鈴木悟の職場の先輩が、ユグドラシルのサービス最終日に新規ユーザー登録しました   作:挫梛道

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原作キャラ&新キャラ登場。
しかし今回は顔見せ程度。
ストーリー自体は読み飛ばしOKレベルで、全然 進みません(笑)。
 


バハルス帝国の皇帝

「クス…

それでタナカ様、如何でしたか?

()()()()()()は?」

「マジメ。カタブツ。学級委員長。」

「あら?まぁ?」

 

◆タナカside◆

ナザリック第9階層の一室。

階層…で無く、とある領域守護者の私室で、彼女の淹れた御茶を啜りながらの会話。

彼女と その ペット 旦那は、元は俺と同じく、ナザリックの外の者。

しかも、俺みたいなプレイヤーで無く、この世界の現地人、元・人間だ。

詳細は知らないが昔々、魔導王(すずき)に忠誠を誓う証として人の身を棄て、ユグドラシルの『種族変更アイテム』とやらで小悪魔(インプ)となった2人。

しかし、その効果範囲は当人一代だけの物だったらしく、この2人の間に生まれた子供は元の種族…普通の人間だった。

そして この子供は成人する迄、エ・ランテルで普通の人間に扮した両親に普通の人間として育てられる。

それから約200年が経つ中で、その血筋は魔導国…いや世界最強の冒険者と呼ばれる者を産んでいた。

会話の内容は、俺が先日、その最強冒険者君と一緒に行動した事についてだ。

 

「その、ガッキュウイーンチョウと言う言葉は初めて聞きますが、何となく…そうですね、必要以上に責任感と正義感を背負って行動する、リーダー気質な者。

そんなイメージが浮かびます。

少し皮肉も込められている様に感じられますが、誉め言葉と思っても、良いのですよね?」

正解。凄いね、この娘さん。

全く予備知識の無い単語な筈なのに、其処まで見事に分析予測するなんて。

流石は鈴木は兎も角、アルベドやデミっちから有能とかキレ者とかと認められ、外からナザリック入りしているだけは有るな?

 

「しかも、誰かに師事する事無く我流の鍛練だけで、貴方が書き残した"秘伝書"に記された最上級の武技を再現するなんて…

流石は私達の…貴方の子孫です。

そうは思いませんか?クライム?」

 

 

◆タナカside・了◆

 

▼▼▼

数日後。

魔導国に隣接し、魔導国に次ぐ国威を誇るバハルス帝国。

その当代の皇帝は宮殿での執務の途中、その部屋に飛び込んで来た文官の報告を聞き、この上無く驚いた。

内容は、帝都の酒場での冒険者が起こした喧嘩騒ぎ。

酔っ払ったミスリル級冒険者が、銅級(カッパー)の冒険者に絡んだのが発端の騒ぎらしい。

普通ならは態々、皇帝に急ぎで報せる事の無い事だ。

しかし、その銅級(カッパー)冒険者がミスリル級冒険者だけで無く、偶々その場に居合わせて乱闘を止めに入った…この日は非番であった帝国騎士を、一緒に倒してしまったと言うのだ。

そして その、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は現在、抵抗する事も無く、帝国騎士詰所で大人しくしている…らしい。

バハルス皇帝テルトヴォーザ・バーン・ブラフォード・エル=ニクスは、これを只の喧嘩だと考えなかった。

何しろ普段は自身の護衛を勤めている、帝国騎士の中でも最強と呼ばれる4人の内の1人が、一介の冒険者に倒されたと言うのだ。

普通に考えられる話では無い。

魔導国の冒険者で それを可能と出来る者としては、最強冒険者として名高いアダマンタイト級、クライド・ヴァイセルフが思い浮かぶ。

確かに あのアダマンタイト級冒険者ならば それを為すかも知れぬが、自分が聞き知る限りでは彼の者は、今回の様な騒ぎを起こす様な人物では無い。

ならば1つ。彼は1つの仮説を思い付く。

可能性としては決して高い物では無いが、それでも それが思い浮かんでしまったからには、放置も出来ない。

自ら それを確認した上で『取り越し苦労だった』と、安堵の息を溢す事が出来れば それで良い。

そう考えた彼は、今現在残っている仕事を全て補佐官達に押し付けると、護衛として騎士を1人連れ、件の人物が居るという騎士の詰所へと馬車を走らせるのだった。

 

≫≫≫

「ガハハハハ!

あんた、中々に強いな!あんた、本当に銅級(カッパー)かよ?」

「今日で冒険者歴、まだ2週間だからな。

大した実績も無い。」

「………………………………………。」

「…って、陛下?

どうしたんですか、こんな所に。

何か、緊急の事態でも起ったんですかい?」

「…今 正に、私の目の前で起こっているよ。」

そして いざ詰所に到着。

すると其処の仮牢…で無く、騎士控室で、よく知っている大柄な金髪男が見知らぬ長身・黒髪の男と談笑していた。

 

「トーレス…その男に、倒されたそうだな?」

「はーっはっは! しかも瞬殺ですよ!

いや、面目無い!」

テルトヴォーザが声を掛けると、決して笑えない話を豪快に笑いながら話す、帝国騎士"偉角"トーレス・オロ。

 

「ふん。それは、今は どうでも良い。

それより、その貴様を倒したという 其方の御人と少し、話がしたい。」

しかし それは何時もの態度だとして流す皇帝は、その場に居た一般騎士達を退室させると、この冒険者らしい男に話し掛けた。

 

「私はバハルス帝国皇帝、テルトヴォーザ・バーン・ブラフォード・エル=ニクスだ。

…貴公の名は?」

「セージ・タナカ。

アインズ・ウール・ゴウン魔導国の冒険者だ。」

「…??!」

 

バサァ…ッ?

 

「はっ?!」

反射的に、両手で自分の頭を押さえるテルトヴォーザ。

その名を聞いた時、このバハルス皇帝は頭から()()()()()() ()()()()()()が、大量に抜け落ちるかの錯覚を感じるのだった。

 

ガバァッ!

 

「この度は我が国の民が、誠に申し訳無い!」

「「へ、陛下あ?!」」

そして即座、タナカを名乗る男に土下座謝罪する、スキンヘッドの皇帝。

その様子にトーレス、そしてテルトヴォーザが連れてきた もう1人の直属騎士は驚きを隠せないが、当のテルトヴォーザからすれば、其れ処では無い。

セージ・タナカ…その名は少し前、アインズ・ウール・ゴウン魔導王から報された、新たにナザリックの一員となったという魔導王と同郷の者。

偶々の同名?

いや、こんな珍しい名が そう何人も居てたまるか。

しかも、帝国最強騎士を瞬時に倒す程の人物だ。

もう間違い無いだろう。

自分の浮かべた仮説(悪い予感)が的中。

兎も角 彼からすれば、帝国の民がナザリック関係者に無礼を働いた事への謝罪を最優先とした行動だった。

 

「はぁ~、何という事だ…」

そして彼は、落胆の溜め息を吐くのだった。

  

▼▼▼

 

◆テルトヴォーザside◆

「ぅあっちゃ…俺って そんな御方に、無礼してたんですかい?」

タナカ殿の素性を知るも、あっけらかんと話すトーレス。

本当にマイペースな男だな!

下手をすれは その首、私の首と一緒に飛んでいたやも知れぬのだぞ!?

いや、それで済むなら安い。

最悪、この帝国が滅んでいたかも知れないのだぞ?!

 

「いや、皇帝殿。

あの程度、本当に気にしてないから。

絡んできた連中は皆、返り討ちにしたし。

それに俺は、織田信長や董卓仲穎、ネロやスターリン、プー●ンに習●平、金●恩じゃないんだぜ?

あれで あんた達をどうこうする心算は無いさ。

寧ろ、あれだけ暴れて お咎め無しなのを感謝している位だ。」

知らない名前ばかりなのだが、恐らくは自身の故郷にて悪名高き暴君なのであろう人物を並べ、『自分は違うから』と畏まらない様に諭すタナカ殿。

タナカ殿が狭量な人物で無く…件の騒ぎの事も、全く気にしている様子が無いのは、本当に幸いだった。

当然 魔導王陛下の関係者であるタナカ殿に、騒ぎを起こしたからとて、咎を降す訳には往かぬ。

しかし その分…乱闘の切っ掛けを作ったという冒険者(バカ)共…

貴様等には この私の胃と頭皮にストレスを与えた報いをきっちりと、清算して貰うから覚悟しておけ。

ついでにトーレス、お前も減給だ!

 

≫≫≫

「へ…陛下ぁ…」

「お帰り…なさいま…s…」

「ぁ…うん…ただいま…。」

宮殿の執務室に戻ると、其処には私に仕事を丸投げされた、宰相や補佐官達が ぐったり死屍累々。

ん~、お前達には済まぬ事をした。

残りの仕事は全て私が片付けるから、今日は もう、帰っても良いぞ?

いや、本当に お疲れさん。

 

「ほっほっほ…

それは正に災難…いや、幸いでしたな、陛下。」

そして今、この執務室には もう1人。

帝国宮廷主席魔術師のフールーダ・パラダインだ。

 

「…して、実際に御会いして、タナカ殿とは如何なる人物でしたかな?」

私が あの人物と遭ったと聞き、その感想を聞いてきたが…

ふん。魔導国からの一番最初の報せを受けた時、タナカ殿が魔法詠唱者(マジック・キャスター)で無く武闘家と知った時に、既に欠片も興味が失せていた癖に よく言うわ、この魔法ヲタの妖怪が。

 

「そうだな。

魔導王殿を含む、あの人外達と誰とも異なるタイプだ。」

強いて言うなら、人間(われわれ)に近い。

しかし それも、強者の余裕と思っておくべきだな。

いざとならば あの魔導王(アンデッド)の言葉1つで、平気な顔で大量の殺戮を行うのだろう。

油断も安心も出来ない。

あの後、宴をと誘ったが、『今回はナザリックの遣いとしての視察とかで無く、本当に1人の冒険者として私用(プライベート)で来ただけだから』と それを断り何処ぞと消えたが、その公私のon/offの区別が、余計に畏怖を与えてくれる。

もしかすれば、あの魔導王よりも厄介な存在やも知れぬ。

 

バタンッ!

 

「失礼します、テルトヴォーザ様っ!」

「ど、どうした?!」

そんな事を考えていたら、いきなりノック無しに扉が開き、先程 私の護衛として騎士詰所に出向いていた騎士、"凍土"ツェーン・デレデスが慌てた様子で入ってきた。

 

「そ…それが…あのタナカ殿が…」

聞けば またもや、街のチンピラ数人と乱闘騒ぎを起こしてくれたらしい。

そして何故か、何時 知り合ったかは知らぬが"友人"である帝国格闘王者のトロールも、それに加わっていたとか。

 

ボヮサァッ…?

 

「はっ…?!」

ま、まただ…

また髪の毛が根元から大量に抜け落ちる感覚…

そも私には生まれた時から頭髪など無いのに、何故その感覚を知っているのだ?

皇帝家は数代前から、何故か()()が血筋となり、祖父の代で完全に()()の血筋に…

父や私も然りである。

いや、内婚を繰り返した果てに、異様に顎がしゃくれた血筋になったと伝承に有る、何処ぞの遥か昔に滅亡した王家よりかは、まだマシなのだが。

…と、今は そんな事を考えている場合では無い。

今迄も帝国内で愚か者が如何なるトラブルを起こしても、こんなにストレスを感じる事は無かった。

今日2回、この様な感覚を受けた共通点はタナカ殿…いや、魔導国関係者絡みの事柄。

これは偶然なのか?

…まさか、帝国皇家が薄毛の血筋となったのは、魔導国と何か関係してるのか?

 

「ふぉふぉふぉ…

あの国の方々に関しては、全てを諦め全てを受け入れるしか無いですぞ?

それが あの御方達を前にして、帝国が存続する唯一の道なのですから。」

…流石に私が今、頭髪について思案しているのは悟られなかった様だが、魔導国について考えていると思った爺が、微笑みながら話し掛けてきた。

 

「それは解っているさ。

遥か前の皇帝…今の帝国の礎を築いたと云われる"鮮血帝"とやらが、あの魔導王陛下に その膝を着いたという時からな。

法国の様な、虎の尾を踏む心算は無いさ。」

「流石は解ってらっしゃる!

しかし安心なされい、これは恥でも逃げでも有りませぬぞ!

あの魔導王陛下が、特別に偉大過ぎるだけなのですから!

あの御方に敵対しない限り、帝国は永遠に安泰なのですよ。

間違っても愚かな真似は、なさらないように…私の可愛いテル~!」

…………………!?

えぇい、気持ち悪い!

分かった!解っているから その顔と、その呼び名は止めろ!!

 




 
テルトヴォーザ皇帝は、ジルクニフ皇帝をスキンヘッドにした感じでwww
 
トーレス・オロ…アルデバラン(聖闘士星矢)
ツェーン・デレデス…アリス・シンセシス・サーティ(SAO)
…のイメージで
 
 
最初は古田さんメインの話を考えていたのだけど、あの魔法キチが魔法を(殆ど)使えないタナカ先輩と絡む内容が浮かばなかったので…
 
次回:『カッツェ平野の遺跡(予定)』
乞う御期待!
 
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