鈴木悟の職場の先輩が、ユグドラシルのサービス最終日に新規ユーザー登録しました   作:挫梛道

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【今回の予習(復習でも可)】
『プロデューサーにイタ電』と動画検索して…
 



カッツェ平野の遺跡

▼▼▼

トブの大森林。

エンリ・カルネ側から少し奥に入った先に、その洞窟は在った。

 

「ご、御苦労様です!」

「連絡は届いております!お、お気を付けて!」

「ん。そっちも お疲れさ~ん♪」

「それじゃ、失礼するでありんす。」

「あ、あの、僕達が入った後に、少しでも『危ない』って思ったら、直ぐに逃げて良いですから。

というか、に、逃げて下さいね。」

「…………。」

入り口は侵入を許さぬ如く、黄地に黒字で【KEEP OUT】と記されたテープで幾重にも封され、更に2人の番兵が配されている。

その番兵が最敬礼する中、侵入禁止が徹底された洞窟に入って行く4人の女性…否、男女。

そして…

 

ズズズズ…

 

「ヒッ!引き摺らないで!摩れる!摩れちゃう!」

「お黙りなさい このゾウリムシが。

本当に文字通りに粉々な粉末(カルシウム)にして、畑の肥料にしてやりましょうか?」

鎖付きの杭を深く打ち込まれ引き摺られる、喋る頭蓋が1つ。

 

 

▼▼▼

 

◆アウラside◆

タナカ様が初めてナザリック地下大墳墓に参られた時、デミウルゴスが いきなり、とんでもない真似をしでかした。

それは本人も理解して、自らの死で それを償おうとした時に、タナカ様は『何でも死ねば…殺せば済むと思っていたら、それは大間違いだ』と仰有った。

あの時は全くとは言わないけど、正直 何となく…なレベルでしか理解出来ていなかった。

…馬鹿だ。私は凄く馬鹿だ。

でも、今は…そう、デミウルゴス風に言うなら正に、『成る程!そういう事ですか!』だよ。

今回の ()()は、理解してしまうには十分過ぎた。

確かに、死ねば…殺せば それで お終いだ。

全くアインズ様…モモンガ様の名を騙ろうなんて、不敬過ぎて思い付きもしなかったよ。

ん。こーゆー不届き者は、直ぐに…簡単に殺しちゃダメだよね。

殺せば それでお終いなんだから。

本当に時間を掛けて、ゆっくりと苦痛を与えた上で、後悔と絶望と恐怖の中で その"生"を終わらせなきゃね。

流石はタナカ様だ!

あの時の言葉は、こういう意味だったのですね!

…因みに この偽者はナザリック地下大墳墓に連行した後、階層や領域守護者(ヴィクティム、ガルガンチュアを含む)、プレアデスは勿論、ペストーニャ、ピッキー、エクレア(&戦闘員ズ)や一般メイドなんかの非戦闘要員を含むナザリックの皆で、思いっきりフクロにした(勿論、要所要所で回復w)。

 

「ひぃあ~っ!?

も、もう堪忍して下さい!」

そして そのアインズ様の偽者(頭をずっと地面に引き摺られ、顔の右側が ほぼ綺麗な平面になってる)、何か言ってる気がするが…これもタナカ様の教えだ。

こーゆー時には耳に手を添え、

「「あ~、聞こえんなぁ~?」」

…でしたよね、タナカ様!

ついついシャルティアと声がハモってしまったが、今回は悪い気がしない。

 

「「へーい!♪」」

 

パシーンッ!

 

それ処か見事な息の合いように、自然とハイタッチだ。

 

ゴーンッ

 

「あぅち?!」

「だ、駄目ですよぉ、勝手に喋ったりしちゃ?」

しかしマーレには聞こえていたみたいで、勝手な発言に(おこ)になり、杖で ごるふすぅいんぐ。

石の壁に派手に激突だ。

 

「…そもそも この様な洞窟、こんなカマドウマの案内等不要でしょう。

もう、殺すなり棄てるなりすべきでは?」

そして約200年振りとなる、冒険者スタイルのナーベラルが、この偽者アインズ様を汚物を見る様な不快感丸出しな目で睨み、吐き捨てる。

 

「ナーベラル。気持ちは解りんすが、もう少しの辛抱でありんす。

これは、アインズ様とタナカ様の指示でありんすえ?

ただ お前…お前も必要な時だけに、道案内(ナビ)として話していれば、それで良いでありんす。」

「は、申し訳有りません。失言でした。」

「ひぃいっ!?」

そんなナーベラルをシャルティアが宥め、ついでにアインズ様の偽者に、魔力全開のプレッシャーを。

 

「…で、また道が3つに別れてるけど、今度は どれが正解な訳?

ほら、喋るの許可するから、とっとと話なよ?」

 

 

◆アウラside・了◆

 

≫≫≫

 

◆シャルティアside◆

…そんな訳で私達は今、アインズ様の偽者が作ったという洞窟に来ているでありんす。

目的は この洞窟を造り出したとされる、マジックアイテムの回収。

ナーベラルが最初、「こんなシラミの案内は不要」と言いなんしたが、タナカ様の「いやいや、結構 入り組んだ造りだったぞ? それに要所に転移トラップも仕掛けられてるみたいだし。」の御言葉に、渋々と了承。

そして この洞窟、それなりに奥に進むと単に穴を空けただけみたいなゴツゴツとした石や土の壁から、石が綺麗に切られ研かれたエリアに。

これも、タナカ様が仰有られた通りでありんす。

タナカ様が偽者アインズ様や愚かな人間共を下したと云う広い空間の奥の部屋。

決して広くない部屋の壁に、掌サイズの水晶玉が、青い光を発して埋まっているでありんした。

 

「『自作空間(マインクラフト)ver.5』。

間違いありません。この水晶が、この洞窟を創り出したマジックアイテムです。」

「よーし。それじゃ これを取り出したら、目的達成だね。」

「あっー!ちょ、ちょっと待て!…って下さい!」

魔法鑑定の後、アウラが壁の水晶を取ろうとした時、また偽者が勝手に発言を。

 

「ち、違うのです!

この洞窟は まだ事前にプログラム入力しての制作途中!

今も自動で、奥側のフロアーが創られているのです!

だから今、そのアイテムを外すと、プログラムが全てキャンセルされて…」

「も、もしかして、この洞窟が全部、消えちゃうんですかぁ?」

「いぐざくとりーに御座います!」

成る程、そういう事でありんすか。

 

カパ…

 

「取ったよ~。」

「あぁあ゙~~~~~~~っ?!」

そんな遣り取りの中、壁からアイテムを取り外すアウラ。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ…

 

それと同時、洞窟内が激しく揺れ、壁や天井が崩れ始める。

 

「ななな、何て事を?」

「揺れてるね~?」

「崩落、待った無しですね。」

「冷静か!…ですか?!

…って、マジに何をしてくれやがってるんですかぁ~?!」

洞窟が崩れる…そんな危険的な意味合いで無く、まるで自分が手間暇を掛けて作り出した洞窟(データ)を削除された事の方に怒っているかに見える…もしかして、泣いてるでありんすか?…アインズ様偽者。

 

「ダニが要らぬ心配をしなくても大丈夫ですよ。

この程度の洞窟、転移魔法を使えば直ぐに脱出は出来ますから。

さぁ、シャルティア様アウラ様マーレ様、此方に。」

それを冷たく受け流し、ナーベラルが私達を呼び寄せる。

 

「あ…あの…私…は…?」

そして床に転がる喋る頭蓋骨は、不安気に尋ねるが、

「え?アインズ様の偽者サンは、此処に残すに決まってるじゃないですかぁ?」

「え゙?!」

マーレが それに、簡潔に説明。

 

「聞きなさい、蛆虫。

本来なら即座に処刑する筈を、その命を奪わず放置で赦すと決めた、アインズ様とタナカ様の御慈悲に感謝しなさい。」

「心配無くとも、この『認識無効の指輪(アンノウン・リング)』をその頭に埋め込んでおくでありんす。

お前は今後、誰にも発見される事無く関わる事も無く、その骨が朽ち喪せる迄、此処の土の中で孤独に埋もれ過ごす事になるでありんす。」

「そ、そんなぁ?!」

そしてナーベラルと妾が、それを補足。

何やら偽者が『すいませんでした』とか『自分も連れてって』とか『何でもしますから』とか言ってる気がするけど、そんなのは『あ~、聞こえんなぁ~?』…で、ありんす。

それに何より、アイテムの回収が終わった時点で…

 

 

お前は もう、用済みでありんす♪

 

  

 

◆シャルティアside・了◆

 

▼▼▼

 

◆アインズside◆

「此処だな。」

「その様ですね。」

「…だな。」

「………。」

カッツェ平野。

以前はバハルス帝国とリ・エステェーゼ王国が、定期的に戦場としていた地。

1年の殆んどが、完全に視界を奪う程の深い霧に覆われており、そして不死系怪物(アンデッドモンスター)が異様に発生する地。

俺の偽者の件の後、先輩との、

「そう言えば、過去のプレイヤーらしい人物の伝承は結構 有るけど、このナザリックみたいな拠点が転移してきたって記録は無いんだな?」

「…え?」

…この会話の後、同盟国や属国に、それらしい伝承等を聞き込んでみた。

う~む、そう言われてみれば確かに、この世界を掌握した後は、俺達より後から やってくるプレイヤーの事しか考えてなかったな。

これは失策だ。

過去の有名プレイヤーである、六大神や八欲王の様な自分達に驚異に為りうる連中は、全員 死んでいるのを確認していたし、それで安心していたよ。

スレイン法国には、六大神のギルド拠点みたいな施設が無いのは確認済み。

八欲王の拠点だったと思われる、南方砂漠都市に()()()、浮遊()()()()城。

100年前に確認に行った時、現地のNPC達と戦闘になったりで、あれがユグドラシル縁の物だというのは分かったけど、あれが嘗てアースガルズに在った"天空城"だったかは未だに分からないし、もう その確認のしようも無い。

…既に瓦礫と化してるからな!

そんな中、エ・ランテル市長から、

「そういう事でしたら、カッツェ平野には昔からの遺跡が点在していますが?」

…の報告を受けて、探索に優れたシモベ達を平野全土に飛ばし、地に埋もれている遺跡の…その入口を探させ…

 

「…しかし、人間共は この遺跡について、調べようとは思わなかったのでしょうか?

歴史に対して無頓着過ぎるのでは?」

「そう言ってやるな、デミウルゴス。

この霧と、(人間レベルで)強力なアンデッドが跋扈する地だ。

人間にとっては、それ処じゃないのだろう。

それに…」

「ああ。プレイヤー以外は、この扉は簡単には開けられないと思うぜ。」

「はぁ…そうなのですか?」

 

 

◆アインズside・了◆

 

≫≫≫

 

◆デミウルゴスside◆

カッツェ平野に在る、過去にユグドラシル・プレイヤーがギルド拠点としていたと思われる遺跡。

其処に足を運んだのは、アインズ様タナカ様、それにシズと私の4人。

魔法施錠(マジック・ロック)されたと思わしき扉の解除を試みるも、上手く行かず。

 

「こ、これはタナカ様の言われる通り、かなり高位の魔法で閉じられていますね。」

「…壊しますか?」

 

ジャキ…

 

「シズ、お待ちなさい!」

銃を構え、扉を破壊しようとしたシズを制止。

 

「そうだシズ。

その様な手段は、あくまで最後だ。」

「…だな。中に何が有るか、まだ分からないんだ。

仮にコイツがユグドラシル関連で この先に何者かが居たとして、そんな敵意丸出しな態度で入った日にゃ、即座に敵認定で話が拗れるぞ?」

「…申し訳有りません。」

そして先走ろうとしたシズを注意する、アインズ様とタナカ様。

 

「それと これは、魔法施錠(マジック・ロック)なんかじゃない。

入り方さえ知っていれば…正しい手順で入れば、とりあえずは彼方さんも拒まず受け入れてくれる筈だよ。」

 

サササ…

 

そう言いながらタナカ様は、長い年月を以ち、扉にコーティングされた土を払い落とす。

 

「…やはり、か。」

「ベタだな~?」

其処から顔を見せたのは、3つのボタン。

覆われた土の上の膨らみは、私には装飾模様が彫られている様にしか見えなかったのですが、この御2人は最初から気付いていたと言うのですか?!

流石はアインズ様は勿論ですが、やはりタナカ様の叡知も素晴らしい!

そして、この3つのボタン、十字型のボタンが1つと その右隣に丸いボタンが2つ。

これ等を正しい順番で押せば扉が開くのは、私でも理解出来ますが、その反応からして、両名とも その正解を既に知っている?!

 

「先p…タナカよ、これは どう見ても()()だな?」

「間違い無くアレです、アインズ様。」

「アレなのだな?」

「アレに御座います!」

()()って何なのですか?!

 

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ…

 

ギギギ…

 

「……………………。」

「開いたな。」

「先に進むぞ…って、デミウルゴス、どうかしたか?」

「い、いえ、大丈夫です。」

頭の中で突っ込まさせて戴いている間に、テンポ良くボタンを押し、扉を開けたアインズ様。

余りの呆気無さに一瞬、呆けてしまったみたいですが、タナカ様の一声で意識を戻し、この未知なる遺跡へと、歩を進めるのでした。

 

 

◆デミえもんside・了◆

 

≫≫≫

 

◆タナカside◆

遺跡内に入り、俺と鈴木はコイツがユグドラシルの…少なくとも、この世界の物でないのを確信した。

何しろ壁が、コンクリート製だからな。

しかも 俺達が侵入したと同時、通路の天井に照明が自動で点いた。

これは、気付かれたと思っても良いかな?

 

「相当に課金して、リフォームしたのだろうな。」

「外は普通な、石煉瓦でしたからねぇ?」

更に少し先に進むと、壁は石膏ボードにピンク地に()()()()()な壁紙の仕様になっている。

 

「…うむ。これは もう、どう考えても攻略系ギルドじゃないな。」

「そうじゃないギルドも有るんですか?」

「ええ。本当にメンバーや友好を築いた者だけで のほほんと過ごすギルドも、少なくなかったですよ。

お食事会系とか農業系とか。

野球やサッカーのチームみたいなのも、有りましたね。」

鈴木君~?また敬語になってるよ?

少なくとも他にシモベが居る時は、君が一応は『上』ってのをハッキリした言葉使いをする事にしてるだろ?

 

≫≫≫

 

カチャ…

 

「あ…」

「む…?」

「へぇ?」

「うゎぁ…」

そして幾つかの小部屋や通路を抜けて、辿り着いた部屋。

それなりの広さの この部屋は、フローリング床に、カラフルなクッションチェアやテーブルが沢山 置かれていた。

 

カチャ…

 

「「「「!!?」」」」

そして部屋の奥側、どう見ても人間サイズじゃない小さな扉が開いたと思えば、

 

『『『『『『にゃぁ~ぉ♪』』』』』』

 

ぞろぞろぞろぞろ…

 

そこから登場してきたのは、三毛、シャム、ペルシャ、アメリカンショートヘア、マンチカン、スコティッシュ・フォールド(…中略)ラグドール、ミヌエット、ノルウェージャン・フォレスト・キャット、サイベリアン、ロシアンブルー(…中略)シンガプーラ、ヒマラヤン、シャルトリュー、ソマリ、ラパーマ、キンカロー等の、仔猫の集団!

 

「ええぇえ~?!」

「こ…これ…は?」

鈴木も吃驚と精神鎮静を繰り返し、デミウルゴスもリアクションに困っている様子。

 

「…可愛い。撫で撫で。」

「ふにゃ~♪」

そんな中、シズは その内の1匹を抱き抱え、嬉しそうに頭を撫でてる。

シズって、そういう優しい笑顔も出来るんだな。

…って、こ、これは良いのか?

俺も抱き寄せたり擦り擦りもふもふしても、おけなのか?

 

カチャ…

 

「ようこそ お出で下さいました。

貴方達はユグドラシルのプレイヤー様…と、そのNPCですね?」

「「「「!!?」」」」

そんな風に悩んでいた時、今度は別の、普通サイズの扉から何者かが姿を現す。

 

「初めまして。私はバステトと申します。

そして此処は…」

それは、黒髪猫耳の美少女だった!

 




 
①前書きでも触れましたが、『プロデューサーにイタ電』を動画検索した上で…
 
上坂さんは、可愛いと思います(笑)。
 
②廓言葉は面倒難い…
多分、シャルティアの語りは、今回が最後になるでありんすwww
 
③扉の答え…【上上下下左右左右BA】
 
④天空城の設定については、小説オリジナルで。
 
 
【次回予告!】
 
◆セバスside◆
アインズ様、タナカ様が足を踏み入れた、カッツェ平野の謎の遺跡。
その奥で待っていたのは、猫!ネコ!ぬぇ~こぉ~っ!…の群れだった!!
そして それ等と共に姿を見せた謎の少女。
その恐るべき正体が次回 遂に、明らかにぃ~!
 
次回:『タナカ先輩の弱点!(予定)』
乞ぉ~う、御期待!
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