鈴木悟の職場の先輩が、ユグドラシルのサービス最終日に新規ユーザー登録しました   作:挫梛道

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♪どんちゅーぎみよーらーゔぃんぱっしゃ~ん?♪
 



Leashed.Luminous.Love.

▼タナカside▼

「お見事ですタナカ様!

あの計算しつくされた勝利、このデミウルゴス、感服致しました!」

「…ソコニシビレルー、アコガレルー。」

「あ…う、うん…」

3連戦を終えた後、何だか感動して誉め称えてくれるデミウルゴスとシズ。

いや、そんな誉められた内容じゃなかったと思うぜ?

特に最後は、本当に(ルール的に)ギリギリだったし。

 

「時には敢えて大技を受けて劣勢を装い、敵に脚殺しの狙いを悟らせる事無く。

その上で秘かに、そして着実に脚にダメージを蓄積させていき、勝負処にて一気に破壊!

その勢いの儘に決着に持ち込む この戦術。

これを見事と言わず、何と言いますか!?」

…………………………。

いや、違うから!

そんなの全然、考えていなかったから!

最後の方の膝十字も、偶々のマグレ、良い感じにクリティカルで極っただけ!

しかし、言えねー。

この尊敬な目で見られた日にゃ、そんなの言えねー。

 

「………………………。」

そんな俺を、鈴木が微笑ましい眼?で見ている。

「解りますよwww」…とでも言いた気な、そんな顔だ。

…ん。お前も200年の間、この勘違いな期待と敬愛な眼差しを向けられてたんだよな。

大変だったんだねー。

 

≫≫≫

さて、ネコさま大王国の魔導国吸収に反対?していた奴等を物理的に黙らせた後、俺達は先代ギルドマスターからギルマス代理を託された猫耳少女NPCのバステトに案内され、ギルドを象徴する、【ギルド武器】の保管室に足を運んでいた。

先代の人形が飾られていた玉座の間の奥の隠し部屋。

 

「これ…か…」

そして その先、封印されていた、肉球の杖?とでも云うべきかな形の それを、鈴木が興味深く手に取った。

  

◆タナカside・了◆

 

≫≫≫

 

◆アインズside◆

「これ…か…」

バステトに案内された隠し部屋に安置されていた杖。

ネコさま大王国のギルド武器、【ネコの手ラケット(キャット・ザ・オールラウンダー)】だ。

その最大の特性は、その戦場内に居るネコさま大王国所属の者の各種ステータスを、大幅に上昇させる事だとか。

ギルド武器は破壊されると そのギルド拠点は崩壊。

ユグドラシルの登録ギルドのデータからも末梢される。

つまり、ゲーム的には完全に そのギルドの消滅を意味する訳だが、

「ふん…態々 壊す必要も無いだろう。

これはナザリックの宝物庫で、保管する。」

特に敵対するギルドでは無いし、寧ろ今後は我が傘下に加わるのだ、壊す理由は無い。

いや、別にコレクションとして欲しいとか、そういう事じゃないぞ、決して!

 

「ナザリックで管理していれば、この城が消滅する事も無い。

…それから、ナザリックに属する者は何者で在れ、"1日8時間労働"と"週休2日"が義務付けられる。

そんな日に この場で思い出に浸るのも、悪くないだろう。」

「あ…アインズ…様…!」

「ふ…」

自覚しているが、俺は身内には凄く甘い。

そして彼女達は、俺としては既に身内の認識だ。

魔導国に吸収される事により、ネコさま大王国は完全に潰されるとでも思っていたのか、この城を存続させると言う俺の言葉に、バステトは目に涙を浮かばせながら、俺に敬慕の眼差しを向けてきた。

 

ぽん…

 

そんな彼女に、「心配する事は無い」の意味を込めて軽く肩を叩いて微笑み掛ける。

…骨剥き出しで表情筋とか無いから、微笑むも何も無いんだろうけどな!

 

「…セクハラ。」

えっえぇえーーーーーーーーーっ!??

『肩ぽん』もダメなの?!

これもセクハラに なるの?

そ、それから、カッツェ平野に霧と不死系怪物(アンデッド)を生産していた『瘴霧の死魎行進(デスマーチ・イン・ミスト)』。

このアイテムは、使えるな。

  

 

◆アインズside・了◆

 

≫≫≫

 

◆タナカside◆

「これで、良いだろう。」

ネコさま大王国を取り入れ、彼女達と共にナザリックに帰還する前に、1つ細工を施す事にした。

入り口の扉の、コ〇ミコマンドだ。

あれは本当に、俺達 現実世界(リアル)の者からすれば、閃くヤツは簡単に閃く。

だからこその、パスコード変更だ。

 

「しかしタナカ様、これは些か単純過ぎないでしょうか?」

俺が新たに設定したパスコードに、不安を洩らすバステト。

まあ、心配なのは ごもっとも。

しかし、あの〇ナミコマンドは直ぐに頭に浮かんでも、()()()は中々、思い付きはしないだろう。

 

「ははは…。単純過ぎるからこそ、誰も思い付かないもんだよ。」

それに()()()は、素早く流れる様に打ち込まないとイケない。

しかも十字キーの右と下の同時押しの認識基準はかなりシビアに設定しているから、簡単には読み取れないさ。

因みに新しいコマンドは【→↓↘○】。

これで入り口部分を、ナザリックみたいに土や草でカムフラージュすれば、先ず部外者は入れなくなる。

 

「しかし これは、私達も簡単に入れなくなっていませんか?」

「そこは要練習、だな。」

「「「鬼か?!」

    かよ?!

    ですか?!」

♪昇〇拳が出ない♪(笑)

 

≫≫≫

場所は、ナザリックの下層に有る広間に。

 

「…ソノ様ナ訳デ、アインズ様ニ敵対スル発言ヲシマシタノデ、1人ヲ残シテ殲滅掃討ト致シマシタ。」

「その者は現在、ニューロニストによって()()が行われております。

それから…此方が、最上階最奧に隠されていた、ギルド武器と思わしき品です。」

コキュートスとセバスが、アーグランド評議国に突然と姿を現したと云う、謎の塔についての報告。

最初の報告が上がった時から予測されていた事だが、やはり それはユグドラシルからのプレイヤー達、そして そのギルドの拠点だった様だ。

何やら其処の連中が、魔導国に代わって世界征服を…とか言ってていたので保護の必要無し、速攻で潰したらしい。

そんな中で、完全にキレず、一応は1人だけは情報収集の為、殺さずに生け捕りに。

…その残った1人とやらに同情するぜ。

 

「ふむ。そのギルドマスターと思われる者の特長からして、恐らくは【九九痛(ペインズ・ナインティナイン)】だな。」

九九痛(ペインズ・ナインティナイン)?」

「ああ。我々と直接 絡む事は無かった?が、兎に角…まぁ様々なジャンルの性格破綻者が集まった、最悪なDQNギルドだと聞いている。」

AOG(オマエ)が言う?…とは、敢えて言わない。

そして、セバスから渡されたギルド武器?…どう見てもルーレットにしか見えないのだが、

「…ん。これは、要らないかな。」

 

ボゥ…ッ

 

指先から小さな黒い火を出すと、一瞬で灰すら残さずに燃やしたよ、この骨。

どうしたコレクター? 価値無しか?

 

≫≫≫

「…そ、そんな訳で、あのアインズ様の偽者は、あの場に置き去り、土に埋めてきました。」

「そして これが、あの洞窟を作っていたアイテム、自作空間(マインクラフト)ver.5です!」

「あの洞窟は、コレを取り出したと同時に崩壊、消滅したでありんす。」

続いてはシャルティア、アウラ、マーレの報告。

俺が冒険者として調査に入った洞窟の、後始末の件だ。

あれは結局、冒険者組合には『人間の手に余る難度(レベル)』として、ナザリックの人外の皆さんで処理するというシナリオを作り、それに従い此方で洞窟は封鎖…と言うか削除の表現が正しい気がする。

そして あれを作った鈴木偽者は、哀れ首だけの状態で一生 土の中。

魔法等による呼び掛けで助けを求める事も出来ず、その内に『考えるのを止めた』になるのは必至だろう。

 

「ふむ。御苦労だったな。」

さっきのギルド武器と違い、マイクラを興味深く手にし、シャルティア達を労う鈴木。

 

「それでは、最後は私達の報告ですね。」

そしてネコさま大王国の事を皆に話すのは、デミウルゴスだ。

あのギルドには、責任者のバステトや、俺と戦った3人、そして純粋な猫科動物の他にも、猫系亜人種のNPCが数多く居た。

今この場には、その代表としてバステト達4人が来ているのだが、アルベド?

何か禍々しい紫のオーラを体全身から滾らせ殺気全開、この4人(特に はにゃーん)を夜叉の如く睨み付けてるけど、何か有ったのか?

とりあえずスティスティ。

 

 

◆タナカside・了◆

 

▼▼▼

 

◆アルベドside◆

い、い、い、嫌な予感が的中ーーーっ!

何ですの、あの女は?

いえ、あっちの貧乏体型の小娘じゃなくて、そっちのピンク髪の女の事よ!

ええ、私だって鈍くはない。

小娘の方は、アインズ様に恋慕しているのが丸分かり。

多分、お優しい言葉の1つでも掛けられて、チョロくも墜ちたのでしょう。

聞けばネコさま大王国とやらは、前の世界では それなりのギルド。

あの小娘は其処で、私と近しい立場(ポジション)だったらしいから、外から妾として迎える意味では、ギリギリ問題無いと言っても良いわ。

…それは それで、シャルティア辺りが黙っていないでしょうけど。

問題なのは もう1人、あのピンク髪の豹女!

この女の、セージ様を見る目は普通じゃない!

デミウルゴスが言うには、ナザリックのチカラを見せつける意味で、セージ様自らが他の者共々に物理的に凹ませたらしいけど…

ま、まさか、セージ様がダウンを取った後にマウントからの「あ~ん♡」な運対事案的行為に?

そ…そんな、セージ様が 私以外に その様な真似を…!?

嘘!そんなの嘘よ!?

それは無いとしても、

と、兎に角、あの女には、ハッキリと私こそがセージ様の妻!

そう、正しき妻…【正妻】と書いて、『つ・ま』!…で有る事を、ハッキリさせとかないと!!

い、いえ、ちょっと待って?

仮に あの女豹が「ん?私は別に、側妻でも構わんぞ?」とか言ってきたら?

そしてセージ様が、それを良しとしたならば…

だ、駄目!そんなのダメ、赦される筈が無いに決まってるでしょ!

セージ様…

 

Don't you give me your love and passion(貴方は私に愛と情熱を下さるのでしょう)

 

そして その愛と情熱とは、私だけに注がれる物な筈。

そう…セージ様が愛するのは私だけ。

そしてセージ様を愛するのも私だけ。

もしも その絶対が崩れるなら、その時は…

 

Kill it,Kill it(殺って殺るわ)…!!

 

そんな世界は考えられないし望まない。

あの泥棒猫を殺し、セージ様も殺し、自らも殺しましょう。

ええ、この愛を貫く為なら喜んで!

…とりあえずは あの女とOHANASHIね!

場合によっては、セージ様に ぷろれすごっこを通じて教えて頂いた、肉体言語が火を噴くわ!

  

 

◆アルベドside・了◆

 

▼▼▼

「此処…で、良かったのだな?」

偽アインズの洞窟、九九痛(ペインズ・ナインティナイン)の塔、ネコさま大王国…一連の報告が終わった その日の夜。

ネコさま大王国所属だったNPCの はにゃーんは、ナザリックのBARに足を運んでいた。

そのカウンター席には1人、先客が。

 

「よく来たわね。

逃げなかった事だけは、誉めてあげるわ。」

「いや、意味が よく解らぬのだが?

…で、話とは何なのだ?アルベド殿?」

アルベドである。

この日は色々と有り過ぎ、一般メイドに案内された部屋で休もうとした時、[伝言(メッセージ)]でアルベドから 呼び出された はにゃーん。

はにゃーんは彼女に対して、好印象を持てなかった…と言うか、僅かだが苦手意識を持ってしまっていた。

ナザリック地下第墳墓での顔会わせの時から、何故か自分に執拗に、殺意染みた視線を浴びせられたのが原因である。

勿論、アルベドとは初対面で有り、過去の接点は皆無。

恨みを買われる覚えも無く、以前 自分以外の豹系の人物か何かとトラブルでも有り、その反動が自分に向けられたか…いや、それ逆怨みだろ?…とも考えていた。

しかし相手は、守護者総括。

アインズ、タナカに次ぐ、ナザリックNo.3と言える存在からの呼び出しに、新参者である自分が拒める訳も無く。

この際だから その辺りも率直に聞こうと、既に何杯か酒を飲んでいるのか、白い頬が少し赤くなってる女の隣に座ると、

 

コト…

 

この酒場のマスターの茸生物(マイコニド)から、無言で1杯のカクテルが差し出された。

 

「そう言えば、聞いてなかったわね。

貴女、お酒は大丈夫なのかしら?」

「…自分では、それなりに強い方だと思っている。」

 

クィ…

 

アルベドの問い掛けに、はにゃーんは そう答えると、この紅いカクテル…ブラッディメアリーを一気に飲み干す。

 

「「ところで…?!」」

その次の瞬間、2人の声が重なった。

 

「クス…どうぞ、お先に。」

「えぇ…」

2杯目…自分の1番の お気に入り、ジンライムを注文しながら、アルベドに先に発言を譲る はにゃーん。

 

「ならば、ストレートに言わせて貰うわ。

貴女、セージ様から、身を退きなさい!!」

「…はぃ?」

しかし向けられた言葉は、自分の想定から遥かに外からの物だった。

 

「ふっふっふっふ…

くっくくくくくくく…

あっーはっはっはっはっはっは!!」

「な、何が、可笑しいのよ?!」

それと同時、アルベドが自分に執拗な迄の殺気を向けていたかを理解。

彼女的には尋ねようとしていた疑問の全てが解け、同時に その理由(オチ)に思わず大爆笑してしまう。

 

「プククク…いや、失礼、そういう事だったか。

アルベド殿、どうやら貴女は勘違いをしている様だ。

心配せずとも私はタナカ殿に、その様な感情は抱いていない。」

「え゙?!」

「ふっ、私の想い人は、別に居るさ。」

「……………………………………。」

そして その応えに、間の抜けた返事の後、瞬間だが思考停止するアルベド。

 

 

ぽく ぽく ぽく ぽく ちーん

 

「あ~ら、そうだったの?

嫌だわ、私ったら、何て はしたない…」

「は…はぁ…」

そして再起動と同時、今まで放っていた凄まじい殺気は完全に失せ、正に女神の表現が相応しい笑顔で、はにゃーんに話し掛け始めた。

これは はにゃーんも最初は、どう返せば良いか迷う程の豹変だった。

 

≫≫≫

「…結局、リリー様が私の想いに応えて下さったのは、その1度きりだ。

しかし、その1度だけでも、結ばれたという事実…それだけで私は十分 満たされてるよ。」

「ん、ん、解る!解るわ貴女!

唯1人の殿方だけに永遠に想いを貫く…それは凄く素敵で素晴らしい事よ!」

その後はアルコールも少し混じり、更には通ずる物が有ったのか、飾りの無い女の会話が続く。

 

「そう!この私も、この身も心も、永遠にセージ様だけの物!

あん♡はん♡はぁん♡♡」

「……………………。

だ、大丈夫か、アルベド殿?」

時折、やや暴走…いや妄想気味なアルベドを、はにゃーんが介抱したり。

因みに はにゃーんが想いを寄せていた人物は この世界に転移したネコさま大王国のプレイヤー。

彼女を創造した者で、既に この世から去っているらしい。

 

≫≫≫

「…しかし他の者からすれば、私達の考えは滑稽な鎖に縛られている様にしか見えないのだろうな?」

「あら? 鎖って、良い表現ね?

でも、鎖の何が駄目なのかしら?

私は その鎖、誇りに思ってるわよ?」

「…ふっ、確かに、な。」

 

コト…

 

そんな会話を続ける彼女達の前に、別に注文された訳で無く、2つの緑のカクテル…モスコミュールが静かに置かれた。

 




 
作者、1~3期のOP・EDで、これが1番好きですね。
 
 
次回より新展開!(…の予定)
感想よろしくです。
 
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