鈴木悟の職場の先輩が、ユグドラシルのサービス最終日に新規ユーザー登録しました 作:挫梛道
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「…つまり、アンタはプレイヤーじゃない?」
「如何にも。あくまで私は、至高の御方の1人に創られた存在に過ぎません。」
【あなたはユグラドシル・プレイヤーですか?】
立派な宮殿の巨大廊下を歩く途中、セバスに色々と この世界の事について問い質していた。
最初は、セバスも自分と同様な、ゲームの中から飛ばされた人間だと思っていたが、それは少しだけ違っていた。
彼はユグラドシル・プレイヤーが創ったNPC。
複数の条件をクリアした時に、プレイヤーが所持出来るシステムによって創られた存在…らしい。
ちぃ、どうせなら新規登録特典に、そのシステムとやらも附けてくれたら良かったのに…!
そしたら、色白で長髪で巨乳な美人さんを創ってだな…
そして色々と、(…以後、自主規制)
…それを聞かされ、頭の中で色々と妄想を膨らませるタナカ。
因みにユグラドシル内でR-18的な行為に及ぶと、即事ペナルティとして強制ログアウト。
一定期間のログインが不可となる。
「長きに渡る調査で、今タナカ様が此処に居られる様に、この世界に流れたのは我々だけで無く。
我々以前にも流れ着いた者が居たのは確認出来ております。」
セバスが言うには、魔導王アインズ・ウール・ゴウンが流れ着く前にも、この世界にユグラドシル・プレイヤーは沢山来ていたらしい。
彼等は時に、その地の戦乱を鎮めて国を興したり、この世界の者に、自分の世界の知恵を与えていたり。
或いは、混乱を招いたりしていたとか。
「…そして それ等…私達を含めて、プレイヤーの転移が、100年周期で起きていたと判明するのには、然程の時間は掛かりませんでした。
事実 前の時期…つまり100年前は、しっかりと
そして今年は、その100年周期に当たる年。
魔導国各都市は勿論、同盟各国にも、本当に素性が分からぬ者と接触した場合、即事連絡する様にしていたのですよ。」
「対応、対策…ねぇ?」
セバスの含みの有る言い方に、それが如何なる対応対策なのかを何となくだが察したタナカ。
それに対して彼も、それを理解したと伝える様な、含み有る発音で応える。
「…で、俺は、どうなの?」
「それは、魔導王陛下が決める事です。」
◆タナカside◆
このセバスって爺さんが言うには、俺は今から、魔導王陛下とやら直々に色々と聴取されるらしい。
一番の目的は、転移した時…その際の情報を得る為だとか。
それにより、直接に言われた訳じゃ無いが、場合によっては俺も即 消される可能性も有る訳だ。
事実、100年前に今の俺と同様に保護?されたプレイヤーの何人かは、魔導王の姿を見た瞬間、仇に逢った様な顔と怒声で襲い掛かり、見事に瞬殺、返り討ちにされたとか。
余っ程 彼方此方から怨まれていたんだろうな?この魔導王様は(笑)。
…そんな風に考えている内に、連れてこられたのは仰々しい飾りな立派な扉の前。
護衛なのだろう、黒の装備を纏った黒いアンデッドの騎士が両脇に立っている、如何にも この向こうには偉い御方が控えている…そんな感じの造りだ。
ギィィ…
その扉が重い音と共に開かれ、
「…………??!」
そして それを潜った時、一瞬 体に違和を感じた。
「ほう?気付きましたか?」
「いや、気付いたと言うか、理解出来た。」
転移魔法だ。
多分、あの扉が転移の
この扉の先の部屋は、兎に角 広く、そして高く。
明らかに宮殿内部に在る広さじゃない。
俺が感じた違和は、転移による それだった。
「………!!」
決して宮殿の外造りと同様な煌びやかでは無い。
…が、荘厳な造りの部屋の奥。
壇上に有る玉座と思わしき椅子に何者かが座っており、その左右には側近か幹部らしい複数人が立っている。
「………………………。」
玉座に近付くにつれ、その者達の姿もハッキリと分かる。
メイドさんが6人。
白い甲蟲の様な巨漢。
尖った耳、褐色の肌からしてダークエルフってヤツか?…な、恐らくは双子の姉妹。
少しだけ血色悪そうなゴスロリのロリ。
オレンジのスーツを着た両生類男。
白いドレスの美女な…翼が黒いし、種族は堕天使かな?
「…………!!」
そして玉座に座る、黒いローブを纏った
この凄いプレッシャー…コイツが魔導王アインズ・ウール・ゴウンで間違い無いだろう。
「アインズ様、話にしていたプレイヤーを連れて参りました。」
「…うむ、御苦労。」
玉座から距離にして約5㍍、高さ約3㍍の階段下で、セバスが俺を魔導王に紹介しようとした時、
「王の御前だぞ!
何時まで立った儘でいるんだ!
跪きたまえ!!」
いきなりカエル男が一喝。
「!??」
「何っ??!」
それと同時、俺の体が魔力を弾いた感覚に包まれた。
カエル男の驚いた様な
「…すまない。
「何だと!?」
新規登録特典で得た【魔法完全無効】は、直接の攻撃魔法だけで無く、こういう操作系にも有効。
「で、では、改めて言おう!
王の御前だ、跪きたまえ!」
そして今度は魔法で無く、単に『命令』として言葉を発するカエル。
今 此処での荒事は悪手として、それに従おうと少し膝を曲げようとした時、
「いや、その儘で結構。」
「アインズ様?」
それを魔導王が止めた。
「デミウルゴス、お前の『支配の呪言』が効かぬのだ。
その資格は、十分に有るだろう。
皆も、それで良いな?」
「は…畏まりました…。」
「「「「「「……………。」」」」」」
不本意ながら…と、それを承諾するカエル男、デミウルゴス。
他の面々は無言で頷く。
「はい!アインズ様の御言葉に、異を唱える不届き者等、この場には居たりしません!」
「そ、そうですぅ!」
…撤回。双子姉妹が、アインズ・ウール・ゴウンの言葉を全肯定するかの発言。
かなり尊敬されているな、この王様。
「さて………………んん………?」
此処で魔導王が俺に顔を向け、骸骨顔だからハッキリと断言出来ないが、一瞬だが思案した様な仕種を見せた。
「その顔…以前、私と会った事が有るかな…?」
「いや、初対面だ。
ユグラドシルの
そして、この質問。
何かを思い出そうとした様な雰囲気で、俺に尋ねるが、俺には何の心当たりも無く、それを正直に答える。
「そうか…では、改めて名乗らせて貰おう。
私はアインズ・ウール・ゴウン。
魔導国アインズ・ウール・ゴウンを統べる王だ。
…貴公の名は?」
「…タナカ。セージ・タナカだ。」
「「!!!?」」
俺が名乗ると、この魔導王は またも、何かを思い出した様な…そんな雰囲気を醸し出し、
「えええぇーーーーーーーーっ?!!」
ピカァ…
顎が外れるんじゃないかという程に、あんぐりと大口を開いての驚き顔。
そして体から緑の光を放つ。
「セージ・タナカって その顔…
ま、ま、ま、まさか、田中先輩??」
緑の光を放出しながら、此方に指を差し、動揺口調で聴いてくる骸骨男。
俺を「先輩」と呼ぶ人物は限られている。
ましてやユグラドシルのプレイヤーとなると、1人しか浮かんでこない。
「お前…まさか鈴木…か?」
「きっきっき、貴様!
アインズ様に対して『オマエ』とは、何様でありんすか!?」
「万死…ッ!!」
「てゆーか、スズキって誰?!」
「いや、待てっ!構わぬ!!」」
俺の言葉使いに、何人かキレた反応を…いや、この場の全員がキレた顔をしているが、魔導王が それを鎮める。
「あぁ!やっぱり先輩だ!
はい、鈴木悟ですよ!
先輩もユグラドシルをプレイしていたんですね!
いや、凄く嬉s…チィッ、抑制されたか。」
そして やはり、鈴木だったか。
ハイテンションで喜んだかと思えば、また体が光って冷静なラスボス口調へと戻る。
恐らく鈴木からすれば、200年振りに知り合いと出逢えたのだろう、凄く嬉しそうな感じだ。
「あ、アインズ、様?」
「コレハ…?」
部下であろう者達も、自分の主の変わりっ振りに、どういうリアクションを見せたら良いか、分からないと云った感じだ。
「セージ・タナカ…様…?」
そんな中、俺の名を呼ぶ声が1つ。
「もしかして、田中誠司様…なのですか?」
「は…はい…」
白ドレスの美女さんだ。
理由は分からないが、どうやら俺を知っているらしい彼女の質問に『はい』と応えると、この美女さんは顔を赤らめ、瞳に涙を潤ませると、
「嗚呼、ずっと…ずっと お逢いしとう御座いました!」
ガバァッ!
「え?」
「田中様…田中様ぁ~っ!
ん、ん~~~~~~~~~~…レロレロレロ♡」
「な゙っ!?」
「ムッ?」
「いぃっ?!」
「ま゙っ!?」
「ひぇっ?!」
「ぬ?」
「は?」
「おぉ~っす?」
「む?」
「へ?」
「あ~?」
「うわぁ…」
「え…えぇぇぇ~~~~~~っ?!!」
高速タックルの如くで俺を押し倒すと、その儘マウントを捕って、いきなりキス(深いヤツ)を繰り出してきて下さいました!?
次回
『タナカの
感想よろしくです。