そのための追放   作:センセンシャル!!

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コイントスで表が出てしまったので初投稿です。
誰だよコイントスなんて機能付けたの、出てこいよ!(わたしです)


30分で、5万!

 旅に同行者を伴うようになり……もとい、たまたま行く先が同じ旅人が増えたことで、私の旅路は少しだけ賑やかになった。

 自身の認識としてはあくまで一人旅であるため、フードで身を隠し口調も男性に寄せるようにしている。軽い男(ロイ)曰く「あんまり意味ないと思うんだけど」らしいが、こちらの方が周囲から受ける視線の質がマシなのだ。

 旅の初期、姿をさらして酒場に入ったとき、私に集まる視線はとても気持ち悪いものだった。まるで全身を見えない舌でなめまわされるような、視姦という言葉がぴったりくる感覚だ。

 今の姿を隠した方でも視線は集まるが、好奇や猜疑といったまだわかりやすい性質のものだ。私の中での処理も比較的楽だと言える。

 故に、たとえ「オイラたちが守るから」と言われたところで、このスタイルをやめる気はない。そも、私自身に守られる気がないのだから。

 

 私が話題を振らずとも、私に一目惚れしたと主張するロイは、勝手に自分のことを話す。「軽業師のようだ」と感じたのは間違いではなく、冒険者をやる前の彼は大道芸の一座に属していたそうだ。

 「ストランド」というのも家名ではなく「綱芸を専門とする演者」という意味であり、一座に拾われる前は所謂ストリートチルドレンだったらしい。

 冒険者をやることになったのは、芸の訓練中の事故で座長が怪我をし再開の目処が立たず、他にできそうなことがなかったからなのだと。

 ……特に知ろうとは思っていなかったのだが、自然と詳しくなってしまった。自分の記憶力が腹立たしい。

 

 対するベア爺(本人がそう呼んでくれと言った。理由はわからないが、熱意に負けてこう呼ぶことになった)は多くを語らない。ただ、私の故国を滅ぼした元凶の国の出身であるということぐらいだ。

 彼自身のことは語らなかったが、代わりに騎士の国「ヴェンザー」への文句に似た紹介はいくつもあった。

 曰く、領土を広げることしか頭にない国。曰く、日々の糧は略奪すればよいと思っている。曰く、そもそも皇帝が戦争バカなどなど。

 騎士道を重んじる者ほどそれをよく思わないらしく、ベア爺はその中の一人であり、皇帝に剣を返し騎士を辞した。そうして、彼の祖国から遠く離れた地で若い冒険者の面倒を見るようになったのだそうだ。

 私の旅についてきているのもその延長なのだろうが……「主」というのがよくわかっていない。

 一度疑問に思って尋ねてはみたが、「儂は騎士です故、仕えるべき主が必要なのです」と自己完結した答えが返ってきて、結局理解はできていない。

 

 そんな感じで、実質三人セットで旅をするようになって早一週間。ある町の酒場にて食事を摂りながら、私はたまりにたまった文句をロイに告げた。

 

「ところでさぁミリアちゃん」

「……いい加減にしろよ腐れ金髪」

 

 ズドンと、行儀が悪いのは理解しつつ一口ステーキにフォークを突き立てる。私は黒髪、ベア爺はスキンヘッドなので、金髪はロイしかいない。

 酒場はいつも喧騒に満ちており、私の行動程度で人の目を引くことはない。会話は滞りなく続行される。

 

「俺のことは"ミタス"と呼べと、とうに20は言ったぞ。いい加減数えるのもバカバカしくなってきたんだが」

「だって名前の方が可愛いじゃん。どうせ誰も聞いてないんだから、気にすることないって」

「いつでもそうとは限らんだろう。もしまた合同依頼で、事情を知らない人間が同行することになったとして、咄嗟の状況で本名を呼ばずに済む自信があるのか?」

「だーいじょうぶだって。オイラ、元大道芸人よ? ミリアちゃんみたいにびっくりした程度じゃ素は出さないって」

 

 そういう問題ではない。"ミリア"などという女丸出しな名前を表に出していては、この格好で性別不詳を装っている意味がなくなる。ロイは「最初からわかっていた」と言ったが、素をさらすよりは幾分マシなのだ。

 そも、私は宿を使うときも酒場の依頼に署名をする際にも"ミタス"を使っている。「対外的には」私の名前は"ミタス"なのだ。"ミリア"という人物はここにはいない。

 私がいくら注意しても、このお調子者は一切改めない。ベア爺もこの件については不干渉なのか、大ジョッキのエールを無言で飲んでいる。

 さらに文句を言いたかったが、これまでにも何度も言っており、いい加減疲れた。盛大なため息とともにテーブルに崩れるしかなかった。

 

「……で。俺に何を聞きたかった」

 

 これ以上続けても不毛と判断し、話題を先に進めることにした。ロイは相変わらずの毒気を抜かれるお人よしな表情を崩さず「おっと、そうだった」と続ける。

 

「オイラの知ってる魔法使いって、皆杖を持ってたんだけど、ミリアちゃんは何も持ってないよね。なんで?」

「こちらとしては杖などというかさばる物を持って旅をする意義を理解しかねるが……要約すれば「教育の差」だ」

 

 以前にも触れた通り、祖国の初等教育基準が一般レベルである外の魔法使いは「補助」なしでは魔法を行使することができない。杖に関しても――恐らくではあるが――同様のことが言えるだろう。

 わかりやすいように、私はフードの中ではなく外側に、何の効果もない陣を作成する。一応他の席からは見えないように。

 

「俺の国では、魔法の発動にはこういった「陣」を用いる。細かく説明すると長くなるので割愛するが、想像するにこの陣に当たるものが国外の魔法使いが使う杖なんだろうな」

「ほえー。なんかもう技術レベルからして違うんだな。詠唱がないのも同じ感じ?」

「まあな。詠唱というのはマナ操作……こっちでは魔力操作と言うのか。その補助のためのものでしかない。十分にマナ操作を行える技術があるならば、詠唱は不要だ」

 

 「マジか……」とカルチャーショックを受けるロイ。私も、少なくとも今のところは、杖も詠唱も必要としない魔法使いは国外で見ていない。これらの技術は、故国が独占していたのだろう。

 そして故国は既に亡国であり、騎士の国の内情を想像するに、その教育メソッドは喪失してしまったことだろう。略奪を旨とする国が、文化文明の保存を考えるとは思えない。

 「無詠唱・無杖魔法」を使えるのは私と、いるならば国の滅亡前に逃れたわずかな国民だけだろう。その中からさらに故国に比べて原始的なこの世界に適応できた者となれば、さらに数は減るだろう。

 

「国外(こっち)の魔法使いは、基本的にロイの考えるスタイルで正しいはずだ。たとえ敵対したとて脅威はない」

「いや別にオイラは敵になることを考えたわけじゃないけど……ないわけじゃないか」

「うむ。冒険者の中には、盗賊や山賊に身をやつす者も少なくない」

 

 これまで黙っていた経験者は語る。ベア爺はそうでなかったのだろうが、悲劇的な末路をたどる者を見てこなかったわけではないだろう。……事実、酒場の依頼に「山賊退治」は必ず存在していた。

 救済措置からもあぶれてしまった者の末路が、救済の場からの粛清というのは、ある種の因果応報なのだろうか。私はそうはなりたくないし、そうはならないだろうが。

 

「ベア爺の考えを聞きたいが、希少であるはずの魔法使いでも、そういった末路をたどる可能性はあり得るか?」

「然り。とは言え、そうなってしまう程度の実力ならば、ミタス殿はおろか儂や小僧でも十分に対処できる。貴公のお考え通り、心配は不要でしょうな」

「それを聞いて安心した。心置きなく単独行動ができるな」

「いやいやいや! オイラがミリアちゃんを一人にするとかないからね!?」

「……"ミタス"だと言っているだろう、この金髪色ボケ」

 

 身を乗り出したロイの頭をフォークの柄で小突き、私は食事を再開した。……ここの肉は悪くないが、料理のレパートリーはどうしても祖国には敵わないな。

 好物であったカルボナーラの黒胡椒かけを恋しく思いながらも、旅の料理を楽しむ私であった。

 

 

 

 さて、我々は「冒険者」という名の旅する何でも屋である。町に必ず一つはある「冒険者向けの酒場」にて依頼を斡旋してもらい、達成報酬で路銀を得る放浪者だ。

 この「斡旋」というのが曲者で、依頼の選択自体は冒険者各々で可能なのだが、受理してもらえるかは酒場のマスターの判断一つだ。

 彼らの側に立って考えてみれば当然の話だ。依頼というのは酒場が出しているのではなく、町人であったり自治体であったり、大きいところになれば領主であったり様々だ。酒場は、依頼の仲介者でしかない。

 そんな彼らが選んだ冒険者が依頼を失敗したとなれば、信用の低下は酒場にも及ぶ。「この酒場は人を見る目がない」と。行きつく先は、仲介依頼の減少・消失だ。

 酒場は酒場として収入を得ているのは確かだろうが、冒険者が落とす金だって重要な収入源だろう。でなければ「冒険者向けの酒場」は開かれない。

 だから酒場のマスターは「信頼できる冒険者」に依頼を承認するのだが……我々のように一つところにとどまらない「冒険者」は、信頼を得られるまで失敗しても問題ない「小さな依頼」しか受けられないのだ。

 

「失せ猫探しか、どぶさらいか……マシな依頼があればいいが」

 

 依頼書が貼り付けられるコルクボードは、上の方に大きな依頼、下の方に雑多な依頼と形式が決まっているようで、これまでどの町でも同じだった。

 ここでも同様に、上の方には「領主家の護衛」だの「隊商の護衛」だのと責任の重そうな依頼が書かれている。そしてもちろん、誰も見向きもしない。

 冒険者というのは定職につかない者――言い換えれば束縛を嫌う者がほとんどだ。こんな、そのまま領主や商人お付きの護衛隊に組み込まれそうな依頼に手を出すのは、引退間際のベテランぐらいしかいないだろう。

 これらはいわば「見せ依頼」。この酒場が上の方から公認で冒険者に依頼を出していることの証明であり、酒場から冒険者への信用である。

 私が目を向けるべきなのは中段以下。とはいえ、中段は最低でも下段の依頼を3つ4つ受けた後ぐらいでしか承認が受けられず、場合によっては――私の格好もあって――全く受けられずに終わることもある。

 ……この点については、コミュニケーション能力に長けた追っかけに感謝しなくもない。

 

「お、これとかいいじゃん。西の森で薬草採集と生態調査、報酬は金貨15枚から成果に応じて上乗せアリ。めっちゃくちゃお得じゃね?」

「薬草採集で金貨15はありえんな。おそらく生態調査がメインで、そちらの難易度が高いのだろう。ついでに、この段の依頼を我々が受けられるとは思えんが」

「そこはオイラの腕の見せ所ってね! ちょいと待っててな、酒場のオッサンに話つけてくるから」

 

 そう言うとロイはボードの中段に貼ってあった依頼書を剥がし、冒険者向けカウンターへ向かった。見るからに気難しそうなマスターにああも気さくに話しかけられるのは、彼の持つ強みだろう。

 別に彼の交渉能力を疑っているわけではないが、難易度の高さに変わりはないので、代わりとなる依頼を探すためにボードを見る。

 

「……俺一人だと、この町工場の手伝いすら受けられないこともあるんだがな」

「その格好では、信用を得ることは難しいでしょうな。ご安心召されい、今後は儂や小僧がミタス殿の能力を保証しましょうぞ」

「俺よりはマシだろうが、お前たちも流れ者であることに変わりはない。あまり期待はしないでおくさ」

 

 「これは手厳しい」と笑いながら頭をかくベア爺。どうやら気を使ってくれたようだ。

 

 30分ほどの長い交渉の末、ロイは見事先ほどの依頼の承認を得た。……あの熱意は、私にはまねできないな。

 

 

 

 

 

 町で必要な物資を整えた翌日、私たちは町の西にある薄暗い森の中にいた。見たことのない植生であり、独特な生態系を形成しているようだ。

 こういう光の届きにくい森の中では、コケやシダといった光をあまり必要としない植物が地面を覆っている。ところがここでは、なぜか低木の広葉樹が所狭いと生え広がっていた。

 

「うわっ。なんだろこのコレジャナイ感。なんかこの森、おかしくねえ?」

「実際おかしいな。だからこその金貨15枚なのだろうが……ふむ」

 

 詳しく調べるため、私は警戒はしながら広葉樹の一本に近づく。見た目は何の変哲もない広葉樹……だが、よくよく見ればその理由がわかった。

 

「寄生植物、兼食虫植物か。大きさからして、カエル程度なら捕食しそうだな」

「ウゲッ!?」

 

 まず、根っこが森を覆う針葉樹の幹に張り付いており、これは寄生植物の特徴だ。大樹の栄養を横取りすることによって、青々とした葉っぱを茂らせているのだ。

 そして枝と枝の間の奇妙な間隙。しっかり観察すればそれが袋状になっていることが見て取れる。捕虫袋であり、肉食性の植物であることを示している。

 

「こちらの木から得た栄養で見せかけの葉っぱを作り、それを食べに来た虫や隠れようとした小動物を捕食してタンパク源にしているのか。こんな植物は初めて見たな」

「……えっぐ~。なんでそんな木が生えてるんだよ、ここ」

「それを調べるのが我々の仕事だ。奥に進むぞ」

 

 大きさ的に人に害のある植物ではないが、グロテスクな生態は悍ましいと感じたか、ロイはおっかなびっくりついてきた。

 ちなみにベア爺は全く動じず先導役を務めた。さすがは元騎士である。

 

 ここで得られる薬草というのが、森の奥にしか生えておらず、風土病の予防に欠かせないのだそうだ。酒場でサンプルを見せてもらったので、モノ自体は見ればすぐにわかる。

 問題は、生えている場所が全く分からないということだ。

 

「毎年この時期に生えるが、その場所は毎年異なる、か。……本当に奇妙な生態だな」

 

 私の推測とは裏腹に、この依頼が高額である理由というのがこれだった。決して狭くはない森をしらみつぶしに探さなければならないため、かかる時間が全く予測できない。

 一応、魔物はほとんど出ない――少なくとも今日は遭遇していない――ため、危険度はそこまで高くない。強いて言うならば準備を怠ると遭難することぐらいか。

 方位磁石が効かないこともないし、ここまでのマッピングは欠かしていないので、今のところ遭難の危険はない。食糧についても、一週間分は用意してある。

 町の食事に比べれば味気ない携帯食糧を齧りながら、頭の中でこの森の生態を整理する。

 

「なんか宝探しみたいだよな。動物を食う植物って聞いてビビったけど、別に人を襲うわけじゃないし、楽しくなってきたかも」

「バカもん! 遊びではないんだから依頼に集中せんか!」

 

 ロイの軽口にベア爺の叱責。毎度のことなので、いい加減私も慣れた。気にはせず、情報の精査を続ける。

 

「宝探し……確かに、作為的なものは感じるな。とはいえ冒険者をおちょくるだけのために金貨15枚の依頼を出すとは思えんが」

「酒場のオッサンの態度も「信用できるやつにしか依頼は出さん!」って感じだったしなぁ。普通にそういう変な植物ってだけじゃねえの?」

「変な植物という点には同意だ。だが、何がしかの理由はあるはずだ」

 

 毎年、「全く別の場所に」「全く同じ植物が生える」のだ。それは決して偶然ではなく、その生態がその生物にとって有利だから選ばれているはずだ。

 薬草採集と生態調査。恐らくこれは別の依頼なのではなく、セットで一つの依頼となっている。あの町も、長年答えを求めているのだ。

 そう。これは研究畑出身の私に向いた依頼なのだ。狙ったのか偶然なのか、ロイは我々に適した依頼を拾ったのだ。

 

「まずは薬草を見つける。おそらくそれが、生態解明の糸口になるはずだ」

「ミリアちゃん、オイラより楽しんでねえ? なんか声がめっちゃ弾んでるんだけど」

「そうか? ふふふ……やはり研究は私の性に合っているらしいな、ふふふ」

「いつものツッコミがねえ。ガチのやつだこれ……」

「ミタス殿が楽しそうで何よりですぞ」

 

 ストッパーのはずのベア爺も、あくまで依頼達成に向けた思考だったためか、私を止めることはなかった。

 

 

 

 探索を初めて3日。薄暗い森の中に、不意に日の光が差す空間が開けた。

 

「お? もしかしてあれが薬草じゃね?」

 

 真っ先にロイが気付き、光の中心にある花畑を指差す。ロイほど目が良いわけではない私は、この距離では判別がつかない。

 酒場でサンプルからとったスケッチを取り出し、近づく。単葉植物様の細長い葉に、鈴なりの白い花。

 

「……間違いないな。これらすべて、依頼の薬草だ」

 

 薄暗い森の中に現れた、光に満ちた花畑。それはこのおかしな森の中で、美しいと呼べるほどに幻想的な光景だった。

 不自然なほどに、幻想的だった。

 

「お、マジで!? これ全部持ってったら、依頼料上乗せしてもらえるんじゃね!?」

「待てぃ小僧! 残しておけば、来年以降探す手間が省けるだろう!」

 

「……いや、全部持って行って構わない。おそらく、来年ここには生えていない」

 

 二人を見ず、私は薬草をじっと観察した。薬草の、生えているその根元を。

 困惑の空気。私は自身の考えをまとめるべく、言葉を紡ぐ。

 

「推測だ。この森のおかしな植物。この森にしか生えない薬草。毎年変わる位置。もしそれらが、すべて同じ要因によるものだとしたら……こういうことだ」

 

 「うっ」とロイがうめく。美しい薬草の下から現れた、ソレを見て。

 

 白骨と化した、獣の死骸。密集するそれらの上に、幻想的な薬草は生えていた。

 

「結論付けるにはより詳しい調査が必要になるが、恐らくはそこらに生えている食虫植物と同じものだ。これは繁殖用の株なんだろう」

「……うっそだろ、見た目全然違うじゃん……」

 

 動物を喰らう恐ろしげな植物と、人々を風土病から救う美しい薬草が同じという推論に、ロイは愕然とした。ベア爺も、表情は険しい。

 少なくとも、この薬草が森に迷い込んで力尽きた動物を栄養源として生えていることに間違いはない。

 

「……これは、風土病についても調べる必要があるな。薬草を回収し次第、町に戻るぞ」

「はっ! 我が主の仰せのままに!」

「り、了解っ!」

 

 私の指示のもと、手分けして薬草の回収に取り掛かる。10分もすれば薬草はすべて刈り取られ、数多くの獣の白骨死体が日の光にさらされることとなった。

 ロイはげんなりし、さすがのベア爺も顔をしかめた。私は、ただただ観察の目を緩めなかった。

 

 

 

 獣の骨の中に人骨らしきものが混じっていたのは、決して見間違いではないだろう。

 

 

 

「この町の風土病についてお尋ねしたい」

 

 薬草を酒場に届けたとき、私はマスターに依頼完了に待ったをかけた。生態調査のために、取り次ぎを願った。

 そうして私たちは町長の屋敷へと案内され、対面している。

 フードをかぶり表情を見せない私に、町長の中年男性は不審を隠さなかった。

 

「ええ、よろしいですが……冒険者の方が、何のために?」

「このたび受注した「西の森の薬草採集と生態調査」のために。薬草採集は終わりましたが、生態調査の結論がまだ出ていません」

「はあ……」

 

 私と彼の間で「生態調査」の意味に齟齬があるのだろう。彼にとっての生態調査は、薬草の発生場所の法則程度なのだろう。

 風土病と薬草の群生地を結びつけることはできないだろう。実際、私もその二つを結びつけるつもりはない。

 

「ええと……病に羅ると、まず咳と高熱が出ます。これは風邪と同じですが、治癒せずに症状が進むと徘徊を行うようになります。家族が見つけてベッドに戻せれば良いのですが、発見が遅れて死に至るケースもあります」

 

 「徘徊」。予想していたキーワードが、頭の中でカチリとはまる。

 

「発病は今から少し後の時期になるので、その時期に高熱を出したものは必ず薬を飲むことになっています。そうすれば、二、三日もすればよくなります」

「……なるほど、免疫療法か」

 

 私の独り言は耳になじまなかったようで、町長の不審が増す。私の隣に座るロイが宥めてくれなかったら、既に席を立たれていたかもしれない。

 コミュニケーションの場では本当に彼に助けられているな。内心、苦笑する。

 

「失礼、順を追って説明すべきでした。私の推論では、この土地の風土病の原因が西の森にあると考えていたのです。町長殿のお話を伺って、それは確信に変わりました」

「な……それは本当ですか!?」

 

 思わずと言った様子で町長は立ち上がった。ロイに宥められて彼は座り直したが、その目は先の説明を待ちきれない様子だ。

 ……果たして、信じてもらえるかどうか。

 

 

 

「結論から申します。風土病の原因は、薬草です」

「!? バカな!? ありえません!」

 

 やはりそう簡単に受け入れられる内容ではなかったようだ。再び彼は席を立ち、テーブルに手を突き前のめりになる。

 

「落ち着いてくださいって! ミリ……ミタスさん、それ本当か?」

「ああ。お前も見ただろう、薬草の下にあった動物の白骨死体を」

 

 思い出して青い顔をするロイ。町長の方は、今までそんな報告を受けたことはなかったのか、目を見開き驚いた。

 

「町長殿がどの程度の報告を受けているかは分かりかねますが、あの森には大木に寄生すると同時に小動物を捕食する奇妙な植物が群生していました。薬草は、おそらくそれと同種の植物になります」

「……確かに、薄暗い森の中なのに葉を茂らせる奇妙な植物があるとは聞きましたが……まさか、そんな……」

「針葉樹への寄生根と捕虫袋を確認しました。捕虫袋の方は、虫を投げ込むと閉じることも確認しています。まず間違いないでしょう」

 

 現実を受け止めきれず頭を抱える町長に構わず、研究者モードとなった私は畳みかける。

 

「最初は共生も考えましたが、それにしては相互の依存関係が不明すぎる。しかし、食虫植物の方が栄養摂取株、薬草の方が繁殖株と考えれば、辻褄が合う。故に二つは同一植物と判断しました」

「……わ、わかりました。わかりませんがわかりました。しかしそれが風土病とどう関係するのです……?」

「先ほどロイ……私の仲間に確認を取った通り、薬草は動物の死骸の上に群生していました。これと、風土病の症状の一つである「徘徊」。この植物は、何がしかの方法で獲物を森に導き、繁殖株の苗床にしているのです」

 

 既に理解を超えた町長は完全にフリーズした。方法についても、栄養摂取株から胞子か何かを飛ばし、それが羅患者の行動をコントロールしているという想像はついているが……理解は及ばないだろうな。

 

「私が「免疫療法」と言ったのは、この植物が発する誘因因子に対し、薬草の成分を取り込むことで耐性を作るのが治療法だと判断したからです。結果が出ているのなら、同じことを続ければ被害は抑制できるでしょう」

 

 以上が、西の森に端を発する風土病の生態調査結果となる。説明を終え、今度は私が席を立った。

 

「依頼は達成しましたので、酒場の方に連絡をお願いします。報酬についてはそちらの判断にお任せします。では……」

「ま、待ってくれ! いや待ってください!」

 

 場を後にしようとする私に、町長はすがるように頭を下げた。いや……待てと言われても、正直困るのだが。これ以上何をしろと。

 

「あなた様の深い知識と洞察、疑ったことをお詫びします! だからどうか、どうかこの町を救ってくだされ……!」

「いや……救うも何も、別段危機に瀕しているわけではないと思うのですが」

 

 ある意味この町は風土病を克服……まではいかないにしても、共存はできている。多少の犠牲者は出ているようだが、薬草採取の依頼を出している限り、滅亡の心配はないだろう。

 だというのにこの男は、まるでこの世の終わりのような顔で私にすがりつく。

 

「そんなことおっしゃらずに! どうか、どうかお慈悲を……!」

「……はあ。ロイ、助けてくれ。俺じゃあ手に負えん」

「え、オイラ? あーっと……とりあえず落ち着いてくれよ、町長さん。ミタスさんはこの町を見捨てようってんじゃあないんだ」

 

 今すぐ帰るのは諦めて、私は椅子に座り直す。あとのことはロイに任せて、私は今晩のご飯のことでも考えよう。

 昨日までは携帯食糧だったから、今日はしっかりと味があるものを食べたい。……そうだ、シチューなんかがいいな。

 

「ほ、本当ですか!?」

「おうよ! ミタスさんって、こう見えて人情深い人なんだぜ。なあ、オッサン」

「うむ。儂も小僧も、ミタス殿に危機を救われた身だ」

 

 いや待て。せっかく肉の旨い町なのだから、余計な味付けのないステーキの方がいいか。だがそれは依頼の前の晩に食べたな……いやあれも悪くはなかった。悩ましい判断だ……。

 

「ミタスさんの手にかかれば、風土病なんてちょちょいのちょいよ! オイラ、ミタスさん以上の魔法使いはみたことないぜ!」

「おお! その風貌は魔法使い故でしたか! 言われてみれば、威厳を感じるような……!」

 

 そうだな。間をとって、ここはローストビーフにしよう。とはいえ、取り扱っている店があるかどうかだな。これが終わったら探さなければ……。

 

「そうそう、呪文も杖も必要ない凄腕なんだぜ! この間なんて、ワイバーンをあっさり倒したんだ!」

「なんと、ワイバーンを! あの冒険者殺しと言われるワイバーンを……!」

「儂らもミタス殿がいなければどうなっていたことか……改めて感謝していますぞ、ミタス殿!」

「……ん、ああ。ワイバーン肉は硬くて食用には向かんぞ」

 

 傍白。……どうやら変な反応を返してしまったらしい。そういえばドラゴンステーキと銘打ってサラマンダーのテールステーキを出してる店が故郷にあったな。味は良かったらしいが……ではなく。

 

「すまない、別のことを考えていた。で、どういう話になったんだ、ロイ」

「あ、ああ。ミタスさんなら風土病なんてあっという間になくせるってアピールしといたぜ!」

 

 

 

 ……は?

 

「お願いします、ミタス殿! 何卒、何卒この町をお救いくだされ……!」

「少々お待ちを、町長殿。……ロイ、ちょっとこっち来い」

 

 軽薄男の首根っこをつかみ、部屋の隅に連行する。町長のことはベア爺に任せ、二人が見えなくなったところで、私はロイの頭を締め上げた。

 

「(な・に・を! 言っとるか貴様はっ!)」

「(あだだだだだ!? 締まってる締まってる極まってる! あ、でも後頭部に幸せな感触……)」

 

 不埒者をさらに強く締め上げ、うっ憤を晴らす。どうだ、私の胸の感触など味わってる余裕などないだろう。

 ロイがギブアップするまでしっかりとヘッドロックを極め、解放する。……私も腕がちょっと痛い。

 

「(私は町長を説得しろと言ったんだ! 何を助長している!)」

「(えー。いやだってあれ、何言っても絶対落ち着かなかったぜ。見えない恐怖に取りつかれちゃってたもん)」

 

 うっ、と今度は私がうめく羽目になる。「見えない恐怖」を生み出してしまったのは、紛れもなく私自身だ。

 ロイは、一見すれば軽いだけの男だが、実際は物事をよく見ている。研究者モードに入って相手をよく見ていなかったのは私の方だった。

 

「(ああなったらもう何言っても無駄だよ。とりあえず不安を取っ払ってあげて、無理そうならとんずらしかないかなー)」

 

 「放置でも問題はないっしょ?」と確認するロイ。私は首を縦に振る……が、それはこれ以上この町にいられないことを意味する。

 「風土病を失くせる」と言ってしまった以上、「やっぱり無理でした」となれば信用はなくなる。どころか、無駄に不安をあおっただけの疫病神だ。

 彼の言うとおり、「とんずらしかない」のだ。それは、私のプライドが許さない。

 

「(……いいだろう。風土病を根絶してやろうじゃないか。こうなれば手段は選ばん)」

「(……あれ、こっちもやばいスイッチ入っちゃった?)」

 

 その通りだ。地雷を踏んだのはお前だからな、ロイ。

 強制的に話をまとめ、私はロイを伴って町長の前に出る。ベア爺もなかなか話し上手だったようで、彼の顔に既に憂いはなかった。

 

「それで、ミタス殿。やっていただけますか?」

「ええ、やりましょう。……その前に確認です」

 

 喜色満面となった町長の顔は、次の瞬間真っ青になった。

 

 

 

「西の森、消し飛ばしても構いませんね?」

 

 

 

 

 

 一ヶ月後。普段なら風土病の患者が出始めるそうだが、この年から症状を訴える者は一人もいなくなった。私の仮説は正しかったようだ。

 経過確認のために移動を制限された私たちは、代わりにひと月分の生活費を支給された。もちろん、件の依頼の報酬は別でもらっている。

 この町の名産である牛肉の串焼きを食みながら、活気に満ちた通りを歩く。私の隣には、お決まりのようにロイがいた。

 

「しっかしあのときの町長の顔はウケたなぁ。目が点になるってのはマジなんだって笑ったぜ」

「一緒に目を点にしてたやつが言っても説得力はないぞ」

 

 ――あの後すぐに、私たちは西の森の手前に行き、焼却作業を行った。と言っても、行ったのは私一人だ。

 幸いそこまで規模の広い森ではなかったので、「攻撃魔法」一回で終わった。使用するマナが多い魔法なので、複数回使用せずに済んだのは助かった。

 魔法を撃った際、地響きに交じって低いうなり声のようなものが聞こえた。おそらく、あの森自体が魔物だったのだろう。

 元・西の森は資源としても使われていなかったそうだが、森自体が魔物ならば資源にできなくて当たり前だろう。

 ……なお、見えない恐怖に取りつかれていた町長は、今度は私に対して恐怖するようになった。もうアレに関しては処置なしということで。

 

「んで。この後はどうすんの? 確認の一ヶ月は終わったわけだし」

「無論、この町を出る。どうせ普通の依頼は受けられないだろうしな」

 

 あれからというもの、酒場に行くと町長付きの護衛やら領主亭の護衛やらの仕事を勧められるようになってしまった。西の森消滅の原因は伏せてもらったものの、風土病根絶の話はそうもいかなかった。

 晴れて私たちは町を救った英雄扱いだ。全くもって嬉しくない。

 

「幸い、依頼料には色を付けてもらえたからな。次の町に行くまでの路銀には事欠かんだろう」

「いやまあ、あれだけやって金貨15枚は少ないよな。倍でもまだ少ない気がするけど」

「口止め料というやつだ。下手に有名になって目を付けられたらたまったもんじゃない」

 

 魔法大国の生き残りだということがバレれば、厄介なことになるのは想像に難くない。そうなる前に去るのが吉だ。

 とはいえ私たちはほしくもない名誉によって徐々に有名になりつつあるので、あまり猶予はないだろう。

 

「お前も悔いがないように好きなものを食っておけ。ベア爺が買い出しから戻ったら出発だ」

「あ、オッサンいないと思ったらそんなことしてたのね。……そんじゃあオイラ達は、そこらの宿でご休憩してかない?」

「――暗き海の瞬きよ、一降りの矢となり地を穿て」

「うそですごめんなさい! それ喰らったらガチで死ぬから!?」

 

 先日西の森を蒸発させた詠唱に、慌てて撤回する下品な金髪男。こちらも本気で撃つつもりはないが。……品のない冗談は嫌いだ。

 私は速足で先へ進み、ロイがあわてて隣に戻る。

 

「にしても、ミタスさんって結構食いしん坊だよねぇ。このひと月、飯屋探しに余念がなかったし」

「他に娯楽がないだけだ。まったく、国外(こっち)は娯楽に乏しいのが難点だ」

「あ、じゃあさ! 次の目的地、海にしねえ? そろそろ海水浴のシーズンだし。ミタスさんの水着姿、見たいなー」

「よし、次の目的地は山にするか」

 

 「なんでだよー」と不平を漏らすロイを無視し、私は町の門へと向かう。既にベア爺の姿がそこにあった。

 

 

 

 次に向かう町はどんなところだろうか。

 旅の目的は、まだなかった。




連載化してしまったので登場人物まとめ



ミリア・アールヴィナ・ステイタス
女性・17歳・元宮廷導師見習い
本作主人公。故郷で禁忌とされている攻撃性魔法を作ったことで国外追放の憂き目にあったけど、おかげで命拾いした人。
国民全員が魔法使いとかいうアタマオカシイ国の出身なので、当然魔法使い。ただし故郷では「魔法使い」という分類はなく、魔法の開発・研究を行う「導師」の見習いだった。
黒のセミロングで翠眼を持つ美女。巨乳ではないが美乳。その容姿のせいで荒くれ者に視姦されるのが嫌でフードをかぶっている。
「研究畑の人間なので男口調でしゃべる」と言い張るが、別に研究畑だから男口調になるわけではない。本人の性格である(作者の性癖)

ロイ・ストランド
男性・19歳・元軽業師
ミリアの追っかけ。金髪碧眼の黙ってれば爽やかイケメン、口を開くと残念なイケメン。人のことはよく見ており、性格とは裏腹に理知的。
ミリアをミタスと呼ばないのは周りに聞いている人がいないと確実にわかるときのみであり、実は相当気を使っている。
軽業師の経験を生かしたアクロバティックな体裁きが特技であり、剣の腕はそこそこ程度。一応ベア爺さんに教わってはいる。
作者恒例(?)の「別に狙ってたわけじゃないけどいい男になってた」枠。彼はリリなの二次創作のアイツを超えられるだろうか。

ベア・ガーデルマン
男性・56歳・元騎士
皇帝に三行半叩きつけて国を出奔した元騎士。国を出て以降はなるべく剣を使わず、ほぼ盾のみで人々を守っている優しい巨漢。ただし声がでかい。
かつての相棒をワイバーンから守れなかったことにトラウマを持っていたが、払拭してくれたミリアに大恩を感じ、同行を願い出た。今は彼女を仮の主としている。
ロイのこともちゃんと気に入っており、手のかかる弟子であり頼れる相棒として認識している。
作中であまりしゃべることはないが、大体二人の後ろに立っている。二人に害を成すものがいないか目を光らせている。優しいおじいちゃん(強弁)



登場人物のモデルは(一応)Terraria Calamity Modのカラミタス一家です。原型残ってないけど。



一応魔法も

火炎弾(ファイアボール)
魔法使いが使う魔法と言って真っ先に思い浮かべるやつ。なお魔法大国の人間は使わない(非効率なので)
「灯ける揺らめき、敵を撃て」が詠唱。詠唱時間=発動時間ではなく、これの補助を得てマナ操作を行う必要がある。国外のベテランで大体2秒。
2~8発程度の火球を発射する。普通に冒険者やるなら十分な火力が出るが、ワイバーンクラスになると通用しない。

水分子凝集魔法(名称なし)
魔法大国で水道代わりに使われている魔法。空気中のチリも一緒に凝集してしまうため、飲用とするには濾過が必要。
作中ではこれに指向性を持たせ、ゴブリンを押し流すのに使用された。ファイアボールなんて必要なかったんや。

超音波探知魔法(名称なし)
魔法大国では工作用に使われている魔法。波形を弄ることも可能で、生物探査の際は小動物の鳴き声に擬態したりする。
国外ではマナそのものを探査の波にしているが、魔物は基本的にマナ感知能力が高いので、使ったら逃げられる欠陥魔法となっている。

送風魔法(名称なし)
魔法大国では(ry 気流の方向は操作が可能で、上昇気流を発生させてパンチラすることもできる。魔法大国でこの魔法を覚えた悪ガキが最初にやるいたずら。



恐慌(テラー)
ミリアが作成した「攻撃魔法」の一つ。対象となる座標のマナを介して五感外の情報を大量に流し込み"恐怖"を書き込む精神攻撃。平たく言えばSAN値直葬魔法。
現状防御手段がなく、喰らったら気絶か精神崩壊を免れない。ただし五感外の情報を扱う関係で術の構築がとてつもなく複雑になっており、ミリアでも最大10秒はかかってしまう。
詠唱は「遥かなる深淵より覗き見る者、仮初の瞳を今ここに顕せ」。どう見てもクトゥルフです、本当にありがとうございました。

天獄(アーク)
ミリアが作成した「攻撃魔法」の一つ。今回森を蒸発させたやつ。作中描写はなかったけど、多分今後使う機会がないのでここで。
見えている範囲の光を収束させ、純粋な破壊エネルギーとして照射する。相手は死ぬ(ガチで) あまりの威力に破壊以外の使用方法が存在しないため、「攻撃魔法」に分類される。
詠唱は「暗き海の瞬きよ、一降りの矢となり地を穿て」。エネルギー量に比例して使用するマナも膨大なため、連発はできない。
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