「この前さ、食堂でさぁ」
立っていた眼青年、事ヒデノリは眼鏡クイッと持ち上げ口を開いた。
緊張感で流れる手汗に気持ち悪さを感じながら、UNOに興じていた1人が此方に振り向いた。
「…フォウ?」
最初は5人でやっていたのだが、途中で早くに勝ったヒデノリは、持ってきた雑誌を見ていた。
スヤスヤと寝ていたフォウが起き上がり肩に座ってくる。獣特有のぬいぐるみの様な柔らかい毛を肌に感じながら、気にせずに続けていく。
一年ほどの付き合いだが、フォウの毛の一本一本が肌に吸い付き癒しオーラで日々の疲れを癒してくれている、何故か自分に特に懐く謎の特権生物に日々癒やされている。
今の成績は、タダクニが4枚、マシュが3枚、立香が2枚、最後のヨシタケは毎度の事で8枚と最下位である。
「いきなりどうしたの?」
UNOと言い終えた彼女は真ん中のカードの山から一枚持ってくる、特に苦戦せずに捨てていく。
「この前腹減って食堂で、飯食おうとしてた。何人か挨拶して食券機の前まで行って、入り口のメニューでaランチのボタンを押して、行ったんだ」
回想に出てくる彼はさして何も考えず。生物の生きる過程に起きる「空腹」を満たす為食堂の入り口に立つ。
「それで」
「っで配膳しているエミヤ達を見つけて並ぼうとしたんだけど、いきなり此方を見る視線を感じた。それはもう恨みや暗い何かを感じる程のな。視線の方を見てみると、キュケーがいて鍋持ってるんだけど、誰も並んでいないのよ」
「「「「‥‥‥」」」」
何も言えなくなるだってそうだ。彼女の前を率先して並ぼうなどという愚か者はこのカルデアにはいないのだ。
少しでも気を許して一口、口に含めばどんな厄災が降りかかるか全員理解していた。
「俺は既に、券買ってたから今更返却も出来ないし、申し訳ない気持ちのまま並ぼうとしたのよ。でも彼女はずっとこっちを見ているのよ」
今すぐ彼女に救いの手を伸ばす事も可能だ。
でもその偽善行為は危険と隣り合わせ、見てみぬふりをしてそのまま買った券でメニューを楽しむか、それとも男の矜持を持って美女に救いに応じ、自分を獣の姿に変えるか。
ヒデノリ顔を引きずってメガネをクイっとあげる。女子の救援を求める視線を自分は拒絶してしまった。
攻めようがない。だってそうだ。彼はもう既に自分で食べる物を選択している。メニューを変えてくれと懇願した視線を向けても無駄だ。
「すぐ、その場を離れて、受け取り場所から死角になっている席に座ったんだ。背後にある視線が途絶えた事を感じいて、胸を下ろしたんだ。」
ようやく俺という、救援者になりうる人物を除外したんだ。諦めてくれたんだときっと、食べてくれる人に会えるんだ。
っと何処からくるか分からない安心感。
周りの席の喧騒を横目に飯に手を付けようと、フォークを手に取った。でもふいに地面に落とした。
さっきの緊張が緩んだせいなのかと、自分の小心な心臓に呆れながら、すぐ様スプーンを拾おうとして、テーブルの下に屈むと見てしまった。
「いたんだ‥‥悲しそうな表情をしながら大量に残っている鍋を、持ちながら‥‥泣いていたんだキュケーが‥」
「怖い話をするなぁぁ!」
「頼む、辞めてぇ夜眠れなくなる!」
「やっぱり怖いよなこの話」
その余りの恐怖にその場にいたものが飛び上がってしまう。結局その後はどうなったんだと一同は気になったが、それを聞いたら更に眠れなくなりそうなので、聞かないことにした。
「俺がこの前体験した怖い話はなぁ」
今度はヨシタケが立ち上がった。
「いや、怖い話大会開催する気はないんだけど」
「皆んな知っての通り、俺は足の爪先から毛が、ゴワゴワ生えているのが悩みなんだ」
「女子の前で、デリカシーのない事言うんだよ。っていうか初めて知ったは」
ヨシタケの話はこうだ。共同の風呂場で体を洗っていると、隣の洗面台に誰かが落とした髭剃りがあった。
「一本、一本抜いても三日で生えてくる。そんな時風呂場で誰かが残した髭剃りがあってな、そうだこれで一期の剃ってしまうおう、使ったんだよ」
何の変哲もない唯の髭剃りしかし、何か不気味なオーラが放たれている。誰かが魔術を施して毛を処理したのか、それなら毛が生えない様な仕掛けがあるのか。
正直恐怖はあったけど、足の毛が気になる。勇気を持って足の毛が生えている位置に一気に沿った。
「ザクッと、こうなった」
そこには傷を隠すように包帯が巻かれていた。傷口であろう場所から変なオーラが流れている、生臭い魚の様な匂いも、垂れ流しだ。
「フォウゥゥ!」
「「キャぁぁぁぁ⁉︎」」
「ギャぁぁぁぁ⁉︎」
「痛い、痛い!あっとくっさ」
「ちょっと待てそれ、怖い話じゃなくて、痛い臭い話だろうが」
「どうやら切れ味強化と毛根の切断を目的と作ったらしいけど、なんかミスって魚みたいな匂いと、尋常じゃない痛みが発生するらしい」
「いいから、ナイチンゲールさんに見てもらえ、ついでに頭も見てもらえ、馬鹿!」
デリカシーのない彼の行動にその場の全員が引いていた。それを理解した彼は傷跡を靴下を履いて隠した。
「そんな事言ったら、頭ごと改造手術されそうじゃない?次は俺が体験した話でさぁ、別に怖い話じゃなんだけど、小太郎いるじゃんあいつ、前髪で目隠してるんじゃない」
3人目の体験談は部屋の主のタダクニだ。
「霊装再臨しても、モーションもなくてさぁ偶々なんだけど、アイツが偶然髪上げてるとこ見ちゃってさぁ‥‥‥すっごく意外だった」
廊下で歩いていると、物陰でコソコソしている人物が目の前に現れた。忍び衣装に身を包んでいる彼と目線が合わさり、目を開けて驚く。
「何だよ!その言い方」
「何を見たの?」
「いや此れに関しては言えねぇよ。本人も気にして隠してるわけだしな」
勿体ぶって渋る彼に、ツッコミをしながら3人は立ち上がった。普段は唯一の女性マスターであり三馬鹿の舵取り的立場の彼女も気になって話に参加する立香。
「いやそんな!」
「あいつ呼んで、全員で上げてやる!」
「大丈夫さっき令呪で来る様に、ってお願いしたから」
「「ナイス!」」
3人の妙な行動力に呆れながら、慌てて止めようとするが、三馬鹿2人と部屋の前に飛び出していく。
「いや、お前らだけじゃ無理だからなそれ」
部屋の前の扉が開かれるとターゲットの小太郎が、胸元を大きく露出しているポニーテールの着物美人と既に臨戦体制に入っている。
「武蔵ちゃぁぁぁぁん!」
「話を聞いていたんだな!もう戦いはじめて嫌がる」
美少年、少女好きの彼女だ。話に参加するのは必然的だ。
「よぉ〜し私達も行くよ!」
「「おう」」
「急命と聞いて駆けつけたというののなんですか。この仕打ちは」
「うるせえー」
「前髪上げろやぁー」
「お姉ちゃんにお顔を見せて」
小太郎はいち早くその場から走って逃走する。武蔵を先頭に後3人もそれに追随し、追跡戦が始まった。
「小太郎さん大丈夫でしょうか?先輩達に捕まらないですよね」
素直に心配するマシュは過ぎ去っていった喧騒の只中にいる小太郎を純粋に心配している。いつの間にか彼女の肩に乗ったフォウは、興味なく小さな欠伸をしている。
その横には申し訳なさそうに、顔をしぼめる男がいた。
「‥どうしよう。今更冗談なんて言えないな」
「どうしましたタダクニ先輩?お顔が優れませんが?」
「いやなんでもないよ。ホント、マジで」
「ん?」っと頭にはてなマークを浮かべている彼女とともに自分の冗談の犠牲になった1人の青年に軽く、心の中で謝罪しながら黙ってしまう。
なんとか持続して投稿できてる。次回は女性陣達が下着を盗まれる話です。友情を重んじるアホな男が覚醒して命をはります。面白くなければ誹謗中傷なんでも言って下さい。改善する為に努力します