金剛杖物語~青髪の海美の章~   作:仲村大輝

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お久しぶりです。
試験が終わったので戻ってきました。
またよろしくお願いします。


第九話 陸の王

蒸気機関車は、トンネルを抜けて、山道を爆走する。

その山際を機関車とほぼ同じ速度で移動する群れがいる。

群れと言っても3頭だが、1頭の上には何か乗っている。

獅子舞の頭、手には鯉のぼり。

久しぶりの登場となる、1話目に出た獅子頭である。

お腹の太鼓を叩きつつ、走る猪を鼓舞して山を走り抜けている。

横を併走している猪が、乗っている猪を追い越し始めた。

どうやら乗っている猪のスピードが落ちてきているようだ。

「仕方なしか…」

太鼓でなく、皮を止めてある金具をカカッ!カカッ!と、叩く。

すると、追い越していた猪が近づく。

唐獅子は、素早く飛び移ると、新しく乗っかられた猪は加速して走り始めた。

そして、いままで唐獅子を乗せていた猪はゆっくり歩き出した。

すると、その歩き始めた猪を、猪だけでなく、山の獣の集団が取り囲んだ。

乗りつぶした動物は後続達が回収する方式で、唐獅子は他の獣の力を借りて海美を追いかけてきたのだ。

新しく乗った猪は、元気いっぱいで機関車を追いかけて、機関車のスピードに追いついた。

「良し。機関車に飛び移る。俺が飛び移ったら、帰れ!」

太鼓をドンドンドン叩く。

獅子頭を乗せた猪が線路に近づいていく。

「ちょっと待てよ!?」

線路の両脇に永遠とモノが並んでいる。

斬られているモノ、うずくまってるモノ様々だ。

前を見る。

屋根の上が大騒ぎになっている。

なにか前方にいるのかいろんなモノが進行方向を見ている。

「このままだと、横向きに飛び移るのは無理だ。真後ろに回り込め!」

ドーン!

と太鼓を叩く。

猪が走り方を変える。

列車の真後ろに回り込み、全力で走る。

獅子頭がフラフラっと猪の背中に立ち上がる。

「よし、後一息だ…」

その時、目の前にモノが飛んできた。

どうやら、吹き飛ばされたらしい。

猪とモノが接触する。

「ちっくしょう…」

獅子頭は前につんのめる。

ただ、持っていた鯉のぼりを高跳びの選手よろしく、地面に刺した。

「行けえ!」

そう言うと、持っていた鯉のぼりの棒がみるみるうちに伸びた。

シャーっと伸びて、見事、海美達が乗り込んだ車両に飛び込むことが出来た。

「良し。帰れぇ!」

金具をまたカッ!カッ!カッ!と鳴らす。

すると、残っていた猪達が回れ右で、元来た方向へ走っていった。

「良し…」

そう言うと獅子頭は車両の中へ入った。

例によって、一両目は豪華車両。

ただ、豪華な家具や椅子にモノが隠れてガタガタ震えている。

「おい?どうした?」

「………。」

「おい!」

グビ根っこを持って椅子から引っ張り出す。「急に餓鬼どもが乗り込んできて、青髪の女はいるか?って聞いてきた…確かに見た。前の車両だって言ったら、そっちに行ったんだが…恐ろしくて…」

目の玉が左、下、右とキョロキョロしている。

「ならば聞く。青髪の女は?」

「前の車両…」

「分かった。ありがとう。」

そう言って立ち上がる。

テーブルの上にあるジュースに目がついた。

「これはいただきますね。」

ジュースを軽く掲げると、獅子頭の口からジュースを飲み干す。

「じゃあ行ってきますんで…」

そう言ってグラスを元の場所に置いた。

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