試験が終わったので戻ってきました。
またよろしくお願いします。
蒸気機関車は、トンネルを抜けて、山道を爆走する。
その山際を機関車とほぼ同じ速度で移動する群れがいる。
群れと言っても3頭だが、1頭の上には何か乗っている。
獅子舞の頭、手には鯉のぼり。
久しぶりの登場となる、1話目に出た獅子頭である。
お腹の太鼓を叩きつつ、走る猪を鼓舞して山を走り抜けている。
横を併走している猪が、乗っている猪を追い越し始めた。
どうやら乗っている猪のスピードが落ちてきているようだ。
「仕方なしか…」
太鼓でなく、皮を止めてある金具をカカッ!カカッ!と、叩く。
すると、追い越していた猪が近づく。
唐獅子は、素早く飛び移ると、新しく乗っかられた猪は加速して走り始めた。
そして、いままで唐獅子を乗せていた猪はゆっくり歩き出した。
すると、その歩き始めた猪を、猪だけでなく、山の獣の集団が取り囲んだ。
乗りつぶした動物は後続達が回収する方式で、唐獅子は他の獣の力を借りて海美を追いかけてきたのだ。
新しく乗った猪は、元気いっぱいで機関車を追いかけて、機関車のスピードに追いついた。
「良し。機関車に飛び移る。俺が飛び移ったら、帰れ!」
太鼓をドンドンドン叩く。
獅子頭を乗せた猪が線路に近づいていく。
「ちょっと待てよ!?」
線路の両脇に永遠とモノが並んでいる。
斬られているモノ、うずくまってるモノ様々だ。
前を見る。
屋根の上が大騒ぎになっている。
なにか前方にいるのかいろんなモノが進行方向を見ている。
「このままだと、横向きに飛び移るのは無理だ。真後ろに回り込め!」
ドーン!
と太鼓を叩く。
猪が走り方を変える。
列車の真後ろに回り込み、全力で走る。
獅子頭がフラフラっと猪の背中に立ち上がる。
「よし、後一息だ…」
その時、目の前にモノが飛んできた。
どうやら、吹き飛ばされたらしい。
猪とモノが接触する。
「ちっくしょう…」
獅子頭は前につんのめる。
ただ、持っていた鯉のぼりを高跳びの選手よろしく、地面に刺した。
「行けえ!」
そう言うと、持っていた鯉のぼりの棒がみるみるうちに伸びた。
シャーっと伸びて、見事、海美達が乗り込んだ車両に飛び込むことが出来た。
「良し。帰れぇ!」
金具をまたカッ!カッ!カッ!と鳴らす。
すると、残っていた猪達が回れ右で、元来た方向へ走っていった。
「良し…」
そう言うと獅子頭は車両の中へ入った。
例によって、一両目は豪華車両。
ただ、豪華な家具や椅子にモノが隠れてガタガタ震えている。
「おい?どうした?」
「………。」
「おい!」
グビ根っこを持って椅子から引っ張り出す。「急に餓鬼どもが乗り込んできて、青髪の女はいるか?って聞いてきた…確かに見た。前の車両だって言ったら、そっちに行ったんだが…恐ろしくて…」
目の玉が左、下、右とキョロキョロしている。
「ならば聞く。青髪の女は?」
「前の車両…」
「分かった。ありがとう。」
そう言って立ち上がる。
テーブルの上にあるジュースに目がついた。
「これはいただきますね。」
ジュースを軽く掲げると、獅子頭の口からジュースを飲み干す。
「じゃあ行ってきますんで…」
そう言ってグラスを元の場所に置いた。