鈴木悟の職場の先輩が、ユグドラシルのサービス最終日に新規ユーザー登録しました 作:挫梛道
バトル回!
◆タナカside◆
「パト!エミール!バゥ!…ギギギギィッ!」
エ・ランテルのモンスターによる襲撃事件。
俺達【獣神】は街の外で
迫る天使型モンスター(雑魚)を蹴散らした先に見たのは、よく知った4人が仲良く、上半身を地面に埋めらている光景だった。
「だから、違ぅ…僕の名
ガタッ…
俺の声に反応したのか、その内の2人は地中から起き上がるが、内1人は何かを言おうとして その途中、また直ぐに崩れ落ちた。
「貴様は大丈夫なのか?」
「ああ…この鎧の お陰で、何とかな…」
そして、もう1人。
ドラゴンをイメージさせる様な、白の全身鎧。
一見戦士100㌫だが、実は
「気を付けろ…ヤツは、手強い…!」
よろめきながら、自分達を倒した敵を、指差すバゥ。
ゴゴゴゴゴ…
その先には、多くの魔導国戦士団員や冒険者達が横たわった中心で…
「「「う…」」」
「くっ…」
…って、アレ、クライド達じゃないか!
アイツ等も既に やられてたのかよ!?
それで良いのか?アダマンタイト??
…兎に角その中心で、異様な
「アレは、確か…」
「ああ。エヌターク・ABR。
ユグドラシルの上位のカキンガチャ・モンスターだ。」
それを見たベートと はにゃーんが、険しい顔を見せる。
上位の課金ガチャ・モンスターだと?
「…強いのか?」
「無傷は…難しいな。」
大剣2本を装備、頭部だけで無く体にも顔を持つ、如何にも見た目強そうな、メカっぽい大型モンスター。
はにゃーんの「無傷は難しい」はイコール、「勝てない相手では無い」という事。
「へっ!いざとなったら、タナカを盾にして、凌いでやるぜ!」
「その為の、絶対卑怯防御だからな。」
「うぉおおい?!」
リーダー! 俺、一応チームのリーダーだぞ!?
確かに一番安全且つ、有効な手段では有るだろうけど!
「と、兎に角、行くぞ!」
「応よ!」「了解!」
…と、戦闘突入しようとした時、
「ま、待て…俺も、戦る…!」
加勢を申し出る声が。
「俺も まだ、戦える…」
ヴァゥリィ・ルツファルだ。
しかし この男、先程のダメージで、とてもじゃないが そんな風には見えない。
仮に万全だとしても、俺達の戦闘スタイルに着いて行けるとは思えない。
「無理するな。
まだ あっちで埋まってるヤツを掘り起こすのが、先だろ?」
「…………………。」
戦る気逸るヴァゥリィを説得して下がらせると、
ダダダッ…
「どけどけとけ!」
「ソイツは、俺達が殺る!」
「貴様達は、他の敵を倒せ!」
「「「「おぉ、【獣神】!!」」」」
エヌターク・ABRと距離を開けつつ、武器を構えての睨み合いをしている戦士団や冒険者達も退かせて、前に出る俺達。
「ライトニング・スフィア!」
ヒュィィィン…pi pi pi…!
そして先制の攻撃。
はにゃーんが遠隔操作の雷球群を喚び出し、
ボォゥワッ!
「「…!!」」
それに対してエヌターク・ABRは反撃とばかり、ボディの口から燃え盛る火焔を吐き出す!
「ふっ! タナカ・バリアー!」
ぐぃ…
「止めんか!」
こ、この女、マジやりやがった!
いきなり俺を前面に押し出して、その後ろに隠れやがった!
確かにチートの お陰でダメージは全然無いが。
客観的に、理想の
これ、ナザリックの皆さんが見てたらブチキレ必至案件だぞ!(多分、見てる)
後のフォローが大変だぞ!?
「メタリックゲル・アローンも真っ青な防御力だな。」
しゃぁらっぷ!
ガィンッ!
そしてエヌターク・ABRの追撃。
一刀両断の大剣は空を切るが、その儘それを地面を叩き衝け、砕かれた石畳の破片が散弾の様に俺達に迫る。
ベートは それをクロスガードで
そして俺は、敵の背後に回り込む様に避け、
「行くぜ、ベート!」
「応よ!」
ダッ…!
「「クロス・エッジーーーーッ!!」」
バギィイッ!!
レッグ・ラリアートと延髄斬りのコンビネーション。
これで頭部が首ちょんぱとなった。
「「「「「「「( ;゚Д゚)…………………………。」」」」」」」
それを見た戦士団や冒険者の皆さんが、揃って
メカ系モンスターだからか、頭を喪っても、普通に攻撃をしてくる。
ぶぅん!
「おぉっとぉ!?」
俺に向けて大剣を横凪ぎに振るい、更には
ブォオワッ!
それ等を躱すと今度は再び、広範囲に激しい炎を吐き出してきた。
「ちぃっ!」「…くっ!」
ベートと はにゃーんは防御しながら回避するが、俺は それを避ける事無く、逆に炎に…その大元に特攻。
ガシッ…ぐいっ…
大口の中に手を突っ込み、火炎放射の
これでブレス攻撃は封じた!…筈。
ぼぉんっ!…プスプス…
それが原因か、口の中で小さな爆発が起き、黒い煙を吐き出すエヌターク・ABR。
「タナカ!退がれ!」
此処で はにゃーんが声を飛ばす。
ヴォヴォヴォ…
上空を見ると、16機の
「貴様なら諸共でも、別に問題は無いのだがな?♡」
「大有りだ!」
敵から距離を空けたと同時、ライトニング・スフィアは高速旋回、
「《
檻を作るかの様にエヌターク・ABRの周囲、そして本体目掛けて雷撃の雨を降り注がせる。
ズバババダダァン!!
轟雷の直撃。
超強力な雷を浴びせられ、この課金モンスターは五体バラバラとなり、その場で崩れ、そして消滅した。
屍や残骸が残らないのは、課金や召喚モンスターの仕様だな。
「やったぜ!」
「ふん、当然だ。」
勝利の感情を、素直に表したり現さなかったりな
「「「「「「「( ;゚Д゚)…………………………。」」」」」」」
そして戦士団や冒険者の皆さんは この反応。
ん。とりあえず その
…また、そんなに派手だった?
加減誤った?
また鈴木からの説教コース?
周りを見渡せば、その冒険者達も、その他の
これで この場の敵は、全て倒したかな?
「タナカさん!」
「ベート!はにゃーん!」
「「「?」」」
そういう風に思ってると、俺達を呼ぶ声が。
その方向を見ると、バステト、エイデイ、その他。
「だ、誰が その他ですか?!」
「差別だにゃ!」
「お前達…避難してたんじゃなかったのか?」
「心配しなくても、戦闘力を持ってない者は皆、安全な場所に居るさ。」
「しかし お店を攻撃されて黙ってる程、私達は大人しくは有りません。」
「そういう事DA。」
つまり、
「それで店の前の敵を一掃した直ぐ後、此方から派手な爆音が聞こえたから、駆け付けてきたのじゃよ。」
「あれだけな非常識な音だ。
もしかしてとは思っていたが、やはり お前達だったか。」
非常識とか言うな。
…って、周りの連中!
お前等も、何を『うん、うん』とか頷いてやがる!?
「ふん…雑魚が思っていた以上に、やりおる。」
「「「「「???!」」」」」
そんな勝利ムードの中、それを興醒めさせる様な…或いは再び緊張感を呼び起こす様な発言が。
「ふん…」
その声の主は、何時から其処に居たのか…商人な風体の、小太りな中年男。
モブ冒険者達の中で、腕組みをして立っていた。
「マ、マッカさん?」
「知っているのか?」
「はい。私達の お店に、食材等を卸してくれている商人さん…ですが、あれは…?」
それはバステトの知り合いだった様だ。
「おい、オッサン?
そりゃ一体、どーゆー意味だ?」
冒険者の1人が その台詞を芳しとせず、輩の様に問い詰めようとして、
バキィッ!
「うぎゃん!?」
中年男が放った裏拳で吹き飛ばされた。
ザザザッ…
それを見て、その場の全ての者が表情険しく武器を構え、この商人を囲む。
「貴様!何者だ?!」
そして戦列に復帰したクライドが代表するかの様に、切っ先を向けて問い質すと
「ふっふふ…くっくくく…はーっはっはっはっは!」
この商人は下品に笑い、
シュゥゥ…
体全身を淡く光らせ、正体を露にした。
背中の白い翼と頭の光の輪は、天使の それ。
但し、街を襲っていた召喚モンスターじゃない。
人型の、男の天使だ。
「私の名はイザイヤ。
貴様等人間風情には…ふん、一部、そうで無い者も居るか。
貴様等には教える必要も無い、とある至上なる御方に仕える…見ての通り、天使だ。」
「………………………。」
「タナカ、アイツは…」
「…分かっている。」
そもそも今回の襲撃、
ならば次に確認すべきは、それを指揮していた者が、プレイヤーなのかNPCなのかの見極めだったが その口調…『至上なる御方』という、何処かのシモベみたいな言葉を口にした事からして、どうやら後者の様だ。
ギルド長のソロが、同等な筈の他プレイヤーにも そんな俺様対応なのは考えにくい。
尤も対外仕様で、そういう
「それで そのイザイヤ・サンとやらが、何の用だ?このハゲ!」
ベート…コイツ、言いやがった…
そこはオブラートだろwww
「ふん、知れた事。
召喚したモンスターだけで済めば、それで良かったのだが、それ等が全て倒されたのでな。
だからこそ、この都市を滅ぼす為に私が出てきた訳だ。
見た感じ、殆んどが雑魚だが、そうで無い者も居る様だしな。」
ベートの
「都合の良い事に、この街の強者は この場に集まっている様なので、此処で纏めて退場して貰おうか。
この都市を滅ぼすのは、その後だ。
そして 貴様等の行き先は地獄だ!
喰らえ!そして死ね!《
ゴォォオッ!
そう言って自分を中心に、風系の魔法…竜巻の刃を周囲に放つ天使イザイヤ。
「《
バシュッ
「ちぃ、小賢しい!」
しかし それはバステトが唱えた防御魔法によって全て弾かれ、此方の被害はゼロに。
「…私からも、貴方に聞きたい事が有ります。」
そして そのバステトが、イザイヤに話し掛ける。
「この街…いいえ、魔導国の主要都市は現在、結界に被われていて、ナザリック関係者以外の直接の、街の内側への転移は不可。
各砦門で身元確認を受けた後、初めて入場出来るシステムです。
答えは予想出来ますが…貴方は どうやって、この街に入ったのですか?」
「ふん! 予想出来てるのだろう?
その通りだ! 街の外、荷馬車を引いていた人間を殺してソイツに化け、そして普通に
「やはり、そうでしたか…!」
バステトの質問に、イザイヤは悪びれる事も無く、寧ろ誇らし気に答える。
「罪も無い一般人を殺すとは、とんだ天使様だな?」
「ん?罪も無いだと?
何を言っているのだ?貴様は?」
続く俺の台詞にも、この
「この国の民は あの悪の権化、アインズ・ウール・ゴウンの配下なのだろう?
あの『悪』の下僕ならば、それだけで『悪』!
故に断じるのも何の問題も無い!
当然、この街を攻撃したのも、『悪』を討つための『正義執行』だ。
『悪』は滅びるべき…そうは思わないのか?」
「………………………………。」
うっわぁ…凄い『俺様絶対正義理論』。
これは何を言っても無駄なヤツだ。
「巫山戯るな!」
「魔導王様が悪だと?!」
「何を言ってるのよ!?」
「クスリやってんのか、テメー!」
「病院逝け!」
「メンタルへ!」
これを聞いた冒険者達も、文句殺到。
昔、この地に転移した直後の虐殺制圧は確かに酷かったらしいが、統治後は恐怖性を徐々に緩め、約100年前からは人間の他、あらゆる種族に対しても優しい善政を敷いていた鈴木(スレイン除く)。
今の国民のリスペクトは、決して低くない。
「ふっ、お遊びは お仕舞いだ。
先の攻撃は防げたが、これは凌げるか、小娘!…《
ボゥッ!
「…!!」
この冒険者達からの罵声は気にならないのか、完全無視。
それ以上に先程、自分の魔法を遮断されたのが悔しかったのか、バステトを標的に定めたイザイヤ。
魔法で作った槍を投擲するが、
「おぅらよっと!」
バシッ!
それは間に割って入ったベートの蹴り上げで、届く事は無い。
そして此方側のターンは、これで終わりでは無い。
「「にゃんにゃん波ぁっ!」」
バシュン!
「がほぉっ!?」
普段は猫カフェでウェイトレスをしている、黒髪猫耳の痴女っ娘と白髪猫耳のロリっ娘の姉妹が仙術氣弾を放つ。
「「だ、誰が痴女っ娘だにゃ?!」
ロリっ娘ですか?!」
はい、無視無視。…と言うか、モノローグに突っ込むのは
「雷王拳!」「ラミアン・ナーガ!」
バキバキバキバキッ…ドゴォッ!
「な…なななっ…?!」
そして次。普段は猫に変化して接客をしている2人の女性NPC。
褐色肌の黒髪ポニーテルが雷を纏った拳のラッシュ。
続けて赤髪の お色気系?が半人半蛇(美女)のモンスターを召喚、それを使役しての攻撃。
ダダッ…
更には高速ダッシュしたエイデイが、自分の間合いに入るとジャンプしてハゲ頭を脇に捕らえ、
ぐるん…ずどんっ!
「ぐぉっ?!」
その頭を支点に身体を旋回、その勢いで脳天を地面に打ち付ける、飛び付きのスイング式DDT。
「な…何なのだ、あの男は?
高飛車な割りには、大して強くないぞ?」
一連の攻防を見ていた はにゃーんが、呆れ気味に呟く。
それは、俺も思っていた。
あのイザイヤと言う男、ナザリック基準で言えばプレアデスよりかは強いだろうが、守護者のレベルには至っていない。
つまり偉そうな態度の癖に、俺達よりかは全然弱い。
ついでに言えば、ネコさま大王国の戦闘型NPCは、上は守護者級、下もプレアデスと同等レベル。
特にエイデイは変則ルールだが、一応は俺を負けの一歩手前まで追い詰めた実力者だ。
「ぅぐぐ…」
「これで終わりです!」
そして頭部と言わず、全身に大きなダメージを受け、よろよろと立ち上がるイザイヤに、バステトが魔力を溜めながら必殺の宣言。
「お店を壊されただけでは有りません。
マッカさんは食材や その他の備品を、お店に安く提供していてくれた、凄く良い人だったのです。
それを訳の解らぬ理由で殺めるなんて…経営者的にも、万死!」
え? 店長?怒るの其処?
「《
ドッゴォォオッ!!
「ぐへゃぇっ!?」
魔力が解き放たれて石畳を破り、その下から出てきたのは、土と岩で出来た巨大な腕。
その豪腕が空に向けて突き出した握り拳の一撃を受け、イザイヤは天高く飛ばされ、
グシャァッ!
頭から垂直に地面に落下、激突した。
「く…こ、小娘ぇ…!」
しかし それでも…戦闘続行は難しそうだが、それでもイザイヤのHPはゼロには ならない。
落下中、翼を羽ばたかせ それをブレーキ代わりにして、激突時のダメージを軽減させた様だ。
無理に体を起こしながら、バステトを睨み付けるイザイヤ。
「よし!今度こそ終わらせるぞ!」
「「応!」」
それを見て勝負所と判断した俺、ベート、エイデイがトドメを刺さんとばかりに走り込み、
ボォウッ!
「「「!!!?」」」
トリプルの飛び蹴りを放とうとした時、このハゲを護るかの様に、突然 炎の壁が地面から噴き出した。
「其処迄です。
まだ、その者を死なせる訳には往きませんのでね。」
「「「「「っ??!」」」」」
そして、また新しい声が。
声がした先、建物を見ると、その屋根の上には何者かが1人。
背には巨大な蝙蝠の様な翼に、銀の尻尾。
そして赤橙のスーツを着て、顔を不気味な嗤い顔のデザインの
「…………………………………。
お、お前は…?」
い、いったい あいつは、なにものなんだー?(棒)
①
エヌターク・ABR…エビルエスターク(ドラクエⅦ)
イザイヤ…イザヤール(ドラクエⅨ)
…のイメージで
②
次回『仮面の悪魔、再び!(予定)』
乞う御期待!