鈴木悟の職場の先輩が、ユグドラシルのサービス最終日に新規ユーザー登録しました 作:挫梛道
原作キャラ登場!
「ど…どうなってんだよ?!」
≫≫≫
ユグドラシルプレイヤー、セージ・タナカ(本名:田中誠司)は困惑の中に居た。
DMMORPGユグドラシルの提供サービス最終日、話の
特にイベントをこなしてゲームを進めるで無く…これも ある意味でイベントかも知れないが…最初の拠点の町周辺に大量発生したレア?モンスターを狩っていた。
最終日新規登録ボーナスで得たスキルをフルに活用し、着実にレベルアップ。
そして、視界の右上角に見える時計の日付が変わる迄、残り5分となった頃。
そろそろ終わりだな…
締めは運営の、ユーザーに向けての感謝メッセッージでも流れるかな?
ん~、他のプレイヤー曰く、『クソ運営~っ!!(怒)』…らしいから、それも無いか?
…そんな風に考え、残り1分を切ったが、そんなメッセッージが発せられる気配は一向に現れない。
そして、時刻は0:00を表示。
ぐにゃぁ…
「…へ?」
最期の刻となった時、タナカの視界、目の前の背景は一瞬ぐにゃりと歪み、次の瞬間、辺りは平原から一変、薄暗い森の中。
「え?えぇえっ?!」
困惑するタナカ。
兎に角、色々な意味で異様なのだ。
まず、視界の上側に表示されていた時刻表示や、自身のステータス欄が消えている。
「運営とも繋がらない?」
更にはゲーム運営に現状を確認しようとするが、GMコールも機能せず。
「マジかよ…?」
そして何よりも、本来はゲームでは体感出来ない筈の嗅覚を…草や土の匂いを認識出来ているのだ。
ズズズ…
「………!!」
何が どうなっているか解らないタナカの足元、地面が膨れ上がったと思えば、其処から現れたのは、幾本もの蠢く蔦。
『『あ゙~~~~~~~…』』
これが、一斉にタナカを襲い掛かってきたのだ。
▼▼▼
「ど…どうなってんだよ?!」
蔦を…そして地中に潜んでいた、その本体である植物系
今の戦闘、ゲームの初期設定で得た【物理攻撃無効】や【魔法攻撃無効】、【状態異常無効】の効果は生きていたが、その攻撃ダメージがキャンセルされる感覚は、先程迄とは全くの別の物。
…その後も幾度と魔獣の集団と
もしかして、これって
ハハハ…まさか、ね…
…やはりゲームでは感じる筈の無い、疲労や空腹を感じながら。
そして その頭に過る、
≫≫≫
それから更に数日…タナカは彷徨った。
先ずは最初の町に戻ろうとしたが、その始まりの町、マハジリが何処に在るか…現在地が何処なのかさえも分からない、迷子である。
そして彼も決して、鈍い人間では無い。
当ても無く幾日と進む中、彼も何時迄も現実逃避するで無く、この世界が
「元に戻れないのか、これ?」
最初は悪い夢だと思っていた。
1度睡眠を取り、目が覚めたら自室に居る…ゲームの途中で寝落ちしていたに違いない…そう信じていたが、再び目を開けても、その
「あ~ぁ…こりゃ会社、クビだな…」
…だとすれば、既に1週間近く無断欠勤している事になるので、解雇已む無し…そう考えている内に、
「…っていうか、えらい冷静だな、俺!?」
自分が居た世界とは、全く違う…謂わば異世界。
リアルにゲームの様な世界に投げ出されたにも拘わらず、それに対して自分が全然 取り乱していない、その
▼▼▼
「アンタ…本当、何処から来たんだい?
今時 此処等一帯で、身元を証明出来る物を持ってないなんて、有り得ないぞ?」
「うぅ…ステータス画面オープン出来なくて、すいません。」
「いや…何言ってるか、分からないよ?」
そして漸く多数の人が住んでいるであろう、要塞の表現相応しく、立派な石煉瓦で外周が守られている街に辿り着く。
怪しまれない様に、人外…異形から、人型に
…が、その街の門番の聴取で街の中には入れず。
門番が言うには、何か身分を証明出来る物を示さない事には、街に入るのは不可だとか。
ある意味それは当然かも知れないが、勿論タナカが、その様な物を持っている筈も無く。
番兵も『マジか?』…みたいな、どう対処すれば分からない様な、困った顔を見せているが、それは仕方が無い。
「お~ぅ、通るぞ?」
「おぅ。」
そんな中、別の者が それが身分証なのか、小さな金属製のプレートを見せて、巨大な門を潜り抜け街に入って行った。
「おい…あれは、大丈夫なのか?」
「あぁ、彼等は身分証を提示してたろ?」
「いーや…そうで無くて!」
実は この門番もそうなのだが、タナカは その様子に突っ込みを入れずにいられなかった。
「この街はリザードマンやオーガも、普通に入れるのかよ?!」
「ん?何か変かい??」
「…………………………………。」
そう。今 街に入って行ったのは異形の
しかし、それで街中が騒ぐ様子も無く。
このタナカの台詞に、背丈こそ低いが頑丈な筋肉の上に軽鎧を着た
≫≫≫
やがて日も暮れる。
何時迄も門の前で問答してる訳も往かず、仕方無くゴブリンの番兵は、街の中に入れる事は出来ないが…と、この門の直ぐ側に在る詰所に招き入れた。
「一応、アンタの事は都市長さんに伝えておいた。
明日の朝、街の偉いさんが此処に来るだろうから、その時に色々と話をして、街に入れるかどうかは その時に決まるさ。
少し狭いが、今夜は此処で過ごして貰うぜ。」
そう言うと、毛布を渡すのだった。
▼▼▼
「アインズ・ウール・ゴウン魔導国…ねぇ…?」
詰所の一室で、ソファに寝転び毛布を纏ったタナカは呟く。
番兵のゴブリンや人間の青年から聞かされた話に、先ずは この国の名に驚いていた。
自分がユグドラシルで悪名として聞かされていたギルドの名前が、今 居る国の名前になっていたのだ。
そして約200年前に建国された この国を治めているのは、
アインズ・ウール・ゴウン魔導王。
曰く、この王は人間や、人間からすれば異形と見られる者達、全ての存在を統べた至高の王。
周辺国家も今は全て、この魔導国の属国だとか。
「世界征服…ってヤツか。」
此処でタナカは仮説を考える。
恐らく その魔導王とやらは、ユグドラシル屈指のDQNギルドとされていたアインズ・ウール・ゴウンのマスターであるモモンガ。
これは その魔導王とやらがアンデッドであるという点でも、辻褄が合う。
そして そのモモンガはユグドラシル最後の
「まぁ、それは違うとしても、全くの無関係じゃ無いだろう…って、どうなるのかねぇ?」
そう呟くとタナカは それ以上の考察は止めて、眠りに就こうとした その時、
ガチャッ…
「兄さん、起きているかい?
夜遅くに悪いが、さっき話してた偉いさんが…いや、もっと凄い御方が、やって来たぜ!」
「はい?」
勢い良く扉が開き、慌て気味、興奮気味なゴブリンが現れた。
≫≫≫
「こんな時間帯に、申し訳無い。
私が このエンリ・カルネ都市長の、ウヌフェーダ・バレアレです。
そして此方の方が…」
やや痩せ気味な、金髪の中年男性。
この都市長を名乗る男が、タナカに挨拶。
そして もう1人、執事を着た老人が、頭を下げた。
▼▼▼
「セージ・タナカ様…ですか。
ふむ…成る程、成る程…」
老人はタナカを見て、何か納得したような顔を見せる。
執事服の上からでも、鍛えられているのがハッキリと分かる体付き。
この猛禽類を連想させる鋭い眼をした老人が、
「それでは先ずは、これ等の問いに答えて下さい。」
スゥ…
そう言って、1枚の
その紙には、タナカに対しての質問が書かれているのだろうが、
「すまない…これは、俺の知らない字だ。」
それに書かれている文字は、タナカが読めない…見た事も無い文字だった。
これは、タナカが街に入ってから感じていた違和の1つ。
街に入ろうとした時の遣り取りでも、門番と普通に
…が、その門の向こう側に見える店の看板…恐らくは店の名前が書かれているのだろうが、それ等は見た事も無い文字だったのだ。
「ふむ、そうですか。
ならば、此方は読めますかな?」
スゥ…
そう言って もう1枚、用紙を出す老人。
「こ…これは…?!
セバスさん…だったよな?
アンタ、一体…」
「…やはり、そうでしたか。
バレアレ町長。これは、お手柄ですよ。」
「そんなセバス様、勿体無い御言葉です。
私は只、魔導王陛下が普段から仰有られている、ホウレンソウ…を実践しているだけに御座います。」
それを見たタナカの反応に、老人…セバスは更に納得する様な顔を見せる。
そして町長を労う言葉を掛けると、この町長は それは恐縮とばかりな対応。
その言葉使いからして、この老人の方が町長より立場が上。
どうやらゴブリンが言っていた『凄い御方』とは町長で無く、この男の様だった。
「いや、ちょっと待ってくれよ!
何なんだよ、この質問?
アンタ、まさか…!?」
「やはり、
そして それイコール、この質問に『YES』と言っているのと同じ…ですね?」
「……………………………………。」
【あなたはユグドラシル・プレイヤーですか?】
この老人…セバス・チャンから渡された紙には
…そんな訳で、実は原作から約200年経過した世界でした。
次回、あの御方が登場します!
感想、よろしくです。