 

「なあ、士織。何で胸で洗ってるんだ……普通にタオル使って洗ってくれよ」

 

「お兄様も私の体洗ってもいいですから……」

 

俺の体を洗い終わった後、交代する。

 

「俺はタオルでやるからな。手でじっくりとやらないぞ」

 

「ええ~。まあ、分かってましたけど」

 

タオルで丁寧に体を洗う、自分の体なので特に躊躇うことはない。

 

「んっ……あ……」

 

躊躇わずにやったため女性であることを忘れていた。

 

「ほら、終わったぞ……普通に女だったことを忘れてたわ」

 

「……はぁ……ちょっと気持ちよくなっちゃいましたよ。お兄様はテクニシャンですね」

 

不本意なあだ名を付けられた。悲しい。

 

「別に一緒に入ってもいいけど、問題になりそうだな」

 

「私はお兄様の分身体。影の中から出れば問題ありませんよ」

 

そういえば、士織は分身だったと思い出す。

 

「なので、問題はないんですよ。この後も一緒に寝ましょう?お兄様」

 

お風呂から上がって一緒に寝る……一人で寝るよりリラックスして寝ることが出来た気がする。

 

「…おに…………おき……」

 

誰かの声が聞こえ、意識を覚醒させる。

 

「おはようございます、お兄様」

 

半裸の士織が俺の体に跨っていた。

 

「おはよう、士織。今何時だ?」

 

「五時です。早く起こさせてもらいました」

 

朝早い、ならば彼女らの為にもお弁当を作るべきだろう。そういえば、メールで凜緒も来るという話が来ていたのでたくさん作らないといけない。

 

「下に降りて弁当作るか……士織?手伝ってくれ」

 

「はい、お兄様のご命令のままに」

 

二人でお弁当を作る……士織も手早く作る様は職人だ。俺も良く職人だと言われるが。

 

「出来た……八時半?かなり時間かかったな」

 

「人数も人数ですから時間が掛かってもしょうがないですよ」

 

出来た弁当をバッグに詰める。

 

「私は影に戻りますね。何かあったら守りますから」

 

士織が影に沈んだのを確認すると俺も自分の準備をし始めた。

 

「予定よりも早く着いたな……」

 

時刻9時半。天候は少し暑いくらいの晴れ。今日、琴里にキスをすることはあまり考えないで過ごし、最後にキスをするという流れにしよう。

 

「あら、私よりも早く着くなんて。士道も勉強してるのね」

 

噂をすれば何とやら、琴里がこちらに向かってきた。

 

「ただ、早く出た方が良いかな?って思ったから」

 

「それはいい事ね。頑張って精進しなさい」

 

まだ時間に余裕がある。少し話すくらいなら問題ないだろう。

 

「なあ、琴里?あっちに行ったら遊びたいものとかあるか?」

 

「ウォータースライダーかしら。あれ確かすごい面白いって噂だし」

 

一番最初からそれをご所望ですか……後でもいいでしょうと思ってしまった。

 

「お前って怖いの駄目じゃないか?」

 

ホラーなどの怖いのが駄目なのが琴里なのだが。

 

「あれは怖くないの!私を舐めないことね!」

 

そうしているとぞろぞろとメンバーが集まってきたのでオーシャンパークに向かう。

 

「結構混んでるな……皆はぐれるなよ」

 

「パパ!!肩車して!!」

 

凛緒がそう言ってくるので肩車してやる。すごい父親っぽいことをしているなぁと感じる。

 

「士道も父親になる時が来るのね……感慨深いわ」

 

「いつまでも子供ってわけじゃない。いつか、俺達も大人になる時が来る、まあ俺は少し早かったかなと思うけど」

 

そうして更衣室の前まで来たので凜緒を下す。

 

「凜緒?凜祢と一緒に遊んでてな?」

 

「はーい!!」

 

「いい子だ。よしよし……」

 

「狂三さん、すごい父性を感じますよね」

 

「そうですわね……士道さんは生粋のお人よしですから」

 

今のを聞かなかったことにし、更衣室に入り着替える。軽く準備運動を済ませプールの入り口のベンチで待つ。

 

「……士織、監視されてるか探ってくれ」

 

ぼそっと、話すと影が動き出し士織が現れる。

 

「お兄様は誰かに”見られている”と感じたのですね。こちらで調べておきますね」

 

そして、人混みに紛れて行った。

 

「何も起こらなきゃいいが……」

 

少しの不安が身体を蝕む。それによって今後の予定に支障をきたすので考えないようにする。

 

「士道、待った?」

 

凜祢達が出てきたので俺も立ち上がる。

 

「全然待ってない、じゃあ遊ぼうか」

 

皆がそれぞれ遊び始める。俺は琴里と一緒にウォータースライダーに何回か乗った。吐きそう。

 

「うっぷ……お、思ったよりも激しいな」

 

「ええ……正直、舐めてたわ」

 

二人とも撃沈した。しかし楽しく過ごせたのでよかった。

 

ーお兄様。そちらにDEMの魔術師が監視を行っているようです……狙いは……<イフリート>との事です。ー

 

脳内に士織の言葉が響く。狂三もこんなことをやっていたんだと実感する。

 

ーそうか、一回こっちを離れて遊園地の方へ向かう。そっちでも、監視を頼むー

 

ーはい、お任せをー

 

士織との会話が終わり、琴里に話す。

 

「そろそろ、昼過ぎだし飯にしようか。皆を呼んでフードコートに集合だ」

 

「分かったわ。お弁当でも持ってきてるの?」

 

「当たり前だろ?」

 

そうして着替え終わった俺達は遊園地の方にあるフードコートで食事を楽しんでいた、

 

「ほら、もっと食ってもいいぞ。おかわりはいっぱいあるからな」

 

朝にやけくそになりながら作ったおにぎりとおかずを出す。

 

「士道……いつの間にこんなに作ってたの?」

 

「朝やけくそになりながら士織と二人で作ったよ……すげぇ疲れたけど」

 

しかし、この量でも食べてしまうブラックホールの二人はどのような胃袋をしているのだろう?

 

「うん。美味しい……やっぱり士道は作るのがうまいね」

 

お褒めのお言葉を頂けた……疲れた体にしみるぅ。

 

「そう言ってもらえて嬉しいよ。食べ終わったら、こっちでも遊ぼうか」

 

そうして食べ終わった俺達は遊園地で遊んだ……時間を忘れる位遊ぶことが出来た。

 

ーお兄様、奴らが動き出しました。空間震警報が鳴ると思います。ー

 

その言葉の通りに警報が鳴った。狙いは……俺の妹、五河琴里。

 

「皆、避難してくれ」

 

「士道も船で回収するわ」

 

「いや、狙いはお前だ。琴里」

 

「なんで私なのよ?」

 

「それは……」

 

言えない。そんなことを言ってしまったら、悲しんでしまう。

 

「俺はここで食い止める。やばくなったら回収してくれ……後、凜祢?”俺は”使えるよな?」

 

「うん。士道なら使えるよ」

 

その言葉が聞きたかった。それならば全力で叩き潰せる。

 

「琴里、皆を……頼む」

 

そうして、彼女らは転送された。

 

「ふぅ……士織?」

 

「はぁい。呼ばれて出てきた士織ちゃんです」

 

二人で戦えば問題はないだろう。

 

「さて、無事に帰ってハッピーエンドを目指そうぜ」

 

「ええ、頑張って帰りましょう」

 

霊装を展開する。士織は俺のモノをドレスに変えたようなものだった。

 

「強く願う……か」

 

俺の手に願いを込める。

 

「とある世界は、偽りで出来ていた。

誰もが幸せになるエデン。

でも、それは真の幸福ではなく、偽りの幸福。

彼の幸福は偽りでは満たされない。

ならば、偽りと真実で全てを包め!」

 

そう、その名は……

 

「<凶禍楽園>……!!」

 

それは、桜の花びらを彷彿とさせるデザインの刀。刀身には桜が散っている様子が見える。それが、凜祢に託された幸せの力。

 

「お兄様はそれを使うんですね……私は……<暴虐公>」

 

士織は暴虐公を手に取った。それは、俺が持っていた暴虐公の刀と同じものだった。

 

「さて、死にてぇ奴から前に来な。俺の妹を狙ったことを後悔させてやる」

 

「私も少しストレスが溜まっているので、強めに行きますよ」

 

DEMの魔術師を相手に戦うが……弱い。

 

「あっけないな……」

 

「不気味な位弱かったですね」

 

全員、倒し終わったので琴里に連絡する……が繋がらない。

 

「繋がらない……ん?あれって、空中艦じゃないか?」

 

空に見え隠れしているフラクシナスと透明化している空中艦が見える。

 

「狙いはあっちか……士織。向かうぞ」

 

「ええ、もちろんです」

 

俺達は空を蹴った。その勢いのまま空中艦に接近し、凶禍楽園を発動する。

 

「お前は墜落する」

 

凶禍楽園が発動し、船が墜落していく。

 

「あの中には”嫌いな奴”が居るんだよな……」

 

「ああ、メイザースですか。お兄様なら勝てますよ、余裕で」

 

今、殺すと色々と困るし後が面倒臭い。

 

「士道!大丈夫!?」

 

船の方から琴里の通信が入った。

 

「ああ、あの船なら落とした。どうせ運転してる奴は生きてるだろうけどな」

 

「ええ、生きてますよ。此処に」

 

目の前に居たのは、CR-ユニットを身に付けた女性……本当ならもっと年を取っていると思ったが何かしているのだろう。

 

「エレン・M・メイザース。本当に面倒ね」

 

「アイクからイフリートを捕縛せよとのことでしたので落とす気で行ったのですが……邪魔が入りましたね」

 

本当にこいつは嫌いだ。あの社長と一緒に企んで、人々の不幸を見て嬉しがっている。

 

「邪魔?お前が邪魔なんだよ」

 

ドスの利いた声で言う。

 

「五河士道でしたか……邪魔なのは貴方です」

 

そうして斬りかかってくるが……。

 

「貴方も周りを見た方が良いですよ」

 

士織が弾いた。

 

「っ!!貴方も邪魔をするのですか!」

 

「見てないとこっちも危険だぞ」

 

俺が近づき体に傷を付ける。

 

「あがっ!!」

 

「ふ~ん。弱いな。思ったよりも、強くない」

 

「ええ、お兄様には敵いませんもの。そもそも、凶禍楽園の中で戦いに挑むことが馬鹿のやることですよ」

 

「しかし、油断は良くないですよ……」

 

彼女が撤退をし始めるのと同時に何かのスイッチを押した。

 

「お兄様!!あいつの船から魔力砲が撃たれます!!」

 

あいつが狙っていたのは船を落とすことだった。

 

「ちっ!<無帰ノ之>!打ち消せ!」

 

その魔力砲を打ち消すが俺にもダメージが来る。

 

「っ……あがっ!」

 

体が悲鳴を上げている。しかし、止めるわけにはいかない。

 

「ごほっ……」

 

魔力砲を打ち消せたが、それと同時に後ろから体を真っ二つに斬られた。

 

「油断大敵です」

 

俺には凶禍楽園がある。死んでも生き返るさ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~琴里side~

 

「令音、ちょっと出てくるわ」

 

「なら、あまり使わないようにと言っても聞かないかな?」

 

「あいつは本気で潰すわ。私のおにーちゃんを殺した罰を償ってもらうわ」

 

私は外に出て下に落ちた上半身と下半身を見る。

 

「ねえ、おにーちゃん。あいつを潰してくるからちゃんと見ててね?」

 

私は破壊衝動に身を任せた。

 

でも、破壊衝動は来なかった。

 

「……?こんなに私って背が高かったかしら?」

 

私はこんなにも冷静で居られるのもおかしい。気づいた時には、右手に持っていた戦斧は黒く、炎も黒く燃えていた。

 

「私……反転したのね」

 

そうして考えていると、上半身と下半身は動き始め癒着した。

 

「ふぅ……あいつも馬鹿だな」

 

士道は私の力の灼爛殲鬼を使わずに蘇った。

 

「えっ?琴里?お前も反転したのか?」

 

「そうみたいね……この<黒爛滅鬼>《アスモデウス》が証明しているわ」

 

「うんうん。琴里が大きくなって俺は嬉しいよ」

 

馬鹿にしてそうな兄を無視して空を見る。

 

「あいつはもう帰るさ。士織が相手してるからな……天使を使えるのに実力で対抗しようとするなんて……阿保らしい」

 

よく見ると件のメイザースは撤退を始めていた。

 

「お兄様、帰らせました」

 

「うん。とりあえずは終わったな……また会ったら原型が分からないくらいボコボコに……」

 

「それ以上はやめておいた方が良いと思うわよ。どうせ会うことは確実よ」

 

そうして、兄は帰ってきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~士道side~

 

襲撃から数日。琴里が反転したことを上に報告するとのことで、琴里は暫く帰ってこなかった。

 

「……士織……マッサージをしてくれるのはありがたいんだが……何故水着でやってるんだ?」

 

「あっちでは、水着を着てなかったですから。今日くらい来てみようかな~と」

 

背中に細い手がなぞられる。

 

「ただいま……戻ったわ……」

 

扉を上げてきた琴里がこの光景を見て、扉を閉め始めた。

 

「ほら、誤解を招いた。後で弁明に付き合え」

 

「でも、もっとやってもいいですよね?」

 

「いいぞ……ああ、もうちょっと上の方……」

 

そうして、マッサージを終え弁明に向かった。

 

「で、司令官を辞めるということにはならなかったと」

 

上の人に話した結果、今の所反転精霊にはなっているが安定し俺の事を大事に考えているので問題はないとの判断が出たらしい。

 

「ええ、これからも司令官として働くわ。けど、この身長が問題なのよね……」

 

反転すると背が伸びたりなどの影響が出る。

 

「まあ、いいじゃないか。背も伸びて、コンプレックスだった胸も大きくなったじゃないか」

 

「不本意だけどそうね。いい事ばかりだわ」

 

これからもこの日常を続けていきたい……そう思った。

 




次回、黒い風
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