甘き夜明けよ、来たれ   作:ノノギギ騎士団

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クルックスの蜂蜜
ハニーデュークスから取り寄せた蜂蜜大瓶。
クルックスからセラフィに。そしてカインハーストの先達に渡った。
夏の日の思い出は、今も褪せることなく彼のなかで生きている。
……貴方の一時の歓びになれば、それは俺の幸い。……



クリスマス休暇(中)

 

 眠りは死の感覚と似て、深い眠りに落ちているとクルックスは稀に自分がどこにいるのか分からなくなってしまう。ここはビルゲンワースの学舎なのか。それとも狩人の夢か。あるいはホグワーツなのか。

 目を開いてからしばらく天井を見つめ、今日もホグワーツであることを確認した。ようやく頭のなかにあった状況が現実味を帯びてきた。今は学校にいるのだ。夢を見ていた。その夢では数日の間、青が散る銀灰の宇宙に彷徨っていた気がする。前にも見たことがある夢だった。二年前だ。あの時は、すぐに父たる狩人に見つめられて狩人の夢に引き寄せられてしまった。

 同じ夢を二度見ることはこれまでになかったことだ。いつか夢のことをビルゲンワースの学徒に訊ねてみようと思う。

 

 そんなことを寝起きではしっかりと考えているのに寝間着にしているシャツを着替えて靴下を履き、髪を手櫛で整えている間にすっかり忘れてしまった。人の夢は儚いものであることをクルックスはまだ知らなかった。

 

 忘れたこともあれば、思い出すこともある。

 今日は、クリスマスである。

 階段を降りかけた彼は慌てて自分の寝所に戻った。

 

 ベッドの周りに悪夢の小さな住人、狩人の使者が現れた。

 骸骨か亡者の姿をした彼らだが、クルックスが戻ってきた様子を見て手に手に小さな箱を渡してきた。

 

「お父様からの今年のクリスマス・プレゼント」

 

 小さな箱に納められていたのは赤い宝石だ。もし、完全な円形であったのだとすれば手の平に載せることが出来るほどに大きな宝石だったと思えた。しかし、箱の中に納められた物はどうしようもなく割れている。原型を考えれば、ちょうど四分の一ほどに。

 

「宝石? 砕かれている。なぜお父様が……」

 

 

真っ赤なブローチの四片の一片

 

女物の真っ赤のブローチ

その宝石は、誰か狩人の送ったものだろうか

四片集めれば刻まれた名も見えるだろう

使用により希少な雫の血晶石となり

工房道具があれば、あらゆる武器を強化する

 

 

「どうしてこれが大切なのだろうか……」

 

 クルックスは、まだ分からなかった。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

 凍てつく謁見の間には、変わらぬ白い月光と蝋燭の仄かな青を讃えた焔しか光源がないというのに、不思議と視認するには困らない。

 カインハーストに君臨する女王、アンナリーゼに仕える狩人のひとり、巷では『流血鴉』と呼ばれ、一般通行狩人を恐々とさせ終いには死に至らしめる原因は、女王の謁見の間の隅に立ったまま微睡んでいた。

 

 ──女性同士の話は長いぞ。覚悟しろ。

 

 そう言ったのは昨年の先達だ。その助言を我が事として捉えていなかった代償は、直立姿勢の刑である。女王の御前であるから、学校生活のことを子細に報告しているセラフィに対し「早く終われ」と言うことは出来ないし頭を小突くことも出来ない。その上、女王の前でまさか屈伸運動なども出来ない。

 帯刀している仕掛け武器──極東において、それは刀と呼ばれる形状──千景の鍔を微かに持ち上げては、落とす。特徴的な金属音は、セラフィの耳に届いているハズだ。そして「早く終われ」と内心で呪い続けること約六時間。とうとうセラフィは語るべきことを終えたらしい。玉座の手すりに身を預けて聞いていた女王が背筋をただした。

 

「楽しんでいるのだな。良い。……貴公は、肩に力が入りすぎている。ゆるりと楽しむといい。月の香りの狩人もそう望んでいるのだろう」

 

「ええ。はい。お父様はヤーナムの外の得がたい時間だから大切にせよとおっしゃいます。最初は気の進まないことでしたが、こうして女王様に外の様子をご報告出来ることは、とても嬉しく感じています」

 

「外は不穏なこともあるが、概ね人々は生きて、死んでいる。まともな在り方だな。変化は、貴公にとって良いことでもある。……ああ、貴公はよく笑うようになった」

 

「そんな……そう、なんでしょうか……クルックスにも言われました。けれど僕にはあまり自覚がないのです……」

 

 セラフィは、女王を見つめるとき。

 いつも宝石の如き輝きを見せる瞳は、まるでとろけて恍惚としているように見える。生まれた時から生粋の血族よりもアンナリーゼに心酔しているのだ。

 ──常日頃、自分に向けられる目で女王を見つめている。

 鴉は、女王へ視線を移した。アンナリーゼは冷たい鉄仮面の顔を階段下で跪くセラフィに向けたようだった。

 

「フフ……。楽しい話が聞けてよかった。よく見て、学ぶといい。さぁ、もう休みたまえ」

 

「あぁ、女王様……。僕は、まだ御側にいたいのですが……レオー様のことが心配なので、ええ、下がらせていただきます」

 

 深々と頭を下げたセラフィは、肩のマントを翻して立ち上がった。

 

「鴉」

 

 存在を忘れられていると思っていた鴉は答えず、ただ軽く一礼した。

 

「セラフィをよく労うことだ。──そう。貴公も時には休むといい。もうずいぶんと働き詰めだろう? 今年のレオーはビルゲンワースで羽を伸ばしてきた。貴公もどうか」

 

「……前向きに検討させていただきたく」

 

「鴉羽の騎士様がビルゲンワースに? わぁ。僕は、とても嬉しいです」

 

「そうか、そうか。セラフィもよく憩うといい。彼は休むことを知らぬのだよ」

 

 セラフィが、あまり嬉しそうにするのは好ましくなかった。しかし女王の前で「騒ぐな」とは、やはり言えない。また彼女の首を飛ばすのは六時間ほど遅かった。

 能動的に発生する事態をとにかく先送りするため、月の香りの狩人がよく言う『前向きに検討』の言葉の意味をセラフィは知らないのだ。言葉を弾ませて「いつお休みになるのでしょう? 女王様、鴉羽の騎士様にはいつお暇を下さるのでしょうか?」と話すセラフィが呪わしい。

 敗因を確認したところで女王がクスリと小さく笑った。

 

「──その言葉、違えることなく果たしたまえ」

 

 近いうちに休暇を取らなければならないことが確定し、鴉は無言で身を傾けるだけの礼をした。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

 鴉が、気怠げな溜息を吐いたのでセラフィは彼を見上げた。

 

「何かありましたか」

 

「煩わしいのだ。何もかも」

 

 膨大な書籍が収められているカインハーストの書庫を二人は歩いていた。セラフィは、鴉の居室にしている近衛騎士長の部屋まで行くつもりだった。彼は、長時間の立ちっぱなしでひどく不機嫌だ。レオーに会いに行く前に彼の機嫌を直しておかなけば、明日に支障があるだろう。

 

「温い血の酒と静かな部屋。それだけあれば私は一時、満ちるのだ。──それ以外は煩わしいことこの上ない」

 

「不摂生ばかりしていては体を壊しますよ」

 

「とうに壊れている。まともな体ならば寝て起きたら三日経っていたなどあり得ないだろう」

 

「そうですね。ビルゲンワースからの処方は?」

 

「四日前に切れた」

 

「僕が取ってきましょうか?」

 

「余計なことをするな」

 

「鴉羽の騎士様、本日はご機嫌ですね」

 

 会話が続くうちは、まだまだ大丈夫だとセラフィは経験則で知っていた。

 彼の機嫌が好転する原因は今のところない。それなのに悪化していないことを考えると何が彼に影響しているか、セラフィは思いついた。

 

「テルミは『お話しすることが楽しい』と言います。自我を得るまで出来なかったことが、今は出来るので楽しいのだと。僕もそう感じることがあります。僕の場合は、レオー様の寝物語を聞いている時ですが。鴉羽の騎士様は僕とお話し出来ていることが、ひょっとして楽しいのですか?」

 

「お前の頭蓋は乾いた土塊のように弾むことを知っているか?」

 

「違うのですか? 残念です。僕は鴉羽の騎士様とお話したりお世話したりするのは、とても楽しいことです」

 

 周囲に漂うカインハーストの元住人──悪霊の麗人たちは、白く濁る薄い霧になり逃げ出したが、セラフィは違った。

 鴉もセラフィに対する威嚇や脅迫が無意味であることを知っている。恐怖を感じない性質は、このような時に互いに好都合だった。

 彼の私室、近衛騎士長の部屋に辿り着くと彼はいよいよカインハーストのよくある天気のような雰囲気になった。つまり、どんよりとして何をしても晴れない憂鬱だ。

 

「鴉羽の騎士様、外套をお預かりします」

 

 いつもならば椅子に座る前にセラフィに渡すのだが、そのまま椅子に座ろうとしたので声を掛けた。

 鴉羽の外套を預かり洋服掛けに掛けている間に、彼は椅子に腰掛けた。背中にはいつにない疲労感がある。

 

「血酒を入れましょうか」

 

「要らない」

 

「分かりました。……うーん……。では、僕は下がりますね」

 

 これ以上の気分の向上は望めないようだ。

 退室を試みたが、呼び止められてしまった。

 

「レオー様の様子が気がかりです。鴉羽の騎士様はお休みになって下さい」

 

「ここに。……月の香りの狩人との約定により、お前に渡す物がある」

 

「お父様の? ……珍しい……いえ、初めてのことですね」

 

 セラフィは鴉の足下に跪き、見上げた。

 手袋に包まれた手のひらに落とされたのは、銀の細鎖に結ばれた指輪だ。

 

「月の香りの狩人が今年は何かを用意しろと女王を通じて手紙を寄越した。異教の祭日には贈り物が必要なのだと」

 

「それで鴉羽の騎士様が僕に……。とっても嬉しいです」

 

「……。貸すだけだ」

 

 この言葉は。

『思いつき』の響きがあるものだったが、セラフィにとって彼の言葉は全て真実であるため、彼女はシュンと眉を下げた。

 

「そうですか。……あぅ……残念です……」

 

 鴉は自らの首を探った。手甲の指先が銀の細鎖を引く。その鎖の先にある物をセラフィは知っていた。鍍金に精緻な対の獅子が描かれたカインの証。女王を守る近衛騎士の証だ。同じ物をレオーも父たる狩人も持っていることだろう。

 

「お前が女王の血を啜り、これを得た時、私に返すのだ」

 

 金色がセラフィの目の前で揺れた。

 手の中の銀色を見つめた。

 

「では……この指輪は、鴉羽の騎士様にとって近衛騎士の証と等価と呼べるほどに大切な物なのですね。一時の物とて僕の手に余る物ではありませんか?」

 

「一度与えた物を引っ込めるなど礼を欠くことはしない」

 

「しかし──」

 

「お前は、私の物だ」

 

 静かな声だった。彼は議論の余地のない、至極当たり前のことを宣言したつもりのようだった。

 何も動く物はなく、セラフィは呼吸さえ止まっていた。

 ──答えなければ。

 口を開いたとき、セラフィは目を伏せていた。

 

「いいえ。僕は、女王様の所有物です」

 

 ──カインハーストの財産、という意味で。

 ──そういう意味では貴方の物でもあるワケですが。

 セラフィの言葉は、これまでに話したどんな言葉よりも小さいものだった。

 

「ぼ……僕は……女王様のために貴方の望む言葉を言えません。言う資格が、能力がないのです。……それでも、この指輪は……とても嬉しいです……本当に……本当に」

 

「…………」

 

 肌が痛かった。沈黙が痛いのか、冷気が痛いのか、セラフィにはよく分からなかった。

 いつまでも顔を伏せていることはできない。意を決して鴉を見上げると彼は、すこし笑っていた。

 何か彼の気分を楽しくさせることがあっただろうか。セラフィは彼のことが、ますます分からなくなった。

 

「鴉羽の騎士様?」

 

「女王のことを好いているな、お前は。愛しいか、あの穢れた石女が」

 

「石女? ……? お言葉の意味が分かりません。けれど、僕は女王様のことが大切です。ええ、愛しているのです。不死という不変が僕を惹きつけて止まないのでしょうか。愛しています。愛しているのに。……けれど、ああ、どうか気を害さないで下さい、鴉羽の騎士様。僕は貴方のことも等しく愛しているのです。優れた貴方を。レオー様のことも──」

 

「もうよい」

 

 飽きた、と言わんばかりに鴉は手を振った。

 セラフィは頭を下げた。

 

「失礼しました。──では、僕はレオー様の工房に行きますね」

 

 鴉は、私室に一人きりになった。

 寒さなど彼には大きな問題ではなかったが、あるとき、何か思い立ったのだろう。立ち上がると鴉羽の外套を負って再び部屋を出た。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

「おぉ、セラフィ。可愛い夜警ちゃん。おかえり」

 

 風雪が荒ぶ白い世界を越えて辿り着いたカインハーストの小さな工房では、レオーが待っていた。作業用のズボンにシャツ、ベストを着た休暇中の姿だ。両手を広げたレオーにセラフィは体を押しつけるように抱きついた。

 

「レオー様、ただいま戻りました。ああ、もう体は大丈夫ですか? 痛みは……」

 

「大丈夫、大丈夫。心配かけたな」

 

 レオーは、ぎこちないセラフィの体を抱きしめて、あやすように背中を撫でた。

 その仕草にセラフィは、ずっと心の中にあった心配事が氷解していくような心地だった。

 

「レオー様……ああ、よかった。血族狩りなど、あの男は野蛮な血狂いです。今度会ったら必ず首を刎ねましょう。んん、レオー様……レオー様……」

 

 穢れた血は、熱いのだと聞く。

 それが流れる体もまた熱い。

 凍える道を歩いてきたセラフィにとっては、熱いレオーの体は離れがたい温もりであり、ともすれば安心も相まって眠気を誘うものだった。

 

「おやおや、眠いのか。セラフィが帰ってきたということは休暇だろう? 異邦の祭日とは関係ないが、カインハーストの狩りも今日と明日はお休みだからな。ゆっくりしようじゃあないか。そこのベッド、使っていいからな」

 

「まだ一緒に……ううん……。女王様にお話をしてきましたが……主君の前では、出来る限り情けない姿は語りたくないものです」

 

「ん? ……? ああ、そうか。なにやらたくさんの苦労があったようだな」

 

 喉元まで、さまざまな経験を経た言葉がせり上がった。

 けれど今話してしまうと語りきるまでに朝になってしまいそうだ。彼とは穏やかな時間を過ごしたい。

 

「時間はあるからな。俺も、そうさな、病み上がりで駆けていたが、ぶり返す前にすこし体を休めてもいいだろう」

 

 セラフィの髪を指で絡め、レオーは目を細めた。

 

「二人きりで、ゆっくりしような」

 

「レオー様……ん……」

 

 レオーの皮膚の固い指を握る。

 セラフィは思い出したことがあった。

 

「あ、そうだ。鴉羽の騎士様が外で待っています。お二人がいらっしゃる時にクルックスからの品をお渡ししなければと僕は……」

 

「ワハハハ、冗談! アイツが指くわえて待ってられるワケ──」

 

 レオーは、セラフィの冗談だと思った。

 彼女を女王様のもとへ連れて行った鴉は、長々と話を聞かされて不機嫌でふて腐れているだろう。今頃、氷室の有様の自室に籠もって寝ているハズだ。

 ──一五〇年以上、うんざりするくらい長年連れ添った仲だ。鴉の行動パターンなんて、お見通しなんだよなァ。

 そんなことをぼやきながら外へ続く扉を開けると頭に雪を積もらせた鴉が立っていたのでレオーは声を裏返して叫んだ。

 

「ホワァーッ! ホントにいたァーッ!?」

 

 慌てて締めるが、たいていの場合、速さにおいてレオーは鴉に敵うことがなかった。扉を閉める前に腕と靴が隙間に入り込んだ。

 

「だから僕は言いました」

 

「でもマジでいるとは思わないじゃん! ……お前さぁ……俺とセラフィが一緒にいるのにどうしてここに来るの? 遠慮とか知らないクチ? 俺はお前が何も分からないぜ」

 

「私のいる先にお前がいるだけなのだが?」

 

「哲学やめろ」

 

 頭に積もった雪を落とし、鴉羽をセラフィに渡すと彼は暖炉の一番温かい椅子に腰掛けた。

 

「ったく。仕方ないヤツめ。酒飲んで寝ろ!」

 

 酒瓶を取り出そうとしたレオーをセラフィは制止した。

 

「血酒をお飲みになる前にクルックスからの贈り物をお渡ししますね」

 

「クルックスから? ……ああ、前に話していたな」

 

 レオーは何か思い当たる節があるのか工房作業用の丸椅子に座った。

 セラフィは鴉羽の狩装束と自分の着ていた外套を洋服掛けに吊り下げた。それから、クルックスから受け取っていた蜂蜜の大瓶を置いた。

 

「おお、蜂蜜」

 

「レオー様と鴉羽の騎士様への献上品と聞いています。鴉羽の騎士様、蜂蜜ですよ、蜂蜜。わかりますか?」

 

「知らぬ。……私の時代にはなかった」

 

「あったよ! 石を持って獲物を追っていた時代があったと聞く。その頃からの酒の原料だぞ! ──いいや、待て。なかった? なかったのか。終末のヤーナムには、人間生活なんて終わりきっていたからなかったのか。そうか。性格がアレなだけでなく常識が欠如しているしようのないヤツだと思っていたが……いや悪いこと聞いたな」

 

「でも、とても美味しいと思うので僕は大丈夫だと思います」

 

「セラフィ、発言に気を付けような。ここに蜂蜜の存在を知らない悲しみを背負った男がいるのだ。そういう時は『知っています』という発言は控えるべきなのだ。分かるか? 無益な殺生がひとつ減る。それだけで救われる命があるのだ」

 

「分かりました。言葉は、難しいですね。鴉羽の騎士様、瓶を落とさないで下さいね。落としたら割れてしまいますから」

 

 鴉は、テーブルに置かれた瓶を手に取り膝の上に乗せて焔を透かして見ているようだった。

 レオーはスプーンを投げた。特に視線を動かすことなく、鴉は宙で掴まえた。

 

「食べてみるといい。味が分かるぞ。……しかし、大瓶だな。半分は料理に、もう半分は蜂蜜酒にしてみようか。鍋はないが壺ならある……」

 

「お酒を造るのですか?」

 

 狭い小屋のなか、雑多に収納している戸棚を開けたレオーは途端に頭の上に落ちてきた包みを支えながら「ああ」とくぐもった声を上げた。

 

「造るって言っても大層な仕掛けが必要なものじゃあない。知恵は必要だがね。セラフィ、そこの鍋に雪を摘んでおいで」

 

「鍋に雪を? どれくらいですか」

 

「いっぱい」

 

「『いっぱい』ですね。分かりました」

 

 セラフィはどうして雪が必要なのか分からなかったが、鍋を持って外に出ると踏み固められていない雪を両手で掬って鍋に入れた。小屋に戻ると火にかけるように指示されたので鉄網の上に鍋を置いた。

 

「ああ、水を作るのですね。では次は、蜂蜜と水を混ぜる? それだけで蜂蜜酒になるのですか?」

 

「なるものだ。ただ、寒いからな。酒になるまでには時間がかかるだろう。そういえばクルックスの夜の呼び出しは何の用事だったんだ?」

 

 セラフィは夏休み最終日を思い出した。

 

「そうです、僕は報告を……! 残念ながらレオー様がおっしゃった夜の決闘ではありませんでした」

 

「だろうぜ。何でもない。それで?」

 

「言うなれば『きょうだい』で寝よう会、でした。みんなで同じベッドで寝ました。とても充実していました。また寝たいです」

 

「いいな。挟まりたいな、それ」

 

 鴉が何事か意見を言いたげに噎せたので二人の会話は終了した。

 

「鴉、蜂蜜の味はどうだ?」

 

「青い、花の、香りがする」

 

「お前から叙情的な言葉が出るとは驚きだ」

 

 セラフィは、鍋を見つめる傍ら、暖炉のそばの敷物の上に座った。

 鴉の座る椅子の脚に寄りかかり、ぼんやりと鍋と焔を見つめる。カインハーストの夜は冷える。小屋の端々から冷気が忍び寄ってはセラフィの体を撫でた。

 気が緩む心地よい気分は眠気を誘う。レオーが荷探しをする音を背景に、セラフィは目を閉じた。

 

「セラフィ」

 

 しばらくして鍋が細く短い白い筋を立て始めた頃──時間として一〇分も経っていないと思われた──セラフィは、椅子に寄りかかっていた体を起こして鴉を見上げた。

 

「寝ていたのか、僕は……。何か? あ……みゅ……ッ」

 

 するりと頬を撫でられたと思ったら、口に無遠慮な指が入ってきた。

 

「蜂蜜とは粘度が高いのだな。知らなかった」

 

「も、ぐゥ……」

 

 いつも銃を扱う彼の左手は、今は甘いものだった。甘いからといって、気分がよいものではない。

 舌を弄ばれて、セラフィはつい鴉を睨み上げた。

 カインハーストに従順なセラフィにも不服を思う気持ちは多少ある。たとえば、こういう横暴に晒された時だ。

 

「不満あらば噛んでみろ」

 

 セラフィには絶対に出来ないことを命じるあたり、この先達は自分を手玉にとるのがとても上手だと思う。

 

「むむ……」

 

 セラフィの持ち得た『強すぎる帰属意識』は、カインハーストに対する献身の根幹にあり、時に身を守る力さえ奪うものだった。

 そのため、従容と口を開いた。

 

「──鴉、俺はお前にいちいちセラフィの口に銃口突っ込むな、とか、手を入れるな、とか言わなければならないのか? 品の欠ける行いは自重しろ。セラフィに嫌われるぞ」

 

 レオーが鴉の白い横顔に向かって布巾を投げつけた。それを難なく受けとめた鴉は、ようやくセラフィの口を解放した。

 口を押さえて羞恥に顔を赤らめたセラフィを下に見て鴉は大儀そうに脚を組んだ。

 

「レオー、女王を咎めよ。女王がセラフィを労れと言ったのだからな。──鍋が煮えているぞ」

 

「えっあ、わ、本当だ。レオー様、次はどうすれば……」

 

「テーブルに置いて、自然に冷えるのを待とうな。冷えて水になったら、分けた蜂蜜に入れてかき混ぜる。あとは放っておいて完成だ。数月もあれば飲めるようになるだろうよ」

 

 わかりました。

 そう言いかけたセラフィを遮ったのは、まだ蜂蜜の付いたままのスプーンだった。目を白黒させる彼女の口に押し込んだ鴉が、レオーに訊ねた。

 

「血は入れないのか?」

 

「──こら、セラフィの口にあれこれ突っ込むなってば。入れてもいいが酒の成分が出来てからの方がいいだろうな」

 

 鴉は、セラフィの手首を掴んだ。

 微かに浮かぶ血管を指でなぞり、目を細めた。

 

「当分先か。まだ、青いな」

 

「むぅー」

 

 不満を訴えたセラフィが、スプーンを咥えたままカチャカチャと上下させた。

 

「──噛んでみろ」

 

「それが出来る者は、カインハーストに相応しくないのでしょう。……僕は、どんな時でも貴方に噛みつくほど心憎くは思えないのです」

 

 セラフィはそう言って洗い物の鍋のなかにスプーンを入れた。

 お湯が冷えるまで。鴉の脚に寄りかかり再び目を閉じた。今度は鴉も好きにさせていた。読みさしの本を取り上げて、ときおりセラフィの頭の上に落とす悪戯をする。諫めるレオーが工房の作業をはじめ、カインハーストの時間は更けていった。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

 ヤーナムのなかで最も陰気な街と言えるヤハグルには、外来の祝日がもたらされていた。

 メンシス学派の第二席、学派を実質的に取り仕切っているダミアーンは、机の上に置かれたグラスを観察した。

 

「シェリー酒です。これはやや辛口のものですが」

 

「面白いね。これがさほど高値でもないのだろう? 当世の流行りはスゴいものだな。大量生産、大量消費。いやはや、社会は想像を絶する進歩速度だ。……昔のヤーナムでは、こうした血の酒以外でも流通していたものだ。今でこそ病み人だけが訪れることが出来るヤーナムだが、医療教会初期の頃はしばしば遊牧民が路地で見られたものだ。──ところで何の祭日だと言ったかね。冬至祭?」

 

「クリスマスです。もっともヤハグルは時の進みが遅いですから、きっと時期外れですね」

 

「たしかにね。クリスマス。聞いたことがある。外の宗教行事だね?」

 

「異教の祭日です。斜に構えて過ごすより、建設的な生活をしたいと思っています。そうですね。無数に存在する燭台を磨くとか」

 

「建設的ね。……ああ、君向きの仕事があるんだ。君が長期休暇で帰ってからと思って先延ばしにしていたんだが、顔合わせをしていくかね。シェリー酒はご馳走様。とても懐かしい気分になれたよ」

 

 席を立つダミアーンの後ろをネフライトは歩いた。

 

「本日は、あまり長居できません」

 

「ああ、分かっているとも。君向きの仕事だが、君に何かをしてもらおうという種類ではなくてね」

 

 古寂びた灰色の石壁に囲まれ、あるいは険しい崖の先にあるこの街は、風通しがよくないのだろう。ヤーナムの陰気さというものは、人相にも現れる。人の気配まばらなヤハグルは、学徒の服を着た人々が書籍片手に議論を交わしている。彼らは顔かたちこそまるで違うというのに檻を被っていなくとも同じ集団であることがハッキリと分かる。

 ダミアーンに連れられやって来たのは、ヤハグルの街の外れにある牢屋だった。

 主な用途として市街から攫ってきた市民を入れておくためのものだが、今はどの牢屋も空だ。その理由は、とある牢屋の個室に空いた大きな穴にある。穴を抜ければ旧市街へ行くことが出来る。即ち脱獄が可能であるために使われなくなっているのだ。

 この様子では人も獣もいないだろう。そんな予想していたが、最も奥まった個室に人の気配がした。

 

「誰を捕えているのですか? 血の聖女?」

 

 ネフライトにランタンに火を入れるように指示したダミアーンが片目を瞑って笑った。

 

「見てのお楽しみだ。──入るよ」

 

 捕えているのならば、そこにいるのは囚人なのだろう。それなのに挨拶をするとはおかしなことだ。

 牢にいたのは一見にして薄汚れた中背の男だった。

 

「やぁ、アンタル。ご機嫌よう」

 

「何が『ご機嫌よう』だ。誰だ、そっちは」

 

「こちらは私の孫。ネフライトだ」

 

「…………」

 

 もちろん、ネフライトにとって初対面の男性である。体つきや手のタコの具合を見るに狩人のようだが、こんな狩人は見たことがない。既知のヤハグルの狩人ではなさそうだ。

 

「どこかで面識があるかもと思ったのだが、その様子ではお互いなさそうだね?」

 

 確認され、ネフライトは頷く。そして手に持っているランタンを掲げ、狩人──アンタルの顔をよく見た。色白で元の顔は悪くなさそうな顔だというのに無精髭があるせいか、だらしない男に見えた。彼は眩しそうにランタンの光とネフライトの顔を見た。

 

「お前、月の香りの……? こんなところで何してる。さっさと獣狩りに戻れ。こっちのヤーナムは相変わらずイカれている……。それも今回は極めつきだ。生者も死者もお構いなしでまぜこぜのあべこべときた。イカれてやがる。本当にイカれてやがる。頭に目玉詰まってんのかよ」

 

 噛みつくように狩人──アンタルは言った。

 彼の言うことは気になるが、なぜここにいるのだろうか。それをダミアーンに問う。

 

「何日前だったかな。ひと月以内の出来事だった気がするが、彼が突然『還って』来てね」

 

 ──学派は、それはもう蜂の巣を突いたような大騒ぎだ。ああ、蜂の巣は知っているかな?

 のんびりとダミアーンは語る。

 

「なんせ、もうずっと前に離反したハズの彼が帰ってきたのだからね。見つかって案の定ボコボコになり、投獄されて今に至る、というワケだ」

 

 ──すると彼は夢から還ってきた古狩人なのだ。

 ネフライトの閃きは、正しいものだった。今はビルゲンワースに存在する学徒、閉じた瞳のコッペリアと同じように。彼はいつかの悪夢から現在のヤーナムに還ってきたのだ。

 だから現在のヤーナムが『イカれて』いることが分かる。そして『生者も死者もお構いなしでまぜこぜのあべこべ』が分かるのだ。するとメンシス学派においてダミアーンの次に悪夢から還ってきた古狩人と言える。言い草を鑑みるに記憶を欠落していないのだろう。

 

「何やら事情通な物言いをしているな、ダミアーン。だいたいお前は私が殺したハズだが、どうしてここにいる?」

 

「ああ、やはり君だったか。薄々そうなんじゃないかと思っていたよ」

 

 どういうことです、と聞けない自分はこんな時に不便なのだとネフライトは思った。

 ダミアーンは自分の死因を知らなかったのだ。──こうして加害者が現れるまでは。

 

「このやりとりで君にはすっかり分かったと思うが……私には、以前自分が死んだ時の記憶がなくてね。なぜなのかずっと考えていたのだが、答え合わせが出来たよ。後ろから頭を杭打ちだね? なるほど頭をかち割られては、死を惜しむ間もなく生にしがみつく間もない。そして、メンシス学派の中枢にいる私を暗殺することが出来るなんてヤハグルに精通した君しかあり得ない」

 

「聖歌隊の間者をそそのかしたが、彼はやる気にならなかったからな。それで? 復讐するつもりか?」

 

「まさか。君はこれから私と手を組むのだよ」

 

「断る! お前と組むなどあり得ない。ヤハグルを貶めたお前達に応えるハズないだろう。また人攫いなんてやらせるつもりなのだろうな──」

 

「私とて君と組むのは気が進まないのだが、仕方ない事情もあるのだよ。それに悪夢を探りたい君の願いにもかなう」

 

 医療者を兼ねる狩人は、市街の狩人よりも悪夢のことを知っている。血の医療のことを知っている。

 しかし、現在ヤーナムに異常を引き起こしているのは悪夢の主たる、月の香りの狩人だ。彼らに辿り着ける望みは薄いだろう。だが彼らがどんな回答を出すのか気になるためネフライトは交渉の行方を見守ることにした。

 

「私はヤハグルを離れられない。このネフライトも時限性だ。現在のヤーナムに起きている異常は、市街にも現れていることだろう。探ることが出来るのは君だけなのだよ」

 

「私が大人しく仕事をするとでも? 楽観主義だな、ダミアーン。メンシス学派にしては珍しくない主義のようだがな?」

 

「その主義ではないと生きられないのが現在でね。君もじきに分かる。さて、君が真面目に働いてくれたのならメンシス学派がヤハグルを去る日も遠くないだろう。時間と人手さえあれば、我々はいつだってビルゲンワースへ行きたいのだ。君に急かされるまでもなく、ね。あの学舎には禁忌とされた書籍がまだ眠っている。何よりあそこには、まだウィレーム学長がいるだろう。異常続きのヤーナムだ。彼が正気になっている可能性もある。時間は憂鬱になるほどある。誰と手を組むべきか、よく考えてみてくれたまえ。──ヤハグルの古狩人」

 

 黙り込んだアンタルにそう語りかけ、彼は去ろうとした。

 

「おい、お前。月の香りのお前だ、陰険眼鏡野郎」

 

「……陰険さではお互いさまだと思いますがね」

 

「メンシス学派に加担する意味が分かってそこにいるのか? 医療教会で一番まともじゃない学派に与する意味が分かっているのか?」

 

「それでも手法は正しいと信じているからこそ学派は学派であり続けているのだと思います。……貴方も一度は手を組んでいた様子。得られたものはなかったようですが、かつては期待を寄せたのではないですか?」

 

 アンタルの右頬が不快そうにピクリと動いた。図星を突かれた顔だ。

 ──さ、お暇しようかな。

 ひと言述べたダミアーンが踵を返した。

 

「あとで食事と血の酒を届けるよ。ろくに拘束もしていないんだ。寛いでくれ」

 

「ならせめてまともな寝具を寄越せ。これ、ダニだらけで酷い目にあったぞ」

 

 ネフライトに投げられたのは、黴臭い毛布だった。触れているだけで体のあちこちが痒くなってくる気がした。

 

「これは狩人達が猟犬の寝床に使っている毛布ですね」

 

「どうりで犬の小便臭いワケだ! 死ねよ、もうー! ばかやろー!」

 

「この野郎」とアンタルが歯茎を剥き出しにして唸る。ダミアーンは「参ったね」と苦笑した。

 ダミアーンの書斎へ戻る途中、彼は「助かったよ」と言った。

 

「しかし、彼がダミアーンさんの意のままに動くとは思えません」

 

「いいや、彼は手伝ってくれるだろう。アンタル君は、元々ヤハグルの狩人なのだよ。ヤハグルの狩人。ヤハグルの原住民と言うべきか。この街並みを見てのとおり、今でこそメンシス学派が主宰する街だが、元は住民がいてね。彼は彼らを守っていた狩人の一人だ」

 

「……住人は、どこに行ったのですか」

 

「市街に逃げたり治験に協力してくれたり……八対三という具合かな。彼も最初は協力してくれていたのだがね。今はあんな具合だ。考え方の違いで袂を別ち、メンシス学派ひいては医療教会から離反した。同志というものは、得がたいものだということがよく分かる出来事だったとも」

 

「そうですね」

 

 礼拝堂に入っていく主宰、ミコラーシュを傍目に二人は薄曇りの空の下を歩いた。

 その時だ。

 ぐらり、と体が揺らいだ。もしも、爆音がなければ目眩だと錯覚したかもしれない。

 

「なにっ!?」

 

「おや──」

 

 ネフライトは銃を抜き、銃弾を装填した。

 

「ダミアーンさん、主宰と避難して下さい! 私は現場を確認して参ります──」

 

 ダミアーンの返事を待たず、ネフライトは駆け出した。

 すぐに角を曲がって見えなくなった背中を見て、ダミアーンは小さく息を吐いた。

 

「頼もしくなってきたじゃないか。ふふっ」

 

 ダミアーンは、ミコラーシュに向けて手を挙げた。気付いた彼は、爆発の原因について推察している。それをウンウンと聞きながら、避難を始めることにする。

 風に紛れて誰かが「先生!」と叫ぶ声が聞こえる。浅黒い肌の狩人は嘆いていることだろう。なぜなら。

 

「アーチボルトすぐ爆発する」

 





いっときの地元帰り
 クルックスの贈り物はさっそく悪用されています。
 他人のものを取り上げることを生き甲斐としている鴉にとってセラフィはさまざまな意味を持つ、大切な存在であるのでしょう。彼が与えた指輪は、婚姻を意味するものではありませんが、セラフィの気を惹きたい気持ちは多少あるようです。「貸すだけ」と言いつつ「一度与えた物を引っ込めるなど礼を欠くことはしない」とは思いつきの言葉の帳消しを試みた結果のようです。ときどき考えなしに話すあたり、テルミに目を付けた鴉は自分と似た存在を敏感に察しているのでしょう。
 もしもクルックスが鴉やレオーのことを「ろくでもない大人だな」と言ったらセラフィは「それでも侮辱は許されないのだよ?」と言って敵対するので言葉の取り扱いは要注意です。愛はたいていのことを見過ごし、見誤らせ、見損じさせるものです。セラフィは大分前からこの手の正論は通じません。愛ってコワい。ピグマリオンもそう言っていました。


メンシス学派万歳と言え!
 ダミアーンはミコラーシュがセーフならたいていのことはセーフなので「メンシス学派万歳と言え!」とは強制しませんでした。賛同してくれなくても協力してくれるのなら殺したことも、まぁ、許すよ。一回二回くらい死んだくらいでギャイギャイ言うほど死んでいないからね。はい、新しい毛布だよ。


離反者アンタル
 離反者アンタルについて、アンタル=ヤマムラ問題は本作では取り扱いません。
 そもそもアンタル=ヤマムラ問題とは?
(そもそも筆者が勝手に問題とか言っているだけなんですが)遠眼鏡でアンタルとヤマムラの顔を見ると分かっていただけると思うのですが、とても似ている──というかまんまです。筆者は内部データ数値までは調べられないので感覚なんですが、そっくりです。一方、解析によると内部データにはアンタルの顔データが別にあるそうなので、このそっくりさん現象はNPCデータ適用を……その……しちゃったのではないかと勝手に思っています。
 要するに、ゲーム上、そっくりさんが二人いることは本作では触れません、という宣言です。でも洗礼名説とか好きです。ヤマムラさん所属先スタンプラリー説くらい好きです。──アンタル仮面様にはお世話になりました。教会杭を持つ度にやっぱり医療教会は最高だぜ、と手のひらクルクルさせました。


アーチボルトすぐ爆発する
 ネフライトに食事をせがみにきていたトニトルスの狩人が隠していた、いつぞやの猫の名前でしょう。なんで爆発するんですかね(素人質問)
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