鈴木悟の職場の先輩が、ユグドラシルのサービス最終日に新規ユーザー登録しました   作:挫梛道

33 / 60
 
語り役に、『あの男』が登場!
 


仮面の悪魔!

◆タナカside◆

「あ、アイツは、まさか!?」

「知っているのか、クライド!」

「はい!」

つるっ禿げ天使にトドメを刺そうとした時、それに「待った」を掛けた、謎の男(笑)。

その姿にクライドは何か、心当たりが有る様だった。

 

「恐らくですが、アイツは…」

ヤルダバオト。

クライド曰く、今から200年前…魔導国建国前、この地が まだリ・エステーゼ王国と呼ばれた頃に現れたと伝えられる悪魔。

当時の王都を炎で囲み、人々を恐怖に陥れるも、初代ロンズデーライト級伝説の冒険者"漆黒の英雄モモン"の強さの前に、退散したらしい。

その後も世界 征服 統一を進めていたアインズ・ウール・ゴウンの前に、何度か姿を見せたとか。

…はい、知っています。

そして その正体は、どう見てもデミウルゴス100㌫です。

 

ざわ…

 

クライドの言葉を聞き、冒険者達は警戒を強める。

仮面の悪魔ヤルダバオトの伝承は、それなりに根強く残っている様だ。

 

「「「「………………………。」」」」

しかし、警戒し過ぎているのか、誰も次の行動(アクション)を起こさない。

警戒と言うより、ビビっているの表現が正しいか。

但し、デミウルゴスのレベルを考えると、それが正解なのも間違い無いのだが。

デミウルゴス(ヤルダバオト)が出張るのは聞いてないが、そうなっている今、既に何らかの()()()が始まっているのは解っているので、下手な脚本破りは止めた方が良い。

 

「…まさか、伝説の悪魔が、天使と連るんでいたとはな?」

「さあ?何の事やら?」

だが、互いに黙りじゃ埒が開かない。

話を進めようと俺が口を開くと、デミウルゴス…この場合はヤルダバオトと言うべきか?…は惚けた返事を。

 

スタ…

 

「私は只、とある至上なる御方に命じられ、この者をこの場から立ち去らせる為に来ただけです。」

そして屋根から ゆっくりと飛び降りると、この場に姿を見せた目的を語りだした。

 

「貴方も何をしているのです?

さあ、この場は私に任せて、早く お逃げなさい。」

「…………………………。

貴様、何者だ?」

「それについては、教える義理も義務も…貴方が知る必要も、有りません。」

イザイヤからすれば、正体不明の人物が、いきなり自分を逃がすと言って現れたのだ。

当然の様に疑いの目で尋ねるが、ヤルダバオトは それには応じない。

 

「…礼は言わぬぞ!」

「はい。また、御逢いしましょう。」

 

バサ…

 

それでも この場に留まるのは悪手としたか、ダメージにより片膝着いていた身を無理に起こすと、翼を羽ばたかせ、空の彼方へと消えていった。

 

「…ふむ。」

それを見届けたヤルダバオトは満足気に呟くと、

「それでは魔導国戦士団並びに、冒険者の皆様。

私も これで、失礼させて頂きます。」

優雅に一礼して(何処かの埴輪面みたいな、オーバーアクションとは違う)、自分も此処から立ち去ると発言。

 

「先に言っておきますが、私は今回、破壊も殺戮も命じられておりません。

故に要らぬ真似は、止すべきですよ?」

「「「「…………!!」」」」

そして俺達に、矛を納める様に言い諭す。

それは帰還を邪魔するなら、この場が地獄絵図と化すと言ってるのは、此処に居る全員が理解出来た。

 

「…不本意だが、それしか選択肢は無いみたいだな。」

「はい。それが聡明な判断です。

如何に最上級冒険者の貴方と云えど、周囲への被害が全くの無しで、この私を討つのは…不可能でしょうから!」

「……………。」

高速タックルからグラウンドに捕らえ、全身の関節バキバキに極めたら それで終わる気もするが、それは口にしないし、行動も起こさない。

 

「…行くなら、さっさと行けよ。」

「はい。御言葉に甘えまして…

それでは冒険者の皆様、御機嫌宜しく!」

 

バサァ…

 

雰囲気的に、何時の間にか この場の代表(リーダー)っぽくなっていた俺が、仮面の悪魔に退場を促すと、デミウルゴスは翼を広げ、先程のイザイヤと同じ方向の空へと飛び去って行った。

 

「お、終わった…のか…?」

それを見て、誰か口にした。

 

「勝った…?」

「…勝ったのか?」

その呟きは徐々に連鎖していき、

「勝った!」

「俺達の勝利だ!」

「勝ったどーっ!」

「よっしゃーっ!」

その台詞は何時しか、疑問形から確信形へと変わっていく。

 

「タナカさん、締めましょう。」

「俺かよ?」

そしてバステトが俺に、戦場の締めの号令を薦めてきた。

 

「いや、一応は国の戦士団も居るし、その団長とかの仕事だろ?」

本当に この店長さんは、何を言っているのでしょう。

そういう人達を差し置いて、一介の冒険者風情が する事じゃない。

ついでに言えば、この戦闘のMVPは、最後に大技出した、アナタでしょ?

俺は、違うと思うぞ?

 

「…本音は?」

「タルい。目立つの嫌い…って、おいっ!?」

「はぁ~い、こっち注目にゃー!

タナカが勝利の雄叫びを上げるにゃー!」

「ぅおぉいぇ?!」

このバカ猫姉妹ぃ?!

 

「「「「「じー…………………………」」」」」

そして それを聞き、俺をガン見する皆さん。

 

「ま、この中じゃ、アンタが一番強いし、確かに妥当だろ。」

「リーダーだしな♪」

「こーゆー時だけリーダー推しかい!?」

「クス…皆さん、期待してますよ?」

「「「いよっ! 最上級、ロンズデーライト級冒険者!」」」

…ったく、しょうがねぇな。

 

「敵は全て退けた!

…俺達の、勝利だ!!」

「「「「「「うぉおーーーーーーっ!!!!」」」」」」

 

 

◆タナカside・了◆

 

▼▼▼

 

◆アインズside◆

「…その様な訳で、結果的、前回迄に考案していた、【セラフィム】を誘きだす策は必要無くなりました。」

現在 会議室で、今回のエ・ランテル襲撃の件について、デミウルゴスが報告している。

 

「そして現在…件の天使には逃がす際、その影にフウマ、ハンゾウ、シャドーデーモン、そして弐式炎雷様に変化した、パンドラズ・アクターを忍ばせました。

尚、パンドラズ・アクターの変化ですが、此れは事前に、アインズ様からの御許可を得ております。」

そう。既にパンドラ達は、敵の拠点の中に居る。

つまり、あの浮遊島の現在地も、既に判明している。

本当だったら、プレイヤーでもNPCでも良いから誘い出して拉致って、それから洗脳等で ある程度の情報を得た上で、弐式炎雷さんに化けたパンドラを忍ばせて解放する予定だったのだが、それを皆に伝える前の、まさかのエ・ランテル急襲。

其処に先輩も戦闘参加してきたので、指揮官がトドメ刺される前に、慌ててデミウルゴス(…とパンドラ達偵察班)を現地に飛ばせた訳だ。

急な話だったので段取りも何も無かったが、「デミウルゴスなら きっと何とかしてくれる!」と信じていた。

事実、このナザリックの知恵者は、この事態も想定内だったのか、パンドラ達に何時でも動ける様に準備させていた。

結果、拉致→洗脳→情報収集こそ出来なかったが、概ね計画通り。

しかし、位置が分かったからって、直ぐに殴り込む様な真似は しない。

兎に角 敵を調べて調べて調べ抜いて対策を立て、そして攻めるのが、俺達AOG(アインズ・ウール・ゴウン)流。

 

【戦闘は始まる前に終わっている。】

 

…そうですよね、ぷにっと萌えさん!

 

  

◆アインズside・了◆

 

▼▼▼ 

 

◆パンドラズ・アクターside◆

スタタタタタ…

現在、弐式炎雷様に変化させて戴いての、浮遊島を捜索中で御座います。

この浮遊島、地上からは その姿を確認出来ませんでしたが、上部は水晶の城という表現が相応しい、非常に美しい造りの立派な お城でした。

そして その内部…魔法処理が為されているのでしょう、外からの見た目よりも、遥かに広い構造です。

スタタタタタ…

弐式炎雷様の隠密・潜伏スキルを用い、凝った装飾の柱や彫像の影から影への移動を繰り返して城内を探っておりますが…何と言いますか、我等がナザリック地下大墳墓と比べて この城は、警備のシステムが かーなーり、ザル…ですね。

常時 天高い位置に浮かんでおり、不可視の結界(バリア)を張っている故の慢心なのでしょうか、防衛面には然程容量(コスト)を使わなかったみたいですね。

今回のデミウルゴス殿を介して ん~アインズ様っ!から承った使命ですが、

 

①浮遊島の見取図の作製…やはり、攻めるべきダンジョンのマップは必須です。

抜け穴 隠し通路も見逃さず、そして罠等の仕掛けも完全網羅、Vollkomme!…な地図を作り上げてみせましょう!

②敵戦力確認…敵を知るのは基本中の基本で御座います。

特にソロなるギルドマスターの他に、どの様なユグドラシル・プレイヤーが居るのか?

シモベは如何なる者が居るのか?

そして その数は?

今回の襲撃の指揮を執っていたという天使。

複数人掛かりと云え、ネコ様大王国の皆様だけで圧倒出来たレベルらしいですが、其れが最大戦力とは、とても思えない…それが実際に その場面を見たタナカ様、デミウルゴス殿の見解。

はい!これも城内の者、全てをデータとして纏めてみせましょう!

そう! Vollkomme!…に!

…尚、この度の任務、それを相手に悟らせる訳には参りませんので、如何に対象が隙だらけで在ろうと、暗殺するのは禁止されております。

それで我々の存在がバレたら、警戒レベルを上げられてしまいますからね。

③その他、情報収集…その儘の意味ですね。

使えそうな情報は、全て拾う…という事です。

…なのですが、この場合はあれも、その報告の対象と、なるのでしょうか?

 

それに致しましても、弐式炎雷様の隠密スキルは改めて素晴らしい!

私、変化(コピー)させて頂いた御方々の能力は8割程しか再現出来ないのですが、それでも隠密特化のハンゾウ達の能力を上回っております。

それが、至高の御方たる所以なのでしょう。

…っと、向こうから誰か、此方に向かって来ていますね。

ならば再び影に忍び、この場を去るで御座るに御座います。

スタタタタタ…スタタタタタ…

 

 

◆パンドラside・了◆

 

▼▼▼

 

◆アインズside◆

「…聞いての通りだ!

敵戦力分析の後、彼方に待機しているパンドラズ・アクターを基点に転移。

今度は此方から、攻撃を仕掛ける!」

デミウルゴスの一通りの説明の後、此方からの攻撃…反撃を宣言。

 

「おおっ!」

「わぁ…っ!」

「オォ…!」

それを聞いた守護者達も、感嘆の声を上げる。

皆、戦る気は十分な様だ。

斯く言う俺も、何だか燃えてきた。

久し振りの、GvGだ!

 




 
①パンドラの語りは、書いてて楽しかった(笑)
②vollkomme…ドイツ語で完璧の意味
 
次回『GvG(予定)』
乞う御期待!
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。