鈴木悟の職場の先輩が、ユグドラシルのサービス最終日に新規ユーザー登録しました   作:挫梛道

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【前回の あらすじ】
アインズ様、あの者は男神に非ず。
一応は女神にて御座います。
 


身内認定した途端に優しくなり過ぎるヒト達(笑)

◆タナカside◆

げ?! ロキ…

酒場に入ってきた集団。

その先頭のを見て、ヘスティアが思いっきり顔を歪ませた。

そして拘わりたくないのか、鈴木の背後に身を隠す。

ロキ。

俺達が この世界に転移した初日。

返り血塗れになってホームに戻ってきたベルが一目惚れしたとか言ってた、女冒険者が所属しているファミリアの主神。

…で、その神とヘスティアは、かーなーり、仲が良ろしくないと。

…??!

いや、ちょっと待て。

俺達も この世界に流れてからヘスティアから聞くだけで無く、自分達でも色々と情報を集めていた。

有力ファミリアについても当然 調べた。

そして その内の1つ、ロキ・ファミリアはベルが惚れたというアイズ・ヴァレンシュタインだけで無く、有名な実力者を多数揃えた、かなりの規模な集団だとか。

しかし そのロキって確か女の神だった筈。

あれ、どう見ても男じゃね?

いや、敢えて何処が…とかは、言わないけど?

 

「それじゃー、皆。とりあえずは遠征、乙ー。

今宵はガン盛りで騒ぐでー。」

「「「「「おーーーーーっ!」」」」」

そして その神の音頭で、向こう側も宴会が始まった。

遠征…恐らくはファミリアの主力総出でダンジョン深層部へ進出、その帰還を祝しての宴なのだろう。

 

「うぐぐ…」

「神ヘスティア? 気にする必要は無いわ。

ウチはウチ、他所は他所。

心配しなくともベルは、直ぐに名の売れる存在になる。

そしたら彼を慕い、入団する者も増えるわよ。」

その賑やかな酒の席に、零細ファミリアの主神様が嫉妬混じりに向こうを睨む処を、アルベドがフォローに入った。

 

「そ、そうだよね、ベル君は努力してるしね!」

「そうよ! 何よりも、ベルを指導しているのはセージ様を筆頭にした魔導国の強者達!

これで成果が出ないなんて、有り得ないわ!」

「あー…」

少し酒が入り、普段より少しだけフレンドリーになっているアルベドだが、それでも魔導国SUGEEEEEE!な思考は、ぶれていない。

 

≫≫≫

「あっ、そうだアイズ! お前、あの時の話を聞かせてやれよ!」

「…あの話?」

そして向こう側も酒が進み徐々に盛り上がっていき…

何処かで見た様な…耳や尻尾が猫か犬か位しか違わない、顔付きや声口調そのまんま…そんな知り合いそっくりな男が、アイズなる少女に大声で話を振っていった。

アイズ。ベルが惚れたという…成る程、ベルは あーゆーのが好みなのか…物静かそうな雰囲気の少女が、何の事か解らない様な反応を示す。

 

「あれだって、ほれ!

帰る途中、何匹か逃がしたミノタウロス!

最後の1匹、お前が5層で殺っただろ?

んでよ、あん時居たトマト野郎!」

「……………………っ?!」

かなり酔っ払っているのか、離れた席に着いてる俺達にもハッキリ聞き取れる大声。

その話を聞いたベルの食事の動きが止まり、顔を赤く…いや、青くした。

 

「えーと、ミノタウロスって、17階層で襲ってきたのを返り討ちにしたら、集団で逃げ出していったアレ?」

「そーそーそれ。奴等 俺達の強さにパニクって、どんどん上層に上って行きやがって、俺達が泡食って追い掛けてったヤツ!

…でよ、その先に居たんだよ。

如何にも『僕、駆け出しなんですぅ』って感じな、青っ臭ぇ新人(ガキ)!」

「いや待て。笑える話じゃないぞ。」

「そうよ。どーなったのよ、その子?!」

「心配すんなって。

ガキが殺られる前に、アイズが牛を微塵斬りさ。

…で、笑えるのは その先なんだよ。

それで その白髪のガキ、あの牛野郎の返り血を全身に浴びて…真っ赤っ赤な完熟トマトに なってガクブルしてんだぜ!

ギャハハハハ…腹痛ぇっ!!」

「………………………。」

その会話に、更に顔色を悪くするベル。

もしかしなくても、俺達との初対面、全身血塗れになっていた時の話だな。

 

「…ベル君?」

「ベル?」

ベルの様子に気付いたか、隣に座っているヘスティア達が心配そうに声を掛ける。

 

「…でよ? そのトマト野郎、アイズが『大丈夫?』とか声掛けてんのに何か叫びながら、どっかに行っちまってんの!

くっくく…ウチの お姫様は、助けた相手に逃げられてしまいました!」 

「アッハハハハ! そりゃ傑作やぁー!

冒険者 怖がらせてしまうアイズたん、マジ萌えー!!」

 

ガタッ…ダダダダッ…!

 

「ベル君?」

「ベル?」

「ベルさん?」

そして自分を出汁(ネタ)にされた会話に限界が着たのか、ベルは顔を赤くし、無言で店を走り出た。

直ぐ その後を、ヘスティア、アウラ、マーレが追い掛けていく。

…とりあえずベルの事は、あの3人に任せよう。

 

「「「「「……………………!!」」」」」

…問題は寧ろ、残った面々(コイツ等)だな。

 

 

◆タナカside・了◆

 

≫≫≫

 

◆アインズside◆

…不味いな。

あの人狼の男を、どうにかして黙らせないと…少なくともベル・クラネルの話を止まさないと、此の場が惨状になってしまう。

 

「…………………………。」

先輩も その表情からして、同じ事を考えているだろう。

ベル・クラネル…ベルは かなりな人たらしだ。

バイト初日、秒でクビになったナーベラルを親身にフォローしていたり。

教会のリフォーム…大工仕事に精を出していたデミウルゴス達に『御苦労様です』と軽食を差し入れしたり。

そしてそれは、シャルティアやアルベドのバイトの売上にも繋がったり。

更にはセバス達による戦闘訓練。

ルプスレギナの回復魔法(アフターケア)が有るにしても、その血の色を問いたくなる程な非道い内容にも心折る事無く、必死に食い下がっていく様は、根が武人なセバス、コキュートスは必然…ソリュシャンにも、決して悪くない印象を与えていた。

ついでに先輩の、『今のアイツは俺の弟分みたいなもんだよ』の発言に、『…でしたら、私の義弟も同然ですわね♡』とばかり、アルベドが…()()アルベドが、本当にというか普通に、まるで姉みたいに優しく接しているのだ。

ベルの俺達に対する振る舞い。

それは、今は俺達の殆どが人化した為に、情が入り易くなっている可能性を入れた上でも、既に俺達からすれば、"身内"な認識となっていた。

 

「…しかし、久々に胸糞悪くなったな。

あんな情けねー奴を目にしてよ。」

…だから、いい加減に その不愉快な口を早々に閉じろ。

 

「「「「「「「………。」」」」」」」

これは人狼、お前の命の事を思っての事だぞ?

お前には、此方から満ち溢れる殺気を感じられないのか?

 

「ベート。いい加減その口を閉じろ。

あのミノタウロスの集団を逃がしたのは、我々の不手際だ。

巻き込んでしまった その少年に謝罪する必要は在れ、酒の肴にする権利は無い。恥を知れ。」

「おーおー♪ 流石は誇り高きエルフ様。

…でもよ、そんな救えねえ奴を擁護して、何になる?」

彼方側も過ぎた発言と思ったか、上位と思しきエルフの女が窘めようとするが、人狼は それを聞き入れる様子が無い。

 

「これ、2人共 止めや。

んな言い争い…酒が不味ぅなるわ。」

これに向こうの主神が割って入るが、貴様 先程、ベルがアイズ・ヴァレンシュタインから逃げ出したの話で馬鹿笑いしていたよな?説得力が無いぞ?

 

「ケッ!何度でも言ってやるよ。

ゴミをゴミと言って、何が悪い?

あーゆー奴が居たら俺達冒険者の品位が下がるっつーかよ、マジに勘弁して欲しいぜ。

ガキは地下に潜る事無く、家で大人しく、ママの おっぱいでも しゃぶってりゃ良いんd(バチャァッ!)ぅょっ?!」

そして変わらず、悪びれずに弱者(ベル)を貶めす発言を止めない人狼の顔面に、木製ジョッキが直撃。

顔がワインで ずぶ濡れになった。

 

「…失礼。手が滑ってしまいました。」

「な…テメェ…!?」

デミウルゴスだ。

 

…べちゃ…ガィンッ!

 

「ぐゎっ!?」

そして其処に2片のピザが、更には それが盛られていた皿が。

 

「いや~、めんごめんご。手が滑ったっス♪」

「…同じく。」

「ごめんなさぃ~?」

ルプスレギナ、シズ、エントマだ。

 

「な、何なんだ、テメー等は…?!」

 

ドスッ!x3

 

顔と髪がチーズ塗れになった人狼が、彼女達に文句を言おうと睨み付けた瞬間、今度はフォークが その顔目掛けて、かなりなスピードで飛んでくる。

人狼は生命的危機からの超反応か、それをデミウルゴスが投げ付けたジョッキで受け止めた。

 

「「「…チィッ!」」」

それを見て、アルベド、ナーベラル、ソリュシャンの3人が、本当に悔しそうに舌打ち。

 

「何なんだテメー等!さっきから!?」

「そ、そうやで? こうも続いたら、事故とかじゃ済まんで?」

流石に立て続きに此れは、意図的なのは丸分かり。

当人や主神だけで無く、向こうのメンバーほぼ全員が、此方を敵意剥き出しにして睨んできた。

 

「…鈴木。」

「そうですね。」

此処で先輩が、俺に声を掛けて立ち上がる。

 

「やあ。ウチの連れが、申し訳無い事をした。」

「すまなかったな。少しだけ、酒が入り過ぎていた様だ。」

そしてユリとシャルティアがテーブルを投げ飛ばそうとする前に彼等の前に出て、不快丸出し…特に殺気全開な元凶の人狼の前に出て、頭を下げる俺と先輩。

 

「巫山戯ろ!謝って済む問題じゃねーだr」

 

どぼどぼどぼどぼどぼどぼ…

 

「「すまない。手が滑っt

「巫山っ戯んなよテメー等っ!!」

御詫びにと、各々がジョッキに並々注いでいた酒を頭から馳走すると、この人狼は更に怒りだす。

 

「…だから言ったでしょ?

ビールとワインを同時は不味かったですって。」

「そうだな、反省。」

「違う!其処や無い!」

謝り方が間違っていたかと思っていたら、それを糸目の女…声からするに、本当に女神だった様だ …彼等の主神のロキが、それが誤りだと言ってきた。

 

「おどれ等、何者かは知らんが、ウチ等をロキ・ファミリアと知っての行いやな?

身内を此処まで虚仮にされて、只で済むと思うなや?」

「テメー、ぶっ殺してやる!」

ほう?身内を虚仮にしたら、只では済まされない?

言質は取ったぞ?!

  




次回『異端(イレギュラー)正史を蹂躙(シナリオ・ブレイク)するのは間違っているだろうか?』
乞う御期待!感想よろしくです。
 
本編にベート君をモデルにしたキャラを登場させてたの、忘れていました。
単に そっくりさんな認識で、お願いします。
 
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