色々な没集   作:超人類DX

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なんもかんもマコト(TS一誠)が悪い。


コンプレックス白崎さん

 異世界であるトータスに召喚されてしまった南雲ハジメとクラスメート達がまず始めに行った事は、ステータスプレートというものの作成であった。

 

 簡単に言えば、RPG系統のゲームの能力をわかりやすく示す道具のようなものであり、基本的にこの世界における身分証代わりににもなるものだった。

 

 ハイリヒ王国の騎士団長の厳つい風体であるメルド・ロギンスなる男性から其々プレートを配られ、自身の情報をそのプレートに血を数滴垂らす事で情報を与えてみれば、其々の能力が浮かび上がる。

 

 

「あ、本当に僕の名前が浮かび上がったけど、この錬成師ってのが僕のジョブのようなものなのかな?」

 

 

 浮かび上がる自身の能力値を確認するハジメだが、ふと技能の項目に『アレが無い』事に気がつき、隣に居たマコトに声をかける。

 

 

「ねぇマコト、この技能って項目に『アレ』が無いけど、マコトにも出てないの?」

 

「多分だが、この【不明】ってのだろうぜ。

どうやらこの世界にはオレ達と同じは過去にも存在しない事になるな。

簡単に言えばアレはこの世界でも未知のものだ」

 

「なるほど、ちなみにマコトの天職ってどんなの?」

 

 

 個の我を具現化させた力についてだけはステータスプレートのどこにも表示されておらず、代わりに不明という項目がマコトとハジメのステータスプレートの技能項目に表示されている。

 この世界にも自分とマコト以外に持っているものは存在せず過去にも無かったという考察に対して、内心ちょっとだけホッとするハジメは、マコトはどんな天職なのかが気になるので訊ねてみる。

 

 するとマコトは首を傾げながら、黙って自分のステータスプレートをハジメに見せる。

 

 

 兵藤命 女 16歳

 

 天職・赤龍帝

 

筋力・0

 

体力・0

 

耐性・0

 

敏捷・0

 

魔力・0

 

魔耐・0

 

 

技能【言語理解】【並行進化】【破壊】【不明】

 

 

「能力値がオール0って……」

 

「ハジメはどうなんだよ?」

 

「あ、うん。僕はこんな感じ」

 

 

 南雲ハジメ 男 16歳

 

 天職・錬成師

 

筋力・0

 

体力・15

 

耐性・15

 

敏捷・15

 

魔力・15

 

魔耐・15

 

技能【錬成】【言語理解】【一途】【不明】

 

 

「………筋力の数値だけオレと同じか。

アレだな、このプレートの数値は全部アテにならないな」

 

「うん……。鋼鉄の冊を飴細工みたいに腕力で曲げられるマコトが0な訳ないし……」

 

「でも錬成師ってのは良いな。便利そうじゃん?」

 

「マコトの赤龍帝ってさ……つまりアレだよね?」

 

「ああ、これだけはあってるぜ」

 

 

 このステータスプレートの情報が一切アテにならないと、互いの事をよーく理解しているハジメとマコトは、最早今後は身分証にしか使わないことに決めた。

 

 ちなみに、世界での一般人の初期ステータスはオール10らしく、上位世界等と呼ばれる召喚された者達は基本的に基礎からして数倍から数十倍は高いらしい。

 

 つまり、数値だけならハジメとマコトはこの世界の一般人かそれ以下だった。

 

 

「天之河光輝、ステータスは全て100で、技能とかも何かたくさんあります」

 

『おぉっ!』

 

 

 そんな中でも抜きん出て居たのが天之河光輝というカースト上位の男子であり、この周りが驚いていた。しかも天職も勇者であり、まるで主人公みたいでメルドも抜きん出た才能の光輝に嬉しそうだった。

 

 

「まるで主人公だね彼は……」

 

「だな、どーでも良いけど」

 

「けど、彼がオール100だったらマコトがオール0ってあり得ないと思うけどなぁ」

 

「ハジメもだろ。ほれ、返すよ」

 

「あ、じゃあ僕も返すね?」

 

 

 そして取り敢えず互いに見せ合ったプレートを返そうとしたその瞬間、背後からどう聞いても好意的には聞こえない声と共にハジメのプレートが背後から奪われる。

 

 

「よぉ、南雲、お前のプレート見せろよ?」

 

 

 そう言う前に既にプレートを奪ったのはクラスメートの中でもハジメにしつこくちょっかいをかけ、ヤンキー崩れとマコトに揶揄されている檜山であった。

 

 どうやらマコトがちょうど良い感じにチビなマコトが檜山の方からは見えなかったらしく、ハジメが一人だと勘違いして絡みに来たらしい。

 

 

「あ、それ――」

 

「うわっ!? なんだこのステータス!? オール0って最早カス以下じゃねーかっ!? ヒャハハ! お前真っ先に死ぬな!」

 

 

 と、ハジメのプレートだと勘違いし、そのステータスが全部0であると知った途端、周りに聞こえるように嘲笑う。

 

 

「天職が赤……龍……帝? なんだこりゃ――――え、ひょ、兵藤……命……?」

 

 

 が、その天職……そしてネームを見た瞬間、檜山と檜山と一緒になって嘲笑っていた取り巻きの顔が青ざめる。

 そう、名前が――別の場所に居るとてっきり思っていた悪夢みたいな女子の名前だったのだから。

 

 

「それ、マコトのだから……」

 

「よォ半チクコゾー? 朝からご機嫌だなオイ?」

 

 

 そして恐る恐るハジメの丁度影になっていた箇所を見てみれば、小柄だけど無駄に戦闘力を両胸に搭載した女子がチンピラ丸出しな口調で両指を鳴らしていた。

 

 

「っ!?」

 

「や、やべーよ……ひょ、兵藤居るじゃねーか……」

 

「だ、だからやめとけって言ったのに……お、おい兵藤! お、俺はちゃんと止めたからなっ!?」

 

 

 黙っていればそこそこ美少女ではあるマコトに、檜山達の顔は青ざめ、一人に至っては普通に檜山を売るような事を言い出す。

 

 何せ、このマコトに檜山達は一度ボコボコにされたあげく、下水道に投げ捨てられたのだから。

 

 

「ば、ばか野郎! よく見ろ、コイツのステータスはオール0、つまりここじゃ雑魚なんだよ! 今なら俺達の方が逆にヤれる!」

 

「! そ、そうだよな!?」

「は、はは……そうだ、こんな男女なんか怖くねぇ!」

 

 

 だというのに、余程オール0のステータスにすがりたいのか、檜山達はこれまでの恨みとばかりにマコトに対して色々と言ってやろうとしたのだが。

 

 

「三秒くれてやるから、そのプレートをさっさと返してオレとハジメから半径10メートルは近づくなよ? この地面みてーにテメー等の頭蓋骨を踏み潰されたくねーならな」

 

「「「…………………」」」

 

 

 その勢いは、振り上げた足で軽く地面を踏み砕き、広範囲に渡ってヒビを入れるマコトによって一瞬で壊された。

 

 

「そこの奴、何をしている!?」

 

 

 軽い地震すら発生させる脚力に、騒ぎに気付いたメルドや教師の畑山愛子によってその場はなんとか収まったが、檜山達は完全にマコトに怯えてしまい、言われた通り逃げるようにハジメから離れていくのだった。

 

 

「ほらやっぱりマコトの数値は絶対に嘘だよ」

 

「ある程度鍛えりゃあこれくらい出来るし、ハジメだってやれるだろ?」

 

「……そこに至るまで、ドラゴンボールみたいな鬼畜修行をやらされて何度も死にかけたけどさ……」

 

 

 こうして昔と変わらず、番犬よろしくにハジメを守ろうとするマコトは強大な抑止力としても健在であった。

 

 

「赤……龍帝? 聞いたこともない天職だな。それにステータス数値がオール0で、不明な技能? そこの錬成師の者にもあるが、これは一体?」

 

「さぁ?」

 

「の、後々成長したらわかるようになるとか、そんな感じなんじゃないでしょうか?」

 

「…………」

 

 

 あまりにも滅茶苦茶なステータスなせいで、メルドに凄まじく不審がられたのもおまけで。

 

 こうして着々と異世界らしい生活が始まってから二週間後。

 ハジメとマコトの進化の旅もここから始まるのだ。

 

 

「………………………」

 

 

 そんな番犬女子を恨めしそうに見据える女子が居ようが居まいが……。

 

 

 

 

 

 白崎香織は兵藤マコトを早い話が妬んでいる。

 

 当たり前のように想いを抱くハジメと幼馴染みで何時も一緒で、家も隣同士で、この世界に召喚されてからは『どっちかの部屋で大概一緒に寝てる』というトリプル役満ものの妬みのネタをマコトが持っているのだ。

 

 それはこの異世界に来ても同じ。

 なんとかハジメに話しかけようとしても、何時もハジメはマコトの事ばかり。

 下手な男子――それこそ檜山達よりも口も行儀も悪いマコトに何時も笑いかけている。

 

 ハジメをイジメようとする檜山と素行が似てるのに

どうして彼女ばかりを……。そう思った事は一度や二度ではない。

 

 だからこそ香織は、初日に愛子先生によって強制的にハジメとは別の部屋にさせられたマコトの隙をつき、明日に備えて部屋で休んでいるであろうハジメの部屋に突撃してやった。

 

 そして言うつもりだった。

 ハジメの心の強さを見て好きになったと……。

 

 

 けど――

 

 

「ま、待ってマコト……ぼ、僕もう無理ぃ……!」

 

「ダメダメ、後8回はやれ」

 

「そ、そんなぁ……」

 

 

 扉の向こうから聞こえてきたのは、愛子先生と同部屋で今は絶対に居ない筈の香織にとってはラスボスみたいな少女の声と妙に艶かしい声のハジメ。

 

 何をしているのか……と、ハジメの声だけで色々と爆発してしまった香織は、おしとやかさなんて塵みたいな勢いで扉を思いきり開け放つ。

 

 

「な、南雲君!!!」

 

 

 なんてことだ、あの女は私のハジメ君を……! と、女子特有の嫉妬心剥き出しの形相をする香織だったが、その目に映ったのは……。

 

 

「ひぃひぃ……! も、もうダメ……!」

 

「よーし、よく頑張ったぞハジメー」

 

「……………………」

 

 

 大の字でうつ伏せに突っ伏すハジメと、ハジメの背中に乗りながら少年のような笑顔で労うように頭を撫でていたマコトだった。

 

 

「……………な、なにしてるの……かな?」

 

 

 香織が思っていたような事では無かった訳で、そこは香織も安心したが、こんな夜更けに男女が同じ部屋で……恐らく腕立て伏せをやっている意図がさっぱりわからず、掠れた声を出す香織。

 

 

「? ……げ、し、白崎さん?」

 

(『げ』って言った!? 今私を見てハジメ君が嫌そうな顔をした!? な、なんで!?)

 

「あ、変な子……」

 

「へ、変な子ォ!?」

 

 

 だが気付いたハジメからは露骨に嫌そうな顔をされ、マコトはキョトンとしながら、香織にとってはマコトには一番言われたくない台詞を言われ、多大なショックを受けた。

 

 かなり気合いを入れてこの世界で現状可能なオサレまでして来たのに、反応があまりにもあんまりだし、マコトはまだハジメの背中に乗ってるせいで香織の嫉妬パワーは一気にマックスに到達する。

 

 

「こ、こんばんは? あ、あのね? どうして兵藤さんが南雲君のお部屋に居るのかとか、色々と気になることはあるけど、南雲くんとお話がしたいなーって思って……」

 

「だってよハジメ?」

 

「え……あの、明日も早いですし、まだ後日って事にして頂けないでしょうか?」

 

「」

 

 

 しかし香織は初日のような爆発は起こさず、あくまで理性的を装いながらハジメの部屋を訪ねた理由を話す。

 それを聞いてまだ背中に乗ってるマコトがハジメに言うが、ハジメ本人からはそこはかとなく拒否られてしまった。

 

 

「……………な、なんでぇ?」

 

 

 流石に泣きたくなる香織は、ちょっと涙声でハジメに問うと、自身の背中から降りてくれたマコトの隣に座り込みながら口を開く。

 

 

「だって、こんな夜に白崎さんみたいな人が僕の部屋に来たなんて現場をクラスメートに見られたら、凄まじく厄介な事になるし……。

いや、別に白崎さんが悪いって言うつもりは無いんだけど……」

 

「そ、そんなの気にしなければ良いよ! もし誰かが言ったら私がちゃんと言うからっ!」

 

「いや……それに別にお話することなんて無いと思うし僕……」

 

 

 そう言いながら、然り気無くカップに水を注いで寄越すマコトにお礼を言いながらガブガブと飲み干すハジメに、香織はキッとマコトを睨む。

 

 

「わ、私はダメでも兵藤さんは良いのはどうして……?」

 

 

 そう、何時もそうだ。

 例えば以前学校で男女ペアで組んで二人三脚リレー大会をする事になった時も、確実に女子達から拒否られると思って即座にハジメに組もうと誘ったのに、ハジメは――

 

 

『僕はマコトと組むけど?』

 

『ハジメとなら合わせやすいからねー?』

 

『うん。でも最近マコトより背が伸びたせいで、微妙に歩幅の調整に苦労するかもだけど……』

 

『オレはそこまでチビじゃねーやい! ――――ハッ!? あ、えっと、ち、チビ呼ばわりはやめてよねハジメ?』

 

 

 今にして思えば無理して女っぽい口調にしていたマコトのせいでおじゃんになるし。

 

 

『な、南雲くん! お、おはよ――』

 

『ま、間に合った……! ま、マコトが朝ご飯を三杯もおかわりするから遅刻ギリギリだったじゃないか……』

 

『食欲の秋って言うでしょう?

背は全く伸びず、胸がまたきつくなっちゃったけど……』

 

『は、はしたないから人前で自分の胸を揉まないでよ……』

 

 

 こんな調子でマコトのせいでいっつもハジメと話すのを邪魔されてきた。

 いつもそうだ、ハジメと仲を深めようとするとマコトが邪魔をする。

 

 何時だって、どこでだって……。

 

 

「だってマコトは気を使う必要がないし……」

 

「今更気を使われたら逆にビビるぜ」

 

「だ、だったら私に気を使わなくても良いんだよ!?」

 

「いやー……それは普通に無理だよ」

 

 

 マコトさえ居なければ。

 マコトだけが日本に残されれば良かったのに……。

 背丈はともかく、然り気無く胸の大きさすら負けてしまっている事も含めて、香織はマコトに多大なコンプレックスを抱いている。

 

「ほら、明日も早いし、白崎さんも早く自分の部屋に戻った方が良いよ?」

 

「兵藤さんは……?」

 

「マコト? ……あ、そうだった。畑山先生の部屋だもんね? ほら、マコトも部屋戻らないと?」

 

「えー? めんどくせーよ、あの童顔教師、悪い人じゃないけど、うるさいんだよ。

なんかキラキラした目でこっち見るし……」

 

「僕は別に構わないけど、明日怒られても知らないからね?」

 

「へーきへーき」

 

「」

 

 

 羨ましい。妬ましい。生まれて初めて香織はマコトという存在が無ければ良かったのにと、心の底から思いながら――

 

 

「んじゃ寝るかそろそろ」

 

「ベッドひとつしかないし、マコトが使いなよ?」

 

「は? 別に狭くねーし、ハジメも入りゃ良いじゃん? ほれ」

 

「………。本当にマコトって……はぁ、ちょっと落ち込んできたかも」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、いい加減にしろ兵藤ォォォッ!!!」

 

「「!?」」

 

 

 そのままマコトに言われるがままにベッドに入ろうとするハジメを見て、ガチギレした。

 

 

終わり




補足

オール0(嘘)。

筋力以外オール15(嘘)。


ただし、インドア派なのでハジメっちの体力はマコト基準じゃまだ貧弱。


その2
本当に黙ってればそこそこ美少女と常にハジメっちは一緒なので、檜山辺りは面白くはない。
が、そのマコトに過去八つ裂きにされたので、マコトには基本ガチ恐怖するので、本来と比べたら大分ハジメっちに何もできない。

その3
白崎さん、勇気出したけど粉砕されてガチギレする。


マコトからしたらただ単にハジメっちに過保護になってるつもりだが、白崎さん的にはギルティ案件だった。


その4
ハジメっちはマコトの距離の近さに悶々とさせられる事が多い。
多すぎるけど、逆を返せばそう見られては無いので落ち込むことも多々ある。


程度は違えど、このハジメっちはベリーハード一誠になれる素質が地味にある。だから【一途】なんて技能がある。


…………某情景一途にちょっと似てるそれに
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