と言いますが、俺(長男)より、弟(次男)の方が根性ある…
そんな俺でも弟より我慢出来ることはあるんでしょうか?
「親分!」
「なんだ?」
「今度は片腕の鬼が来ました…「おい!地獄の右手王か?」」
「そうだ。」
「あんたの赤ん坊がいるだろう?それを連れてきた女はどっちに行った?」
「だから…、親分には子どもはいませんよ。」
「そんな訳ない。新聞読んでないのか?」
「読んでたまるか。あんな偏見報道。」
「馬鹿野郎!それは偏見報道じゃなく、偏見情報収集だ。それは貴様が悪い。」
「つまり?」
「伊勢崎市長選挙に出る資格のあった赤ん坊はお前さんの赤ん坊だって新聞に書いてあるんだ。」
「なに!?」
ここで新聞を読む。
たしかにそう書いてある。
「…しまったな、あの女からあの赤ん坊だけ取っとけば、大儲けできたのに………。」
「そこでだ。お前さんに相談がある。」
「なんだ?」
「俺と手を組まないか?新聞ってか、選挙管理委員会では会場を襲撃した青髪、赤マント、獅子頭を被った人間、右手王の赤ん坊を捕まえたものに賞金を出すそうだ。そして、青髪は俺のことをコケにしてくれたからな。なんとしても俺があの青髪を捕まえたいんだ。」
「なるほど。で、作戦はあるのか?」
「それはな…」
しばらくしてから、右手王の屋敷からゾロゾロとモノが出てくる。
右手王、片手の鬼、部下が十五人ぐらいいる。
七人が、竹を繋げて筏のようにしたものを持っている。
八人が、弓と矢を持っている。
右手王は自慢の刀を腰にさしている。
途中、あの店で休憩かつ、まつりを隊列に迎えた。
「で、片腕の同胞よ。どうやって青髪を追う気だ?」
「えっ?青髪を追い飛ばしたのだからどっちに向かったのかぐらい見てたろ?」
「おい!誰かあいつがどっちに行ったか見てたやついないのか?」
しーん…
「役立たずどもめ。」
「…ところで、まつりよ。さっきは深く言わなかったし、あまり見えなかったからだが、お前、杖みたいなの持ってたり、赤ん坊を連れた母親みたいなのと話してなかったか?」
「ギクっ!」
しまった!…どうする?どうすれば良い?…
お金は貰っちゃってる。
逃げられないこともないけど、あの弓矢が怖い…毛虫のようにされてしまいそうだ。
だからって、戦う?こんなに関係ない人がいる状況で?そんなことしたら、また海美に嫌われちゃう…
海美……
いや、海美は私を置いてけぼりにしていない?
私、なにかやって海美にすでに嫌われてる?
「もしやお前、青髪と…」
「………実は、先程チームを解体させられたんです。」
「なに!?」
「なので…私は、あの人と仲間じゃないです。」
「…どこに行ったか分かるか?」
「あの…赤ちゃんは、自分には育てられないって…」
「育てられないってことは…どっかに捨てるのか?」
「だけど、あの赤ちゃんは平和に暮らしたいって…」
「言葉が若干おかしいが……そうなると、寺にでも預けたか…」
「よっしゃ。ならわしが行って引っ張り出してこよう。」
「寺に入れるのか?」
「いや、山門で大騒ぎしてやるだけだ。これから一足先に、行って女を探してくるわ。一人貸してくれ。」
「よし、誰か行け。」
そう右手王が言うと一人鬼にくっついて走って行った。
これで、まつりが助かることは確定してしまった。
片手の鬼は、右手王が会場をめちゃくちゃにした人だと言うことが分かってて、まつりを殺すか捕らえると思っていた。
それなのに、大切なことを忘れていた。
右手王は新聞やNEWSに興味がなかったのだ。
だから、この汚い毛布を着た女の子があの選挙会場を襲撃した本人だと分かってなかった。
しかも、周りのモノたちも手が出せなかった。
店にいるほとんどのモノたちはまつりを見た瞬間、臨戦態勢に入った。
ただ、一緒にいるのが右手王だと分かると、「なにか講和が結ばれたのだろう」と思い、総がかりでまつりを殺す機会を逃してしまったのだ。
無駄に平和な、変な誰も分かっていない平和な時間が流れた。