カルデアの男子高校生の日常   作:柳瀬悠

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頑張って投稿していきます。pixivでも投稿してます


男子高校生とスカートの解釈

此処は極寒の山の上に建つ施設

 

人理継続保障機関。魔術だけでは見えない世界、科学だけでは計れない『世界』を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐために設立された特務機関。

 

だが今は大部分の人員が元職員の一人「レフ・ライノール」の仕掛けた爆発で、大部分の人員の命が奪われて人類の救う希望のマスター候補生も殆どが冷凍睡眠状態である。

 

そんな場所に偶然にも呼ばれた数人の普通の日常を過ごした若者達が日々世界を救う為に戦っているのだ。

 

職員やマスター候補生が寝泊まりする部屋が多く存在している。大部分が居なくなり余ってしまった部屋は、召喚されたサーヴァントの部屋としても機能している。

 

「なぁヒデノリこの問題の「魔眼」の特徴的な能力とそれに引き起こされる現象を説明しなさいって。答えなんだっけ」

 

「答え合わせって正直意味ないよな。つーかちゃんと講義で、聞いていたのか?」

 

ある個室に3人の青年がいる。部屋には簡易な椅子とベットが置いてあり床には簡単なマットが敷かれている。

 

椅子には魔術の基礎知識に関する問題が描かれているテキストを持つ金髪の青年と床でだらけて横寝している眼鏡の青年にテキストの回答に関する質問をしていた。

 

彼等は本来此処に来るつもりも、予定もなくただ薬剤のテストのバイトに応募して一週間の身体テスト、体調安定、知能テストなどを受けてそこで終わるはずだったのだが、

 

それはマスター候補生の素質をテストする為のカモフラージュ。

 

見事合格した彼等は、いつの間にか眠らされ此処はまで連れてこられてしまい。

 

本来補欠であるはずの彼等が選抜の先輩マスター達の事故で、強制的に行わされる事になった。

 

その為何の知識もなく経験のない彼等は日々レイシフトの合間に、魔術の専門的術と知識をテストされ、生き残る為に勉強しているのだ。

 

何とも理不尽な状況だが、知り合いになったある美少女や友人達も見捨てる事も出来ずこうやってしょうがなくやっている。

 

「いい加減にしろお前ら!いつもいつも俺の部屋でたむろしやがって、他にやる事ないのかよ」

 

ダラダラと話している二人にベットで寝ていた黒髪の青年が我慢できずにツッコミ、そう此処は彼が支給された部屋なのである

 

眼鏡の青年ヒデノリは上半身を上げると「だーってぇ」と横に揺れ揺れと時計の振り子の様にだらける。

 

「試験問題も終わって、トレーニングも休めって言われたし他の人達も予定があって、暇なんだよ」

 

「それ以外にも色々とあるんじゃねぇのか?毎回毎回同じ様な理由で来やがって、ったく」

 

毎回の如く部屋の主人に許可を取らないで、だらけている二人に向かって溜息を吐く

 

その表情に多少の申し訳なさを抱いたヒデノリは自分の試験問題のテキストをファイルに入れて、去ろうとする

 

「じゃあ部屋帰るわ、あとヨシタケ俺も不安だから、今度勉強会でもすっか」

 

「えーめんどくせぇよ。ま、命に関わる事だしいいぜ、別に」

 

出口へと向かうと、漸く帰るとったくと嫌味を言って視線を後ろにするタダクニ。

 

しかし部屋を出る直前にふとヒデノリは疑問を漏らす

 

「なぁ、ヨシタケ。ちょっと思ったんだが女性陣のスカートって、どう思う?」

 

その問いが届いた時ヨシタケは雑誌を閉じ、問いの返事を答えた。その表情はふざけた空気ではなく落ち着いて静かな普段のおちゃらけた雰囲気ではない

 

「ないな‥‥あれはもはや衣服じゃねぇ‥大体‥」

 

「何で議論始めるんだよ。帰れって言ってるんだよ!」

 

思わず上体を起こしてツッコミを繰り出してしまうタダクニ、さっさと帰って欲しいと目と言葉で語りかけるが、話題の広がりが止まらない。

 

「いやだって毎回思うけどあれ布を腰に巻きつけるだけのものでしょう」

 

「隠す目的で装着している様には全く見えない。恐らくなんだが‥あれは見せる為につけているんじゃ…」

 

「いや、中世から続く立派な文化だから。カルデアに来ている英雄のみんなに失礼だから」

 

「じゃ、タダクニはどう思うのよ。ネロさんのあのスカートを文化という曖昧な表現に収めて良い物なのか、んーどうなのかなー?」

 

ヒデノリの指摘に思わず苦虫を噛んだ顔で、言葉が出なくなってしまった。タダクニと契約しているサーヴァントの中で、ネロ・クラウディウスと呼ばれる少女がいる。

 

本書では男とされているのだが、なぜか金髪のナイスバディの美少女なのである。そこは別に構わないとタダクニは考えている。他にも「男って書かれているじゃん。それに何で美少女⁉︎意味が分からん」とツッコミを入れてしまいたくなるメンバーが多いのである。

 

そこは今は問題ではない。問題なのはその少女の服装なのである。紅派手な色のドレスで綺麗な光沢もされている美しい姿なのだが「透けて」いる、スカートの前面がである。それがタダクニが言葉が詰まる理由。

 

「まぁ、俺もそれについては何とも言えないよ。だってどう言っても男装と言い張る女性にパンツの事指摘できないし、ローマの皇帝さん達って派手な人が多いって事で納得しない?」

 

話題を変えようと、上手く濁しこの場を過ごそうとするが、目の前の馬鹿コンビは全く納得していない。

 

「だとしてもだよ。前にパンツ剥き出して歩く皇帝って何!それもはや皇帝でもなんでも無いだろう」

 

「もはや裸の王様レベルじゃねえか?あんな程度の防御力で耐えるオレ達の気持ちにもなってくれよ」

 

日々内側に溜め込んだ不安を苦しそうに、吐きながら大声で語る。落ち着けとタダクニが静止しすると、息を荒げながら、両手を膝につける二人。

 

「なぁタダクニ、女性陣のスカート拝借できんか?」

 

息が整っていない状態でとんでも発言が飛んできた。「はぁ⁉︎」っと信じられない声で立ち上がる

 

「何言ってる!?出来るわけないだろう!入った瞬間殺されるわ!」

 

彼の言葉は正しい、それもそうだ。恐らく彼が言っているのは仲間のマシュや立香や英霊に名を連ねる女性陣の部屋に突入するという事、はっきり言って無理である。

 

立香の部屋は清姫や頼光などの狂化が普及されているサーヴァントなどの襲撃を防ぐ為に様々な防犯対策を講じているのだ。何重にも重なる重厚な魔術障壁、部屋に入ると鳴る警報と侵入者を逃がさない強制扉。

 

サーヴァントの部屋には魔術に特化した者も多く同じ様な仕掛けや、それよりも魔術式が困難で難しい部屋も多く存在する。でもそれと反対で犯罪予防意識が低いサーヴァントも多いので出来なくはない。

 

それを本気にする馬鹿は少ないと願いたい。とタダクニは呆れながら顔のシワをよせ、ヨシタケの方に顔を向ける。

 

「お前も前みたいに、パンツとか下着とか入手するなんて無理だぞ‥ってヨシタケどこ行った?」

 

そこには椅子に座って雑誌を読んでいる筈の彼の姿はなく残っているのは、途中ページが開いた状態でほったらかしされた雑誌だけ。

 

嫌な予感がタダクニの脳を過ぎる。その予感はすぐに的中する。

 

「あ、ヨシタケなら今部屋出て、「とってくるって」言って走ってたぞ」

 

ヒデノリは親指で今行ったであろうヨシタケの方向に向けた。タダクニは思わず「アイツほんまもんのアホか!?」だとツッコミを入れてしまった。

 

今すぐにでも連れ戻したいが、一度言う事をそう簡単に曲げる男ではない。追いついても静止の言葉は無効化されるであろう。

 

「まぁしばらくしたら戻ってくるだろう。部屋に入るだけでも無理に近いってのにあの馬鹿よくやるよ。出来たらスゲェーけど‥」

 

「ただいま、見つけてきたぞ‥女性陣のスカートパンツ諸々」

 

「戻ってくるのはぇーよ!?というかなんだヨシタケその姿、服ボロボロというかもうただの布切れじゃねえそれ!?というか本当に入手してきたの目的の品。どうやって!?」

 

タダクニが食い気味のヨシタケに驚愕しながら聴く。彼はふらつく足取りでよろよろとまるで屍人の様な遅い足取りでベットに座ると。

 

「お前ら今俺たちが何処のいるかわかるか、此処は魔術と科学が交差する場所だぞ。魔術で設置されているトラップ解除、密室への侵入方法をさりげなくメディアさんに聞いていた!凄く複雑だが覚えていたのさ」

 

「ヨシタケお前そんな知能があったのか?」

 

ふっとかっこつける。そして顎をシャクレさせると

 

「教わったあと、急に聞いてきたことを疑問に思われて「もしかしたら女子の部屋に入るかもって」言ったらぶっとばされた」

 

「やっぱ変わらねぇえなお前!!」

 

巨大な目標を達成する為には、分かりやすい目先の欲が有効である。中学生がエロいサイトを検索したい為にパソコンのタンピングが上手くなったり、彼女を作りたい為にサッカー部に入って練習したり。

 

ヨシタケはその最も分かりやすい理由で、何とも罠だらけの危険な部屋から下着類を手に入れる為に、魔術を勉強していたとは、それをもっと友好的な事に使えばいいのに、尊敬すればいいのか呆れればいいのか分からなくなり、溜息を吐いてしまう。

 

「なぁおい、やっぱりすげーな女性陣の下着はこれ見てくれよ。下着のはずなのに隠すべき所隠せるスペースないぞこれ」

 

ヨシタケの行動に呆れながらも、彼が持ってきた戦利品を見ると恐る恐る真っ赤になった顔で一枚の下着を手に取る。それは普通の下着とは大変異なり、布面積が小さく線は細く気持ちを上々させる様な火山の様に真紅の下着。

 

それを見つけると慌ててテーブルに落とした。自分は何をやっているんだ。こんな事しても後で女性陣にしばき倒される。

 

「よし‥履くかヨシタケ」

 

「おう」

 

徐にテーブルから拾い上げたスカートを装着する為に腰部に近づける。

 

一つは黒色が目立ちそこまで個性がない一般的なスカート、これを掴んだのはヨシタケである。

 

もう一方はスカートというに豪奢な赤色の装飾を中心に黄金の光沢が輝くデザイン。そしてこのスカートには恐るべき特徴がある本来隠すべき女性のパンツが前面に直視できるスペースがある。これを掴むのはヒデノリである。

 

このスカートを普段装着している本人を知るタダクニは慌てて二人の腕を掴み。子を制止する様に大きな声で引き戻す。

 

「履くなよお前ら!充分だろ女性の下着見られただけでこれ以上罪を重ねるな!」

 

「何を言っているんですか?タダクニ君。俺達がただ借りるだけで満足する訳がないだろう。何を臆しているんだ!」

 

「ふん!タダクニ大丈夫だ。抜かりはない、今回も等価交換してきた」

 

「いや別にそれは心配してねぇけど、というかまさかお前また今回‥も」

 

等価交換!この言葉にさらに冷や汗を流す。ヨシタケのこの発言は前にタダクニの妹の下着を借りる時の発言で、何故か自分のパンツを妹のタンスに入れる。それで等価交換が成立したと納得している。

 

だがタダクニが冷や汗を流したの理由は其処ではない。

 

タダクニはチラッリとヨシタケが持ってきた下着をもう一度見る。そこには50枚を超えるブラジャーやパンツ類スカートが置いてある。そこで一つ「疑問」が生まれる。ヨシタケの下着量はそこまで多くない。

 

彼が長期に渡る滞在と知った時。「あんまり持ってきてないんだよな」と小言を言っていた。自分の流儀を曲げる男ではない。寧ろ曲げて欲しいと思っているタダクニは次に開く彼の口が開かない様に祈ったが、

 

「俺たち全員分の下着を全ての女性陣のタンスに入れた」

 

「お前まじふざけるなよ!!?まじで冗談だろ!?」

 

「大丈夫だ、安心しろ。タダクニはマシュのタンスにしか入れていない」

 

「まったくできないだろうが!安心する点がまったく見当たらない!」

 

「お前愛用パンツを、入れておいた!これで一安心だな」

 

何故こいつがそんな情報を知っているのか知らんが、額から冷や汗が流れてくる。

 

満点の笑顔でグッドサインをするヨシタケに殺意を抱き、大慌てで自分の下着類が入っているカバンに駆け寄りゴソゴソと探し始める。

 

暫くすると、ふっと手を止め右手で額に手を添える。

プルプルと震え、涙目になってくる。

 

あぁ‥‥うん‥‥駄目だこれ。

 

「一安心‥じゃあねえよ。そんな事してみろ勘違いされた挙句に、嫌われて目を合わしてくれなくなるだろが!?」

 

「よし履くか」

 

「おう」

 

「人の話を聞けぇ!」

 

悲しい訴えを無視し二人は、本格的に履こうとスカートの両側を掴み足を中に入れようとするが、ヨシタケが「あ!」と何かに気付くと顔を赤らめる。

 

「保湿クリーム付けるべきかな!」

 

「知らねえよ!」

 

「馬鹿野郎!がさがさの肌だからいいんじゃねえぇか!」

 

「何処がいいの⁉︎」

 

二人はその反対の意見が食い違い、額に青筋を浮かべ、突組み合いの喧嘩が始まった。慌ててタダクニが仲裁に入り二人を宥めようとする。

 

ぶっちゃけこのまま喧嘩になればその隙に下着類を返却出来るチャンスが出来るが、タダクニにそんな勇気はない。まずはこのバカ二人の説得を試みるつもりだ。

 

「もういいから!お前らさっさと着て、さっさと返してこいや馬鹿ども!」

 

「お前そんなに着てもらいたいのか、この変態マスター!」

 

「歴史の英雄を性的に見るには飽き足らずそんな下衆を、タダクニヤメロォー!」

 

「ツッコミ辞めテェー!」

 

それからしばらく経ち、落ち着いた三人はお互いに手に女性陣のスカートを持ち。タダクニが顔を赤らめながら、ほかの二人にまだ少し怒り気味の声で確認をとる。

 

「確認するぞ。一緒に着れば、あそこの下着類全部返すんだろうな?」

 

二人に疑い気味に聞く。あの後二人にこれ以降の犯罪をさせない為に交渉をした。がんとして下着を着用する事を覚悟する二人はタダクニの交渉もうまくいかず、二人に着用は防げないと分かり。

 

女性陣の下着を着るための条件を提示した。

 

自分も女性のスカートを着る。お互い満足したら即返却。二人は仕方ないと渋々といったそれを了承した。

 

でも、タダクニは訝しげな目で交互に二人を見る。前科がある二人を心の底から信用できない為に疑っている。

 

「一応確認するけど、‥‥お前らも着るんだよな?」

 

「当たり前だろー。何疑ってるのフェイントかけると思っているのか、嫌だなぁータダクニ君、僕達が毎回同じ事するはずないじゃん」

 

「同じネタやったって読者は喜ばねぇ、安心しろってタダクニ君。お前は一人じゃねえ」

 

分かったと了承した。タダクニはそれぞれ着替え場へと移動する。

 

この場で着替えた方が早いのだが、「それはシチュエーション的にどうなのと」ヒデノリに言われめんどくさいがお互いが見えない場所で着替える事になった。

 

でも部屋にはベッドと簡単なシャワールームとトイレがある、一人が入るのがちょうど良いサイズであるため結果的に二人しか着替えられない。

 

中で着替える事が出来るのだが、シャワールームだと多少なりとも透けるのであるので結果的に二つしか室内で着替えが出来るスペースしか無い。

 

そのため一人が外で着替える事になったのだが、正直それは1番避けたいタダクニは思うだって1番リスクがある。通り見られたら一発でアウトである。

 

でも二人がしてくれと懇願するタダクニはそそくさとスカートを手に取り素早く着替えようと外に出た。

 

部屋を出る際にもう一度二人を見る。片方が黒いスカートを持ちシャワールームに消えていくこれはヨシタケ、もう片方はタダクニが部屋を出る事とシャワールームに入り切る。

 

「おい‥お前ら着たか?」

 

扉の前にいるタダクニが聞く。スカートを着ている為か足が寒い。早く中に入らないと誰かにこの姿を目撃される危険性がある。

 

それにカルデアは廊下にも暖房が整備されてはいるが、電力消費を削減する為に通路の寒さはそこそこある。

 

「あぁ‥‥OKだやっぱ寒いなこれ」

 

「まぁこれはこれでいいかも知れねぇな」

 

二人の震える声を聞いたタダクニは、二人とも約束を守ってくれたのだと思った。まぁ同じネタを繰り返す連中ではないだろう。

 

謎の安心感で安堵のため息を吐く。

 

恥ずかしそうに扉を開ける。顔を下に下げた状態をやめ残り二人の格好を見る

 

ズボンを脱いだ状態で佇んでいる「馬鹿」達がいた。着用しているであろうスカートは畳んで置いてあり、着た形跡は見受けられなかった。

 

タダクニは無言で佇み、思考を静止する。そして腕を上げマグナムの銃口を向ける様に、構えるとスゥーと息を吸い込み、

 

「死ねぇぇぇぇぇ!カスどもぉぉぉ!」

 

指に先端から簡易な呪いを連射しながら、心の中の怒りを変化して、怒りの形相で標的に撃ち続ける。標的にされた青年達は慌ててそれを避ける。

 

ガンドと言われる魔術で指先から呪いを打つ事ができ、これを撃たれた者は何日か風邪の様な症状に襲われるのである。

 

「ぎゃぁぁぁぁ!タダクニ君落ち着いて、落ち着いてその手を下げるんだ。アームダウンダウン!」

 

「頼むからガンドはやめてくれ、まじでそれやばいからやめて、っていうかタダクニもノリノリで着ていたじゃねぇか!」

 

「もう!もういいから部屋戻れよ…薄情者共!」

 

膝から崩れ落ちていく。今の自分の姿に不甲斐なさと恥心が溢れてくる。目元からは冷たい滴が流れ落ちてくる。そんな彼の様子を周りでグルリと見る二人は、「おぉ」と感心した声が出る。

 

「しっかし、お前やっぱり似合うのなぁおい」

 

「マジですごいよ。これはいや変な意味は全くねえけど」

 

感心した感想で思わず。「えぇ?」と振り返るタダクニ、満更ではないようで褒められるには悪くはないようだ。

 

「いや、流石にそれはないだろう。冗談でもそういうのは嫌だから」

 

「いやまじで似合うって、イケてるってガチでこれで食っていけるよお前」

 

「いやでもさぁ、うちにはアストルフォとかデオンとかいるじゃんあいつらに比べると‥‥オレ敵わねえよ」

 

性別が男性の筈なのに、普通の女より整った美貌とプロモーションを持つサーヴァントを思い浮かべる。彼等が女装している所を観て、思わず顔を赤らめてしまう男性も少なく無いだろう。

 

ヒデノリは「うーん?」と首を傾げた。違う感想を抱いている

 

「いやあいつらは、似合うのは必然じゃん。美形だし、可愛いし普通の人間じゃ勝てねよ。けど「意外性」が無いような気がする」

 

「意外性?」

 

「あいつらの事を悪く言うつもりはないんだが、あいつらが女装しても、公式キャラだから驚きが薄いしスカートを履いても、ブラをつけても「可愛い」って言われて、「驚き」はない。だがぁ!タダクニお前は違う」

 

ガッと顔を急接近させる。強張った顔で告げる。

 

「意外性はある!いやそれしかないだ。タダクニ」

 

「俺達は確信しているんだ。お前なら第2の性別を建築できる。だから自信を持てよタダクニ」

 

二人の高評価に、少し戸惑うタダクニでも悪い気分ではない。寧ろ何か超えてはいけない壁を越えそうになる。

 

「そんなお前の為にこれを持ってきた‥‥」

 

「ちょっと待て、それマシュのメガネとブレザーじゃねぇか⁉︎」

 

ヒデノリが取り出したのは、黒いメガネと灰色のブレザーだった。これは彼等の事を先輩と慕う少女の衣服である。

 

「安心しろ。これも等価交換だ、代わりに俺のブレザーと眼鏡を置いてきた‥だから早くこれを掛けて、着ろタダクニ‼︎」

 

「ってヒデノリどこ見て言ってるんだよ。それはタンスだ。お前何も見えてないだろう」

 

見当違いの方向に衣服を差し出すヒデノリにツッコミを繰り出した。「あっそうか!」と気付くと再び彼はタダクニに差し出した。

 

それ恐る恐る受け取るタダクニ。その衣服を持ってみると一気に心臓の鼓動が速くなるのを感じる。

 

女子のスカートを着るだけでも、色々と覚悟がいるが更にもう一つつける事になるなんて。

 

「さぁタダクニそれを掛けるんだ。それもこっちを見上げる様に」

 

ヒデノリのリクエストに、タダクニは答える。何故自分でもこんなにすんなり受け入れるのだろうと内心自分という男に呆れるが、姿勢を下げると眼鏡を装着した。

 

そして顔を赤らめながら、彼等を見上げる。ちょっと照れ臭そうな仕草を取ると、スカートを着ている為か、少し女の子に思えないくもないほど似合うのである

 

「いいぞ!タダクニお前今輝いているよ。それは確信できるぞ。越えられるぞアストルフォをデオンを」

 

「つぅーか毎回思うけどお前の男性ホルモン異常じゃないのか?よし次行ってみるかどうだタダクニ」

 

二人の青年のガチの反応に何故か答えたい衝動に駆られる。タダクニも悪ノリしてみようかと思ってしまった。此処で彼は辞めるという選択も出来たであろう。

 

でも彼は止まれない。自分を信じてくれるアホの為に

 

「クッキー貰いすぎてしまいましたね。立花先輩」

 

「うん。エミヤ、マリーと清姫達と一緒にお料理教室開いているんなんてね。凄いね」

 

カルデアの廊下を両手に香ばしい香りのクッキーが入ったバスケットを両手で持つ。オレンジ髪のカルデアの制服を着ている少女と、薄紫髪の少女が歩いていた。

 

「エミヤを見ているとさ、私女子力の痛感させられるね。私これでも料理とか出来る方なのになぁ」

 

エミヤとはこのカルデアの食堂を任されている。白い髪の赤いマントをつけるサーヴァントで女子力の高さでも戦闘での活躍も悪くない男である。

 

家事力は他の唯一を許さない。毎日カルデアの献立を管理して、他のサーヴァントや職員達の栄養バランスと活力を上げるメニューを立てる天才である。

 

他の事でも大抵上手くこなせる彼に思わず、劣等感を抱いてしまう。

 

「大丈夫ですよ。先輩自分を低く見ないで下さい私は先輩はとても凄い人だと思っていますし、戦闘でも的確な指示で感謝してます」

 

「いや、それ女子力全く関係ないよ‥‥」

 

紫髪の少女はにっこりと笑い彼女のサポートに笑う。待っていたアドバイスとは違う事に思わずずっこけそうになる立香。

 

そしてふと自分達の手元のビスケットの山を見るとこれをどうしようかと考える。実は二人はエミヤのクッキーを食堂で大体食べさせてもらって、お腹がいっぱいなのである。

 

「それにしてもこれどうしよう。一生懸命に作りましたよって、清姫とマリーが渡してくれたけど、マシュまだ食べれる」

 

「いえ、二人にご好意は嬉しいのですがもう流石に食堂で大体味見させてもらったので、これ以上は流石に‥‥」

 

甘い物は別腹と言っても流石に、無理なものは無理なので二人は困っていた。清姫の満面なスマイルとマリーの可憐な笑顔の想いを無下に出来ず是非っと貰ってしまった。

 

そうだっとマシュが何かを思い付いた。

 

「なら、タダクニ先輩達に少し差し上げるのはどうでしょう。皆さん今日はタダクニ先輩の部屋で遊んでいると言っていましたし」

 

「え、まぁ良いと思うけど。マシュは余りあのバカトリオの部屋には連れて行きたくないっというか」

 

「何を言っているんですか?タダクニ先輩の部屋に行くと毎回色んな方法でもてなしてくれるというか、とても楽しいですよ。ドラクエやファイナルファンタジーごっこなんて今までやった事が無いのでとても新鮮で」

 

「マシュ、いい加減あのごっこは小学生レベルの遊びって気づいて‥お願い」

 

マシュはタダクニ達のしょうもない遊びを純粋に楽しんでいる。それが哀れで思わず苦笑いしてしまう。立香自身は彼等が嫌いでは無い寧ろ仲間としてはかなり信頼している。

 

同じ時期にマスター候補生として半ば強制的に此処に連れてこられてお互いに成り行きで、マスターとして戦う事になってお互い支え合い、たった一人の女性候補生の自分をいつでも助けてくれた。

 

でも時折3人が作るしょうもない小芝居や遊びは馬鹿馬鹿しくて時折、「男子高校生って大体こんな馬鹿のかと」呆れてしまう。一部のサーヴァントもノリノリで参加するので、途切れる事がない。

 

「まぁ、いいか。たまにはあのバカトリオに感謝してみるのもいいかも。よし、そうと解れば早く行こう、暖かいうちに届けてあげよう」

 

「はい」

 

そう決めると二人は3人がいるであろう部屋を目指して歩いた。時折すれ違うサーヴァント達に挨拶していくと5分程でタダクニっと描かれている名札が掛けられている部屋が見えてきた。

 

「タダクニ‥‥もう少し‥‥恥ずか‥‥様にこう」

 

「よしタダクニいいぞ‥‥よいよ第四フェイズだ!さあ」

 

「えぇ‥‥流石にこれは‥‥恥ずかしっていうか‥‥申し訳‥‥って」

 

近くに行くと聞き慣れた声が聞こえてくる。どうやら全員部屋にいるようだ。何やらガヤガヤと話しているが、気にせず道を進む。

 

二人で部屋の前まで来ると、2回ほどノックをする。そして部屋のボタンを押す

 

「おーい、バカトリオ君達。今日はいっぱいクッキーもらちゃったから差し入れに‥‥」

 

二人は扉の先の光景を見て一度思考を停止した。何故なら大変おかしいものが見えたから。

 

ヨシタケとヒデノリがノリノリで上半身裸のタダクニにブラを付けていた。それを嫌がらずに、フックを繋ごうと背中に腕回すタダクニ。

 

そして一番可笑しいのは、マシュの眼鏡を装着している事である。後部屋に設置しているテーブルの上には、大量の下着類がずらっと山盛りに置いてあった。

 

もう色々とツッコミべき部分があるが余りの状況に思考が追いつかない

 

「「「ギャぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」

 

部屋に馬鹿どももいきなりの乱入者に思わず、叫び声を上げてしまった。

 

「あの‥‥そのこれは‥‥誤解なんだ。これはそのドッキリというか、実験というか‥‥」

 

タダクニは慌ててこの状況を誤魔化そうとするが、立香の後ろのマシュに視線を向ける。彼女なら理解してくれるのではと思ったが、

 

「先輩‥‥見損ないました」

 

「う‥‥‥あぁ‥‥」

 

完全に引いていた。顔を引き攣らせていつもの癒しオーラが皆無で人を見下した顔だった。癒しで好評の彼女は目が笑っておらず顔は歪んでいないがただ静かに見下している。

 

その余りの様子でいるマシュの姿に思わずその場に足を曲げその場に崩れ落ちる。

 

立花は手に持っているビスケットのバスケっトを床に置くとゆっくりと前に歩き出した。いつもの優しげな雰囲気がマシュと同様に感じない。

 

「二人とも‥‥どうしたの‥‥続ければ‥‥女装」

 

平然としているが確実に正確な「殺気」を感じる二人は冷や汗を流しながら後ずさる。

 

「あの‥‥その‥‥ふざけてしまいまして」

 

「ホント‥‥すみませんでしたぁぁぁぁ!」

 

その場で土下座をかました。このままだと3人とも殺される勢いの殺気にすぐ様服従姿勢で謝罪をかました。

 

その後二人が盗んだ下着類は全て返却されて、ブーディカなどのお姉さん枠サーヴァント達に5時間に及ぶ説教をされた。

 

その後一週間の間、話しかけてもマシュに無視されて、心体的なダメージを負ったタダクニはしばらく落ち込んだという。

 

 

 

 

 




何とも書くのって大変やな。表情とかの変化もまだまだ下手くそですね(笑)
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