色々な没集   作:超人類DX

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没集めという名のチラ裏もの作成しといたので、あとでこれもチラ裏にぶちこみます。


やはり相容れない

 異界の龍の帝王。

 

 その強さは人の範疇を超越していた。

 

 なんでも元の世界から更に別の世界に生まれ落ち、生まれながらにして異質な心を宿していた事でその道を踏み外したとの事だが、恐らくは人ではない者達への果てしない嫌悪と憎悪はその踏み外した道を歩んだ事が理由なのだと思う。

 

 異界の赤き龍曰く、己の宿主たるイッセーを『歴代で間違いなく最強であり、最悪でもあり、最後の宿主』と評している。

 

 人に使われる神器としてその昔封じられてしまったその封印を、イッセーが宿主となることで解放され、共に肉体という器に共生することで到達してしまった半人半龍の生命体。

 

 龍――ドライグ曰く、イッセーが生まれながらにして持つ異質な力はまさに異常である。

 最近までは無意識にその異質を封じていたとの事だが、ひと度甦らせれば、誰にもその速度にはついていけなくなる。

 

 風が絶えずこの世界を吹き抜くように。

 太陽が絶えずこの地を照らすように。

 

 イッセーの力は常に成長し、進化を続ける。

 

 

 限りない進化……それがイッセーの持つ異常な力の源であり、イッセー自身の人格が決定付けられた呪いのゆような力。

 

 殺してやりたいほど妾の声と似ているらしい魔人――ではなく悪魔のリアス・グレモリーとその下僕達はきっと、そのイッセーの異質な力だけに惹かれたのだと思う。

 

 そして一時的にイッセーは自分の意思を無視され、その者達に支配された事があったのだろう。

 だからあれほどまでの――無尽蔵ともいえる殺意と憎悪を人でない者達に抱くのだろう。

 それが例え、この世界の者達には無関係な事であると頭ではわかっていても……。

 

 

 つまりイッセーはこの世界に召還されるべき存在ではなかったのだ。

 それを愚かにも連中が呼び起こしてしまったものだから……。

 

 ただ、イッセー自身は久方振りとなる『敵』と思い込む者達の出現で精神が不安定になっていただけで、その精神が僅かながらにも落ち着きを取り戻せば、意外な程『話せば多少はわかる』タイプでもある。

 

 イッセーの止め役にもなっているドライグの説得と、精神が安定していた時期を共に過ごしていたエリの二人が居れば、意外な程イッセーは大人しくなる。

 

 現に、迷惑にもそのリアス・グレモリーに声が似ている妾が今のところ殺されていないのが何よりの証拠。

 

 もっとも、ひと度そのスイッチが入ってしまえば、誰であろうがイッセーはその憎悪を解放し、敵が息絶えるまで戦い続ける。

 皮肉にも、その考え方はつい先程出会した……えーっと、吸血鬼や兎人族のおなごと共に行動していた白髪の男の考え方に少しだけ似ていなくもない。

 

 決定的に違うのは、イッセーの場合は妾を含めた全ての人ではない存在を嫌悪し続けているということだけ。

 

 例えこの世界のあり方を知った今でも、イッセーの心は変わらない。

 だからなのだろう、あのハジメという男はイッセーのあり方にシンパシーこそ感じるものの、相容れないと思っている。

 

 それは同じ世界からこの地へと召喚されは者達とは違って、イッセーにだけは警戒心と敵意を抱いているあの目を見ればわかる。

 

 

 ああ……きっとイッセーはああいう目を向けられながらずっと生きてきたのだろう。

 自分のやってきた事を自覚した上でそれでも止まらないから――敵を作り続ける。

 

 

『俺の生き方は俺が決める、誰かの決めた正しさ等に興味はない』……―か。

 

 

 まったく、難儀な奴じゃのぅ。

 

 

 

 

 

 

 とある秘境同然の土地に赴いていたイッセー達は、そこで怪しげな研究をしていた老人の開発した『転移魔法』の実験に付き合った結果、オルクスの大迷宮にワープされられてしまい、そこで行方不明のままだったハジメやら、頭数が何人か減ったクラスメート達と再会した。

 

 そのまま元の場所に戻る気だったイッセーだったが、光輝が止めるのと、最近言うのも怠くなってきた程度にはついてくるティアが『腹へった』なんて言い出すのので、取り敢えず飯だけは食べようと一応彼等に同行することになった。

 

 もっとも、同じタイミングでクラスメートと再会した南雲ハジメとは、当初の一誠の行動が理由で完全に敵意と警戒を持たれてしまっており、変わり果てたハジメの様子も相俟って、その空気はあまり良いとは思えないものだった。

 

 

「ステータスプレート……?」

 

 

 そんな悪めの空気でも、大体は元凶であるイッセーはといえば、恵里と共にこういった世界にありがちな制度について今更ながら教えられていた。

 

 

「お前達は説明する前に出ていっただろう? まさかコイツ等と一緒に出てくるとは思わなかったから驚いたが、一応説明だけはさせて欲しいと思ってな……」

 

「召喚した人を半殺しにした時点で、ボクとイッセーくんは排除の対象かと思ってましたけど?」

 

「……まあ、そういう声が殆どだが、そうも言ってられないのも事実だからな」

 

 

 そう騎士団長メルド・ロンギヌスなる人物に言われつつ渡された銀色の板は、よくありがちな使用者の能力を数値化させるものらしい。

 

 正直こんなものを渡された所で、登録する気は無かったりするのだが、各地を放浪している際、このプレートがある意味この世界での身分証の代わりになる事を思い出した恵里は、そのまま手裏剣みたいに投げ捨てようとしていたイッセーに『ご飯を集る為にやってみない?』と言うので、イッセーは渋々ステータスプレートに血を垂らす。

 

 そして現れたイッセーのステータスは……。

 

 

兵藤一誠 男 ぬ゛ョゥね゛ふて歳

 

天職・赤龍帝

 

 

筋力・オジゾウバッヂ

 

体力・けつばん

 

耐性・ブロリー

 

敏捷・ィ゛ゃゾ┘A

 

魔力・アネ゛デパミ゛

 

魔耐・ベアビヲ9

 

技能【9パ】【ゃパ】【ぼチへぴゾの4ぽレねへデIざに゙】

 

 

『…………』

 

「わ、凄い、これどういう意味なの?」

 

「知らね」

 

「何となく予想できたが、こんな訳のわからん事になるとはなぁ……」

 

 

 全部が意味不明の文字で、誰しもが声を出せずにのほほんとしている恵里とティオ以外の時間が止まってしまった。

 

 

「お、おかしいな? もしかしてこのプレートに不具合が……?」

 

「良いでしょうよどうでも。

どうせ飯食ったら出ていくつもりですし……」

 

「だ、だが……」

 

 

 プレートの不具合とみて、別のプレートで登録のやり直しを求めるものの、イッセーは面倒だからとこのバグったとしか思えない表記のステータスプレートをしまう。

 

 

「ハジメ……なにあれ?」

 

「わからない。元の世界の時もよくわからない奴だったが……」

 

 

 誰も彼もがイッセーを化け物でも見るような目をする中、下手をすればバラバラの惨殺死体にされそうになった事もあって、完全に怯えているユエは同じように警戒中のハジメと共に、屋台で食べ物を買って恵里とティオの三人でムシャムシャと食べているイッセーを見据える。

 

 ハジメをパパと呼ぶミュウと呼ばれる少女が興味深そうにイッセーに近づこうとするのを止めながら、ハジメは何時またあの殺意をユエやシア達に向けるのではと、その警戒心を緩めることはなかった。

 

 

 

 

 

 さて、こんな調子で余計に訳のわからない認定を周囲からされてしまったイッセーは、持ち金を叩いてティオや恵里と腹を満たすと、ここには最早用無しとばかりに出ていこうとする。

 

 しかし、それはどうやらハジメも同じらしく、出ていこうとする過程でまたしても光輝との間で小競り合いをしていた。

 

 

「また喧嘩してるよ……好きだねホント」

 

「今度はなんなんじゃ?」

 

『痴情の縺れって奴だな。どうやらあの……えーっと? シラサキだったか? その小娘が白髪の小僧の方についていくと言い出して、それをあのリーダー格の小僧が止めている――らしい』

 

「…………」

 

「ほほぅ、詳しいのドライグ?」

 

『………まーな』

 

 

 事実他人事のように、その小競り合いを見ている恵里とティオの横で、食後のデザートとばかりにパステルカラーの謎果実を食べているイッセーも、何となく二人に倣って相棒のドライグと共に見ている。

 

 

「へぇ? 白崎さんって南雲君が好きだったんだ?」

 

「その様じゃな。

で、再会した際に吸血鬼や兎人族のおなごと共にいるものだから、自分もついていくと……」

 

「………………」

 

 

 その間、イッセーは無言で彼等のやり取りを見ているが、果てしなくどうでも良さそうで、その顔に気づいた恵里が問い掛ける。

 

 

「そういえばイッセーくんって昔から異性に対して興味無さそうな態度だけど、どうなの?」

 

「お前は俺をなんだと思ってんだよ。そんなの人並み程度にはあるわい」

 

「え……?」

 

「あ? オイ、何だよその目はポンコツ竜?」

 

「ぽ、ぽんこつ……。あ、いや……全く想像がだきなかったものだからつい」

 

『寧ろガキの頃は人並み以上にドスケベだったぞコイツは?』

 

「「嘘ぉ!?」」

 

 

 道さえ踏み外さなければ、乳龍帝だのなんだの言われるし、おっぱいドラゴンの歌なんて歌う程度には異性に対して、少なくとも幼少期はオープンだったと語るドライグに、ティオと恵里も驚きだ。

 

 それが気付けばこんなヤサグレ男になってしまったのだから、ヤサグレ状態しか知らない恵里とティオにしてみれば信じられないのも無理はない。

 

 

「じゃあさ、イッセー君的にはどうなの? 白崎さんとかは……?」

 

「見てくれだけは良いんじゃねーの?」

 

「見てくれだけって……じゃあ中身は?」

 

「あー、無理無理。俺ああいうタイプ苦手だし」

 

「苦手? ボクが知ってる限り、白崎さんは誰にでも分け隔てなく優しくできるタイプだと思うけど?」

 

「分け隔てなく……? あの南雲ってのを好きだからって、ついていくと言い出して聞かずに、人間関係を普通に拗らせてるのが分け隔てないのか?

見ろよ、あんな事言い出すから、あそこに居る誰だか知らん男子が南雲ってのを殺す勢いの目で見てんぜ?」

 

「あ、いや……。

白崎さんって南雲君が好きみたいだし……」

 

 

 珍しく恵里の方が若干常識人みたいな状況になる。

 どうやらイッセー的に白崎香織は苦手らしい。

 

 

「本人に悪気が無いにせよ、あんな地雷をそこかしこにばら蒔くようなタイプは近づきたくもねーよ。

だったら自分の欲に普段から忠実な恵里の方がよほど良いわ」

 

「ぇ……あ、う、うん……」

 

「………。シレっと言いおったな」

 

 

 別に香織が悪い訳ではないが、イッセーからしたら普段から自分の思う通りに行動する恵里のようなタイプが好みらしく、シレっと言われた恵里もこの不意打ちに照れてしまう。

 

 

「つまりイッセーはああいう女には人間であろうと興味が無いと……?」

 

「まーね」

 

 

 ティオに対して頷きながら、変な色の果実を噛る。

 切羽詰まってからやっと行動するようなタイプは信用できないらしい。

 

 とまあ、割りと酷い評価を勝手に香織にしていると、聞こえていたのだろうか背が高めの長い黒髪の女子が近づいてきて話しかけてくる。

 

 

「…………さっきから聞いてれば、ずいぶんと香織に対して言ってくれるわね」

 

 

 どうやら友人の悪口に反応したらしく、ムッとしている女子だが……。

 

 

「あ? ………………誰だ?」

 

「……………」

 

 

 やはりイッセーは顔も名前も覚えなかったらしく、当たり前のようにコレは誰と恵里に訊ねる。

 

 

「八重樫さんだよ、白崎さんのお友だちの……」

 

「ふーん」

 

「本当にそこそこ酷いなイッセー……? 同じ世界から召喚されたというのに」

 

 

 呆れた様子のティオを横に、イッセーは八重樫雫という今名前を知った女子から絡まれたのが面倒なのか、適当にペコペコと頭を下げておく。

 

 

「悪い悪い、君のお友達の事を悪く言ったつもりもなかったし、まさか聞かれてるとも思わなかったよ」

 

「……」

 

「全然謝ってる感じじゃないよ……」

 

「だから敵を作るというのに……まったく」

 

 

 ヘラヘラと反省の色ゼロにしか見えぬ態度で煙に巻こうとする態度に八重樫雫の眉がつり上がる。

 

 

「元の世界の時から私達全員を『道端に落ちたゴミ』でも見てるような目をしていたアナタにはわからない事でしょうけど、香織は南雲君がまだいじめられていた頃から好きだったのよ」

 

「そうなんだ、へー?」

 

「……。だから二人の事を知らない癖に勝手な事ばかり言わないで」

 

「あーはいはい、わかったから早くあちらさんを止めろよ? あの……えーっと天なんとか君だっけ? 彼が南雲って奴に剣抜いて決闘だとか言い出してるぜ?」

 

「………」

 

 

 確かに一誠が言った通り、香織がどうてもハジメについていくと聞かず、どんな解釈をしたのか、光輝が決闘だと言い出している。

 それを本来は雫も止めに入るべきなのだろうが、この元の世界から中村恵里共々『理解ができない』一誠から目を離さない。

 

 

「あーあ、天なんとかが南雲ってのになんかされて地面に埋まっちまってんじゃん」

 

「収拾つくのかなぁ……」

 

「なあ、そこの者、奴等の友人なら止めた方がいいんじゃないのか?」

 

 

 どこまでも他人事で、どこまでも自分達を見下しきったあの目。

 八重樫雫もまた、そんな目をする一誠が嫌いだった。

 

 

 

 

 ハジメについていくと言い、どさくさに紛れて告白までしたせいで、光輝を始めとした一部の男子生徒達からのヘイトを余計に受けるはめになったハジメだが、以前と違って対抗可能な力を持ったので、取り敢えず決闘だと喚いていた光輝は、錬金を使って彼の足下崩して地中に埋めて黙らせた。

 

 そして直接的ないじめをしてきた檜山といった連中には、この世界に来てまだ間もない頃に受けた仕打ちに対して精神的な意味での報復もした。

 

 周囲がそんなハジメに騒然とする中、ハジメは離れた箇所から見ていただけの中村恵里とティオなる竜人族――そして兵藤一誠を見る。

 

 すると彼等は常に香織と共にいた八重樫雫と何やら話をしている様子であり、怪訝そうにその様子を見ている。

 

 

「…………」

 

 

 自分自身でもわからないが、ハジメはユエとの一件以降、一誠を強く意識するようになった。

 

 ユエを殺そうとした事への憎しみ。

 何よりどこまでも自分を見下すあの目。

 

 それがハジメのコンプレックスを刺激し続けるのだ。

 

 それに加えて一誠は説明不能の強大な力を持っている。

 召喚されたその時点で、召喚人達を嗤いながら破壊していた姿から察するに、もしかしたら元々一誠はそういった力を持っていたのかもしれないと考えられるし、によりあのふざけたステータス表記が信憑性を強める。

 

 だからこそ、今後ユエ達に牙を剥くかもしれない事がハジメの警戒心を更に強める。

 

 クラスメート達に受けた過去の事はほぼ割りきって乗り越えた。

 だが、彼だけは――一誠だけはハジメにとって拭いきれないのだ。

 

 

「おいおい、大丈夫かー? そこのえーっと、八重歯さんだっけ? それに言われて仕方なく埋もれたキミを掘り起こしてやったんだけど――って、ダメだこりゃ、気絶してるわ」

 

「八重樫よ……!」

 

「ったく、しょうもねー痴情のもつれなんか他所でやれよ、関係ない奴等からしたら良い迷惑だろうに? なぁ?」

 

「え、あ、な、なんともいえない……かな?」

 

 

 光輝が埋まっていた箇所を、掘り起こし、物でも扱うかのように引きずり出す一誠は、どうやら雫に言われて渋々手伝っていたらしい。

 元の世界では恵里としか殆ど話さなかった一誠に突然ラフに話しかけられてびっくりする女子生徒を尻目に、気絶している光輝を適当に放り捨てる一誠は、何故か香織に話しかける。

 

 

「んで、どうなった訳? この南雲ってのについて行くの行かないの?」

 

「あ、あのその……」

 

「あのさー、好きだかなんだか知らねーけど、わざわざ地雷設置していくような行動すんなよな? 聞けばあの南雲ってのはクラスでいじめられてたんだろ? そんな相手にいきなりそんな事言ったら、彼にヘイトが集まるとかわかんないの?」

 

「そ、そんなつもりじゃ……」

 

「ああ、自覚無しか。えーっと、南雲だっけ? キミもとんだ災難だったね? 初めてキミに同情したわ」

 

「………………」

 

「あ、アナタ! 誰が香織にそんな事を言えって――」

 

「クラスメートとして協力しろとほざいたのはキミだろ? 協力しつつ思った事を言っただけだぜ?」

 

 

 雫に言い捨てる一誠は怠そうに首を鳴らす。

 

 

「で、南雲はどうなんだよ? コレにコクられたんだろ? どーすんだよ?」

 

「な、何でお前にそんな事を聞かれなきゃ……」

 

「話が全く進まないから協力しろってこの八ツ橋ってのが俺に言うからだよ」

 

「八重樫よっ!!」

 

「だから早く言えよ? 受けるなら受ける、断るなら断る! ほら、速く! ハーリーアップ!!」

 

「う、受けねーよ! お、俺が好きなのはユエなんだよ!!」

 

「なっ!?」

 

「…………………あっそ、だってよ白樺さん? キミの恋はこれにて終了でーす、お疲れしたー――ベバッ!?」

 

「ふざけんじゃないわよ!? こんなやり方をしろなんて私は言ってないでしょう!?」

 

「しかたねーだろうが! 本人にその気がねーんだから! それを聞いてやっただけでもありがたく思えこのブスが!!」

 

「ぶっ……!? こ、このっ!!」

 

 

 生まれてはじめて真正面から異性にブスと呼ばれて完全に頭に来たのか、相手が一誠であはるのも忘れて飛び掛かる雫と応戦する一誠。

 それは先程までの空気が完全に消し飛ぶ程の大騒ぎであり、やけくそ気味にいってしまったハジメのせいで完全に玉砕してしまって放心していた香織も慌ててとめに入る程凄惨な取っ組み合いだったという。

 

 

「ハジメ……」

 

「あ、いやその……」

 

 

 思わず言いきってしまったのが恥ずかしくて俯くハジメとユエがナチュラルにイチャつき始めながら。

 

 

 

 終わり

 

 

 八重樫雫はやはり兵藤一誠が嫌いだ。

 香織の件に金まで払って第三者として協力を仰いだというのに、結果ら香織を完全に玉砕させるは、自分をどさくさに紛れてブス呼ばわりするわ。

 

 大体別に自分はブスではない……これでもそこそこモテていたのだ――と、あまりに正面から言われてしまったせいか、自分の容姿への自信を軽く無くしてしまった雫。

 

 とはいえ、完全に玉砕する事を言われたせいで逆に踏ん切りがついたのか、意地でもハジメについていく事になった香織にちょっと安心したし、一応――本当に嫌だけど一言だけはお礼を言おうと、夜更けに街を出ていこうとする一誠、ティオ、恵里を街の入り口で待ち構えた。

 

 

「やっぱり自分達で行動する気なのね?」

 

「? なんだ、八木橋さんか……」

 

「八重樫よっ! もしかしてわざと間違えてない!? ………まあ良いわ、思った展開ではなかったけど、香織も逆に吹っ切れられたから、一応協力のお礼を言いに来ただけ」

 

 

 律儀にお礼を言う辺りには良い子ではある雫は、頭を下げた。

 

 

「それで、アナタは人間以外の種族を殺して回っているって聞いたけど……本当なの?」

 

「は? なんだそりゃあ? そりゃあムカつく畜生は捻り殺してはいるが……」

 

「ここ最近の一誠はかなり丸くなったぞ? 証拠に妾はこうして無事じゃろう?」

 

「でもあのユエって人を殺そうとしたって……」

 

「ああ、ギラギラ状態だった頃だねそれは。

南雲君から聞いたのかな?」

 

「まあ……」

 

 

 訳もわからないし、その他人を人とすら思ってない目は嫌いだが、どこか気になっている自分がいることも事実だった。

 

 

「まあ、南雲ってのにしてみれば俺は悪夢みたいなもんだろうし、事実出会した時は殺そうとしたぜ?」

 

「何でそんなことを……」

 

「単純に嫌いなのと――まあ、イメージが先行してたもんでね」

 

 

 人外嫌いである事を全く否定しないイッセーに、雫は何故そこまでと余計に気になった。

 残念ながらそこまでの事は聞けなかったが、その気になれば取っ組み合いになった際、自分なんて虫を潰すみたいに殺せたのに加減をしてもらったのだけは雫の中で理解できた。

 

 

「アナタのその目が嫌いだわ」

 

「は?」

 

「何を考えてるのかもわからないし、身勝手だし、言い方は酷いし、私をブス呼ばわりするし……」

 

「………案外引きずるタイプなんじゃな」

 

「ちょっと意外」

 

 

 それはこれからも変わらない。

 

 

「つまり、アナタの事は大嫌いだわ」

 

 

 これが、八重樫雫が異常者を知った日。

 

 

「俺はキミの全てに興味ねーな」

 

「でしょうね、その目を見ればわかる。

アナタにとって中村さんやティオさん以外は押し並べて平等に『同じ』でしょうから……」

 

「そんなにブス呼ばわりが嫌だったのか? わかったよ、訂正するよ……えーっと、キミはブスではないよ? ブスではないがタイプでもねー――ゲバッ!?」

 

「あらごめんなさいね? つい反射的に手が……」

 

「………泥沼に頭から突っ込んで窒息しちまえ、このドブス―――がぶっ!?」

 

「やだわ、今度は足が勝手に……ふふん」




補足

イッセーのせいで完全玉砕させられるヒロイン

イッセーのせいでブス呼ばわりされてキレるヒロイン

イッセーのせいでイマイチ締まらない主人公……。


その2
一応これでも丸くはなってはいます。

スイッチ姫に声が似てるティオさんと飯を食ってる程度には丸いです。

話しかけられれば応じるし。

多分スイッチ姫達が見たらティオさんが呪われる程度には対応が奇跡的に丸いです。

未だ、ぽんこつ竜か、お前か、テメーとしか呼ばないけど。

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